エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
神殿をクリアした俺達は、最奥部に出現したワープポイントに乗って、外へと出た。
ワープポイントは、とある町に直結していた。なんで神殿遺跡の奥深くに、こんなものがあるのか、ご都合主義じゃないか、と思ったものの、まあ、ここはゲームの世界なのだから仕方ない。
とりあえず俺はマキナと一緒に、宿屋へ入り、荷物を置いた。
「ここはテルマの町。冒険者達の活動拠点となるところだ。ゲームではよくある場所だって言えば、なんとなくイメージはつくだろ?」
「なるほど、宿屋以外にも、武器屋とか、防具屋とか、色々あるのね」
二階の部屋の窓から、外を眺めてみる。青空の下、町並みが広がっている。テルマの町はけっこう栄えているようで、多くの人が行き交っており、足音や話し声など、賑やかな様子が音を聞いているだけでも伝わってくる。
「それで、ここから先はどうするの?」
「まずは話し合おう。作戦会議だ。昼飯も食いたいだろ」
言われてみれば、朝ご飯を食べたきり、神殿攻略に夢中になってたから、何も腹に入れてない。ぐう、とお腹が鳴った。
宿屋を出た俺達は、二軒隣にある酒場へと入った。
真っ昼間だっていうのに、マキナはジョッキでビールを頼み、ガブガブとあおっている。
「かー! 最高だな! 仕事上がりの一杯は!」
「うわあ……オッサンくさい……」
「なんだよー。一仕事終えたら、酒をグイッと飲む。この楽しみは、あっちの世界でもこっちの世界でも、変わんないだろ」
「私は、だって、元の世界では高校生だもん。お酒なんて飲んだことないわよ」
「じゃあ、飲んでみるか?」
ズイッ、とマキナはジョッキを押しつけてきた。
「い、いいわよ! まずそうだし!」
「大丈夫、大丈夫。飲んでるうちに慣れるって」
「それに、私、高校生だから、お酒なんて飲んだらダメでしょ!」
「いまのお前はヒカリだろ。気にすんなよ」
「ヒカリは十七歳なんだけど! 未成年!」
「そんなの、この世界では関係ないって。法律があるわけでもなし」
そら! とマキナは俺の体を捕まえると、強引にジョッキを口に押しつけて、ググッと傾けてきた。
黄金色の泡立った液体が、口の中に流し込まれてくる。
「むぐ! んぐぅうう!」
「あはは、エロい声出すなよ。みんなが見てるぞー」
「ぷあ! けほ! けほ! うええ、苦いぃ」
「お子ちゃまな舌だな、あはははは」
「わ、笑ってる場合じゃないわよ!」
ヒカリはお酒にはそこまで強くないようだ。ちょっと飲んだだけなのに、頭がフワフワしている。ううう、と呻きながら、俺は頭を振った。
「こんなんで作戦会議とか、できるの……?」
「多少酔ってるほうが、いい案が思いつくもんだって」
「わけわかんない……」
「ほら、つまみも来たぞ。今日はオレのおごりだ。食べな」
大皿にたくさんのソーセージが盛り付けられて運ばれてきた。他にも、ジャガイモを肉と一緒に炒めた料理も出てきた。そういや、元の世界では、ジャガイモがファンタジー小説に出てくることで論争というか、ジャガイモ警察みたいなのがネット上で湧いていたな。まあ、このゲーム世界では、ジャガイモは普通に栽培されているってことなのだろう。
とりあえず、深く考えずに、出された料理を次々と口に入れていく。
味付けが濃い。でも、むちゃくちゃ美味しい。命がけの戦いを終えた後だからか、体に染み渡るほどの美味さだ。
「うーん、幸せぇ♡」
うっとりと、そんな風に言うと、マキナがチョンチョンと俺の腕をつついてきた。
「周り、見てみな」
「え?」
言われたとおりに、周囲を観察してみると、他の客達が、男女問わず、俺のことをガン見している。みんな、目つきがどこかいやらしい。俺のおっぱいやらお尻やらをジロジロと眺め回している。
「さすがヒカリ。ただ飯を食ってるだけなのに、エロさ全開だな」
「う……わ、私、普通にしているだけなんだけど……」
「しょうがないって。お前は特にエロ特化のゲームから流れてきたキャラなんだから。『炎の戦士マキナ』の住人には、かなり刺激的なんだと思うぜ」
「ううう」
見られながら食べるのは落ち着かない。俺は顔を赤らめ、モジモジしながら、ちょっと食べるペースを落として、食事を口に運んでいく。
「で、どうしよっか。選択肢は二つあるぜ」
「うん。聞かせて」
「ひとつは、このまま『炎の戦士マキナ』をクリアすること。それ自体は大変ではない。オレは攻略法を頭に叩き込んでいるし、エロイベントも基本的には敗北しない限り発生しないから、快楽堕ちする危険性もない。ただ、淫魔王ドゥームやら、アイリやら、混沌神クンルンやらと戦うのに、そんな悠長なことをしている時間はあるのか、って問題はある」
「もうひとつは?」
「なんとかして、お前のゲーム『稲妻の戦士ヒカリ』シリーズのほうへと移動する。そうすれば、淫魔王とも、混沌神とも、普通にゲームプレイしていれば戦うことが出来る。問題は、移動の方法がわからない、ってことだ」
「神様達がなんとかしてくれないと、どうしようもないもんね……」
「こればかりは手がかりを探してみるしかないな。RPGの基本、情報収集だ」
「最近のゲームはガイドがあるから、迷うことないけどね」
「まあな。ぬるくなっちまったもんだよ、ゲームも。ま、このレトロな感じを、楽しんでいこうぜ」
などと話していると、突然、隣の席で喧嘩が始まった。
「取り分が少ねえ、って言ってんだよ! なめてんのか!」
「……あなたは、役に立っていなかったから」
屈強で大柄なスキンヘッドの男が、大声で怒鳴り散らしているのに対して、同じテーブルの席に座っている少女は、ボソボソ声で話している。ミニスカート姿の軽装。水色の髪が実に綺麗。装備を見る限り、シーフみたいだ。
「なに? なにが起きてるの?」
「イベントだよ」
「え?」
「『炎の戦士マキナ』の最初のステージ、神殿遺跡をクリアした後、町に戻ると出会う最初の仲間……」
ニヤリとマキナは笑った。
「水の戦士レベッカだ」