エロRPGにTS転生した俺、快楽に身を委ねるかバッドエンド回避か、気持ち♥よすぎて♥困っちゃう♥ 作:夕凪カサネ
「もうダメだ……」
何もかも諦めて、弱気な言葉を呟いた、その時だった。
魔方陣から、ワンテンポ遅れて、雷の魔法が解き放たれた。雷電はガルムへと襲いかかり、バババ! と全身を痺れさせる。
「ぬおおお⁉」
ガルムは叫んで、抱え上げて犯していたレインのことを、手放してしまった。
ドサッと落ちたレインは、涙をボロボロとこぼしながら、床を這って、俺達のほうへと逃げてこようとする。
「こしゃくな! 死ね!」
怒号を上げて、ガルムは、倒れているレインの体を思いきり踏みつけた。
「ぎゃぶっ!」
気持ちの悪い絶叫を上げて、グチャリとレインは圧死した。目玉が飛び出して、ひどい死に様である。
ガルムの圧倒的な強さに気圧されそうになりつつも、俺は、微かな勝機を見出していた。
それは、奴には雷魔法が効く、ということだ。
不幸中の幸い、俺が転生したヒカリは、雷の魔法を得意とするキャラ。ならば、勝てないまでも、相手の動きを封じることは可能だろう。
「佐倉さん、逃げるよ」
「え、でも、さっきの人は、逃げようとして……」
「ガルムの足は俺が封じる。だから、その隙に、全速力で走るんだ」
「わ、わかった。でも、宮守君は……?」
「俺は俺でなんとかするから」
どうやって雷の魔法を放てばいいのか、わからないけど、とりあえず勢いでなんとかなるだろう、と考え、頭の中でイメージを働かせてみる。たしか、ヒカリは、漫画版とかだと剣に雷を宿して、そこから相手に向かって魔法を放っていた。そんな感じで雷の魔法を使うことを想像して、俺は剣を頭の上に振りかぶってみる。
来た。本当に来た。体内から力が湧き上がってくる。バチバチと全身から雷が放出され、剣に集まってゆく。
俺は、剣先をガルムに向けた。
「んん~?」
ガルムは俺のほうを見ると、首を傾げた。雑魚が何をしようとしているのか、と言いたげな顔である。
その余裕の態度、いまから崩してやる!
「サンダーストーム!」
魔法の名前を叫んで、一気に、稲妻を解き放った。
ドオオオン!
轟音とともに、ガルムの体へと雷が落ちる。
「ぐああああ⁉」
見事にガルムは感電し、その場で両膝をつくと、ビリビリと痺れて動けなくなる。
「いまだ、佐倉さん!」
俺は、アスカさんへと呼びかけた。
アスカさんはきびすを返して走り出す。
その後ろ姿を見送りながら、俺はもう一度剣を頭の上に振りかぶった。
こんな程度で、ひとつのゲームのラスボスが、あっさりと行動不能になるとは思えない。ほら、見ろ、やっぱり、もう動き始めている。
「なめた真似を……!」
怒りの言葉を吐きながら、ガルムはズンッと一歩前へと踏み出した。
そこへ目がけて、もう一度、俺は雷の魔法を放とうとした。
ところが、どういうわけか、何も変化がない。全然雷が出てこない。
「え⁉」
俺は、そこでようやく、自分の頭の上の空間に、何かの文字と数字が浮かんでいるのに気が付いた。
それは、ステータスのようだ。
MPが0と表示されている。
「そうか、MP不足……!」
よく見れば、レベルも1だ。
おい、クーリアぁぁぁ⁉ ふざけんなよ! レベル1の人間に、ガルムを倒せというのかよぉぉぉ⁉
「ちょっと⁉ ちょっと待って! 待って!」
慌てて命乞いをするも、ガルムはすっかり怒り心頭の様子で、ズンズンとこちらへ迫ってきている。
やばい、殺される。犯されてから殺される。
床に転がっている、無惨な死体を見て、俺はチビりそうなほどに震え上がる。
「覚悟しろ! 穴という穴を犯して、犯しつくして、それから手足をもぎ取って、ダルマにしてからもさらに犯して、死んだほうがマシというくらいの苦しみを与えてやる!」
やめてくれええ! そんな末路、辿りたくないいい!
俺はチラリと後ろを見た。アスカさんの姿はない。無事にこの玉座の間から逃げ出したようだ。
こうなった以上、覚悟を決めるしかない。レベル1でも、なんとかなる! きっと!
「わあああああ!」
半ば絶叫に近い雄叫びを上げて、俺はガルムに斬りかかった。かなりやけくそだ。
「ふんっ」
ガルムは鼻で笑い、大剣を振り上げた。
ブンッ!
大剣による横薙ぎの一撃。それは、ギリギリで当たらなかったものの、風圧で俺は吹き飛ばされる。
「わあ!」
後ろへと吹っ飛んだ俺は、床に倒れ、ゴロゴロと転がっていく。
「くくく! 愚か者め! わしに敵うと思っているのか!」
ガルムはさらに前へと進み出てきた。
もうダメだ……! やられる……!
俺は観念して、ギュッと目をつむった。
その時だった。
何者かが、玉座の間に飛び込んできて、風のようにガルムへと突っ込んだ。
「斬鉄剣!」
必殺技の名前を叫ぶのと同時に、鞘から刀を抜き、ガルムに斬りかかった。
ズパンッ! と肉の裂ける音とともに、ガルムの両腕はちぎれ飛んだ。
「うごおおおお⁉」
切断面から血をまき散らせて、ガルムは後退した。
「え⁉ え⁉ なに⁉」
驚く俺の目の前で、乱入してきた謎の男――サムライ風の男は、ニヤリと笑いかけてきた。
「よぉ、ヒカリ。俺の名はクジャク。よろしくな」