自称『ハンマーの
しかし、そう呼ぶ者は誰もおらず、もっぱら
『ハマさん』
とか
『ガンさん』
と呼ばれている…。
年齢は、おそらく40代半ば。
身長は低く、150センチをこえたくらい。
小太りな肥満体型に七三分けの頭と、お世辞にも、女性ウケするような容姿ではない。
見た目で損をしているにもかかわらず、女性に対する接し方が、非常に馴れ馴れしい。
そんな
川内永の三連星
と呼ばれる
旧GPD時代からガンプラデュエルをしており、全国大会に出場したこともある、凄腕のリスター
なのである…。
「そんなことよりも、時間が無いんだから、動かし方の練習を始めるわよ。」
と言う瑞穂。
「時間が無いって?」
と訊く飛鳥に
「今日も仕事なのよ。」
と言う瑞穂。
「えっ?
何時から?」
と訊く飛鳥に
「5時からよ。
でも、4時に入店して準備しなきゃいけないから、家を出るのは3時半から。」
と言う瑞穂。
「今、何時?」
と訊く飛鳥に
「2時前よ。」
と教える瑞穂。
ということは、練習時間は、最長でも1時間30分しかない。
(がんばろう…!!)
と飛鳥の、GPDの練習が始まる―。
しかし、GPDの操作は、飛鳥の予想をこえる難しさだった…。
両手のレバーだけでなく、フットペダルも使わなければならない。
それでも、基本動作の練習はクリアできた。
結果はBランク。
「やるじゃない☆」
と、飛鳥を称える瑞穂。
「すごいの?」
と訊く飛鳥に
「初めてとは思えないわね☆」
と言う瑞穂。
「まさか★
本当に初めてだよ。
ガンプラを動かすのが、こんなにも難しいなんて、思わなかったよ。」
と言う飛鳥。
「でも、楽しかったでしょ?」
と訊く瑞穂に
「うん☆」
と、笑顔で即答する飛鳥。
クラスカーストの上位に食い込もうと、自分の好きな事、本当にやりたい事を犠牲にしてきた飛鳥…。
しかし、クラスカーストから解放され、ようやく、自分の好きな事、本当にやりたい事に打ち込めるようになった。
今の飛鳥の笑顔には、その達成感があふれていた。
(飛鳥は、いいリスターになれるわ☆)
と、瑞穂は思った―。
飛鳥と瑞穂が
「オゥ、どうだったい?」
と、外にいた
(うえっ★
何、コイツ…。
もしかして、瑞穂が出てくるのを、ずっと待ってたっていうの?
そこまでして、瑞穂と戦いたいの?)
と、嫌悪感をあらわにする飛鳥…。
「たいしたものよ☆
初めてで、基本操作はBランクよ。」
と言う瑞穂に
「言ったろ☆
秋ちゃんは強ぇって☆」
と威張る
そんな
(なによ、このチビデブ★
何で、アンタみたいなチビデブに、私が評価されなきゃいけないのよ!?)
と、嫌悪感をあらわにした。
「ハマさんと対戦したくても、私、
と瑞穂は言うが
「だったら、レンタルすればいいじゃねぇか☆
オレもレンタルするからよ☆」
と言う
「わかったわ…。」
と、ため息をつく瑞穂…。
そして、
◇
デュエルステージの3番台に来る、
「それ…
あの戸棚にあったガンプラ…?」
と訊く飛鳥に
「私の愛機…
BB戦士のZガンダムよ。」
と答える瑞穂。
「瑞穂、がんばって!!
あんなチビデブ、やっつけてよ!!」
と言う飛鳥に
「無理だって…★」
と瑞穂は言って、
◇
コクピットルーム内のシートに座ると
『GUN-PLA DUEL, Stand up.』
というアナウンスが流れ、システムが起動し始めた。
正面と左右のカメラモニターや、残弾数や各部のダメージ表示を示すメモリなどが映るモニターの光で、コクピットルーム内がほのかに明るくなる。
『Please set your GUN-PLA.』
ガンプラを、カタパルトデッキにセットする。
『Begining PLANET PARTICLE dispersal.』
ステージからプラネット粒子が散布される。
デュエルステージが、陸属性を示す緑色になる。
そして、25分割されているステージの、1番から10番までのグリッドが30センチせり上がっていく。
そして―
『DUEL start!!』
デュエル開始の合図が鳴り響く―!!
「蒼樹 瑞穂ッ!!
Zガンダム、行くわよッ!!」
カタパルトデッキに設置したZガンダムが射出される。
カタパルトデッキを滑走中に、ガンプラにプラネット粒子が散布されて
プラネットコーティング
が施され、ガンプラは、あたかも実機のように動くのだ―。
そして…
Zガンダムが、デュエルステージに姿を現した―!!
◇
ステージを疾走する
(ステージの1番から10番が高台か…。
ハマさんなら、あの高台をどう使ってくるか―!?)
と考える瑞穂。
しかし、そんな瑞穂の考えを裏切って、対戦相手…
「これが…GPD…☆」
と、瑞穂と
しかし、
「さすがガンさん☆
強ぇなぁ☆」
と、飛鳥の隣で観戦している、背の高い、メガネをかけた青年が、
「あのチビ…
じゃなくて、濱之さんって…
そんなに強いんですか?」
と訊く飛鳥に
「あん?
おめぇ、ガンさん知らねぇのか?」
と言う青年。
「私…
この街に住んでないから…。」
と言う飛鳥に
「そうだとしても、ガンさんは有名人なんだけどなぁ?」
と言う青年。
「つ〜か、君、誰?」
と訊いてくる青年に
「みず…
蒼樹さんの従姉妹の秋月 飛鳥といいます。」
と答える飛鳥。
「えっ!?
蒼樹さんの従姉妹?
そうなんだ☆
俺、佐野 大介っていうんだ☆
大介でいいよ☆
よろしく☆」
と自己紹介する、メガネの青年・佐野。
飛鳥は、再び、ステージに目を向ける。
(あぁ…!!)
瑞穂のZガンダムは、
「瑞穂ーっ!!
がんばれぇーっ!!」
と叫ぶ飛鳥。
「ムリだよ★
ガンさんには勝てねぇよ★
蒼樹さんも、そんなに強ぇリスターじゃねぇしな…。」
と、腕を組む佐野。
結局、佐野の言う通り、瑞穂は
「腕落ちたんじゃねぇのか?」
と言う
「最近、やってなかったからね…。」
と言う瑞穂。
「ん?
何だい、秋ちゃん?」
と、憤怒の形相で歩みよってきた飛鳥に訊く
「次は、私と勝負してっ!!」
「おぉ!?
来たね、真打ち☆」
と、喜ぶ
「何言ってるのよ、飛鳥!?
GPDやったことの無い飛鳥が、ハマさんに勝てるわけないでしょ!?」
と、飛鳥を止める瑞穂。
「わかってる…!!
でも…
もう、我慢できない…!!」
と、
「わかったわ…。
けど、一度、家に帰るわよ。」
と言う瑞穂に
「どうして!?」
と訊く飛鳥。
「もうすぐ、仕事行く時間だからね。」
と瑞穂に言われ、納得する飛鳥。
「というわけだから、飛鳥との対戦は」
日を改めて…と瑞穂が言おうとしたら
「後でまた来るから、待ってて!!」
と、右手の人差し指を
「瑞穂、帰ろう!!」
と、去りゆく飛鳥についていく瑞穂。
「待ってるぞぉ〜☆」
と、背後から
◇
【ノヴァティ】からの帰り道―。
「どういうつもりなの、飛鳥!?
ハマさんは、全国大会に出たこともある、凄腕リスターなのよ!!
今さっき、GPDを始めたばかりの飛鳥が勝てる相手じゃないのよ!?」
と怒る瑞穂。
「わかってる…!!
わかってるけど…!!」
と憤る飛鳥に
「少し、頭を冷やしなさい!!
ヘタな義憤は、身を滅ぼすだけよ。」
と諭す瑞穂。
「わかったよ…。
でも…
練習だけは行きたい…!!」
と言う飛鳥に、感心する瑞穂。
学校では、まわりの目を気にして、自分が本当にやりたかったことができなかったが、今は、自分が本当にやりたいことができるのだ。
「わかったわ。
でも、とりあえず、まずは一旦、家に帰るわよ。」
「うん☆」
と、瑞穂と飛鳥は帰宅するのだった―。
◇
家に帰ってきた瑞穂と飛鳥―。
瑞穂は、出社準備をする。
「何時頃、帰ってくるの?」
と訊く飛鳥に
「だいたい、夜の12時頃になるわ。」
と言う瑞穂。
つまり、午後3時半から12時まで、飛鳥は1人というわけだ。
「だから、晩御飯は、自分でなんとかしてちょうだい。」
と瑞穂は言うが
「私…
お金無いんだけど…?」
と言う飛鳥。
「そうだったわね…★」
と、飛鳥に
10000円札
を渡す瑞穂。
「えっ!?
いいの?」
と驚く飛鳥に
「ただし、ムダ使いしちゃダメよ★」
と釘を刺す瑞穂。
「じゃ、行くわよ。」
「うん!!」
と、家を出る瑞穂と飛鳥―。
エレベーターの中で―
「飛鳥♡」
「瑞穂…☆」
と、キスをする。
瑞穂は、左手を飛鳥の背中にまわし、右手は飛鳥のお尻を触る。
飛鳥は、左手で瑞穂の胸を触る。
1階に着くまで、2人はそのままの状態だった―。
1階に着いて、離れる瑞穂と飛鳥。
「もしかして、このキスって?」
と訊く飛鳥。
「行ってきますのキス♡」
と微笑む瑞穂。
「長過ぎない?」
と言う飛鳥に
「でも、イヤじゃないでしょ☆」
と瑞穂は言って、飛鳥と一緒にエレベーターから降りる。
そして、エントランスを抜けて…
「じゃ、行ってくるね☆」
と、再び【ノヴァティ】に行く飛鳥。
「いってらっしゃい☆」
と、走り去る飛鳥に声をかけた瑞穂は、職場であるSMクラブへと向かった―。