王国から逃走してから数日。
俺達はようやく目的地とされている近くの村に辿り着く事ができた。
王国から離れている事もあって、未だに俺達の情報が来ていない事が分かる。
その証拠に、俺達の姿を見ても村人は慌てた様子も無く、のんびりと畑仕事をしていた。
「……この村は大丈夫そうだな」
そう、言いながら俺は村の様子を見渡す。
すると、一人の少女がこちらに気付いて近寄ってきた。
恐らくはこの村の娘だろう。
年齢は俺達ぐらいの年齢だと思われ、こちらをぼーっと見ていた。
「何、あの子が気になるの?」
「なんというか、嫌われているのかなって」
「あんたに?」
「いや、村人に」
見てみたら、村人は、なぜかその少女だけしか居なかったのだ。
他の家を見てみても人の気配は無く、どう見ても無人だった。
そして少女だけが畑仕事をしながらぼけーっとしてる。
なんだか、不気味で仕方がない。
そう考えている時だった。
「んっ?」
ベルベットが何か感じたのか、周りを見る。
俺達は首を傾げていると。
「厄介な奴らが来たようね」
「えっ?」
そう、疑問に思っている間にも、村の周りにある木々から炎や、氷。
様々な攻撃が、村に向けて、襲い掛かる。
それに対して、ベルベットは魔物の腕で防ぐ。
そして、森の隙間から出てきたのは、全身を黒いローブで覆われた集団だった。
手には杖を持ち、フードを深く被った者達。
明らかに魔法使いだと思える格好をしていた。
そんな集団は次々と魔法を放つ。
「えっと、こいつら、王国の連中?」
「さぁね。
けど、こんなに派手に動かないでしょ」
そう、ベルベットは呆れながら言う。
「だったら、潰しても良い訳ね」
同時にシオンがその手を地面に置く。
すると、地面からまるでチェスの駒を思わせる兵士が現れた。
「えっ、何、その能力」
「この前、何時の間にか覚えていた」
シオンはそう言いながら、そのチェスの駒の兵士達はそのままローブで覆われた集団に向かって行く。しかし、それを阻むように魔法による攻撃が行われる。
だが、それは先程までとは違い、魔法の威力自体は下がっていた。
それに、チェスの兵士は簡単にそれを防ぐ。
そしてそのまま攻撃を繰り出していく。
一方で、ベルベットはその拳を振り回し、敵を倒していった。
他のメンバーもまた、襲い掛かってくる敵を薙ぎ倒していく。
そして、数分後には敵の殆どを倒す事に成功した。
ただし、全員ではないようだ。
数名がまだ残っている。
しかも、それらは先程の少女に向かって行く。
「あいつらっ」
俺はすぐに走り出す。
魔法や、能力がないけど、さすがにこのまま放っておく訳にはいかない。そう思いながらも走り出す。
少女は未だにぼーっとしている様子で、魔法から逃げる様子もなかった。
「間に合えっと!」
俺はそのまま飛び込むように少女を庇う。
直後、背中に衝撃が走る。
「……なんで、助けたの?」
それは、少女が俺に問いかける。
「えっ、何時の間にか?」
それに対して、俺もまた困惑しながら答える。
「いや、助けようと思ったら、何時の間にね」
そう、俺は困ったように笑みを浮かべる。
「私が人間じゃなくても?」
そう少女は言うが。
「えっ、それが助けない理由になるのか?」
そもそもの話だ。
人じゃないとか関係ないと思うんだよな。
だって、目の前の少女は明らかに俺達よりも年下だし。
それに見た目的には普通の女の子に見えるしな。
「そう、結構頭が悪い」
「いや、それを今「けど、信頼できる」へっ?」
「キドっ!」
そうしている間にも、後ろから襲い掛かる魔法の気配。
だが、それは俺に届かなかった。
目の前にいる少女は、俺の右腕に結晶のような質感を思わせる風をまとった大剣へと変わっていた。
そこから溢れる風が、俺から魔法を防いだ。
「えっと、これは」
『レン。
それが私の名前』
それと共に、俺の右腕で一体化している大剣こと、レンが喋る。
「まさか、あの子、武器人間だったの」
「武器人間?」
「自らの意思で、おのれの肉体を特殊な武器や道具に変形させることができる人間よ。
しかも、魔法も使えるなんて」
そうしている間にも、奴らは魔法での攻撃が続いていく。その攻撃に対して、レンが生み出した風の刃によって切り裂かれていく。
「ちっ、撤退だっ!」
それと共に、奴らはその場から離れていった。
結局、奴らが何をしたかったのか、分からずじまいだった。
いや、理由は。
「やっぱり、あいつが」
「だから、武器人間はっ」
レンが狙われた理由か。
周りからの反応からして、それは明らかだった。
「ふぅ」
だからこそ、俺の答えは決まった。
「レン?」
「何?」
「俺達と一緒に来るか?」
「……なんで、いきなり?」
「いや、その俺達実は王国に追われているんだ。
だから、逃げる目的が一緒ならば、どうかなって?」
「……私よりも厄介な事」
「まぁ、確かに」
レンの言葉に俺は否定できなかった。
「けど、一緒にいてくれるならば、良い」
そう、レンは静かに頷いた。