※この作品はR-18です。

エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥   作:夕凪カサネ

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第38話 二人のTS転生者

 夜になった。

 

 神殿の中は月明かりもささないので、基本、真っ暗だ。

 

 とりあえず、薪になるものを俺とマキナは集めて、火をつけた。

 

「さむ……!」

 

 ここは東南アジア風の世界観であるから、てっきり夜も暑いのかと思っていたら、やたらと寒い。遺跡の内部だから、というのもあるんだろう。俺がブルッと体を震わせると、マキナは布を持ってきて、後ろからかぶせてくれた。

 

 うおお、すごい気遣い。イケメンのやることだ。事実、マキナの転生前の男は、イケメンだった。うっかり惚れてしまいそうになる。

 

 いやいや、だけど、お互い元々は男同士なんだ。そんなこと考えるのはキモすぎんだろ。

 

「しかし、驚いたぜ。オレ以外にも、まさか転生者がいるなんてな」

 

 対面に座ったマキナは、遺跡内で捕まえた蛇を串に刺したものを、火にあぶり始めた。蛇料理なんて初めてだけど、あれ、食えるのか? 俺がちょっと引き気味に、マキナのことを見つめていると、彼女はフッと微笑んだ。

 

「意外と美味いんだぜ、蛇肉。食わず嫌いしないで、食べてみな」

「す、すごいわね……そんなの食べようっていう発想が、まず出てこないから……」

「ウォーキング・デッド、観たことあるか? オレは全シーズン観てるぞ。あれ、面白いから、元の世界に戻ったら観てみな。ってか、お前、その喋り方はなんとかならないのか? お前も元々は男なんだろ」

「う、うん、そうだけど……しょうがないの、自然とこの喋りになっちゃうから」

「そういう意味じゃあ、俺はラッキーだったな。炎の戦士マキナは、オレっ子だから。たぶん、ゲームの設定に合わせて、オレも喋り方が若干変化しているんだろうけど、自分ではわからない」

「いいなあ……」

「しかし、まあ、色々と衝撃だぜ。オレは、神様とやらにまだ会ってないからな。わけもわからないまま、このゲームの世界に放り出されて、サバイバル生活、ってところだ。種明かししてもらえているお前は、かなり優遇されてるみたいだな」

「そうでもないわよ」

 

 はあ、とため息をつく。

 

 パチッ、と薪の爆ぜる音が聞こえた。

 

「しょっぱなから敵ボスに犯されて、ゲームオーバーになって、さっそく神様に存在をデリートされそうになったんだから。ほんと、容赦ない」

「のっけからヤられるとか、すげえな。修羅の国か」

「もう、むちゃくちゃ。最終的に、私、ラスボスの子どもまで産んじゃったんだから」

「ボテ腹エンドとはヘビーだな。『稲妻の戦士ヒカリ』にそんなエンディングはないのに」

「ほんと、それ」

 

 もう一度、俺はため息をついた。

 

 でも、なんだかんだで、すごくホッとしている。俺と同じ転生者が目の前にいるからだ。この先もずっと俺一人だけだったら、耐え切れずに潰れていたことだろう。それが、同じ転生者で、しかも「稲妻の戦士ヒカリ」についてのオタ話が通じるという気の合いよう。

 

 未来に希望が出てきた。

 

「ところで、お前は、『炎の戦士マキナ』をプレイしたことはあるか?」

「あー……それは、まだなの」

「なんだよ。もったいない。ゲームとしてはそこそこしっかりしてるぞ」

「シミュレーションRPGだったかしら」

「そーそー。昔ながらのヘックス戦。けっこう演出とかもしっかりしていてな……」

 

 マキナは嬉しそうに、「炎の戦士マキナ」について語っている。

 

 あー、もったいない。こうして見ていると、サバサバした男前の綺麗系お姉さんなのに。中身は、男なんだよなあ……しかも、クーリアに、見せられちゃったし、元々の姿を。その記憶さえなければ、抱かれてもいいくらい……

 

 って、おいおい、何を考えてるんだよ!

 

 すっかり俺は、「稲妻の戦士ヒカリ」の淫靡な世界に毒されてしまったようだ。油断すると、エロのことばかり考えてしまう。マキナにしたって、当然、今晩レズプレイが始まるものと覚悟していた。でも、相手はそんな気配を全然漂わせてこない。「炎の戦士マキナ」にどれだけエッチシーンがあるのか知らないけど、どうやら、「稲妻の戦士ヒカリ」のように、エロに次ぐエロ! というわけではなさそうだ。

 

 蛇肉も食べ終わったところで、うーん、とマキナは背伸びした。

 

「さて、そろそろ寝るぞ。明日に備えて休んでおかないとな」

「う、うん」

 

 心のどこかで、マキナとエッチなことをするのを期待していた俺は、ちょっと拍子抜けしてしまった。

 

 火はそのままにして、マキナは布を敷き詰めた簡易な布団の上に横たわった。

 

 俺も、同じく横たわる。地面のゴツゴツが重ねた布の下からも浮き彫りになっていて、なんとも落ち着かないが、それでも久々のゆったりした時間に、気持ちもリラックスしていた。

 

「なあ、元の世界に戻りたいか?」

「え?」

「俺は戻りたいと思ってる。やっぱり吉牛が食えない世界なんて、味気ないからな。お前は牛丼、食べたくないか?」

「あ……食べたい、かも」

 

 さっき蛇肉を食べたばかりなのに、急にお腹が減ってきた。蛇肉も意外とジューシーで悪くなかったけど、牛肉にはかなわない。牛丼が食べたい。つゆだくの肉増しで、ガッツリと……。

 

「早くまた食べたいな。ネギだく牛丼」

「ネ、ネギだく⁉」

「なんだよ、美味いんだぞ、ネギたっぷりで」

「私はネギよりもお肉が欲しいかな……」

「ふーん。お前ってさ、元の世界だといくつなんだ?」

「十七歳」

「若っ! 俺は三十五歳だぜ。もうオッサンだよ、オッサン」

「ううん、三十五歳だったら、まだまだじゃない」

「ははは。一回り以上年下に、そんな風に慰められるなんてな」

 

 マキナは快活に笑った。

 

 元の世界では、燕尾マキオ、って名前だったっけ。いい人そうだ。歳の差はあっても、すごく仲良く出来そうな予感。安心できる。

 

 安心したからか、俺は眠気を感じ始めていた。スッと目を閉じ、意識が眠りの世界へと落ちていく。

 

 いつしか、俺は夢を見始めていた。

 

 それは元の世界での、さえない学校生活を思い出すような内容だった……。

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