エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
~BAD END~
突然、目の前が真っ暗になったかと思うと、そんな文字が浮かんできた。
え? なにこれ?
嘘だろ、冗談だろ⁉
そんなところまでゲームを再現しなくてもいいじゃないか!
たしかに「稲妻の戦士ヒカリ」は、ヒカリが敵に敗北して、出だしとなる調教を受け、盛り上がってきたところで、いきなりスン……とゲームオーバー画面になって終わってしまう。その後のヒカリのことについては、一切語られない。
90年代のエロRPGだから、それまでと言えば、それまでだ。
だけど、ことはそう単純じゃない。
一番の問題は、この先、俺はどうなってしまうのか、ということである。
真っ暗闇の空間にいきなり投げ出されて、それで終了。続きはなし。体は相変わらずヒカリのままで、調教中の興奮を引きずって火照ったままだけど、その火照りを発散させる場所もない。暗闇の中でオナニーするくらいか。
……などと考えていたら、いきなり、周囲は真っ白な空間へと変化した。
果てが見えないほど、広々とした白い世界。床はあるけれど、天井や壁があるのかはわからない。単純に屋内、というわけではなさそうだけど、屋外というのともちょっと違う様子だ。
「あー、ご苦労様でした。安心して、あの世へ行ってくださいね」
背後からいきなり声をかけられ、俺はギョッとして、振り返ってみた。
そこにはパソコンデスクがあり、デスクトップ型の大型パソコンが置かれている。その前の椅子に腰掛けて、眼鏡をかけた白衣の少女が、モニターとにらめっこしたまま、カタカタとキーボードを打っている。
「え……誰……?」
「創造神クーリア。といえば、あなたにはわかりますかね。ヒカルさん」
「クーリア⁉ あの、二作目以降に登場する⁉」
「稲妻の戦士ヒカリ」一作目では、概念すら登場しないが、二作目になってから名前だけ語られる想像の女神クーリア。
まさかの、目の前にいる白衣の眼鏡っ子が、そのクーリアだというのである。
「ちょうどよく隕石で命を落としたあなたを拾い上げ、この世界に召喚しました。で、女戦士ヒカリとなって、平和をもたらしてもらおうかと考えていたのですが……残念ですね。あなたは快楽に溺れて、スタート地点にすら立てませんでした。なので、存在をデリートします。また別の人を探しますね」
「え? え? え? じゃあ、異世界転生させてくれたのは、あなたなの?」
「です。あ、最後に言い残したいことはありますか? 一応聞いておいてあげます」
「ちょ、待ってよ!」
「『ちょ、待ってよ』――それが最後のひと言でよろしいですか?」
「じゃなくて! これで終わり⁉ リセットとか、そういう機能はないわけ⁉」
「人生にはリセットもセーブ機能もないんですよ」
「ちょっとお⁉ なんでそこだけ、リアル路線⁉ せめて、もう一回チャンスを!」
「まあ、一回くらいなら再チャレンジさせてあげてもいいですけど、無理でしょうね」
「なんで⁉」
「だって、あなた、ヒカルさんでいる時、何をしてました? まともにクリアしたのは初回だけ。以降は、ひたすらヒカリさんをわざと負けさせて、敵に肉奴隷に仕立て上げていたじゃないですか。再チャレンジしても、快楽に身を委ねてバッドエンド、が関の山です」
「そ、そんなことは、ない」
「ありますよ。いいですか。ちゃんと記録は残っているんです」
と、真っ白な空間に、文字と数字が浮かび上がってきた。
一階のボス「虎娘」 勝利数 1回 敗北数 19回
二階のボス「女魔法使い」 勝利数 1回 敗北数 93回
三階のボス「サキュバス」 勝利数 1回 敗北数 54回
四階のボス「女エルフ」 勝利数 1回 敗北数 31回
五階のボス「女サムライ」 勝利数 1回 敗北数 15回
六階のボス「淫魔王ドゥーム」 勝利数 1回 敗北数 212回
「わざわざ、全ボス戦の手前でのセーブデータを取っておいて、そこから再開して、わざと負けてはHシーンを見てピュッピュッと射精する……そんなことを繰り返していましたね。その結果が、これです。勝ったのは最初の1回だけ。あとはセーブデータから回想して、ひたすらヒカリさんを負けさせては、敵の玩具にしてきた」
「だ、だって、それが一番の抜きどころだから」
「これを見る限り、淫魔王ドゥームの次に、二階の女魔法使いに陵辱されるシーンが好きみたいですね。93回も、彼女で抜いている。仮に虎娘をクリアできたとしても、女魔法使いの魔法に負けて、すぐに屈服してしまうことでしょうね」
「そ、そうはならないから!」
「本当ですかね?」
ふう、とクーリアはため息をついた。少しずれた眼鏡を、指で押して位置を直し、それから冷ややかな目を俺に向けてきた。
「じゃあ、チャンスを上げましょう。あと一回だけ」
「ありがとうございます!」
「もしも敵を全員倒し、平和をもたらすことができるのなら、元の世界のあなたを生き返らせてあげてもいいですよ」
「え⁉ 本当に⁉」
「ちゃんと、敵を倒せるのなら、ですよ」
そこで、クーリアは、パンッと手を叩いた。
突然、何もない空間に、ドアが出現した。まるでどこ○もドアか、すずめの戸○まりのような光景だ。
「そこのドアを開けて、行きなさい。ミストの町の宿屋のシーンから再開させてあげます。でも、こんなのは一度だけですからね」
「あああ、ありがとうございます! 感謝してます!」
俺はとりあえず頭を下げて、ドアへと急いで駆け寄ると、ノブを回した。一刻も早く、こんな死へと直結している、おっかない空間からは抜け出したかった。
ドアを開き、その向こう側へと飛び込んだ。
さあ、気を取り直して、最初からリスタートだ! 今度は快楽に溺れないで、真面目にクリアを目指すぞ!
……と思いきや。
「ん⁉ なんだ、ここ⁉」
俺は、なぜか宇宙空間に放り出されていた。
背後でドアの閉まる音が聞こえる。
え、もしかして、クーリアにだまされた? これって、あの世じゃないの?
「ねえ、クーリア! ここって、本当に元の場所に戻れるの⁉」
慌てて振り返って、尋ねてみたけれど、その時にはすでにドアは完全に閉じられ、空間に溶けこむようにして消え去ってしまっていた。
星々が輝く宇宙区間は、きれいではあるんだけど、それこそあの世のような光景で、純粋に楽しんでもいられない。
ひたすら戸惑っていると、トントン、と誰かに肩を叩かれた。
「もしもーし、こっち見てちょうだーい」
女の子の声だ。
振り返ると、俺と同じように、宇宙空間にフヨフヨと浮かんでいる少女が一人。年齢はわからないけど、かなり幼く見える。だけど、色黒の肌に、純白のビキニという格好は、幼く見えても、なかなかそそられる。
……いや、そうじゃなくて。
「あなた、誰?」
「ようこそ、私の領域、破壊の宇宙へ」
少女はニッコリとほほ笑み、それから自己紹介してきた。
「私の名前は、破壊神デストラ。名前は聞いたことあるでしょ。よろしくね♪」