「本当に、キドなのか!!」
そう言いながら、武道大会を終えた後、俺はそのままリョウトと再会した。
しかし、その場にいたのはリョウトだけではなく、リョウトの彼女である柏森さんも一緒だった。
「良かった、無事で。
けど、えっと、その人は」
そう、彼女が視線を向けたのは、ベルベットだった。
「彼女はベルベット。
こっちの世界に来てから、ずっと世話になっている人だよ」
「おぉ、改めて見て、凄い美人だな。
だけど、お前、あの噂、本当なのか?」
「噂?」
その言葉に俺は首を傾げる。
「あぁ、その、王国に出る前にお前の噂を聞いたんだよ。
なんでも、次々と女を取っかえ引っかえで遊んでいて、さらには奴隷のように扱っているって。
正義感の強い奴は、それでお前を倒そうとしたりしていたけど」
「まぁ、ある意味、合っているな」
その言葉に俺はある意味、間違いではない事に、思わず言う。
その事に2人は驚いた顔をしていた。
だけど
「まぁ、そこで少し勘違いしている所があるわ。
まずは取っかえ引っかえと言っても、互いに合意の上よ。
そして、何よりも、キドはどちらかと言うと自分からではなく、むしろ襲われる方が多いわ」
「えっ、襲われる?」
「うっ」
俺は確かに経験自体は多い。
だが、それらのほとんどが襲われるか、事情があってやむを得ない事がほとんどである。
「なっなんというか、噂は間違っていないという事を安心したと言いたい所だけど」
「キド君、その苦労したんだね」
2人からの気遣いが重い。
「だとしたら、それはそれで安心だな。
キドが、これまでと変わらないんだったら、そのお前の所に入っても問題ないか?」
「それは、良いけど。
はっきり言って、俺達側は負ける可能性はあるぞ?」
「だとしても、あのままあそこにいるよりはマシだ。
あいつら、俺達を道具としか見ていないし、なんかやばい匂いがする」
「やばい匂い?」
「なんというかね。
危険な香りがしているから」
「そうか」
おそらくは、俺達が次の国へと向かう頃には本格的な戦いが始まる。
それは覚悟をしておいた方が良い。
現在、俺達が王国に対抗する為に帝国、魔国、武国の3つと同盟を結ぶ事ができた。
これでようやく喉元へと入り込めるか、どうかである。
「あとは、機国かな」
「それって、ここから一番遠いだろ」
「だけど、それでなんとか対抗できるはずだ」
機械の国である機国。
そこの科学技術が味方になれば、王国に対しての決定的な戦力になる。
だからこそ。
「なんというか、お前、色々と逞しくなったよな」
「そうか?
色々と無茶をしないと、生き残れないからな」
俺はそう、苦笑いをするしかなかった。
それだけ、過酷な旅だったから。
それでも、諦めなかったのは、きっと、ここまで出会った人達のおかげだろう。