エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
アイリは純粋なキラキラした眼差しで、俺のことを見ている。
きっと、褒めてもらいたいのだろう。外の世界へ出ようと考えている、自分のことを。淫魔王の娘として立派に務めを果たそうとしていることを。
「ちゃ、ちゃんと、パパの了解を得ないとね」
「うん!」
俺は何も言えなかった。アイリのやろうとしていることに。
でも、これでいいのだろうか?
などと考えていると、突然、空間がグニャリと捻じ曲がり始めた。
「え⁉ うそ⁉」
驚く俺の目の前で、アイリもまた目を丸くしている。
「ママ⁉ どうしたの! ママーーー!」
最後に聞こえたのは、アイリの叫び声だった。
俺の意識は、そこから闇へと飲み込まれてしまった。
※ ※ ※
気がつけば、真っ白な空間にいた。
ここには以前も来たことがある。創造神クーリアの領域。
クーリアは、前と同じように、パソコンデスクの前に座っている。相変わらず眼鏡が似合う、白衣の美少女だ。
彼女はモニターを睨んだまま、かなり険しい表情を浮かべている。
「やってくれましたね、ヒカルさん」
「あ、あの……私……」
「忘れてしまったのですか? 全ての敵を倒して、ゲームクリアしてくれれば、元の世界へ戻すと。でも、もしも敵に負けて屈服したら、存在をデリートすると」
やっべ、その約束、すっかり忘れていた。
だって気持ち良すぎたから……! レイフーとのエッチ、ドゥームの触手責め……! あんなの、快楽に溺れるな、っていうほうが無理あるだろ!
「あなたは使命を忘れて、ドゥームに身を委ねた挙げ句、とんでもない淫魔姫を誕生させてしまった。その罪、万死に値します」
「リ、リセット! もう一度だけ、チャンスをください!」
「いいえ。もう私達には時間的余裕がありません。あなたには何も期待できない」
「私『達』?」
俺が首を傾げると、ちょんちょんと、誰かが後ろから肩をつついてきた。
振り返れば、そこには破壊神デストラがいる。色黒肌に白ビキニ。何度見ても、エッチな格好だ。
「やっほ♪」
「え? どうしてここに?」
「手を組んだのよ。クーリアと。混沌神クンルンに対抗するために」
「クンルン? あいつが、どうかしたの?」
「簡潔に説明するわね。この世界を、やつはむちゃくちゃにしようとしている。それどころか、異世界にまで侵略しようと目論んでいるの。そう、あんたが元いた世界へと」
「んんん? どういうこと? ここって、ゲームの世界でしょ?」
「ゲームの世界よ。だけど、世界は世界。ちゃんと存在している。ただ、あなたが元いた世界とは明確に次元が分かれているだけ。その境界線を、クンルンはうやむやにして、融合させようと考えているわけ」
「そ、そんなこと、できるの?」
「できるわよ。だって、あんたがやらかしちゃったから」
「わ、私?」
「異世界から来たあなたと、この世界の住人である淫魔王ドゥーム。その間に生まれた子ども、淫魔姫アイリは、世界観を渡り歩けるドリームウォーカーとなった。マルチバースを飛び越えられる存在ね。ここから先は、アイリのやりたい放題。なんでも出来ちゃう」
「よくわからないけど、ものすごい、とんでもない事態になってる……ってことだけは理解できた……」
「あんたが軽率に、ドゥームと手を組もうとしなければ、こういうことにはならなかったんだけどね」
呆れ顔でため息をつくデストラ。
しかし、そう言われても、俺には他に選択肢がなかった。
「しょ、しょうがないでしょ。そもそも、あのクジャクってなんなのよ! 私以外にも、異世界転生してきた奴がいたんだけど! そいつがこの世界をむちゃくちゃにしようとしてたから、それを止めるために、わざわざドゥームと手を組んで――」
「クジャクは、間違いなく、クンルンが呼び出した存在でしょうね」
タン! とエンターキーを強く叩いたクーリアは、モニターを俺のほうへと向けてきた。画面を見ろ、ということだ。
その画面には、小太りの、さえない中年男性が映っている。
「あなたがいた世界での、クジャクの姿。本当は、こういう男だったの」
「クジャクでいる時は、それなりにナイスミドルな感じだったのにね……正体は、残念な感じ……」
「おそらく、クンルンは、クジャク以外にも何人かこの世界へと召喚しているはず」
「もしかして……あの隕石って……」
「クンルンが使った召喚魔法によるものでしょう。混沌を司るクンルンは、世界を飛び越えることは出来なくとも、異世界に干渉することは出来る。その力を利用して、あなたの世界に隕石を落として、『稲妻の戦士ヒカリ』プレイヤー達を異世界転生させたんだと思います」
「ちょっと待って。だったら、どうして私は、あなたに召喚されたの? この間、あなたが呼び寄せた、って言ってたじゃない。私のところに落ちた隕石は、あなたの仕業?」
「いえ、隕石は、クンルンが仕掛けたもの。ただ、私達もまた、クンルンの陰謀に対抗すべく、動いていた。その結果考えたのが、クンルンによって呼び寄せられた『稲妻の戦士ヒカリ』プレイヤー達の魂の内、一部を、こっちのほうへと引っ張り込むという作戦。いわば、横取りですね」
「で……私は、あなたに召喚された形になった……」
「実は、もう一人、デストラが召喚、というか横取りに成功したプレイヤーがいるんです」
「え」
またも、クーリアは、タン! とエンターキーを叩いた。
画面には別の人物が表示される。無精髭を生やした中年男性。ただ、こちらはクジャクの正体の男とは違って、かなりイケメンである。
「彼の名は燕尾マキオ。あなたの世界では、プログラマーをやっていたみたいです。こっちの世界では、『炎の戦士マキナ』として転生しました」
「『炎の戦士マキナ』!」
そういえば、あった! そんな作品! メーカーのエービーCDが、密かにスピンオフとして発売していた作品。ただ、明確にスピンオフとは銘打っていなかったので、誰もそれが「稲妻の戦士ヒカリ」とも連動する世界観であるとは気がついていなかったやつ。俺のようなヒカリファンくらいじゃないだろうか、そのことを知っていたのは。
「というわけで、ここから先は、『炎の戦士マキナ』に頑張ってもらうこととします。あなたはこれにて永遠の死を迎えてもらいますね」