2021年からの雨は、雨脚が弱まる事や、帆高と陽菜の〈100パーセントの晴れ女〉の件で、一時は晴れる事はあったが、雨は降り続け、いつしか、東京都は〈Rainy City〉〈Water City〉と呼ばれている。
又、関東上空の巨大な雲は、〈Tokyo Big Eye〉と呼ばれている。
更に、排水が追い付かない為、東京都の多くは水没した。
日本政府は、対策として、省庁再編を行った。まず、国土交通省、環境省、復興庁、消防庁、気象庁が統廃合され、国土海洋環境省、都市住宅社会資本省、交通省、防災省に再編された。又、文部科学省は解体され、教育省、科学技術省、文化・スポーツ省に再編された。国土交通省の外局の観光庁は、文化・スポーツ省の傘下に移管された。総務省は企画総務省に改称された。そして多くの省庁は東京都の市町村部や埼玉県や群馬県に移転した。
更に、海岸沿いの工場、施設は閉鎖や移転。北海道、千葉県、神奈川県、新潟県、兵庫県にその多くは移転した。
発電についても、改革が進められた。資源エネルギー庁は省に昇格。東日本大震災以降は原子力発電から自然エネルギーへの転換が進められたが、その流れは一気に加速した。東京湾や外房では、潮汐力発電や洋上風力発電が導入された。関東地方では太陽光発電が使えない、という問題点は解決した。
天気予報も改革があった。関東地方は、雨の確率がなくなり、雨が一時的に止む予報や、雨脚レベル予報等が発令される様になった。
但し、日本の首都は東京のままではある。
次に文化財保護法と国立国会図書館法が改正され、東京都及び関東地方の絵画、彫刻等の有形文化財や古文書や図書等が安全な地域に持ち出された。
更に、お台場、『船の科学館』に収蔵されている展示品は、函館市のメモリアルシップ摩周丸や横浜みなと博物館、名古屋海洋博物館、広島県呉市の大和ミュージアム等の各地の海事・船舶博物館に持ち出された。
東京都庁も住民の避難に尽力、JR東日本やJR東海、私鉄に東京メトロも急ピッチで対策工事を行った。
この変わってしまった東京都で、帆高と陽菜は毎日を過ごしていた。
二人はアルバイトが入っていない日や、アルバイトが入るが早く終わる土曜日や日曜日には、帆高のアパートでセックスをする事が多いが、いつも身体を重ねている訳ではない。帆高のアパートでも、陽菜と一緒に勉強する事はある。その場合は、国語、数学、英語と、社会科の必修である日本古代史と明治維新以降の日本近現代史を帆高が教える。但し、理科は教えていない。帆高が選択したのは地学・天文であり、この科目は地学、天文学に気象を学ぶ科目で、陽菜は選択していない。彼女が選択しているのは化学と生物の為、理科は陽菜が一人で勉強している。因みに帆高の、理科でもう一つ選択したのは物理である。又、社会科は、帆高は政治・経済と倫理・社会を選択していたが、陽菜は地理と世界史を選択している。
一方で、陽菜が勉強を教える事もある。フランス語である。フランス語はフランス以外に、アフリカの旧フランス領、南太平洋のフランス領ポリネシア、南米のフランス領ギアナで使用されている。特にアフリカやポリネシア、南米は地学や気象上、重要なスポットでもある。その事から、フランス語の最低限を知りたいと思った帆高が、陽菜にフランス語を習う事にした。
その勉強をする日は、陽菜の身体を気遣っている日か、テストが近い日のいずれかである。
そういう事情から、帆高は神津島の実家に連絡を入れ、高校の教科書を実家から送ってもらった。両親には、「家出している間に知り合った姉弟に勉強を教える為」と理由を言った。
2022年の文部科学省の解体に伴い、多くの小学校、中学校、高校では体育、音楽、図画・工作/美術、技術・家庭を学校教育の科目から外すか、時間を減らした。帆高の通う高校でも、体育、音楽、美術の時間を減らした。その分、性教育が導入された。但し、第二外国語は無かった。因みに、完全に体育、音楽、図画・工作/美術、技術・家庭が学校教育の科目から外されるのは、凪が高校に入る2026年からである。
その性教育は、保健体育や生物の延長ではない。心理や、性差、性犯罪、性道徳、性病、避妊も学ぶ。帆高は陽菜を守る為に、性教育の教科書を読み直す事にした。そして、コンドームを薬局で買った。更に、セックスについての本を買った。
但し、所謂アダルト雑誌やDVDは買わなかった。歪んだ性情報や性描写には、帆高はなじめなかった。
月曜日。放課後デートの後。この日は久し振りに、帆高と陽菜は身体を重ねる事にした。
帆高は陽菜を抱き締めると、唇を重ねる。合図のための、キス。
一旦唇を離すと、再度唇を重ねる。今度は、舌を絡める濃厚なキスだが、今回は帆高から舌を入れた。陽菜も、怯える事無く、自然と返してくる。
唇を離す。二人の間に引かれた淫らな銀の糸は、一本、又一本と切れていく。
その間、陽菜は帆高のシャツの裾から右手を入れ、乳首を刺激した。
「ひ、陽菜…」
「帆高の胸、広くて、安心出来る…。それに、私も帆高にしないと、ね」
すぐに帆高の身体は熱くなる。
帆高も、右手で陽菜の制服の上から、背筋、腰、お尻、左の太股を愛撫する。
それから帆高の右の掌が、陽菜の左胸を制服の上から包み込んだ。温もりと鼓動が、掌を通じて帆高に伝わる。そのまま彼は乳房を愛撫する。
陽菜の鼓動から、さほど緊張していない事を帆高は感じ取った。
その右手を、帆高は陽菜の股間に這わせた。
「あっ…、んんっ。そ、そこは…」
下着のクロッチ越しでも、うっすらとした湿り気を帆高は感じ取った。
そのまま帆高は、陽菜の制服を脱がして、下着姿にした。陽菜は、清楚な水色のブラジャーとショーツを着用していた。
「陽菜の下着、どれも清楚で可愛いよね」
「帆高…」
「陽菜が派手なデザインの下着や、ガーターを着けた姿は想像出来ないよ、俺には」
「うん」
帆高は、陽菜のブラジャーを上にずらし、乳房を露にする。いきなり手荒に揉んだりはしない。指先でそっと撫でると、ホックを外す。
そしてショーツに手を掛け、そっと下ろしながら、靴下も脱がして、陽菜を全裸にした。既にショーツのクロッチには、陽菜の蜜が淫らな染みを作っていた。
恥毛は、無い。陽菜は普段から手入れしている為、陰部は綺麗な肌色をしている。
「陽菜…。それじゃ、シャワーに行こうか」
「ええ…」
陽菜は頷くと、ツインテールを解いた。
浴室では、二人は互いの身体を洗う。但し、髪は自分で洗う。又、浴室では事には及ばない。浴室ではのぼせてしまう為である。
浴室を出た二人は、丹念に身体を拭く。そして必ず、帆高は陽菜をお姫様抱っこでベッドまで運ぶ。ラブホテルで初めて結ばれた時から、ずっとそうしているが、陽菜を感じていたいという思いからでもある。
当初、陽菜は抵抗する事があったが、今はされるがままである。
帆高はベッドに陽菜を横たえ、唇を重ねる。
唇を離すと、帆高は、右手で陽菜の左側の乳房を包み込み、指先で乳首を摘まんで転がす。次第に乳首の硬度が増し、屹立していく。
同時に、右側の乳首を舌先で転がす。陽菜の喘ぎ声が、部屋に響く。唇を離すと、帆高が言った。
「乳首、立っているよ」
「ひあっ…、あっ、ああんっ、ダ、ダメ…」
「陽菜のオッパイ、柔らかくって、暖かくって、最高だよ」
「そんな事言わないで、帆高…。私のオッパイ、そんな大きくないし」
「大きさなんて、関係ないよ、陽菜。本当に魅力的だよ」
「もう…、エッチ…。そんな事、言わないで…」
「だって、ほら」
乳首を摘まんで転がす帆高。
「ああっ…!!イ、イヤッ…!!」
そう言って陽菜は身体を捩る。
「次は…」
帆高は右の首筋、肩口、腋、更にお腹に舌を這わせた。
「陽菜の身体、ミルクみたいな香りがする」
「なら、もっと舐めて…」
「ああ」
帆高は頷くと、陽菜の脚を開かせ、女の子の一番大事な部分に舌を這わせた。同時に、右手を彼女の腰からお尻に這わせ、左手で右側の乳房を揉みしだき、乳首を親指と人差し指で摘まんで転がす。
「ああっ、ダ、ダメ。そ、そんなに、そんなにされたら…。イ、イク。イッちゃう…!!」
三所攻めに陽菜はあっさりと絶頂に達した。
「も、もう…」
「陽菜…、もしかして、嫌だった…?」
「イッちゃったじゃないの…。帆高の意地悪。エッチ。バカ」
そう言って陽菜は頬を膨らませた。
「じゃあ、陽菜」
「ん?」
「今度は、陽菜がしてみてよ。但し、無理はしなくて良いから、ね」
そう言って帆高は、陽菜の右側に仰向けになった。
「じゃあ…」
そう言って、陽菜は帆高の胸に左手を伸ばした。
「つっ…」
軽く仰け反る帆高。
「さっきみたいに、してみるわね」
陽菜は帆高の乳首を刺激する。
「帆高って、可愛い…」
「ひ、陽菜…」
陽菜は帆高の男性器に目を遣った。
「あ、帆高のあれも…、ピクピクして…」
「そりゃそうだよ」
笑みを浮かべる陽菜。だが、男性器に手を伸ばそうとしても、やはり躊躇ってしまう。
「陽菜、やっぱり…」
「うん、見るのは慣れてきたけど、触るのは、ちょっと」
「まだ、怖い?」
「うん…」
「じゃあ」
そう言うと帆高は上体を起こし、男性器にコンドームを着けた。
「これなら、どうかな?直接が怖いなら」
「ええ…」
そう言って陽菜は、帆高の男性器に手を伸ばした。
「どうかな、帆高」
「気持ち良いよ、陽菜」
コンドーム越しでも、陽菜の掌の感触が帆高には心地良かった。
「陽菜、そろそろ…」
「うん。私も、帆高が欲しい…」
「じゃあ、陽菜が俺に跨がって、挿入してみて」
「ええ」
陽菜は頷くと、帆高の男性器に手を添え、女性器に挿入しようとする。だが、滴った蜜の為か、滑って挿入に失敗した。
その後、二回挑戦して失敗し、三回目に挿入に成功した。しかし、今度は動けなかった。帆高も、下手に突き上げて嫌な思いはさせたくはなかった。
「ゴメンね、私、どうして良いのか…」
「陽菜…。騎乗位は、初めてだけど。まだ無理かな」
「うん…」
「じゃあ一度止めるよ」
帆高がそう言うと、男性器を抜いた。
「今度は…」
帆高は起き上がると、陽菜を横たえ、正常位で挿入した。
「ああっ…!!は、入ってくる…!!」
「陽菜の中、熱いよ」
「帆高のあれも、奥に届いて」
「じゃあ動くよ」
「ええ」
帆高は、律動を開始する。
「す、凄い。イイのぉ…」
髪の毛を降り乱す陽菜。淫らな水音が部屋に響く。
陽菜の女性器から溢れ出した蜜が、シーツに淫らな染みを作る。
ここで帆高にちょっとした悪戯心が起こった。
律動のピッチを下げ、男性器を女性器から引き抜こうとする。
「ヤ、ヤダ…、帆高の意地悪」
「どうしたの?」
「お願い、止めないで」
「じゃあ、キチンとおねだりしないと」
「お、おねだりって」
「もっとして、って言ってみて。それか、腰を振るか」
「もう…」
そう言いながらも、陽菜は淫らなおねだりをする。
「お願い、ほ、帆高。も、もっとして…!!」
そう言って陽菜は、腰を振った。
再度、帆高は陽菜の最奥を突いた。
「イイの…!!帆高の、気持ち良いよ…!!イッちゃいそう…!!」
「陽菜、俺もイキそうだ」
「なら一緒に…」
帆高は頷くと、律動のピッチを上げる。
「もうダメ。イ、イク…!!イッちゃう…!!」
「くうっ…!!ひ、陽菜!!」
「あっ、あああああああっ!!」
二人は、同時に臨海点を突破した。帆高は、コンドームの中に大量の白濁をぶちまけた。
「熱い、熱いよ…。ゴム越しでも…」
「陽菜、気持ち良かったよ」
「私も…」
「それじゃシャワーに行こうか」
「ええ」
シャワーを浴び、服を着た二人。ベッドに腰掛けると、帆高に陽菜は寄りかかり、左肩に頭を乗せた。
「陽菜?」
「帆高…」
「ん?どうしたの?」
「大好き…」
そう言った陽菜を帆高は抱き締め、唇を重ねた…。〈トウキョウ・ビッグ・アイ〉の下、俺達は暮らしていく、日常を過ごしていく、そう思いながら。
つづく
次回は『そして、それから』の第2章ベースです。