転生オークの暴虐日記 作:オークポーク
「魔暦1592年、凍備の月、25日」に挿絵とジュナタ(クロエ)のイメージイラストを、
「魔暦1592年、厳冬の月、1日」にザョコワ(デイジー)のイメージイラストを載せました。
魔暦、再誕の月、4日
マジで肝が冷えた。物理的にじゃないぞ。
今日は昨日約束していた通りグルジュマ、ヤグル、サンドド、俺の四人で狩に出た。
正門前に集合した。相手が雪の中にいるということで全員雪原迷彩の白い外套を纏ってきた。
馬車に揺られること一時間、俺たちは雪深い森に到着した。そして早速スコミムスの痕跡を発見した。白い雪の中に粉々に砕けた赤い色の氷、スコミムスの食べ残しだ。まだ近くにいると思った俺は『蛇の呪い』を使って森の中を見渡したが、大きな気配は見つけられなかった。だが代わりに食べ残しから続く血の臭いが動線のように森の奥へ続いていた。爺様にはシャーマンの素養は低いと言われているが、さすがに訓練を積んでいればこのくらいはできるようになるんだ。
俺が先頭を歩きみんなで森の奥へと歩を進めていった。獲物に気取られないために誰も無駄な口を効かず、ギュムギュムと雪を踏む音だけが小さく響いていた。
俺は大きな気配を感じて足を止めて三人に身を隠すように指で合図した。それぞれバラバラに散って雪の中で身を伏せた。
数秒待っていると動くだけで木々の雪を落とす化け物、スコミムスが現れた。全長は鼻先から尻尾の先までで俺たちオークの4倍はあり、全高なら2倍ほど。頭はワニっぽくて細長い口を持っており、全身は真っ白で背中には氷柱が立っていた。
見ただけで身震いしそうになったがスフィンクス程じゃない。これなら連携すれば倒せるなって自分に言い聞かせた。一先ず、近くにいたサンドドにハンドサインで他二人と合流しようと伝え、俺たちはスコミムスに気づかれないように二人と合流した。
少し距離をとってスコミムスを追跡しつつ、四人でこれからどういうアプローチで仕掛けようかと相談した。ヤグルはやや興奮気味に「全員で突撃してボコボコにしようぜ」と言い、サンドドは「いや取り囲んでフクロにしちまおう」と提案した。グルジュマは「罠を仕掛けよう。みんなで落とし穴を掘るんだ」と言ってきた。ヤグルのは論外として、サンドドの提案もやや確実性に欠ける。グルジュマの落とし穴は悪くないが、その落とし穴がどれくらいで掘れるかわからんのでちょっと賛同しかねる。
俺が提案したのは待ち伏せと挟み撃ちだ。幸いなことに俺ならスコミムスの居場所が常に把握できる。だから俺ともう一人くらいで先回りして攻撃し、気を引いているところで残る二人が後ろから仕留めるというものだ。作戦会議であまり長く時間をかけても仕方がないと察してか、三人とも俺の作戦に賛成した。
編成だが、なんと奇襲はグルジュマ一人でやることになった。本人が立候補したんだ。確かに左手の触手から繰り出される5倍パンチ、あるいは5倍ネックハングは脅威的な威力になるかもしれないので、奇襲は任せることにした。
俺と他二人はスコミムスの後をつけ、奴が立ち止まって屈んだところで前の方に移動した。スコミムスはウンコをしたようで、臭いが移動中に鼻に入り込んできて危うくクシャミをするところだった。低温を武器にするが体温はあるようだ。
スコミムスの進行方向上にある木の影に隠れ、奴の足音が近くなったところで一斉に武器を構えて飛び出した。だが俺たちの目の前にあったのは大きく開かれたスコミムスの口、その奥にたぎる白いエネルギーの塊だった。
ヤバいと思った俺は二人を蹴っ飛ばしながら反動で跳んだ。直後、スコミムスの口の奥から凍結のブレスを吐き出てきた。咄嗟に転がって回避したつもりだったんだが掠めたらしく、折角用意した外套がガラスみたいにバラバラに割れた。
なんでバレたんだ? なんて気にする間もなくスコミムスの更なるブレスが飛んできた。今度は俺に狙いを定めていた。これは避けられないと身構えた時、グルジュマの雄叫びが聞こえ、スコミムスの後ろから飛びかかる兄弟の姿が見えた。だがスコミムスは素早くそれを察知して身体を回転させ、グルジュマを弾き飛ばした。
グルジュマなら何とかなるだろうと確信していた俺はグレートソードを構えて飛びかかり、スコミムスの足を丸太のように切断してやろうと振り抜いたが奴は大ジャンプしてそれを回避した。そして着地した直後、スコミムスはドスドスと音を立てて森の奥へと走り去って行った。体格の差はかなりあるのに警戒心の強いやつだ。
逃げるスコミムスを追跡せず、他の三人を探した。ヤグルとサンドドはすぐに戻ってきて、グルジュマはちょっと遅れて合流した。弾き飛ばされた直後に木に掴まって難を逃れたらしい。
俺たちはすぐにスコミムスを追跡したが、ある程度接近したところで三人を止めた。スコミムスの動きは明らかに俺たちの位置を把握していて、待ち伏せしていた。
専門家じゃないから確実なことは言えないが、おそらくスコミムスにはピット器官のような物があったんだろう。寒冷地で獲物を見つけるには熱探知が一番だ。恐らく奴は俺たちの存在を知っていて、確実に捕食するために敢えて泳がせていたんだ。相当に知力も高いと見える。
俺はヤグルとサンドドに後方支援を頼み、グルジュマと一緒にスコミムスへ突撃した。俺は正面からでグルジュマは楕円を描くように回り込んでの半挟撃だ。俺の接近を感じ取ったのだろうスコミムスがまた口を開いて凍結ブレスを吐いてきた。すかさず近くの木の裏に隠れて防ぎ、後の攻撃をグルジュマに任せた。木が一瞬で氷漬けになる威力、直接当たっていないのに肌を切り裂くような冷たさ、まともに食らえば即死だ。
ブレスが収まったところで顔を出して見ると、飛び上がるグルジュマの左触手パンチを回避し続ける続けるスコミムスの姿があった。奴は動体視力もずば抜けていたんだ。グルジュマへの援護でヤグルとサンドドが投げる目を狙った雪の塊も回避していた。
だがいくら目がいいからって二人以上の同時攻撃に対応できるのは難しいはずだと踏んだ俺は足元に突撃し、再び奴の足を狙った。
だが刃が接触した瞬間に俺はぶったまげた。スコミムスは片足をちょいと上げてちょいと捻って爪でグレートソードを受け止めた。いや、受け止めたと言うよりは引っ掛けられたと言ったほうが正しい。奴の足爪の一本はフックのような形状をしていて、それを器用に扱って俺の剣を固定したのだ。
引っかかった剣は力任せに引っ張ってもビクともせず、そのまま体重をかけられて地面に叩き落とされた。そしてスコミムスは武器を奪った俺よりも脅威度が高いと判断したグルジュマの方を向いた。飛びかかるグルジュマは左拳を構えていたが、スコミムスが大口を開けたブレスの直撃コースにいた。
させるかと俺はスコミムスの足に飛びつき、『雷光の呪い』を唱えて指先からの放電を叩き込んだ。瞬間、その足が脱力したようにスコミムスは傾き、ブレスの方向がずれた。感電死させるだけの威力は出せないが足への電気信号を乱す事くらいはできたらしい。
そしてグルジュマ渾身の左触手ストレートが奴の顔に叩き込まれた。そしてスコミムスの身体がぶっ飛んだ。全長10メートルもある巨体が宙に浮いたんだ。黒の勇者として上がったパワーが更に触手で5倍になり、更にいつもの2倍のジャンプでその威力は20倍になったんだろう。つまり100倍だ。
ぶっ飛んだスコミムスは木をへし折りながらもクッションとして利用して雪の上に着地した。片方の眼球は完全に潰れていて自慢の動体視力の半分は封じられたと思った。
スコミムスは前足でグルジュマに殴られたところを撫でると、爪先についた血をペロリと舐めて反対の目で俺たちを凝視してきた。奴はただの獣ではなく戦いに対してプライドがあるんだとその一連の動作から俺は察した。
そしてスコミムスは地面に向かってブレスを吐いた。最初は何をやりたいのかわからなかったがその行動の意図はすぐに理解できた。地面から跳ね返ったブレスはスコミムスの身体にまとわりつき、あっという間に氷の鎧になった。負傷部位は塞がれ、牙は伸び、爪はサーベルのように長くなった。
スコミムスが吠えると冷気が波動のように広がり、俺たちはたじろいだ。そして奴は怒り狂って飛び掛かってきた。バラバラに跳んで逃げる俺たち。スコミムスはヤグルに狙いを定め、長く伸びた氷の爪で襲い掛かった。ヤグルの武器は斧、氷など叩き壊せるだろうが爪は芝刈り機のごとく高速で、小刻みに、しかも精密に動いていた。斧のような取り回しの悪い武器では対応できず、ヤグルはなんとか防いだが全身を傷だらけにされた。あっという間の出来事だった。
更なる追撃がヤグルを襲おうとした時、グルジュマの触手がヤグルを掴んで引っ張りスコミムスの爪は赤い雪を引っ掻いただけに終わった。
スコミムスが次のターゲットを絞る前に俺とサンドドが動いた。二人で攻撃を仕掛けたが、奴は両前足の爪で俺たちの攻撃を捌きまくった。片目しかなくなったのになんて野郎だって思った。
しかもあるタイミングで俺たちの武器は絡め取られてしまい奴はそこへブレスを吹きつけようとしてきた。やむなく武器を手放して俺たちは回避。後ろにあった木が凍りついた。
スコミムスの奴は俺たちから奪った武器を氷漬けにして後ろの方へ放り投げやがった。拾いに行っても使えない。更なる大ピンチに見舞われたんだ。
意識調査アンケートです。結果が今後の内容を左右するといったものではありませんが、よければご回答ください。内容としてどれが好きですか?
-
エロ
-
グロ、リョナ
-
友情