新たな二人との関係を結んだ後、俺達は次に向かう場所に関して話し合う事になった。
話し合うと言っても、俺はこちらの事情など何も知らない為、俺と紫苑は置いてきぼりだった。
紫苑はなぜ参加しないのかと疑問に思ったが、彼女はどうやらそういう話はあまり向いていないと言うらしい。
オーガから鬼人へと進化して、知的に見えるが、実際はあまり変わっていないようだ。
ある意味、共感が湧いてしまったのは、秘密である。
「とりあえず、近くの村に行く事にするわ。
幸い、鬼人へと進化したおかげで、見た目は隠せそうしね」
「はい、以前は魔物と似た肌という事で、入れませんでしたが、この姿になった事で村にも入る事ができますから」
そう、ベルベットと朱菜の言葉に納得し、俺達はそのまま近くの村へと向かう事にした。
道中では、魔物と呼ばれる存在が現れる事はなかったが。
「なんだか、異世界では魔物とかそういうのがいると思っていたけど」
「それは勿論おります。
ただ、私がこうして魔法で魔物避けで安全に進めるようになっていますので」
「朱菜って、結構凄いな」
「これも、鬼人へと進化したからです」
「私も私も!
凄い事できますから!!」
そう言いながら、紫苑もそのまま言う。
「勿論分かっているよ」
「うぅ、早く力を発揮する所を見せたいのですが」
そう言っている間にも、森の先で、炎が見える。
そう、見つめた先には俺と似た学生服を身に纏っている奴と、兵士。
そして、それに囲まれているピンク色の女性だった。
「ふふっ、異世界の女性と聞いたけど、なかなかに美人だなぁ」
「くくっ、媚薬の効果もなかなかだな」
そう、今すぐにでも襲い掛かる雰囲気だった。
「どうするの」
「えっ」
その様子を見ていると、ベルベットが俺に対して、問いかけてくる。
「あそこにいる女を助けるのか、助けないのか」
「そんなの、助けるに「その力、あんたにあるの?」それは」
俺はその言葉に思わず、黙ってしまう。
「ここであいつらに見つかっても厄介なのは分かるでしょ。
ならば、見捨てるのも一つの手よ」
そう、ベルベットは冷静に、俺に問いかける。
けど
「そんな事をしたら、俺もあいつらと同じになってしまう。
だから、俺はたとえ力が無くても、助けたい」
「そう」
それだけ言うとベルベットは呆れたように言う。
「まぁ、そういうあんただから、私達も力を貸すけどね」
「ベルベット」
そう、俺は思わず笑みを浮かべる。
「ベルベットさん、すいませんがここは私に出番を譲ってくださいな」
それだけ言うと、紫苑はそのまま立ち上がる。
「紫苑?」
「私だけ、何も活躍できない所を見せたくないので!」
それだけ言うと、紫苑はなんと近くにある木をそのまま引っこ抜いた。
同時に、そのまま目の前にいる集団に向かって、襲い掛かる。
「しっ紫苑! 殺すのはダメだから!」
俺はそう言いながら、目の前で起きている紫苑の無双に思わず目を見開く。
兵士だと思われる連中はその手に持つ剣で対抗しようとするが、紫苑の持つ木で完全に吹き飛ばされる。
圧倒的過ぎるその力に対して、兵士達は完全に戦意を失ってしまう。
転移者だと思われる奴も、それに対抗しようと、その力を発動させたようだ。
しかし、紫苑にはまるで効果はないようだ。
「なっなんでだっ! 状態異常になぜならないんだ!」
「邪魔ですよ」
同時にそのまま転移者は吹き飛ばされてしまう。
「それにしても、不愉快ですね。
とりあえず、それはいりませんね」
「えっ」
紫苑のその一言と共に、そのまま転移者の息子を踏み潰した。
それによって、転移者の悲鳴が上がる。
ある意味、紫苑の圧倒的すぎる実力に、俺は口を開いて止まらない。
「紫苑は、どうやら鬼人へと進化したおかげで、戦闘能力も格段に上がったようですね」
「ふぅん、なかなかやるわね」
冷静に言っているけど、俺はさすがにあの時の光景を見て、思わず内股になってしまった。
「キド様! 敵は全員生きていますし、人質も無事ですよ!!
あれ、その体制! もしかして私に興奮しましたか!!」
戻ってきた紫苑はまるで子犬のように近づいたけど、どちらかと言うと最後のでこうなったんだが。
「別に良いんじゃない?」
「そうですね」
結構冷たい様子だけど、とりあえず、今は彼女を見ないと。
「なるほどね、朱菜分かる?」
「それが先程言っていた状態異常は、かなり厄介です。
このままでは」
「治療する術はないのか?」
「残念ながら、私には」
「そんな」
せっかく助ける事ができたのに。
そう思っていると。
「という事で、キド。
あんた、この女と行為しなさい」
「なんでそうなるの!?」
俺は思わず叫んでしまう。
「あんたの精液はある意味、どんな毒も怪我も治せるのよ。
ならば、救う手段として、使うのは当たり前でしょ」
「それはっ」
ベルベットにそう言われると、答えられない。
「あんたはどうしたいの?
助かりたいの、それとも死にたいの?」
そう言いながら、ベルベットは気絶していると思われる人物を見る。
「はぁはぁ、私は、まだ死にたくない。
それが助かるならば、良いわ」
そう、目の前にいる女性は断る事なく、頷く。
「えっと、それはその」
「本人が良いと言っているのだから、しなさい。
見張りはやってあげるから」
「もしもの時は呼んでくださいね」
「うぅ」
そう、ベルベットはさっさと去ってしまい、朱菜は紫苑を連れて、そのまま離れる。
残された俺はどうすれば良いのか困惑しながら。
「とりあえず」
「とりあえず?」
「名前を聞きたいな、君の名前は?」
さすがに、名前も知らずに行為をする訳にはいかない。
そう尋ねると、
「……マァムよ」
そう、彼女は答えてくれた。