ゴジラ上陸から、15年後。
蒸し暑い7月だった。
突如、山口県に巨大な類人猿型の怪獣とゴジラが出現した。
戦略自衛隊第25方面隊に所属していた葛城ミサト一尉は、高雄コウジ陸将の話を聞いていた。
ミサトはかつて行われた「沖縄奪還作戦」で名をあげた優秀な兵士だった。
「君たちの任務は……ゴジラ討伐ではない。人民の救出だ。現地は反政府デモ隊や一部素行の悪い市民が徒党を組んで市民をケガさせている。そんなことは許さん。一人でもいい、連れてきて確保しろ!」
「はい!」
ミサト率いる第25小隊は挨拶をした。
「よし、では行け!!!」
高雄は命令を出した。
彼の命令とともにミサトはHALOジャンプの形から空港機から降り立った。
ミサトは天空から降り立った。
ヒュウウウウウ……。
風を切る音、雲の流れる音が耳のなかでした。
風が突き刺さるように突き刺さった。
ミサトは空を飛ぶ中、巨大なゴリラ型怪獣とゴジラの戦いを間近でみていた。
ゴリラ型は右腕に電流を溜め込んでいた。
そして、鈍い音が鳴った。
ゴン!
殴った衝撃で発生した衝撃波で複数のビルが吹き飛んでいくのがみえた。
だが、ゴジラはビクともしていない。
15年前の時と変わらない白い目を動かしながらゴリラ型をみつめていた。
まるで敵の攻撃を研究しているみたいだ。
電流も打撃も通じない。
物理攻撃がきかない。
アメリカはカリフォルニアを襲撃されたとき、核を使ったが焼石に水だったらしい。
「ゴジラ」
父の仇。
あれが、15年前に全てを奪った。
今でも許すことはできない。
あの後失語症で悩んだ。
そして、大学に入り彼氏を得て、人生を得た。
そのはずだったのに……。
もの想いにふけているうちに、地上がみえた。
やがてパラシュートをつけると、地面に降り立った。
軽く受け身をとった。
そして、ジャンプスーツを脱ぐと、ミサトはタンクトップと軍用ズボンだけの姿となった。
肩からはホルスターをつけている。
沖縄奪還作戦の時を思い出す。
あの時は彼氏もいた。
もう5年以上前だ。
ミサトは音を立てずゆっくりと忍び込んだ。
この地域では極左過激派がひどく活性化して治安も悪化していると聞く。
見つかれば何をされるかわからない。
ミサトがいる場所はどうやら廃墟のようだ。
ゴジラたちが暴れる中、街が破壊しつくされている。
ミサトはガレキの中を進んだ。
ふと、目の前に200mの類人猿型がいた。
ゴリラを思わせるナックルウォークをしていた。
しかし、肌は赤く筋肉質で上半身は毛が薄かった。
下半身となると黒い毛が下半身を多い隠すように生えていた。
顔つきはどこか人間に似ていた。
思わずミサトは言ってしまった。
「まるで鬼」
鬼の怪獣は怒り焦っているようだ。
胸をどんどんとならすとゴジラの前に踊りかかった。
その腕には放電がされていた。
放電パンチはゴジラの顎に突き刺さった。
だが、ゴジラはビクともしていない。
鬼の怪獣が焦ったような顔を浮かべると、ゴジラは300mほどの尾を動かして思いっきり鞭のように、叩きつけた。
うきゃッ!!!!!!!!!!!!!! という悲鳴を上げると鬼は吹き飛んだ。
その時発生した衝撃波で、同胞の自衛官が何百と吹き飛びバラバラになっていくのがみえた。
ミサトは思わず地面にしゃがみこんだ。
まずい。
もうちょっとであたるところだった。
ミサトは怪獣たちを無視すると、そのまま突き進んだ。
声がする。
碇シンジはその頃、避難所から外に出てきたことを後悔した。
火事場泥棒が盗みをする現場に遭遇してしまった。
あげく連中から金をせびられている。
「ガキぃ、くたばれ!!!」
「俺は子供が嫌いなんだ!!! 金か死か選べっ!!!」
「嫌だ! 嫌だ!!! 絶対にっ!!!」
少年の声だ。
それにまじって壮年の男の声がする。
ミサトは近くへよった。
そこには、透き通った肌の少年がいた。
まるで、女性のような優しい顔をしている。
とても端正だ。
すると、少年に絡んでいる男数名がミサトの方に気が付いた。
「おねえちゃんよお、ヤらせてくれんのか? ああ……」
その手元にはお手製のリボルバーがみえた。
男はそれを手に取り、彼女に向けた。
「俺は自衛官だろーと容赦しねえ、お前らはそもそも俺らの税金で喰ってるだろー!!!!」
ミサトは何もいわなかった。
「聞いてんのか!!」
「撃ちなさい」
「何?」
「さっさと撃ちなさい!」
男は手を恐怖で震えながらも押し殺し、リボルバーに手をかけた。
はずだった。
ミサトはそれよりも早く動き、ハンドガンを抜くと、男の銃を持っていた腕に弾丸を当てた。
「う、うが‥‥」
男は地面に倒れた。
ふと、見ると周囲には多くの男たちがいた。
ミサトはシンジを庇うように男たちを睨んだ。
「俺はなあ、女が嫌いだ。特に女の自衛官はへどがでるぜ!!!」
男たちは鉄パイプを持ち、ミサトに踊りかかった。
その内一人の鳩尾に素早く拳を入れ、ダウンさせた。
そして、鉄パイプを逆に持つと、男の一人の頭に振り下ろした。
ガンッ!!!
「ぎゃ!」
男は動かなくなった。
血だまりの中倒れていた。
「てめえ!」
後ろから男がよってきた。
振り返らず、体をよじると左足に力入れアゴを蹴り飛ばした。
「ふべっ!」
大きくよじった男は倒れそうになった。
そして、ハンドガンを持つと何発も男相手に銃弾を放った。
男たちはうめき声をあげると、足早に逃げていった。
ミサトは少年の方に向いた。
「なにかあったの?」
「学校にあったキャンプの近くに怪獣が来て、そこから父さんとはぐれて逃げてたら……ここにきてしまったんです」
「名前は?」
「碇シンジです」
「わかったわ、シンジ君私は葛城ミサト。よろしくね」
周囲をみた。
学校というと、4㎞先に「建国中学」という門の文字とグシャグシャになった建物がみえた。
恐らく中にいる人は全て……。
「わかったわ、私と一緒に基地にいきましょう」
ミサトはシンジを立たせようとした。
その時、シンジが足をくじいていることに気が付いた。
「足、大丈夫?」
「……あいつらにやられた……」
その時だった。
ぶぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!
声がした。
類人猿の声だ。
鬼怪獣だ。
鬼怪獣は発電所の送電にひっかかり、そこから電撃を吸収していた。
その声に反応するようにゴジラがきた。
「まずいわね、逃げるわよ!」
ミサトはシンジをお姫様抱っこの形で抱くと、すぐさま素早く走った。
そこで呻き声をあげながら倒れていた男たちがいた。
先ほどシンジに絡んでいた暴徒たち。
だが、ゴジラはそんな彼らに見向きすらせず、足をあげていた。
「あ……」
男たちは、そのまま一瞬で踏みつぶされて行った。
轟音が響いた。
ミサトはシンジを抱きかかえたまま走った。
地鳴りが響き、ミサトの足元がぐらついた。
その時だった。
「殺せ!!!! 自衛官だ!!!!!」
入れ墨を入れた暴徒の群れがきた。
「あいつら、暴徒だ!!!!」
シンジが悲鳴を上げた。
「あいつらやっちゃうわ」
ミサトはシンジをガレキの上に置いた。
そして、ハンドガンを向けると、2人か3人ほどの頭を吹き飛ばした。
男たちは脳味噌をぶちまけると、次々に倒れた。
暴徒たちは仲間がやられたのをみると、ミサト一人に毛押しされたのか逃げ始めた。
「二度と来るな!」
ミサトは叫んだ。
その時だった。
「いやああああああああああああああああ!!!!!」
女の声だ。
「あ……!」
シンジは物を知っているような顔だった。
「あれ、クラスの女の子だ」
「え?」
「なんでこんなところに、お願い助けてあげてよ!」
ミサトはシンジが頼むより先に動いていた。
「ちょ、ちょっと!!」
むしろ、シンジが困惑しているようだ。
ミサトは走り込むと、そこには複数人の男たちがガレキの裏で少女のを強姦しているのがみえた。
男たちは下半身を露出させていた。
少女は下着を丸出しの状態にしていた。
「へへへ、いいだろーお嬢ちゃんよ!」
「ヤらせてくれよ!」
暴徒の一人がミサトに気が付いた。
「おい、姉ちゃんてめえもまじるか!?」
その時、背後の気配に気が付いた。
鉄パイプを持った男がバットのように構えていた。
「ミサトさん!!!」
シンジの声だ。
ミサトはしゃがむと、男の左足関節を蹴り飛ばした。
「ぐぎゃ!?」
男の左関節はL字状に曲がると、地面に倒れた。
ミサトは余った男たちの頭に銃弾を撃った。
レイプ魔は死んだ。
「君、まっすぐいったここから先に自衛隊のヘリ部隊がいる。助けを乞いに行きなさい」
少女は小さくうなづくと、ミサトの指示に従いヘリに向かって走っていった。
「私たちもいくわよ」
ミサトはシンジに話しかけた。
シンジも首を縦に振った。
シンジを再び抱っこ状態で持ち上げると、ミサトは走っていった。
数分後
ヘリ部隊の基地にたどり着いた。
ごぉおおおおおんん!!!!!!
轟音と地鳴りが響く。
ゴジラとゴリラ型怪獣が戦闘を続けているようだ。
ミサトとシンジはヘリコプター前にたどり着くと迎え入れられた。
ヘリの中は何十という市民でごったがえしになっていた。
先ほどの少女もそこにいた。
自衛官の一人がジャケットをかぶせたようだ。
シンジはふと周囲を見ると、何百というヘリが市民を集めている。
「戦略自衛隊第25方面隊、葛城一尉」
「了解しました、いきましょう」
「待って! 他に誰かいるんじゃ……」
「もういいのよ、シンジ君あきらめましょう!」
「でも……」
「死にたい?」
「……イヤだ」
「じゃあ、乗りなさい」
シンジはしぶしぶヘリに乗った。
ヘリは地上へと舞い上がった。
すると、そこで鬼型怪獣とゴジラが戦うのがみえた。
鬼は電気にまみれた両掌をパンと叩くと、そこから放電交戦を放った。
だが、ゴジラは、その白い目は放電交戦を受けてもビクともしなかった。
まるで、何事もないようだ。
ぶぎゃあああああああああ!!!!
サルのような咆哮をあげると鬼怪獣は怒り狂いゴリラのような太い前足を振るいながらゴジラに近づいた。
そして、大きくジャンプした。
その時だった。
ゴジラのその体以上に長い尾を鞭のようにしなり、鬼をたたきつけた。
バチィン!!!
もう少しでヘリにあたりそうだった。
鬼は激しい打撃を受け地面に倒れた。
鬼はそれでも立ち上がった。
その時だった。
ゴジラは大きなアゴを開いた。
そして、犬歯にまみれたその歯で鬼の肩に食らいついた。
ぎゃあああああああああああああああああああああああああん!!!!!!
鬼怪獣は悲鳴を上げた。
そして、青くにごった血を噴水のように噴き出していた。
鬼怪獣はそれでも、と両腕の力を使い、ゴジラの首をつかみ締め上げようとした。
だが、ゴジラはビクともしない。
首絞めをあきらめると、鬼怪獣は両腕でゴジラの腕をつかんだ。
そして、全身の力をこめて押し倒そうとした。
だが、ビクともしない。
力比べはゴジラのが上だ。
それどころか、ゴジラは鬼怪獣の肩を噛みついたまま、持ち上げた。
そして、尾を伸ばすと鬼怪獣の首と胴体を締め上げた。
万力の尾は鬼怪獣の首をギリギリと締め上げた。
口から泡を吹き出していく鬼怪獣。
右肩に食いついていたゴジラはそのまま右肩ごと右腕を食いちぎっていった。
ギチィ!!!! ベリベリベリィ!!!!
ちょっとした放電がおきた。
と、同時に右肩と右腕がまるで裂けるチーズのように引き裂きながえら、青緑色の血をブシャーを吹き出した。
鬼怪獣の最期だ。
鬼怪獣は目を白黒させながら、息絶えた。
その肉片をゴジラは捕食し始めた。
喰い終わったゴジラは死骸に向かって青白い放射能熱線を吐いた。
その時、すでに遠く離れていたシンジは熱線が宇部市を焼き尽くし、衝撃波ととともに山が削れ吹き飛んでいくのが見えた。
ヘリコプターも少し衝撃でゆれた、
「うわあああ!」
シンジは悲鳴を上げ、ミサトの胸の前に倒れた。
ミサトはそれを受け止めると彼を守るように覆いかぶさった。
シンジはふと目の前に柔らかい物体があることにきがついた。
「!!!!!!」
って、これ胸じゃないか!! おっぱいだ!!!
シンジの顔は赤く紅潮した。
「ごめんなさい」
「何が?」
ミサトは気が付いていないのか、安堵したように言った。
「何とか生き残ったわね。そういえば、お父さんはどこにいるの?」
ミサトの言葉はシンジは悲しそうな顔をして言った。
「わからない、実は父さんは……しばらく家に帰ってない。父さんと仲悪かったし。生きてればいいけどね……」
ミサトはその時気が付いた。
この子は自分と同じだ。
何から何まで境遇が似ている。
彼女は笑顔を作って話しかけた。
「じゃあ、探しましょう。みつかるまで私のそばにいていいわよ」
「え!? なにいってるんです!?」
「いーの、いーの、私今から行く基地のお偉いさんだし。特別に部屋用意しとくからさ。私の部屋だけど」
「それじゃ僕の部屋じゃないじゃないですか!」
「何言ってるの? 私とあなたは同じ団地に住むのよ」
「え!?」
シンジは困惑する中、ミサトとの同居が始まった。
彼は知る由もない
これがのちにとんでもない思い出になるのだから。
怪獣プロレスはしばらくありません。