エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
「そらそら! しっかり周りを見ろ! 触手にヤられちまうぞ!」
「わ、わかってるわよ!」
神殿の奥へと進むにつれて、どんどん蔦型の触手が増えてきた。上下前後左右、あらゆる方向からシュルシュルと伸びてきて、俺の体に絡みついてこようとする。それらを必死で切り裂いている横で、マキナは火炎の魔法で触手を焼き払っている。
いいなあ、あっちは楽そうで……
どれくらいのレベルに到達しているんだろう。俺よりもずっと上のレベルに行ってそうだ。特に武器は持たなくて、素手で戦っているのに、むちゃくちゃ強い。それに、動きがいちいちスタイリッシュで、すごく格好いい。これぞゲームの世界のキャラクター、といった戦い方だ。まあ、中身?は三十代のオッサンなんだけど。
「一点ばかりに集中すんな! 意識を全体に拡散させろ!」
「そんなこと言われたって、急にはできないわよ!」
「いいから頑張ってチャレンジしてみろ! 実戦で鍛えるしかないんだぞ!」
そう言いながら、マキナは天井から伸びてきた蔦型触手を豪快な炎で焼き尽くした。炭となった触手がボロボロと落ちていく。
触手の攻撃がやんだ。
落ち着いたところで、俺はマキナに尋ねてみた。
「マ、マキナは、負けたことはないの⁉」
「ねーよ。こっちは必死だからな」
「私だって必死で戦ってきたけど、上手くいかなくって……」
「キャラの違いもあるんじゃねーかな。基本的に、俺が転生したマキナは、快楽堕ちがないからな」
「そうなの?」
「シミュレーションRPGだから、けっこうゲームシステムのほうに重きを置かれてるんだよ。エロはオマケ程度。その点、ヒカリはとにかくエロ特化だからな。まず負けるのが当たり前。エロい目にあって当たり前。仕方ないと思うぜ」
「でも、だんだんわからなくなってきた……ヒカリの肉体だからなのか、それとも、私がもともとエッチだから、メス堕ちしちゃうのか……」
「しっ」
急に、マキナは口元に指を当てて、黙るように伝えてきた。
奥の部屋から、ベタッ、ベタッ、と足音が聞こえてくる。
中にいる存在に見つからないように、俺達は静かにしながら、そっと部屋の中を覗いてみた。
肉の塊のような、ぶよぶよした巨体のモンスターが、ゼエゼエとおぞましい息を吐いて、歩き回っている。どこかドゥームとデザインが似てる。
「あれは……?」
小声で、マキナに尋ねてみた。
「このステージのボス、ヴォルコだ」
「見るからに、エロいことしてきそうなデザインしてるわね……」
「実際、ゲームオーバーになると、エロシーン突入だ。けっこうハードな目にあうぞ」
「ごくっ」
思わず、俺は喉を鳴らしてしまった。
「……なに、興奮してるんだよ」
「へ? べ、別に、そんなことないわよ」
「そんなことあるだろ。やっぱ、さすがヒカリだな。最初からもう、ヤラれモードになってやがる……」
「と、とにかく、あのヴォルコとかいうのを倒せば、ここをクリアできるのね」
「ああ。そうしたら、このダンジョンを出て、町に行くことが出来る。一休みできるぜ」
「オッケー。それなら、頑張ってみるわ!」
俺は部屋の中へ飛び込み、先手必勝で、ヴォルコの肉体に斬りつけた。
ブジュウウウ! と肉を切り裂くいやな音が鳴り響く。
うぎょおおえええ! とグロい叫び声を上げて、ヴォルコは俺のことを睨みつけてきた。
「き、気持ち悪っ!」
すぐに俺は剣を掲げ、バリバリと雷を召喚した。斬撃に続いて、ヴォルコに向かって稲妻を落とす。ズドーーーン! とすさまじい音とともに、肉塊は燃え始めた。
「やった⁉」
あっさりと倒せたか、と思っていると、ムクムクと、ヴォルコの肉体が膨張を始めた。
「ボヤッとすんな!」
マキナもまた部屋に飛び込んできて、炎の魔法を展開しながら、ヴォルコへと襲いかかる。
部屋いっぱいに膨らんだヴォルコは、グジュグジュと肉を蠢かせながら、腕を伸ばしてきた。何本も触手のようなものが生えている。あんなのに捕まったら、とんでもなくひどくエロい目にあわされそうだ。
俺は横へと跳んで、ヴォルコの腕をかわした。それとともに、カウンターで、剣による斬撃を加える。腕肉がグシャッと切り裂かれ、ボトリと床に落ちる。
(おお! いま、俺、すごい格好いいアクションできた!)
喜んでいるのも束の間、怒り狂ったヴォルコが、ぐおおおおお! と咆哮を上げて、こっちへ向かって突進してきた。
「いまの動き、なかなかよかったぜ!」
そう褒めてくれながら、マキナが俺の前に立ち、床に火炎で魔方陣を描いた。
魔方陣から、巨大な炎の柱が噴き出し、ヴォルコの全身を包み込む。
「フレイムスラッシュ!」
魔法名を叫び、ビシッと決めポーズを取るマキナ。
ぎいいああああ! とヴォルコは絶叫を上げて、体を焼かれ、崩れ落ちた。肉塊は崩れ、バラバラボトボトと床に落ちていく。
とうとう、グチャアア! と肉は潰れてしまった。
「さすが、マキナ……!」
「いや、お前も、いまはなかなかいい動きでよかったぜ」
グッと親指を立てて、俺の健闘をたたえてくれる。ああ、ほんと、この人はいい人だ。
俺は惚れ惚れとした思いで、マキナのことを見つめ続けていた。