※この作品はR-18です。

エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥   作:夕凪カサネ

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第44話 仲間がいるということ

「ねえ……さっきから、何をコソコソ話しているの?」

 

 レベッカは眉をひそめて、俺達のことを見ている。

 

 このクール系美少女に睨まれるのは、悪い気がしない。静かで落ち着いた喋り方も魅力的だ。なんなら彼女に罵られたら、それはそれでゾクゾクしそうな気がする。マキナがハマっている気持ちもよくわかる。

 

「ううん、なんでもないの! ただ、私達は、旅の戦士なんだけど、仲間を探していて」

「もしかして……私のことを、スカウトしたいとか、そういうこと……?」

「そーそー! 一緒だったら冒険とかも楽だと思うし――」

 

 いきなり、俺達の真横で、スキンヘッドの男が椅子をドカッ! と蹴り飛ばした。

 

 いけね、こいつのこと、すっかり忘れてた。

 

「ざけんな……! 俺の顔に水なんてかけやがって! ぶっ殺すぞ!」

 

 怒りで顔を真っ赤にしているスキンヘッドの男。頭が禿げているから、なんだか茹で蛸みたいだ。

 

「うるせー!」

 

 マキナさんがキレた。

 

「てめーみたいなモブがいつまでもでしゃばってくるんじゃねえよ! いま、レベッカの貴重な生ゼリフを堪能しているところなんだ! 静かにしてろ!」

「モ、モブだとぉ⁉ 俺をそこらへんの有象無象と一緒にするな! 俺の名は――」

 

 勢いで名乗りを上げようとしたスキンヘッドの男だったが、黙れ、とばかりに、マキナさんが男の腹に思いきり蹴りをぶち込んだ。ぐふう、と男は呻き、あっさりと膝を折って、その場で崩れ落ちる。

 

「それで……? どうして、あなたは私のことを知っているの?」

 

 あ、レベッカが話を元に戻してきた。

 

 この話題はあまり掘り下げないでほしい。マキナさんは、ともすると、異世界転生のことを平気で話しそうになる。このゲームの世界の住人達に対しては、あまり転生については言わないほうがいい気がする。この世界の外にも世界がある、と知ったとき、ゲームのキャラ達はどんな変化を迎えるのだろうか。あまりよくない影響を与えそうだ。

 

「ゆ、有名人だから」

 

 正直、レベッカが有名な人物かどうかなんて知らないのだけど、適当に言ってみることにした。

 

 ちょっと疑わしそうな顔で、俺のことを見てきたレベッカだったけど、その顔がちょっと緩んだように見えた。

 

「ふうん……私、有名なんだ……」

 

 あれ、なんだかちょっと嬉しそう。意外とノリが軽いのか。

 

「私の力が、必要なの……?」

 

 チラッチラッとレベッカはこっちを見ている。なんだか仲間になりたそうな雰囲気だ。けっこう、この子、いい子かもしれない。

 

「必要! 必要だ! ものすごく必要!」

 

 もはや興奮しすぎて、マキナさんは語彙力を失っている。

 

「まあ……そこまで言ってくれるのなら……仲間になってあげても、いいかも……」

 

 ちょっと照れくさそうにレベッカは言う。

 

 こうして、水の戦士レベッカが、俺達の仲間に加わった。

 

 「稲妻の戦士ヒカリ」シリーズは、基本的にはヒカリ一人だけで冒険している。仲間、という概念は三作目で初めて登場するが、その三作目では一緒に戦うというより、ヒカリと融合してその力になるというものだ。いわゆるパーティを組む、というようなものではない。

 

 だから、こんな風に仲間が入ってくるのは、すごく新鮮だった。

 

「とりあえず、オレ達のテーブルに来な。今日はオレがおごるから、好きなもの食べてくれ」

「ありがと……」

 

 相変わらずクールな表情で、何を考えているのかわかりにくいレベッカだが、どこか嬉しそうな雰囲気は漂わせている。

 

 ちょこんと椅子に座ると、次々と注文をし始めた。さっきまで自分の席で、何か食べていたであろうに、さらに追加で食事を頼み始める。けっこう食いしん坊なのかもしれない。

 

「オレはマキナ。こっちはヒカリ。よろしくな、レベッカ」

「うん、よろしく……。それで……あなた達は、なにか目標とかあるの……?」

 

 さっそく運ばれてきたキャベツのスープを飲みながら、レベッカはそう尋ねてきた。

 

「目標?」

「なにか欲しい財宝があるとか……お金をいくら稼ぎたいとか……」

「だとしたら、オレは、大魔法使いに会いたいかな」

「大魔法使い……?」

「それこそ次元を飛び越えられるような魔法を使える、魔法使い」

 

 異世界転生のことを話し出すか、と思ってヒヤヒヤしていたが、マキナさんは黙っていてくれた。俺に向かってウィンクしてくる。なんだかんだ、空気を読んでくれるあたり、やっぱり優秀な人だ。

 

「そこまですごい魔法使い……って言ったら、思いつくのは一人だけど……」

「お、そんなのいるのか⁉」

「辺境の地リンドには、ある塔が立っている……その塔の主が、大魔法使いヴァレリア……たぶん、この世界で一番すごい魔法使い……」

「リンド。聞いたことないな」

「私も行ったことはない……そこに、行きたい……?」

「行きたいな。お前もそうだよな、ヒカリ」

 

 俺は頷いた。もしもそのヴァレリアが、次元を超える魔法を使えるのなら、本来の「稲妻の戦士ヒカリ」の舞台へと戻ることも出来るはずだ。

 

 とにかく、俺はドゥームやアイリ、クンルンと戦わないといけない。できるだけ早く、まずはドゥームの塔に戻る必要があった。

 

「私も……そういう意味では、ヴァレリアに会えるのなら、頼みたいことがある……ちょうどいいね……」

 

 こうして次の目的地は定まった。

 

 けれども、マキナさんは、どこか浮かない顔になっている。

 

「リンド、ねえ……このゲームの世界に本来存在するものじゃないなら、迂闊に行くのはやばいかもしれないけど……行くしかないか」

 

 その言葉は、俺の胸にも一抹の不安を残したが、他に当てがあるわけでもない。

 

 食事を終えた俺達は、ひとまず一旦宿に戻って、明日からの旅に備えるのだった。

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