エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
「カスミ。いまはそんなことを言っている場合じゃないわ」
ミナの言葉で、俺は思い出した。そうだ、女サムライは、小説版でカスミという名前が与えられていたんだ。
もともとは東の島国――俺の世界でいうところの日本だろう――で、サムライをやっていたが、このゲームの舞台となる大陸に渡ってきて、武者修行をしていた。本来は品行方正で真面目な女の子だったのに、ドゥームの塔で捕まってしまい、ドゥームの肉奴隷にされてしまった……という過去を持つ。
そういうことに、小説版ではなっていた。
オリジナルのゲームでは、そこまで深掘りした設定は一切出てこない。たぶん、シナリオライターもそこまで練っていなかったんじゃないだろうか。
さて、この目の前にいる彼女は、ゲーム版の設定なのか、それとも小説版も反映した設定なのか。カスミ、の名が付いているということは、小説版に準拠しているのかもしれないが、クジャクのような奴が現れていることから考えても、予断は許されない。
「何かあったのか?」
「この塔に、侵入者がやって来たの。しかも、異世界からの転生者。かなりの強敵よ」
「ほう、異世界からやって来たというのか」
「しかも、あなたと同じ、サムライよ」
ふん、とカスミは鼻を鳴らした。
「私と同じサムライ、だと?」
「かなりの凄腕。私では、歯が立たなかった」
「だったら、私が倒してやろう」
勇ましいことを言い、カスミは鎧をガシャンと鳴らした。この全身武装っぷりなら、あるいは、クジャクの攻撃を無効化できるかもしれない。
「自分の力を過信しないで。あいつは、強さのレベルが次元を超えていた」
「お前は魔法が使えなければ、何も出来ないからな」
「あんただって、その鎧がなかったら、私以上に非力でしょ!」
あ、鎧を取ったら超気弱、っていうことは、仲間にはバレてるんだ。
ボスキャラ同士の掛け合いって、小説版でしか見たことがないから、だいぶ新鮮である。女魔法使い・ミナが、女サムライ・カスミのことを苦手としている、ということも面白い。ついつい、時間を忘れて、二人の会話に聞き入ってしまう。
「ところで、そこの二人は、結局なんなんだ?」
「ああ、紹介するわね。こっちはヒカリ。この塔に入ってきた冒険者。なんだかよくわからないけど、私達に味方してくれるみたい」
「もう一人は?」
「こっちはアイリ」
名前を呼ばれたアイリは、小柄な体をピョンッと跳ねさせて、
「アイリだよ☆」
と元気よく挨拶した。
跳びはねた際に、巨乳がプルンと揺れた。見た目は幼いのに、凶悪なおっぱいを持ってやがる。
「アイリは、ドゥーム様と、ヒカリの間に生まれた子ども」
「な⁉ ドゥーム様に孕まされた、だと⁉」
途端に、カスミは食いついてきた。
「ば、バカな! 私ですら、ドゥーム様の子どもを産むことはかなっていないというのに、なぜ、こいつは⁉」
「知らないわよ。ドゥーム様に気に入られたんじゃないの」
「くうう、ずるい! ずるいぞ! 私もドゥーム様の子どもを産みたい!」
「お願いすればいいじゃない」
「何度も懇願したさ! だけど、そのたびにドゥーム様ははぐらかしていた! それなのに……!」
「ああ、それってダメよ。ドゥーム様は意地悪だから、こっちの望み通りにならないよう、あえて違う犯し方をしてくる。孕ませてほしい、なんてことをアピールしていたら、そりゃあ、かえって孕ませてくれないでしょ」
カスミは、ミナにそう諭されても、やたらと興奮するばかりで、話を聞き入れる様子はない。
確かに、ミナの言うこともわかる。五階のボスをしているから、カスミは強いのかもしれないけど、性格にはかなりの難がありそうだ。
「ねえ。ここで喋っている時間は無いわ。早く三階に行かないと」
「リリカの心配なら、しなくても平気よ」
リリカ、というのは、三階のボスであるサキュバスのことだ。
「どうして? もう倒されているかもしれない」
「彼女はこの塔の中では、ドゥーム様の次に強いから」
え、マジで? そんなの初めて知った。なんでそれなのに、三階のボスとして配置されているんだ?
ああ、でも、思い出してきたぞ。たしか、サキュバス・リリカは、まったく情報収集しないで勝負を挑むと、ヒカリは全然太刀打ち出来ない。一回、情報収集無しで勝負を挑んだら、エッチシーンが何か変わるかと思って、試したことがある。結果は、何も変わらなかったけど、イベントで強制的に敗北していた。こちらの攻撃は一切効かず、逆にリリカは一撃でヒカリを倒した。段違いで強い、という描写がなされていた。
けれども、そんなの関係ない。
なぜなら、襲ってくるのは、俺と同じ異世界転生者だ。しかも、「稲妻の戦士ヒカリ」の知識を豊富に持っている、元プレイヤー。
当然、リリカの弱点も知っているだろう。
ゲーム通りならば、三階で登場する男の戦士――リリカに雇われている傭兵のような奴だろうか。ゲームだけでは、正体が判然としなかった――と交渉することで、リリカの弱点を教えてもらえた。ただし、ヒカリは交換条件として、中出しされてしまうのだが。
クジャクも、一応はフラグを立てるために、その戦士に会いに行くだろう。そして、力尽くで、リリカの弱点を聞き出すに違いない。
まずは、その遭遇を阻止する必要がある。
あるいは、もう手遅れかもしれないが……。
「私とアイリは先に行くわ。行こう、アイリ」
「はーい、ママ♡」
のんびり構えてなんていられない。このままだと、クジャクにゲームの流れを壊されてしまう。俺には余裕が無いんだ。
「あん、ちょっと待ってってば。……カスミも来る?」
「私はここに残っている。ドゥーム様のいる最上階には、決して上らせない」
「じゃあ守りは頼んだわ。私はヒカリと一緒に、とりあえず三階へ行くから」
そう言って、ミナもすぐに俺達の後を追ってきた。
次のフロア――四階は、女エルフが守っている。はてさて、彼女はリアルで会うと、どんなキャラなのか。ちょっと楽しみになっている自分がいた。