「それで、実際にキドが使ってみて、何か分かったの」
そう言いながら、ベルベットはシェリーに尋ねる。
そこに表示されているパソコンの画面には、彼らからしたら、何が書いているのか、まるで分からない単語が多くあり、首を傾げる。
「そうね。
ある程度とはいえ、転移者の強さが少し分かった気がするわ」
「それって、どういう事なの?」
シェリーの一言に対して、朝田は首を傾げた。
「キドがあそこまでの強さを発揮したのは、キドの魂の経験が大きいと言ったわ。
それと共に朝田の方も計測させて貰ったけど、キド程ではないにしても、その質は私達に比べても大きいわ」
「私は、確かにつらい経験はしたけど、そこまでは」
「えぇ、だからこそ、仮説が1つできたわ」
それと共にシェリーは見つめる。
「キド、あなたの世界、幾度もなく繰り返されているわ」
「繰り返されているって、どういう事?」
「ループ。
何度も同じ時間を繰り返し過ごす。
それによって、魂には経験が入り、そして送られてきた転移者の多くは能力を得る程に強くなっているわ」
「それって、つまり、現代に多くの人間がこっちに転移しているのは、そのループが原因という訳」
「そういう事になるわね。
まぁ、未だに仮説でしかないわ。
そして、これもまたとんでもない仮説になるわよ」
「その仮説というのは」
「おそらく、ループの原因を造り出した存在とこの世界の創造主は同じよ」
「いきなりとんでもない事を言い出すわね」
その言葉に、全員はその言葉に驚きを隠せない。
「幾人も、転移者が来て、その影響でこの世界に変化が起きた。
それはつまり、転移者の思いによって、この世界は形成されたのよ。
これまでは、世界が転移者を呼んだと考えていたけど、違ったのよ、転移者がこの世界に来たから世界が誕生したのが正しいわ」
「それは」
その言葉に対して、キドは何も言えなかった。
こちらの世界に対して、驚いたのは、まるで物語にしか出てこないような摩訶不思議な存在。
それらは決して現実では存在しないだろう。
「ある意味、貴方達からしたら私達は人間の形をした別の生き物かもしれないわね。
魔物と変わらない存在として」
そうシェリーは、そう問いかける。
「それは、正直に言って、分からない。
いきなりそんな事を言われたって、それが本当なのかどうかも分からない」
「実際に、この話だって、私の仮説に過ぎないわ」
「けど」
その言葉と共にベルベットをシェリーを見る。
「人間と同じ心を持って、人間と変わらない身体を持っているんだったら、それはもう人間じゃないか。
そもそも、ここは別の世界だったら、それだって普通にあり得るだろ」
「そう答えるのね。
けど、まぁ、そうね」
同時にベルベットはキドを見て言う。
「この世界を作った奴がいるんだったら、一言文句を言うわ。
私をこんな風にした黒幕という事でしょ」
「そうね、ある意味、世界の真理には近づけるかもしれないから、興味深いわね」
そう二人は答えてくれた。
「それにしても、どうするの、あれ」
そう、話が落ち着いた所で、朝田が目を向けた所。
それは、未だに寝ているドラグレッター。
戦いを終えて、特にやる事がないのか、キドの近くで寝ていた。
戦いの時に見せた凶暴性は既に鳴りを潜めていた。
「それにしても、なんでだろう」
「どうしたんだ?」
「いや、なんか違和感があるような、ないような」
その違和感に、キドは首を傾げるだけだった。