エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
翌朝、俺達は、辺境の地リンドにいるという大魔法使いヴァレリアに会いに行くため、旅路についた。
町で買った馬を駆りながら、草原の中の街道を進んでいく。道の行く先には入道雲がそびえ立っており、季節は夏、といった風情。草むらをバッタが飛び交っており、その羽音がジジジと聞こえる。気分は清々しい。ずっと薄暗い塔の中を攻略していたので、屋外にいられるのは最高だ。
「ねえ、このゲームに、リンドなんて場所は出てくるの?」
俺はマキナさんの側に寄り、コソコソと小声で話しかけた。
「いいや、出てこないぜ」
「うそ⁉ 大丈夫なの、そんなところへ行って……?」
「平気だろ。お前だって、『稲妻の戦士ヒカリ』の舞台から飛び出して、こんなところにいるんだし」
「あ、そっか……」
それにしても、不思議だ。ゲームの世界、とこの間から言っているけど、いったいどういう仕組みになっているんだろう。
マルチバース自体は理解できる。きっと多くの世界がこの宇宙には存在しているんだろうな、と妄想したことがあるから、その通りであっても驚きはしなかった。
だけど、ゲームの世界って、なんぞや、である。
神様、おそらく創造神クーリアが作ったのだろうけど、じゃあ、なんのために、いつ、どうやって作ったのか、である。
そもそも、ゲームを作ったのはゲーム会社じゃないのか? クーリアが先にありきでゲームが出来たのか、ゲームが先にありきでクーリアが誕生したのか、どっちなんだ? あれこれ考え出すと、キリがなくなってくる。
「なんか難しいこと考えてるだろ」
ニヤニヤと笑いながら、マキナさんは俺の顔を見てきた。
図星、である。
「う、うん。この世界って、誰が作ったんだろう、とか、どうして存在するんだろう、とか……」
「そんなの、オレ達が元々いた世界だって、誰一人わかっていないだろ」
「あ……そっか」
「そのままを受け入れるしかないんだよ、結局。ここに確かに世界はあって、オレ達が生きていて、活動している。その実在性は疑うまでもないだろ」
「たしかに……」
などと、二人で馬を並べて話をしていると、先を進んでいたレベッカが馬のスピードを落として、俺達と並んできた。
ちょっとふくれ面になっている。
「何を二人で仲良く話しているの……?」
その目は、マキナさんへと向けられている。かなりのジト目だ。
ああ、嫉妬してるんだな、とわかった。
昨日の夜、あれだけ激しくエッチをしたのに、マキナさんが俺と仲睦まじくしているのが気に食わないのだろう。マキナさんには嫉妬の眼差し、俺に対しては敵意の目を向けている。
「うん? 世界の成り立ちについて」
「いま、そんな話をする必要ある……?」
「道のりは長そうだからな、それくらい深遠な話題をしてもいいかと思って」
「むう……」
そういう問題じゃない、と言いたげな目つきで、マキナさんを睨んだレベッカは、馬をさらにくっつけると、マキナさんの腕にガシッとしがみついてきた。
「私は……あなたの、嫁……じゃないの?」
「もちろん、そうだぜ」
「じゃあ……私以外の女の子と……話をしないで」
おやおやおや、レベッカは、けっこうヤンデレの気質があるのか?
俺だったら、敬遠したいところだけど、そういう性格も込み込みで、マキナさんはレベッカのことが好きなのだろう。腕に絡みつかれて、嬉しそうに、デレデレしている。
「あはは、可愛いやつ」
「もう……からかわないで……」
二人の世界の邪魔をしちゃ悪いな、と思って、俺は少し距離を取った。
空気が美味しい。草原の街道は実にのどかだ。目を閉じて、スウッ、と息を吸う。心地良い。草の香りを感じる。
元の世界……戻る必要あるのだろうか? ふと、そんなことを考えてしまう。
戻らないと、と思っていた。だけど、こんな風に穏やかな時間を過ごしていると、元の世界の殺伐とした空気感がいやになってくる。いや、こっちの世界だって殺伐としているんだけど、どこか質が違う。こっちはわかりやすい。善悪がハッキリしている、とまでは言わないけど、なんとなく、生きやすい。
元の世界、というか、日本という国の問題だろうか。
みんな、善人ヅラして、その実自分のことしか考えていない。上辺だけの世界。どいつもこいつもろくでもなかった。だから、俺はゲームの世界にハマっていたし、ゲームの世界に飛びこみたいと思っていた。
もちろん、また会いたい人とかがいないわけでもないけど、しかし、この世界に慣れてくると、だんだん、どうでもいいような気がしてきた……。
「ん……♡ ちゅ……♡ ちゅ……♡」
後ろからキスの音が聞こえてくる。
振り返れば、マキナさんとレベッカが、熱烈な口づけを交わしている。いやはや、お熱いことで。
あーあ……俺も、あんな風にラブラブできる相手がほしいなあ……
ん? そういえば、ヒカリには恋人がいたっけ……たしか、風の精霊の加護を受けた、風の戦士……
ああ、でも、ダメだ! あれは男だ! いくらなんでも、男に抱かれるのは……
(……それはそれで、ありか)
すっかり俺も、この肉体に馴染み始めている。散々、ドゥームの塔で、クジャクやらドゥームやらに犯されたせいで、女として抱かれることの気持ち良さを知ってしまった。そんな快楽、知りたくなかったのに……。
(ま、いっか)
なるようになるだろう、と、とりあえず楽観視することにした。