日曜日。この日は、二人共にアルバイトであるが、日曜日は午後からシフトである。
この日、帆高と陽菜は、アルバイト先から近いマクドナルドに立ち寄り、昼食を摂ってから出勤する事にした。
当初、帆高はマクドナルドを避けていたが、今はマクドナルドに来る様になった。陽菜が「ここのマックは私がいたお店とは別だし、私は平気だから」という理由からである。
窓側の席にて。街を見下ろす二人。眼下には、今日も様々な傘の花が咲いている。
「私と帆高が出会うきっかけになったのは、マックだったわね」
「うん。あの日の事は、今でも覚えているよ、陽菜」
「私も…」
そう言うと二人は窓の外に目を遣った。
二人の間には、初めて出会った日の事や、代々木の廃ビルの事が去来した。マクドナルドに来ると、真っ先にその事を思い出す。
昼食後。
「さてと、そろそろ行くか」
腕時計を見て、席を立つ帆高。それを陽菜が呼び止めた。
「帆高、ちょっと待って」
「えっ!?どうしたの、陽菜」
「ほら」
そう言って陽菜は帆高の右の頬を指差した。彼の右頬には胡麻が付いていた。
「あっ、ありがとう」
「接客業なんだから、身だしなみ、ちゃんと整えないと、ね」
陽菜に言われると、帆高は口元を紙ナフキンで拭いた。
「どうかな、陽菜」
「うん、OKよ」
トレーを回収台に置くと、二人はバイト先に向かう。今日の雨脚レベルは4と、やや強いが、バイトが終了する頃は3と予報があった。
「今日も終わったら迎えに行くよ。陽菜」
「ええ、終わったら買い物、宜しくね」
「ああ。それじゃ行ってくるよ」
「ええ。帆高も、気をつけてね」
二人は手を振ると、アルバイト先のホームセンターと書店に向かう。
帆高の担当は、レジ打ちだが、品出しや店内の巡回もこなす。又、力仕事もあるが、別に苦にしてはいない。
一方、陽菜の担当は、レジ打ちだが、客注の対応やフェアの企画立案、商品の補充や店内の案内も担当する。
日曜日や祝祭日は、ホームセンターも書店も親子連れが多い。時には迷子の対応や店内放送をする事もある。
日曜日という事もあり、今日の二人のシフトは長いが、平日に比べ、勤務終了の時間は早い。
先にシフトを終えた帆高は、いつも通り陽菜がアルバイトしている書店に向かう。
陽菜が退勤する迄は、帆高は店内をぶらつく。
「帆高。お待たせ」
「あ、お疲れ、陽菜。それじゃ行こうか」
「ええ」
二人はバイト終了後、その足でスーパーに向かう。日曜日は退勤時間が早い為、ゆっくり買い物が出来る。しかも、ごったがえすのを回避出来る。
買い物を済ませると、二人は陽菜のアパートに向かう。食材を冷蔵庫にしまう為だ。
日曜日は、凪は圭介や夏美と夕方迄過ごす為、まだ帰ってきていない。
それから二人は、帆高のアパートに向かった。
帆高は、陽菜のアパートでは彼女を抱く事は、無い。凪のいる状況では抱けないという事もあるが、凪がいない状況であったとしても、彼がいつ帰ってくるかわからない以上、陽菜を抱けないのである。
あのラブホテルで初めて結ばれて以降は、ラブホテル代を浮かすという理由もあり、帆高のアパートで二人だけの時間を過ごす。二人だけの時間の最後は、勉強の無い日は、必ず言葉ではないコミュニケーション、即ちセックスである。
そのセックスでも、帆高は守っている事がある。陽菜に意地悪をする事はあっても、いじめる事はしない。所謂、『大人の玩具』の類にも興味は無い。SMチックな事もNGで、陽菜のお尻に平手打ちをした事も無い。後ろのバージンもそのままで、奪うつもりは全く無い。軽く触る位である。他はせいぜい、焦らしか言葉で意地悪する位である。
帆高は東京農工大学に入学後、所謂アダルトDVDや雑誌等を書店等で見ても、全く興味を持てない。勿論、買いたいとも思わない。真似るつもりも無い。あくまでも、自分のテクニックでセックスを楽しむ、というのが彼のポリシーである。彼が持っているセックスについての本は、一冊だけである。
アパートの部屋にて。
帆高は陽菜を抱き締めると、唇を重ねる。合図の為の、キス。一旦唇を離し、再度唇を重ねる。今度は互いに舌を絡める。
陽菜は、最初は苦手としていたディープキスも、今では慣れている。
唇を再び離す。二人の間に引かれた、淫らな銀の糸は、一本、又一本と切れていく。
帆高の右の掌が、陽菜の左胸を服の上から包み込む。温もりと鼓動が、掌を通じて帆高に伝わる。そのまま彼は乳房を愛撫する。その間も、左手で背筋、腰、更にお尻を愛撫する。
その右手を、帆高は陽菜の股間に這わせた。
「あっ…、んんっ。そ、そこは…」
下着のクロッチ越しでも、うっすらとした湿り気を帆高は感じ取った。
そのまま帆高は、陽菜の服を脱がして、下着姿にした。陽菜は、清楚な白いブラジャーとショーツを着用していた。
帆高は、陽菜のブラジャーのホックを外す。ブラがずれ、乳房が露になる。乳首は、綺麗なピンク色をしている。
そしてショーツに手を掛け、そっと下ろしながら、靴下も脱がして、陽菜を全裸にした。既にショーツのクロッチには、蜜による淫らな染みが出来ていた。
恥毛は、無い。陽菜は普段から手入れしている為、陰部は、綺麗な肌色だった。
「陽菜…」
「私の全ては、帆高の物よ…」
そう言って陽菜は、ツインテールを解いた。
浴室では、二人は互いの身体を洗う。但し、髪は自分で洗う。又、浴室では事には及ばない。浴室ではのぼせてしまう為である。
浴室を出た二人は、丹念に身体を拭く。そして必ず、帆高は陽菜をお姫様抱っこでベッドまで運ぶ。ラブホテルで初めて結ばれた時から、ずっとそうしているが、陽菜を少しでも長く感じていたいという思いからでもある。
帆高はベッドに陽菜を一旦横たえ、唇を重ねる。
それから陽菜を、四つん這いにさせた。
「ね、ねぇ。帆高…」
「ん?どうしたの、陽菜」
「いきなりこんな格好させて…、どうするの?」
その問いに帆高は答えず、陽菜の背後から抱き付いた。
「キャ…、ほ、帆高」
首筋、左の肩口、耳朶、頬にキスをする。その間、陽菜の乳房を愛撫し、指先で乳首を摘まんで転がす。次第に乳首の硬度が増し、屹立していく。
「ひあっ…、あっ、ああんっ、ダ、ダメ…」
「陽菜のオッパイ、柔らかくって、暖かくって、最高だよ」
「そんな事言わないで、帆高…。私のオッパイ、そんな大きくないし」
「大きさなんて、関係ないよ、陽菜。本当に魅力的だよ」
「もう…、意地悪…、エッチ…、バカ…」
因みに、帆高が陽菜の乳房を愛撫する際、必ず「大きさなんか、関係無い」というのには、きちんとした理由がある。陽菜の胸へのコンプレックスを払拭させる為である。
そもそもの始まりは、陽菜のクラスメイトが、たまたま男性の話をしていた際に、男性は巨乳が好みか、微乳が好みか、で論争になった事である。
その事を帆高に話した際に、彼は陽菜に「男は皆デカパイが好みとは限らない」「微乳も又美乳」という事を話した。しかし、陽菜は乳房の大きさを気にする事が多い為、彼は何度でも彼女の乳房についての魅力を話す事にした。
そのまま帆高は左の腋に舌を這わせた。
「く、くすぐったいよ…」
そう言って陽菜は身を捩る。
それから帆高はお腹を愛撫しながら、背筋に沿ってキスをする。
そして唇を離すと、腰からお尻を撫でまわす。それから尻朶を軽く掴むと、菊の蕾を外気に晒す。
「陽菜のお尻の穴が丸見えだよ」
「イ、イヤ、止めて…。は、恥ずかしい…。そんなところ…。ダメよ…、ほ、帆高」
「こっちも可愛いし、綺麗だよ。それにヒクヒクしている」
「も、もう…」
そう言って陽菜は耳まで赤くした。
それから、帆高は、陽菜の大事な部分に舌を這わせた。
「や、やぁん」
「チュッ。ペロ」
「ダ、ダメ、そ、そんな…」
「クリトリスを剥き出しにして…」
「ヒャウッ!そ、それは感じすぎ…」
「どんどん陽菜の蜜が溢れてる。微妙にしょっぱいかな」
「そ、そんな…すすらないで…。味わったりしないで…」
「こんなに溢れさせて…」
「も、もう我慢出来ない。ねぇ…、お願い」
「ん?どうしたの?」
「じ、焦らさないで…。早く…して」
「じゃあ、きちんとおねだりしないと、ね」
「意地悪…、エッチ…」
「言わないと、入れてあげないよ。欲しいんでしょ?陽菜」
「もう…」
そう言いながら、陽菜は、大事な部分を指で開いた。
中から溢れ出した蜜が、シーツに淫らな染みを作った。
「帆高が、欲しいの…。早く、入れて…。私のあそこに…、帆高を…」
陽菜は、淫らなおねだりをする。
「じゃあ、入れるよ」
「え、ええ…」
陽菜が頷くと、帆高は彼女の腰を軽く掴み、女性器を男性器で貫いた。
「ほ、帆高が、わ、私の奥に、あ、当たって…、き、気持ち良い…」
「お、俺も。陽菜の中、気持ち良い」
帆高は、陽菜の乳房を揉みしだきながら、律動のピッチを上げていく。
帆高は、背中にキスの雨を降らせ、汗の雫まで味わいつくす。
帆高は陽菜のお尻を撫でた後、尻たぶを掴み、お尻の穴を再度外気に晒した。彼女の大事な部分も、丸見えである。
「凄いよ。お尻の穴までヒクヒクしてる」
「や、やぁん」
「陽菜の前も後ろも丸見えだよ」
「そ、そんなこと…、い、言わないで」
「俺は事実を言っただけだよ」
「は、恥ずかしい…。意地悪…」
部屋には、二人の汗の香りが充満している。
淫らな水音と、肌がこすれる音、そして熱く、甘く、荒い吐息、陽菜の喘ぎ声が部屋に響く。
陽菜の大事な部分は、帆高をきつく、でもどこか優しく締め付ける。
「ああっ…、私の中、引っ張られてる…」
「凄いよ。陽菜の中、熱くて、吸い付いてくる」
「ほ、帆高の大事な部分が、ビクビクして、暴れてる…」
陽菜の大事な部分の締め付けが一段ときつくなった。同時にシーツを掴んだ。彼女のイク前兆だ。
ここで帆高は律動のピッチを緩め、男性器を引き抜こうとする。すると、陽菜のお尻が密着しようとする。
「あれれ?陽菜のお尻が欲しそうにしている。欲しいの?」
「帆高の意地悪…、エッチ、バカ」
「じゃあ、おねだりしてよ。恥ずかしがらずに可愛いお尻を振って」
「も、もう…」
そう言いつつも、陽菜はお尻を振って淫らなおねだりをする。
「じゃあ、ご褒美だよ」
帆高は再度、律動を開始する。
「も、もうダメ…。わ、私、壊れちゃう…。イッちゃう…」
「俺も、イキそうだ」
「お、お願い…。出して…。貴方を、感じさせてえっ…!!」
「くうっ…」
そう言って帆高は、男性器を女性器から引き抜くと、陽菜の背中から尻にかけて、全てをぶちまけた。
「あっ…、あああああああーっ!!」
二人は、同時に絶頂に達した。
「で、出てる…。帆高のが、こんなに…。熱いのを感じる…」
「陽菜の中、気持ちいいから…」
「うふふっ…、ありがとう…、大好き」
帆高の言葉に、陽菜は微笑みながら頷いた…。
陽菜はうつ伏せになったまま、肩で呼吸をしていた。帆高は陽菜の身体を丁寧に拭った。そして股間を拭った際、シーツには陽菜の蜜とは別の液の染みがあった。
「帆高…」
「ん…?」
「凄く気持ち良かったけど…、何か変だった…」
「え、陽菜、どうしたの?」
「何か、熱いものが…」
「やっぱり、ね。潮吹きをしたんだ…」
「潮、吹き…?」
「だって、ほら」
そう言って帆高は、陽菜を起こすと、シーツに出来た染みを見せた。
「は、恥ずかしい…。お漏らししたみたいで…」
「ちっとも恥ずかしい事じゃないよ、陽菜。お漏らしとも違うし。イケた事の証なんだから」
「うん…。帆高って、優しいよね」
「陽菜…」
帆高がそう言うと、二人は唇を重ねた。
唇を離すと、陽菜が言った。
「それじゃ、シャワーに行きましょ」
「ああ」
シャワーを浴び、服を着た後、二人は帆高のアパートを出た。相合傘をして、陽菜のアパートに向かう。
「今日は雨脚が強いわね」
「そうだね、陽菜。関東地方の雨脚レベル予報は、3か…」
帆高がそう言った直後、陽菜が街頭のモニターを指差した。
「帆高、あれ」
「本当だ。月の映像か…。見事だね」
東京で雨が降る様になってから、民放各局が協力して、東京都内の街頭のモニターに、日本各地の月や夜空の映像を流す様になった。又、気象台が撮影している映像の場合もある。
「この月、私達を照らしているかも、ね」
「うん。今の俺達の事、だけじゃない。この先の事も照らしている、そんな気がするよ」
「帆高…」
そう言う陽菜を帆高は抱き締め、唇を重ねた。
二人の目には、この先の未来が見えていた…。
つづく
次回は『そして、それから』第3章ベースです。