※この作品はR-18です。

世界の終わりで愛し合った二人   作:井上ああああ

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次回更新は28日になります。


第九話 行方

ミサトが行方不明になった3日後が過ぎた。

なのに、捜索隊は集められていない。

 

 

最悪なタイミングでゴジラが来てしまったことも問題の一つになっている。

シンジは学校の授業に力が入らなかった。

この基地内にある自衛隊職員用の学校では、ミサト自身が不定期的に非常勤講師としてたまに教壇にたっていたのをシンジもみたことがある。

確か2年ほど前にソフトボール部の顧問もしていたらしい。

 

 

彼はうつむいたまま、家に帰ってきた。

ふと、部屋の前に珍しく客人がいた。

眼鏡をかけた優男だった。

 

 

 

「なんでしょう。」

「君が碇シンジか?」

「はい。」

「はあ、そうか…。」

 

 

日向はためいきをついた。

その溜息は重く、強かった。

シンジはその溜息からある種悪意すら感じた。

 

 

「今日から君の面倒を見るのは僕になった。彼女との約束でね。僕は日向マコト、彼女の副官だ。」

 

 

日向は冷たく告げた。

 

 

「ミサトさんは?」

「行方が分からない、さっそくだが、荷物をまとめてここを去ってほしい。君にはふさわしい寝場所を用意している。それにゴジラが近づいてきてるからもっと安全な場所に行かないとね。」

 

 

シンジはムッとした。

なんだ、冷たいやつだ。

 

 

「ミサトさんはなぜいなくなったんですか。」

「民間人である君には教えられない。」

 

 

シンジはイライラした。

日向という男はなんだか冷たい男のようだ。

 

 

 

「まあ、事情が事情だから、教えてあげよう。備前市での任務で行方不明になった。本来だったら僕がいくはずだったが、淡路島の任務で忙しかったので…いけなかったんだ。」

 

 

 

シンジはふと思い出した。

基地内のコンビニで、隊員が話していた。

備前市で何かを探していると…。

このことだったのか。

 

 

 

「どこですか備前市の。」

「教える気はない。わかったらさっさと荷物をまとめてここからでていってくれ。」

 

 

日向は面倒くさそうに言った。

その態度に、さらにシンジは腹が立った。

 

 

「…で、ミサトさんは?探さないの?」

 

 

日向は眼鏡の奥底から冷たい視線をシンジに向けた。

 

 

「何度も言わせるな、キミに教えることなんて大してないんだよ。悪いけど、さっさとしてくれないか…。これは規則なんだ。守れないなら出ていってくれても構わないけど、どうだ?」

 

 

なんだこいつ。

さっきから偉そうに…。

 

 

「なんで?」

「はあ?」

「なんで、ミサトさんを探さないんだよッ!!!!!」

 

 

シンジは日向に食って掛かった。

日向は少し目に怒りをあらわにし始めた。

 

 

 

「…ゴジラがここにきているから、彼女を探すリソースが、ないんだよ。」

 

 

 

シンジは日向を押しのけ、飛び出した。

 

 

「お、おい!」

「もういい!僕が探しに行く!!!!」

 

 

 

 

あんな奴らに任せてられない。

僕が、僕が助けに行く。

 

 

 

「待て、話を最後まで聞け!!!」

 

 

 

シンジは全速力で走った。

日向は置いて行かれてしまった。

シンジはコンフォートを抜けた。

基地のエリアを抜けると、民間人用の宿泊施設の近くまでいった。

そんな時だった。

 

 

 

 

ドン!!!

 

 

 

 

何かとぶつかる音がきこえた。

 

 

 

 

「いったー!!ちょっとー気を付けてよぉ~!!!」

 

 

 

 

 

声がした。

少女の声だ。

シンジはこの声に聞き覚えがあった。

 

 

 

 

「…君は、洞木さん?」

「あなた…。」

 

 

洞木ヒカリ。

以前山口県で同じ避難所にいた少女だ。

ゴジラ襲撃以前は同じクラスにいた。

そして、確か、複数人の暴漢にレイプされそうになった。

 

 

「久しぶり。」

 

 

シンジは少し気まずそうにいった。

ヒカリは黄色いブラウスとオレンジのワンピースを羽織っていた。

 

 

 

「あ、あの。」

 

 

シンジは少し挙動不審になった。

ヒカリは周囲を見回した。

そして、シンジの手を取ると立ち上がった。

シンジは走ってこっちにきた。

という事は何かヤバい案件に引っかかったのか。

 

 

 

「来て!」

 

 

 

すると、ヒカリは物陰の中でシンジとともに逃げた。

 

 

 

「ちょっとまってて!」

 

 

 

そういうと彼女は地震のヘアバンドをとるとシンジの後頭部の髪をつかみ、ポニーテール風にまとめあげた。

そして、自身の上着だったブラウスを脱ぐとワンピースだけの姿になりシンジにかぶせた。

すると、どうだろうシンジは少女の姿になってしまった。

元々中性的な見た目をしていたシンジは女の子に近い部分があった。

そして、背を向けた。

 

 

 

「おい、キミ!ここに少年がこなかったか?」

 

 

 

シンジはこの高い声に気が付いた。

日向だ。

 

 

 

「…知らないでーす。」

 

 

 

シンジは無理矢理高い声を作った。

ヒカリも微笑むと同じく返した。

 

 

 

「わからなーいでーす!」

 

 

 

 

日向は気が付いていないのか、礼を軽く済ませるとどこかへと走り去った。

 

 

 

「…なにがあったの?」

「…人を探しているけど…みつからないんだ。」

「誰を探しているの。」

 

 

 

シンジはため息をついた。

するとヒカリに打ち明けた。

 

 

 

「…女の人。」

「…女?」

「君を助けてくれた自衛官だよ。」

 

 

 

ヒカリは目を見開いた。

少し考えると、スマホを取り出した。

 

 

 

「碇君、こんなこと教えちゃいけないんだけど…。」

 

 

 

洞木ヒカリは周囲をなんどもみていた。

そこには『GPS捜索アプリ』という表記のフォルダーがあった。

 

 

 

「このアプリ、相手の電話番号を入れたらその相手を探し出すことができるの…。やってみる?」

「…いいの?」

「内緒よ、内緒。」

「これって大丈夫なヤツなの?」

「愛のためになら、なんでも捨てる覚悟がないと!」

 

 

 

シンジはヒカリのスマホに搭載されたアプリを手に取ると、ミサトの電話番号を打ち込んだ。

すると、とある場所に入っていった。

それは、備前市・蛸壷山道公園と書かれていた。

 

 

 

「…ここに彼女がいるんだ!」

「碇君、私が教えたことは内緒よ。このアプリあなたに教えてあげるわ。」

 

 

 

するとヒカリは秒の速さでシンジのSNSのアドレスを登録すると、彼に先ほどのアプリの情報が入ったフォルダーを送ってきた。

シンジは息を呑んだ。

彼はミサトがいる場所の情報を登録した。

これで追いかけることができる。

 

 

 

「ありがとう。」

「いい、碇君!絶対にあきらめちゃいけないからね!」

「…わかった。」

「私、今から塾だから…。」

 

 

 

ヒカリはそういうと、シンジに手を振った。

ヒカリはどこかへと走り去った。

シンジも基地を抜け、タクシーエリアでタクシーを捕まえた。

父の遺産は3億円ある。

余裕で行けるだろう。

 

 

 

「備前市・蛸壷山道公園まで。」

「あんなところでなにするんだ、あそこは小型怪獣がたまにでるんだぞ。」

「倍の金額払うからお願い!」

「ちっ!仕方ねーな。」

 

 

 

数時間後、シンジはたどり着いた。

 

随分と寂れたところだ。

誰もいない。

そういえば、何も持ってきていない。

お腹も減ったな。

シンジはため息をついた。

その時だった。

やがて、日は落ち、夜になっていった。

辺りは暗くなった。

 

 

まずいな…。

感情的に飛び出してきてしまった。

なんとなく。

でも、シンジは日向が好きになれなかった。

彼が嫌で逃げ出してしまった。

 

 

 

グルルル…。

 

 

唸り声が聞こえた。

熊だろうか…。

シンジが周囲を見回すと、そこには立っていた。

 

 

 

イボガエルの肌をした人型の生命体だった。

 

 

右腕には電流を帯びた腕がみえた。

シンジはゾッとすると、慌てふためき逃げようとした。

この前、ミサトさんに教えられたガバラ。

人を弄び、面白半分で殺す危険なヤツ。

シンジは肝が冷えた。

 

 

「あ、あ、あ・・・・・・・。」

 

 

 

ガバラは雄たけびをあげ、拳を振り上げた。

その時だった。

どこから火炎瓶が放り投げられた。

そして、ガバラは一瞬で火だるまになりのたうちまわっていた。

シンジは一瞬の出来事に驚いた。

 

 

「おい、お前!」

 

 

低い声がした。

シンジが周囲を振り向くと、ロングヘアーの男が立っていた。

 

 

 

「こんなところでボーっとするな!早く逃げるぞ!!!」

 

 

 

彼は手を振ると、シンジの手をつかみ走っていった。

シンジは少し振り返った。

そこでは、ガバラはのたうちまわり、火を何とか消そうとしていると他の個体と殴り合いをしているのがみえた。

 

 

 

「あいつらはバカだから同族同士殺し合うのさ。」

 

 

ロングヘアーの男は冷たく言った。

そして、再び周囲を見回した。

 

 

「よし、いいな…。」

 

 

彼は洞窟に彼を招いた。

ロングヘアーの男は、たいまつをつけるとあたりを照らした。

 

 

「…夜行性の連中だから、放っておけば朝になったら眠ってるよ。」

「ありがとうございます、助けてくれて。」

「お前名前は?」

「碇シンジです。」

「俺は、青葉シゲル。」

 

 

青葉は、串にささった魚を手渡しした。

シンジはお辞儀をすると魚をほおばった。

 

 

「臭いけど美味しい。」

「だろ?」

 

 

青葉はそういうとギターを取り出し奏で始めた。

 

 

「こうみえても、元ミュージシャンだ。コバルトスカイって知ってるかな?」

 

 

シンジは首を横に振った。

 

 

「あ、知らないんだ…。世知辛いな…。」

 

 

青葉は悲しそうに言った。

シンジはためいきをついた。

 

 

「僕、流行に疎いんです。」

 

 

青葉はキョトンとすると、大笑いした。

 

 

「ハハハハハ!!流行?そこまでいってねーよ!半分アマチュアだって!」

「はあ…。」

 

 

シンジはポカンとした。

そして、聞いてみた。

 

 

「なんで、ここに住んでるんですか。」

「職をなくして、家賃が払えなくなった。生活保護はおりなかった、若いから。それだけ。」

「…そうなんですか。」

 

 

青葉の淡々とした返答にあっけにとられたシンジをみた青葉は今度は自分の番と聞いてみることにした。

 

 

「で、なんでこんなところでうろついてたんだ?ここは最近暴走族だってさけて通るのに…。」

 

 

シンジは少し黙った。

そして、間をおいてゆっくり口を開いた。

 

 

「人を探してる。」

「誰を?」

「女の人。」

「最後にいたのはここか?」

「だと聞いてます。」

 

 

シンジは思いついた。

そうだ、青葉さんはここにいる。

という事は…ミサトさんをみているかも!!!

 

 

「…自衛隊なんですけど、知りませんか?いなくなって三日たってるんです…。」

「うーん…。」

 

 

青葉はロンゲヘアーをさすりながら物思いにふけっていた。

 

 

「知らねえな…。」

「はあ…。」

 

 

その時だった。

青葉が首から下げている物にシンジは目を張った。

十字架のペンダントだ。

 

 

 

「青葉さん!!!それ!!!!」

 

 

シンジは指さした。

 

 

「どこでひろったんですか?」

「え、どこって浜辺だよ。この辺山も海も近いから…君が今食べてる魚。それの釣りしてたら浅瀬の洞窟の方から流れてきてさ。あそこには大きなタコがいるんだ。ゴムみたいに柔らかいからだで、電気が通じない。あいつはガバラを食べちまう。」

 

 

 

シンジはハッとした。

そうだ、そこだ。

 

 

「青葉さん、そこの近くに何かあるのかな。」

 

 

 

シンジは青葉の肩をつかんで問い詰めた。

青葉は表情を変えずに話をつづけた。

 

 

「…確か廃工場だよ、でかい廃工場だ。30年だか前に中国の会社に買収されて…。それ以降あそこで変なことがおきて、女の人が行方不明になるんだ。必ず…。ホームレスなんかを捕まえて怪物に変えてるなんて噂もあったらしい、前にここにいたおっさんがいってたよ」

 

 

 

シンジはようやくわかった。

そうだ、ミサトさんはそこへいったんだ。

そして、怪物たちに出会った。

 

 

 

 

「場所を教えてください!」

 

 

青葉は静止した。

 

 

「…まさか、シンジ君行きたいとかって思ってるのか?やめとけ!死ぬぞ!あそこは気味の悪いバケモノが多いんだぞ!!」

 

 

シンジの肩をつかんだ。

首を振った。

 

 

「あそこには、僕の大事な人がいるんだ!!!!!」

 

 

青葉はため息をついた。

この子には何を言っても無駄だな。

こうときめると梃でも動かないなこいつ。

 

 

「…仕方ねえなあ…。」

 

 

 

数時間後

二人は息をひそめて草むらをかけていった。

ガバラたちはお互いの殺し合いに夢中で、こちらに興味はないようだ。

そのまま勢いで走っていった二人は山を抜け、海の近くまできた。

そして、二人は近くのボート小屋にやってきた。

 

 

「これ、あなたの?」

「いや、違う。持ち主は行方不明になったんだ。鍵を刺したままな…。だから使わせてもらってるのさ。」

「いいの?」

「そんなもん知るか。」

 

 

青葉はボートを起動させた。

青葉とシンジは同中黙っていた。

ボートは瀬戸内海を走ると、洞窟近くまで走っていった。

 

 

「ペンダントはこの洞窟から流れてきた、ここの洞窟はあの廃工場の地下施設につながってるみたいだ。」

 

 

青葉は指を刺した。

山の中に廃墟が浮かんでいた。

そして、その地下には洞窟があった。

ボートは近くの砂浜に止まった。

 

 

「いいか、無茶だけはするなよ。」

「…ありがとう。」

「そうだ…、これは君の『カノジョ』のもんだ。」

 

 

 

青葉は十字架のペンダントをシンジの首にかけた。

 

 

「まだ、彼女とは言ってないけど。」

「じゃ、なんなんだ?」

「…内緒。」

「あのな、俺だって危ない橋わたってるんだからさーそれぐらい教えろよ。」

「一言じゃ言えないんだ。」

「そうか。」

 

 

シンジは黙った。

青葉は火炎瓶の山ほど入ったボストンバックを渡した。

そして、ライターも。

 

 

「これは火炎瓶だ、気を付けて扱えよ。あいつらは電気は平気だが、火に弱い。忘れるなよ。」

「はい。」

 

 

 

青葉はシンジをおろすと、手を振りながら去っていった。

いい人だな、青葉さん。

あの人のためにもミサトさんをみつけよう。

シンジは洞窟の中へと入っていった。

ライターの火をつけると、それを頼りに洞窟の中へと入っていった。

数歩進むと、シンジは大きなゲートがあることに気が付いた。

 

 

「電気がついている。」

 

 

 

シンジは嫌な予感がした。

ライターの火を消した。

シンジは息をひそみ、ゲートのある階段を突き進んだ。

 

 

 

「ここにミサトさんがいる…。」

 

 

 

 

コツコツコツ…。

 

 

 

シンジが階段を駆け上がる音のみが聞こえた。

月明りだけが輝いている。

高さ6mほどのゲートは開いていた。

ゲートは海の岩山とつながっているようだ。

 

 

 

ビシャッ

 

 

 

海から何かが上がってくるのがみえた。

シンジは急いで隠れた。

するとそこに、大きなタコの怪物の姿があった。

大きさは3mか4m…ほどはある。

シンジはあれが青葉のいっていたタコか。

タコは触手をクモの脚のように使うとヒタヒタと歩いて行った。

 

 

 

「あれがミサトさんのペンダントを持っていたんだ。」

 

 

 

シンジの心の中で恐怖が積み上げていった。

ボストンバッグを持った。

そして、シンジはゲートを超えると、タコのあとをおいかけていった。

やがて、洞窟の中へと向かっていった。

シンジの心臓の音がバクバクとなっているのがわかった。

20mほど進んだ。

 

 

 

そこは地獄のような光景だった。

 

 

 

 

 

岩山の壁があった。

その壁の中にはイソギンチャクのような生命体がいた。

そして、イソギンチャクは全裸の女性たちを捕縛していた。

否、女性だったものだ。

もう彼女たちは息を耐えていたようだ。

 

 

 

 

 

「・・・・なんだこれは・・・・。」

 

 

 

 

シンジはボストンバックを落としそうになった。

だが、しっかりとつかんだ。

 

 

 

シンジはふと、前方をみた。

色黒の女性の死骸があった。

白目をむき、口から何かを吐き出している。

ハエが死体に付着していた。

シンジはその光景に吐き気を覚えた。

 

 

 

 

 

その時だった。

気配がした。

 

 

 

 

 

タコだ。

みつかった。

タコは触手を足代わりに立ち上がり、触手をのばした。

そして、威嚇の声をあげた。

 

 

 

 

フシャアあああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

「なんだ、こいつ!」

 

 

 

 

シンジは素早くボストンバッグから火炎瓶を取り出すと、それに火をつけタコめがけて投げつけた。

 

 

 

ぶぎゃああああああああああああああ!!!!!!!

 

 

 

 

 

タコは悲鳴をあげのたうち回った。

そして、地面に転がっていった。

シンジはふと、色黒の女性が自衛隊の制服をきていることにきづいた。

その足もとに手りゅう弾があった。

シンジはそれのピンをぬくと、タコに投げつけた。

そして、シンジは逃げた。

 

 

 

 

ドン!!!!!!

 

 

 

轟音があたりを包んだ。

タコの怪物、タコ人間たちの王は爆破四散し、吹き飛んだ。

肉片があたりに散らばるのがみえた。

 

 

 

「早くミサトさんを探さないと…」

 

 

その時だった。

 

 

 

 

「シ、シ…ンジ君…?」

 

 

 

声がした。

ミサトさんの声だ。

シンジはミサトの声がする方向に向かって走った。

 

 

 

「ミサトさん!!!」

 

 

 

シンジは声がする方向に近づいた。

 

 

 

「…シンジ君…。」

 

 

 

よかった、ミサトさん。

生きていた。

よかった…。

シンジは安堵の気持ちが生まれた。

声がする方に向かって近づいた。

 

 

 

だが、その安堵の気持ちは一瞬で落胆に代わっていくのだった。

 

 

 

シンジはみた。

目の前の光景を。

絶句した。

 

 

 

 

ミサトは生きていた。

だが、壁側についたイソギンチャク型の生命体に磔状に両手両足を縛られ全裸になっていた。

そして、お腹は大きく膨らんでいたのだ。

妊娠したように…。

 

 

 

 

 

「ミサトさん、どうして。」

 

 

 

 

シンジは息を呑んだ。

 

 

 

 

「シンジ君…、ごめんね。」

 

 

 

ミサトは弱弱しく声を出した。

顔は青白かった。

だが、ミサトは笑顔だった。

 

 

 

シンジにはわかった。

ミサトは死期が迫っているんだと…。

 

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