性義の味方の英国性活 頼れるサーヴァントと雇い主とかわいい後輩と気の置けない友人を嫁が堕としてしまいUBW(うっとりするほど 無様でドスケベな 猥褻行為)せざるを得ない士郎くんたちが大勝利をキメるやつ 作:デイジー亭
「しかし、あの二人がねぇ……よく仲直りできたもんだ」
電車から降りて深呼吸すると、いつもとは空気の味……どことなく、郷愁を誘う香りが鼻をくすぐる。それは多分、醤油ではなくケチャップの香りであったり。油の質が違ったり……耳に入る、異国の響きであったり。そういった物が、自分にそう思わせているのだろう。
「豪勢だよねぇ……渡りに船なんだけどさ。あんまり日本には居たくなかったし」
旅費は彼女が出してくれた……正確には、彼女がお世話になっている家の主が。何でも、相当いい所のお嬢様の所で暮らしているらしい……どういう関係性だ。彼女のパートナーの甲斐性と言う物に、おおいに疑念を抱く状況である。
何せ……彼らは新婚さんなのだ。それが他の女のお屋敷でお世話になっているという……住み込みの執事とは、そういう物なのだろうか。あまつさえ、メイドとして妻の妹に就職を斡旋するなど……邪推してくれと言っているようなものだ。
「変わっちゃったのかねぇ、アイツは。まぁそれを確かめに行くんだけどさ」
「Excuse me……Miss Mitsuduli? Where would you like to go?」
音もたてずに止まったリムジンから、降りて来たメイドがロングヘア―に載せた
「そりゃあ決まってるよ、あのブラウニーの所まで……だっ!」
「ひぇんふぁい、いふぁいいふぁい!!」
「先輩をからかおうとした罰さね」
「うう、せっかく練習したのに。台無しですよぉ……」
そしてほっぺたを抓り上げ、悲鳴を奏でるとさらに流暢な母国語。ばさばさと緩く括った三つ編みの紫髪を振って逃れようとする、不埒者をさらにびろんびろん引き延ばしてから離してやることにする。
「あたしをからかおうなんて、百年早いよ。あと誰が
「だって先輩、独身ですし……いふぁい! いふぁいれふぅぅぅ!」
「今はMsって便利な表現があるって、知らないとでも思ったのか! あとアンタも独身でしょうが!」
まぁ結婚をMissったことに間違いはないが……うるさいわ。そしてコイツにだけは言われたくない。決してだ……うじうじうじうじしていたので、放っておけぬと面倒を見てやっていたと思えば。『先輩に愛に行ってきます。共犯の疑いを掛けられないよう、私の私物は始末しておいてください』……凄まじく不安になる書置きを残し、ル―ムシェアしていた部屋から消えた彼女。
「わふぁひはふぇんふぁいひふぉふひれふぅ」
「だから心配してたんだよ……まぁ、元気そうで何より」
これぐらいで勘弁してやっていることを、むしろ感謝して欲しいほどである。マジで心配した……『愛憎のもつれか!? 英国にて日本人夫婦、妻の妹により殺害!』などというニュースが英字新聞の三面記事を飾っていないことを毎日確認していたため、自分のリーディング能力はクソほど向上してしまった。スピーキングには自信がない。
「美綴先輩は先輩と違って、相変わらずわたしに優しくないです……では、行きましょうか」
「アンタが運転するの?」
「ええ。くすくす笑ってごーごーごーです」
「……安全運転でお願い」
「任せてください。では、しゅっぱーつ!」
「マジで不安だわ……」
そしてそのまま運転席に乗り込む後輩……彼女、日本で普通免許は取得していなかったと思うのだが。あとドライバーぐらい雇えよ、何でメイドさんに運転させてんだ……私の不安を他所に、意外と安全運転だった。含み笑いがずっと車内に響き続けていた以外は、快適な道中……いや、含み笑いはやめろ。消える前日にもしていたため、非常に嫌な響きである。そこは宣言通りじゃなくていい。
◇◇◇◇◇
「久しぶりね、美綴さん! 元気だった?」
「遠坂は相変わらずだねぇ」
「そっちもでしょ」
「綾子でいいよ。もう猫被る必要、ないだろ?」
「まぁそうね……そうさせてもらうわ。いらっしゃい綾子」
「変わり身はっや……相変わらずもいいとこだよ」
にこやかに微笑む、旧友の姿を眺めてみる……黒髪のツーサイドアップ。短めのスカートにニーソックス。在りし日の遠坂凛、そのまんまである……だが頭に載せた妹と同じ物と、白いエプロンがその印象を少しばかり変えている。そして……お前の本性はバレていると告げると、にんまりと笑う顔はその底意地の悪さをのぞかせる。
「姉さん、美綴先輩はお客様ですよ? またお嬢様に怒られちゃいます」
「いいのよ、あんなヤツ……運転お疲れさま、桜。事故とか無かった?」
「大丈夫です、わたししっかり者ですから!」
「まぁそうね」
「そして姉さんはうっかり者です」
「一言多いのよ!」
「ひぃんっ!」
ばっちぃん! と快音が鳴る……初手乳ビンタ。以前共に暮らしていた時よりも、あっぱらぱーになった感じの後輩。その成長期を終えた様子を見せない豊かな肉毬をシバく手に、遠慮・呵責などは感じられない……どうやら、姉妹の仲直りは済ませているようだ。以前の彼女なら、もう少し遠慮気味に頬を抓るだけで済ませていた。
「荷物をお持ちするわ、お客様……光栄に思うことね」
「客に対する態度じゃないさね」
「あら、わたしに媚びへつらって欲しいの? いい趣味してるわね」
「……やっぱいい」
旅行カバンを遠慮なく我が手から奪う姿……まさにあかいあくまに相応しい態度のデカさ。その薬指に嵌まったリングが、彼女に余裕をもたらしているのだろう……一足先にゴールイン。とんでもないあくまである。行き遅れと言うには、些か早いが……自分とて、曲がり角が近づくにつれて焦る気持ちはあるのだ。
「ところで綾子。ご結婚の予定は?」
「真正面からブン殴ってくるね……」
「遠慮は要らないんじゃなかった?」
「気遣いと遠慮は別だって習わなかった?」
だだっ広いロビーを抜け、やたらと長い廊下。てくてくと歩くと、過ぎ去る調度品は少々派手過ぎる気もするが……間違いなく高級品。凄まじいお大尽。しかしやや成金趣味……お嬢様とやらの人物像について、考察しながら旧交を深めようとしたら溝が広がった。この女、間違いなく外道である。
「悔しい? ねぇ、悔しいの? 彼氏に振られて傷心旅行とか、負け犬一直線の美綴さん?」
「あたしから振ったんだよ……!」
「原因は?」
「何でアンタに、そこまで説明する必要があるんだか」
「当ててあげましょうか? 押し倒されて反射的に投げて、怯えられた」
「……」
美人とは武道をやらなければならない……その人生哲学が仇となった。まごうことなき正解である……こやつ、やはり侮れぬ。ちょっと気が早すぎたので軽くかわいがってやっただけで、震える子犬のようになってしまう男。百年の恋も醒める醜態である……やはり男児とは強くなくては。
「姉さん、あまり調子に乗るとまた痛い目に遭いますよ。わたしが遭わせます」
「やめて……桜のいやがらせは陰湿だから、心にクるのよ」
「くすくす……」
「やめてったら!」
「仲が良くて何よりだよ」
うん……まぁ包丁による刺突よりはマシであろう。姉妹仲が回復したことを、確信させる軽快なやりとり。まぁ妹の方の含み笑いは、同居していた時と変わらず不気味であるが……紫髪がばさりと顔を隠すと、なんとも言えないホラー感を醸し出す後輩。しかし無力化は容易い……どんくさいので、軽くシバいてやれば元気な悲鳴を上げる。
「美綴先輩。手をわきわきさせるのやめて頂けませんか。わりとトラウマです」
「妹がお世話になったみたいで、悪いわね綾子……姉として、引き続きのかわいがりを要望するわ」
「姉さん、またわたしを裏切るんですかっ!?」
「裏切ってなんかないわ、姉妹愛よ……お姉ちゃん、妹をブン殴るとかとてもとても」
「あたしにやらせようとするな」
まぁやるのだが。この後輩ときたら、いつまでもうじうじうじうじ……面倒を見てやっていた間だけでも、この美綴綾子の鋼の精神を多分に摩耗させた逸材である。こやつが風呂に入る前に、ドライヤーなどの電化製品を避難させ長風呂の際には強硬突入。そうせねばマジで不安だったのだ……安定したようで何よりである。
◇◇◇◇◇
「ようこそいらっしゃいました、ミツヅリさん。聞けばうちのメイドの学友にして、もう片方の恩人とか! ごゆっくりしていってくださいまし。滞在される間、何一つ不自由ない生活をお約束いたしますわ」
「あ、ありがとうございます。えーと……Ms.エーデルフェルト」
「ルヴィアで結構ですわよ?
「……!?」
青いリボンで括った豪奢な巻き髪……ガチの縦ロールとか初めて見た。そして嫋やかに扇子を振り、歓迎の意志を表したかと思えば突然のファイティングポーズ。腰を落とした独特の姿勢から見ると……タックルからの組技に長けていると見た。やはり遠坂凛の雇い主、一瞬で一筋縄ではいかぬことが見て取れる。優美な物腰でにじり寄ってきたため、こちらも迎撃態勢を取る。
「ルヴィア。いきなり好戦的になる癖やめなさいよ。戸惑ってるじゃないの」
「あら、失礼……貴女と似た印象を受けたもので。お茶でも飲みながら話しましょうか」
「やはり遠坂を飼い慣らすだけあるね。いい闘気だ」
「飼われてないわよ、雇われてるだけよ……綾子も、わくわくするのをやめなさい。桜、太るわよ」
「むぐっ!?」
やはり本場イギリスは一味違う。なんでも英国貴族は笑顔で握手しながらに、テーブルの下で腹パンを交わし合うのが通例らしい……昨今流行りの小説に書いてあった。『マイナスから始まるナーロッパ生活』……主人公が形意拳の師匠をブチ殺された後に、復讐相手を社交的に破滅させる武侠み溢れる名作である。膨れ上がる闘気に、後輩もポップコーンを喉に詰まらせた。
「ふふ……入りなさい、我が執事。お茶の準備は?」
「こちらに、お嬢様」
「……」
そして……扉をノックする音がして、室内に響く低い声。
「さすがはシェロ。良い香りですわ……やはり貴族たる者、紅茶を嗜まねば」
「こ、こだわりがあるのかな? さすがはイギリス貴族だね」
「私、フィンランド出身でしてよ? この国、ティータイムと朝食以外はクソわよ」
「……ッ!?」
「ルヴィアお嬢様。よそ様の文化をベアナックルでド突いてはいけない……久しぶり、美綴。ますます美人になったな」
「あら、ごめんあそばせ?」
「うん、衛宮こそ……久しぶり」
燃え上がる髪は、その色をところどころ失っていたけれど……自分はそれでも変わらぬと、弱くなったのでは無くその逆……まるで高温に晒され続けた、木が白い炭に変わるように。その身に秘めた熱量が、さらに温度を増したのだと告げるような……強者たる余裕を持つ、色気のある声。あの頃と変わらぬ笑顔を零す、衛宮士郎がそこに居た。……こうしてあたしの傷心旅行は始まった。まさかあんなことになるなんて、思ってもいなかったけれど。