※この作品はR-18です。

エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥   作:夕凪カサネ

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第39話 夢の中の教室

 夢の中で、俺は、学校の教室にいた。

 

 自分の席でぼんやりと座っていると、クラスで一番のお調子者――というと聞こえはいいが、俺のようなタイプからしてみれば、デリカシーに欠けるうざったい男――である池田が、バシッ! と後ろから、俺の頭を叩いてきた。

 

「うぇーい、ヒカルー。どうよ最近、ゲームやってんのー?」

 

 池田はチャラついた動きで、俺の前に回り込んで、椅子に座った。

 

 うざい、どっか行け。

 

 そういう風に強く言えたら、どんなにか、気持ちがいいだろうか。

 

 でも、俺は、言い返せない。

 

「あ、ああ、やってるよ、ゲーム」

「マジかよ、暗えー」

 

 ケタケタと池田は笑い声を上げた。

 

 なんだよ。お前が聞いてきたから、答えたんだろ。

 

 しかし、悔しいけれど、俺はこういう相手に対して、気が弱い。強く出られないのだ。

 

 ああ、それにしても、もしも池田が、俺が「稲妻の戦士ヒカリ」なんていう古いエロゲーを熱心に遊んでいると知ったら、どんな感じでからかってくるだろうか。やはり馬鹿にしてくるのだろうか。それとも、本気でドン引きするのだろうか。キモッ、とか言いかねない。

 

 と、池田は、なぜか勝手に俺のカバンの中をあさり始めた。

 

「お、おい、何するんだよ!」

 

 さすがに俺は、これについては抗議の声を上げた。

 

 池田は気にすることなく、カバンの中に手を突っ込んで、ガサゴソと中身を掻き回すと、ゲームのパッケージを取り出した。なんと、それは、「稲妻の戦士ヒカリ」のパッケージだった。古い時代、Windows95専用のCD-ROMであり、コンパクトなケースに収まっている。

 

 なぜ、俺は、こんなものを学校に持ってきたのか。

 

 夢の中だから、理屈は抜きなのだろう。とにかく持ってきてしまったのは事実だ。

 

「うえええ! なんだ、これ! マジオタクじゃん! キモッ! キモッ!」

 

 池田はパッケージを振り回しながら、教室の中を駆け回り始めた。

 

「見ろよ! ヒカルのやつ、こんなの持ち歩いてるぜ! 超キモくね⁉」

 

 たちまち、やつの取り巻きがワラワラと集まってきて、一緒になってギャアギャアと騒ぎ出した。

 

「おえー! こんなキモいの遊んでんのかよ!」

「ダメじゃん! ヒカル、ヤバいじゃん!」

「うひゃひゃひゃひゃ! すげー! ド変態だろ!」

 

 俺は顔を真っ赤にして、取り巻き連中の中に飛び込み、「稲妻の戦士ヒカリ」を取り返そうと腕を伸ばした。

 

 だが、池田が前に立ち塞がり、ドンッ、と胸を突き飛ばした。

 

 俺は吹っ飛ばされ、尻餅をつく。

 

「いったあ!」

「『いったあ』だって! 言い方、女子かよ! ぎゃははは!」

 

 怒りがこみ上げてくる。ここまでからかわれるいわれはない。許せない。俺は拳を握り締め、立ち上がった。喧嘩なんて、小学生のころにやったことがあるくらいだ。いつも連戦連敗。いじめられてばっかの日々だった。中学の時は多少マシだったけど、高校になってから、また暗黒時代が始まった。

 

 池田。こいつさえいなければ。

 

 もう、殴りかかってやろうか――と身構えたところで、

 

「何を騒いでるの」

 

 学級委員長の女子、アスカさんが、俺達のいさかいの場に割りこんできた。黒髪ロングの、いかにも真面目な学級委員長、といった風情のアスカさんは、険しい表情でツカツカと入ってくると、「稲妻の戦士ヒカリ」のパッケージを池田の取り巻きから奪い取り、しげしげと眺めた。

 

「ふうん。これ、誰が持ってきたの?」

 

 全員、迷わず、俺のことを指さした。

 

 うわあ、マジか……学年一の美少女と評判の、人気の学級委員長アスカさんに、まさか俺の趣味がバレてしまうなんて……

 

「ヒカル君って、こういう趣味があるんだね」

「あ、あの、それは……」

「いいじゃない。別に。私は偏見ないよ」

「いや、その、えっと……」

「私のお父さん、小説家だから。エッチなのもいっぱい書いてるし」

 

 おっと、そう言えば、アスカさんの親父さんって、そこそこ名の知れているライトノベル作家だった。あまり売れてないらしいけど、名前だけは有名だ。

 

「うおおーい、委員長もド変態かよぉ」

 

 池田が好色な眼差しでアスカさんのことを見ながら、はやし立ててくる。エッチなのを書いているのは、アスカさんじゃなくて、アスカさんの親父さんだというのに、この短絡思考バカの池田は、自分の都合の良い方向へと強引に話を持っていくのだ。

 

「そうよ。ド変態。お父さんの小説よく読んでるから、エッチなことに興味あるの。それの何が悪いの?」

 

 スパッと切れ味良く言い返すアスカさん。その堂々たる態度に、池田は何も反論できずにいる。

 

 俺は、これが夢の中の光景であることを、どこかで自覚している。記憶の風景ではない。勝手に俺のイメージでねつ造したやり取りだ。アスカさんの親父さんがラノベ作家というのは本当だけど。

 

 そして、俺は思い出した。この世界に飛ばされてきて、すっかり忘れていたけど、アスカさんのことが好きなんだった。こういうさっぱりした気持ちのいい女の子とお付き合いしたいな、と思っていた。

 

 ああ……戻りたいな、あの世界に……

 

 池田みたいなろくでもない野郎はいるけど……それでも、アスカさんみたいな素敵な子もいる……元の世界、悪くはない……

 

 そんなことを考えているうちに、意識は現実へと引き戻され――

 

 夢からさめた。

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