イシュメルガ=リィンでやりたい放題 作:それって
9月25日、土曜日。《特別実習》の初日。
先月のガレリア要塞に続き、数日前の《旧校舎の異変》。
行く先々で事件が起こる、探偵モノの主役陣のような俺達《Ⅶ組》について、大人たちの間で再三の協議があったようだが、特別実習は今月も行われることとなった。
いつもより遅めの朝。
「あ……おはようござい、ます。リィンさん」
「おはよう、エマ」
寮のロビー。いつもの制服姿に戻ったメガネ委員長はニ階から降りてきた俺の姿を認めると、少し顔を紅潮させ、ぎこちなく挨拶した。……そんな反応をしたら、その変化は他の女子たちにあっという間に気づかれてしまうけどな。
「うん……?」
「おはよう、リィン。やっぱりあなた、エマとなにかあった?」
「あらあら、ライバル出現ですわね♥」
案の定、ロビーチェアで談笑していた女子たちの視線が俺たちに全集中。ラウラは訝しげな感じ、アリサがぎろりと睨んでくる。その後ろで口元を隠して笑うシャロン。
「……されちゃった?」
「フィ、フィーちゃん……!?」
「されちゃうって、なにをー?」
いつのまにか忍び寄ったフィーが目を細めてエマに質問し、ミリアムが不思議顔。
……こうなるんだよな。
当たり前のことだが……、グループ行動では一人の女の子ばかりと仲良くしていると胡乱に思われる。そして一度深く結びついてしまうと、関係性が決定的になり、こうして茶化しのネタにされることとなる。寮と教室で、毎日顔を合わせるというのに、だ。
「まったく、無事でよかったのは本当だけど。私たちが必死に探している間、エマに不埒な真似をしていたと思うと、なんだかむかむかするわね……(ぶつぶつ)」
「ん……そうかも?」
「……」
「いくらなんでも理不尽すぎるだろう……こっちはこっちで苦労はあったぞ……よな?」
「そ、そうですねっ」
エマは魔女絡みの秘密があり、俺としてはやぶ蛇になるので、今件について俺たちは黙秘を貫いている。アリサのツンデレな物言いとフィーの追撃に何も言い返せず、カァーと顔を赤くするエマを庇うように立つと、ますますアリサの目線が険しくなった。
前回のリィンは強制力も手伝って、二年半掛けた奇跡のフラグ調整で泥沼の女性関係を築いてしまったわけだが……、今回はそういうわけにもいかなそうだな。学院外はノーカンとしても、クラス内で正式に交際するヒロインは一人に絞らなければ、人間関係が壊れてしまう。
その後……学院祭でやるステージの曲や構成について遅くまで煮詰めていて、ギリギリに起きてきたエリオットとクロウになんとか雰囲気を変えてもらい、追及は一旦保留となった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふわぁ……いつもならとっくに列車に乗っている時間だけど――二人はなにか聞いてる?」
「いんや、何も」「まあ、サラ教官がニヤついたし。何かしら、あるんだろう」
8:50。指定されたグラウンドに向かう際、大きなあくびをしたエリオットが問う。
いつもより遅くていい理由。それは、今回の《特別実習》は、列車移動ではないからだ。
「―――やあ、十日ぶりになるかな? Ⅶ組の諸君♥」
派手好きの金髪皇子は、
今回はそのお披露目を兼ねて、A班・B班ともに、送りだけ送迎をしてもらえるというサプライズ・イベント。そして、船の艦長を引き受けたのが、帝国最強の剣士――
船の進路は、ひとまずA班の目的地である鋼都ルーレへ。鉄路なら半日はかかるところ、空の旅はたったの数時間で終わった。
……船ではラウラが、レグラムにいかなかった俺と初対面の子爵閣下を引き合わせたがっていたが、流石に他の女子もいる中で地雷原フリートークの流れは御免被る。『オリヴァルト殿下に大事な話がある』と言って、最低限の挨拶だけして会議室に引きこもらせてもらった。
「で、殿下と何を話してたの?」
「ん? ああ……今回のことで、セドリック殿下について少しな」
「あの、ちっこい子?」
「君、不敬がすぎるぞ……」
フィーの言い方をマキアスが嗜める。フィーってこの頃のセドリックを結構気に入ってるんだよな。成長してからの顛末も含めて、猟兵少女を惹きつける❝何か❞があるのか……。
今回のA班のメンバーは、この二人に俺、アリサ、エリオット、クロウ。海都に行くユーシスたちB班とは、ここから別行動になる。エマは――「あはは……またオルディスに戻ることになりました」と苦笑いしていた。出発前、サラに頼んでエマをA班に変更してもらうことも考えたのだが……今回起こることを考えると、そのアイディアは諦めざるを得なかった。
ルーレ空港からシャロンとアリサに先導され、(途中、ビル前のエスカレーターを二周して、二人に笑顔で怒られつつ)辿り着いたのはRF本社ビルの会長室。
久々に会ったイリーナは、壮健そうに業務をこなしていた。導力通信中のようだったため、腕を組んで母を待ってあげるアリサ。しかし、通話を終えるとイリーナはそれを無視し、後方同行者面していた俺につかつかと歩み寄ってくる。微妙に距離が近い。
「元気そうね―――《ユミル支線》の件は、聞いていて?」
開口一番、いきなりか。
「あー……その件はすみません。父がご迷惑をお掛けしたみたいで」
「理解しているならいいわ。その代わり先方に出す人員を減らして構わないかしら?」
「……いいでしょう。ただ、全く出さないというのはナシで」
「ええ、ではその方向で。実習クエストはこれね。常識の範囲のものを用意したわ」
……イリーナは、みんなの前で話していい、俺が即決できる範囲で値切ってきていた。多分《Ⅶ組》の団体行動中の今なら俺が強気に出ないことまで計算して。最初の頃こそ戸惑ったが、慣れれば話の早い女は楽でいい。
「母様?―――って、なんで私じゃなくリィンに話すのよ!?」
アリサが目を『><』にし、小さい子みたいに手をブンブン振ってノリツッコミをする。
その様子にエリオットが「おわっ?」と驚き、フィーも首を傾げた。
昔からそうしてきたのだろう、アリサはシャロンや母親の前だと、普段の彼女を知るものからすれば「えっ」ていうぐらい幼くなってしまう。
シャロンはアリサのそういう部分を愛らしいと思っていて、ますますからかうわけだが、イリーナは、どうなんだろうな……。
「……流石に、無視は可哀想だと思いますが」
「ふう……アリサ。あなたも今年で18でしょう。学友の前でみっともない真似はやめなさい。理事として、A班の代表者に話したまでよ」
「別に代「思いっきり、学外の話をしてたように聞こえたけど!?」
「効率的に用事を済ませただけのこと。この前も言ったでしょう、時間はこうして❝作る❞ものよ。―――この通り、不肖の娘だけど、せいぜいよろしくお願いね」
最後のは俺たち全員へ。大抵のことに動じないクロウも「は、はいッス……」と若干引き気味だ。イリーナは後の手はずをシャロンに指示すると、さっさと出ていった。
「な、な、な……」
―――この後、アリサがめちゃくちゃぐずったのは言うまでもない。
―――――――――――――――――――――――――――――
日が落ちる頃。俺達A班は本日の実習クエストをすべて終えて、再びRF本社ビルに帰ってきた。
というのも、このルーレ実習の宿泊先も、ビル最上階の《ラインフォルト邸》なのだ。
部屋がいくらでもある豪邸とはいえ、彼氏でもない男子たちがクラスメイト女子の、女しか住んでいないお家に泊まるというのは、よく考えるとすごいイベントだ。特に俺は先んじてこの家でイリーナとセックスしてしまっているわけであり……流石に気まずさを感じざるを得なかった。
広々としたダイニングキッチンは、やはり寮とは色々と勝手が違うのだろう。いつもよりも上機嫌なシャロンが腕をふるってくれた、《アリサお嬢様が好きなもの》中心の夕食を食べ終えた頃には、アリサも落ち着いていた。
それぞれが夜行動をしている中……。
俺はというと、この家、唯一の出入り口にいた。
着替えの入った鞄を持って、分厚い玄関扉に手をかけると後ろから声が掛かった。
「お出かけですか?」
「―――ああ。戸締まりを頼めるか? 帰りは朝になると思う。
イリーナさんが戻ったら、シャロンも休んでくれ」
「かしこまりました。
……残念ですわ。皆様が寝静まった後、
あ、そうか……アリサには『私やシャロンの部屋には入るな』とは言われたが、シャロンが来る分にはいいのか。……いいのか? イリーナともしたとはいえ……あちらは家主。他所のお家で、その使用人と無断でパコるのは、流石の俺でも無体が過ぎるか? クロウもいるしな。
「はは……正直それはかなり後ろ髪引かれるけど。今回は『計画』の成功率にも関わる」
「……なるほど。それなら致し方ありませんわね」
そう言うと、内心を顔に出さずに扉を引き、見送ってくれるシャロン。
「行ってきます。……その前に」
気の所為だろうが、そのわずかな所作になんとなく寂しげな感じがしたので、
――――俺は彼女の肩に手を置き、ふいうちでキスを落とした。
「!?――――……っ……」
勝手知ったるメイドの唇。舌で割って入り、絡ませ合い、再会を寿ぐ。
俺の幻影奇襲に、シャロンは直立。そこからやんわりと退けようとしたが、俺にしっかり肩を掴まれているため、それは叶わない。もっとも、シャロンが本気を出せば抜け出すのは造作もないことだろう。形だけの「いけませんわ♥」だった。
(飲め)
「ごくん……♥」
俺の唾液を流し込み、目だけで飲み込むように促すと、メイドは従い、熱い吐息と共に嚥下していく。一拍おいて、恐る恐る流し込まれてきたシャロンの甘い唾液をこちらも飲み干す。
したくなってきたが、流石にそこまでの時間はない。……キスだけでイかせるか。
以前も挿入無しでイかせたことはあったが、今回はお互い唇以外の直接接触はしていない、純粋なキスのみの❝セックス❞。
「あ、んっ……ちう、ちゅっ、ちゅぱ♥」
唇は合体したまま、もっと深くまで。
二人の口をぴったりくっつけて、外気を遮断した共有の合体空間を作る。
その密室の中で、卑猥すぎて誰にも見せられない、舌と舌の交尾をする。
そして、主人を待つ健気なシャロンの舌を、改めて❝愛情❞を込めて吸いあげる。
「ぢゅるるぅ……――――~~~~ッ~~~~♥」
トドメだ―――これでこの雌はイける。そんな確信があった。
直後。ヒク、ヒクヒク♥と彼女の身体が震えたのがわかった。
断続的な震えが収まるまで軽く支えてやり、そこから唇を離すと、唾液の糸が伸びて切れる。
「………………ぷはっ……」
「はぁ……はぁ♥」
すっかり発情したシャロンの目端には涙の粒。耳は湯気が立ち上りそうなほど赤い。
そこに、先日の悪戯のお返しを囁きかける。
「
「……ぁ…………♥」
「続きはまた今度にでも……じゃあ行ってくる」
そのまま出かけようとすると――
「ッ、お待ち下さい。こちらを」
震える手で、四角い包紙を渡された。
「なんだこれ? 花の匂いがするが……消臭剤?」
「はい……今の密着で、私の香りが、移ってしまったので……その、これからお会いになる方が女性なら、気づいてしまうかと」
申し訳無さそうな顔でシャロンが告げる。
(……なるほど。浮気がモロバレパターンをやらかすところだったか)
というよりシャロンには既に何度かやってしまって、内々に処理されてた可能性がある。
シャロンがいつも女の匂いを消そうとしていたのは……別に嫉妬とか性癖みたいな事情ではなく、―――俺の隙を黙ってフォローしてくれていただけなのでは?
それに思い至り、恥ずかしさが込み上げてきた。
「う……ありがとう、気をつける」
「フフ、こちらこそ。お心遣い、嬉しかったですわ」
女に隠し事が不可能というのを実感するな……。
シャロンは息を落ち着かせながらも、微笑んで見送ってくれた。
―――――――――――――――――――――――――――――
夜闇を摩天楼と導力灯の光が照らすルーレ上層の空中回廊。
そこをルーレ駅方面に歩いていくと、程なくして待ち合わせの場所の看板が見つかった。
―――《ダイニングバー・F》。
からんと音を立てる扉を開けてすぐ階段。
そこを地下に降りれば、雰囲気のある暗い店内に出る。
カウンター席には、女性の後ろ姿がある。
特徴的な水色の髪をシュシュでサイドに結っているので、一目で分かった。
しかしその服装は、いつもと違っている。女性的なボディラインがはっきり見える肩紐のタイトな紫ドレス。そこに薄白のふわふわストールを巻いていることで、きわどさを打ち消している。このまま貴族の夜会にも行けそうな、オトナな装いだ。
「こんばんは。―――……その、綺麗ですね」
「あ……、ふふっ、ありがとうございます……」
弟系帝国男子が綺麗なお姉さんに思わず見とれてしまった。そんな感じを装った直球。
内心としては、『たかが学生と会うのに気合い入りすぎだよな』とも思った。……微妙に世俗ズレというか、微かにだが
彼女からすれば建前はある。夕方、
しかし、別に、密談するだけならTMPの牙城であるルーレ駅の分室に呼び出してもよかった。そうしなかったのは市街偵察という口実と、その裏に隠された彼女の
クレア側も年下に言われるのは慣れない感じで会釈し、初々しい雰囲気になった。
「……リィンさんの方も?」
「クレアさんと逢えるならと思って。……張り切りすぎましたかね」
「ふふ……ちょっと普段のイメージと違いますが。素敵ですよ」
頬をかく俺の方は魔界皇子仕様ではない、普通の黒ジャケットに下はジーンズ、手首にスティールリスト+を付けている。ドレスの女性と並んでも違和感のない範囲でデート服コーデをした。共和国の半グレ(ロン毛)みたいな、まあまあのチャラさだ。
……前回の歴史では、この《年上のお姉さんとバーで密会イベント》は、尾行してきたフィー(とそれを見逃したシャロン)に邪魔されることとなったわけだが。
今回は策を講じたため、シャロン以外は外出に気づいていない。
シャロンのおもてなしにも大変興味はあったし、フィーと二人で夜のルーレを探検したのも、悪くない思い出ではあった。が……多忙なクレアと関係を進めるなら、このタイミングをおいて他になさそうだ。
そんな淑女の手元には、逆三角のカクテルグラスが既にあった。
こちらもノンアルのカクテルを注文し、乾杯する。
「一週間ぶりになるでしょうか…………改めて、前回はごめんなさい」
「いえ。お忙しい中、会ってくれただけで嬉しかったですから」
「―――学院祭の準備は順調ですか?」
「おかげさまで。練習には、旧校舎を使うことになりました」
前回、相談していた『学院祭の準備』の話。
ステージ会場となる講堂は、演劇をやる
「……なるほど。確かにあそこなら。しかし、
「はは、学院長が
「あ……ふふ、私の時もヴァンダイク学院長でしたよ」
ミリアムから既に報告されているだろう、《先日の異変》のことも含めて、擦っていると思われたが、今日は関係ないので微妙に話を逸らした。
ヴァンダイクは一度軍に復帰すれば《元帥》という遠い存在になるわけだが、この時代は生徒の自主性を重んじる、好々爺としたおじいちゃん先生。
「普通の士官学院の教職なら保身に走って立ち入り禁止にでもするところなんでしょうが……」
と肩をすくめると、クレアはそうですねと、くすくす笑った。そして自分も在学時は旧校舎を探索したものでしたという。屋上もそうだが、やはり今のトールズはその辺大らかだ。
互いの近況を語り合い、さて本題というところで、切り出す。
「よかったら、続きは別の場所で話しませんか?」
「え……? いえ、外は領邦軍が―――」
「実は先月、ルーレに滞在してたので部屋を借りてるんです。
そこなら
「ふむ………………」
顎に手を当てて、しばし考えるクレア。
女性をお持ち帰りしたい時は、あまり長引かせてもタイミングを失する。
彼女には前回の負い目がある。ここまでの会話で、俺に失点がない限りはいけるはず。
「……あ、別に変な意味ではないですよ? それと、渡したいものもあって」
「? ふふ、それは心配していませんが。では、そうしましょうか」
勝った…………(健全な意味とは言ってない)。
しかし、「心配していない」か……。「信頼を勝ち得ている」といえば聞こえは良いが、こと男女間においては『男として舐められている』ということと似ている。弟系特攻のお姉さんが難しいのは、それなんだよな。
会計を済ませ、ルーレ駅入口・
工業都市ルーレは、立体的な二層構造になっており、上層にはRFの技師や役員、下層には工員や作業員が住んでいる。でもこれらは別にタワマンの階層マウントみたいな、社会的地位による格付けではなく、通勤等の利便性からそうなっているらしい。
駅前や空港などに連結し、ショップが立ち並ぶのが❝下層❞、エスカレーターを登った先、RFビルやホテルがあるのが❝上層❞となる。アクセス的には、下層の方が便利なのだが、俺が滞在用に借りている部屋は、上層部・ルーレ工科大学方面にある、高級アパルトメント。イリーナに「それなりにセキュリティ高いところでおすすめの物件」と丸投げしたらそうなった。
トータルでもまだ数日しか居住していないので、部屋には食料品などの買い置きはない。
なので、一度下層に降りて、閉店間際の《ボロニア商会》で買い物をさせてもらった。
「クレアさんは、食べたいものとかありますか?」
「お構いなく。夕食は先程のお店で済ませてしまいました」
「へえ、あそこ料理もやっているんですね」
「ふふ……ダイニングバーって、料理も出すバーのことなのだそうです。
美味しかったので、次回いくことがあれば食べてみて下さいね」
ルーレ駅前通りは厳戒態勢というわりに、仕事帰りのRF社員や鉱夫が平然と飲み歩いていたりで人通りは多く、警備は手薄だった。
道中、『かくれんぼしている友達が見つからない』というキッズ――前の時はフィーと散策しているときに遭遇した――が泣いていたので、一緒に探してやり、お家に帰らせた。振り返りながらお礼を言う子供たちに、こちらも二人で手を振り返す。
「優しいんですね」
「どうかな……クレアさんほどではないと思いますが」
「……? どういう意味でしょう」
「はは、言葉通りです。見つからないうちに行きましょうか」
隠密行動中の体なのに、不満そうな素振りひとつ見せずに付き合ってくれたクレアの手を握る。
あっ……と彼女は微かに声を上げたが、即座に振りほどきはしないでくれた。
「リィンさん……?」
「嫌、ですか? ほら、カップルっぽい方が目立たないと思うんですが」
「……いいえ。確かに、そうですね」
「なら、このままで」
「はい」
そんな口実で、クレアの手を引いて、夜の街を歩いた。
―――――――――――――――――――――――――――――
大きな窓からは、RFビルからのそれほどではないが、ルーレの夜景が見下ろせる。
クールビューティーな顔には出さないが、驚いている印象のクレア。
「いいお部屋に見えますが……ここに一人で……?」
「その分賃料は高いんですけど……色々考えると、安アパートというわけにもいかなくて」
苦笑いで部屋に案内する。
室内にはそのままベッドにもなるL字型のソファーに、小さなローテーブル。
……まあヤリ部屋、モテ部屋を意識してみた感じだ。この前アイリと入ったラブホの間接照明が気に入ったので、近いタイプのものを設置してみた。
キッチンにはもちろん
お湯を沸かし、二人分の紅茶を淹れた。
「―――それでは、ようやく❝本題❞になりますが」
ソファーに浅く座るクレア。
自室にドレスのお姉さんがいる風景は、なんだかロマンを感じる。店で話すのと、部屋で話すのとはやはり距離感が全然変わってくるからな。
クレアの話の本題は、帝国解放戦線幹部・ギデオン脱走事件の顛末。テロリストたちは途中でほぼ射殺・拘束されたが、幹部のみ生き長らえ、現在も逃走中とのこと。
そして、そこからは前回通りに収束し、この付近――否、
| 第一製作所(貴族派) 鉄鋼/大型機械全般 | 第二製作所(革新派) 銃器・戦車・兵器全般 |
| 第三製作所(中立派) 導力列車・導力飛行船 | 第四開発部(会長直轄) 導力通信・戦術オーブメント |
RFグループは三つの大型製作所と、それらに比較すると小規模な一つの『開発部』から成る。第一製作所を統括する取締役は、ハイデル・ログナー。アンゼリカ先輩の叔父だ。
ノルティア州の盟主であり、RFの大株主でもあるログナー侯爵が、創業者一族とはいえ武器工房上がりの平民に過ぎないラインフォルト家に全ての舵取りを委ねるわけもなく、ハイデルはログナー家から名代的立場として送り込まれている。帝国政府の指名である第二も同じような状態。
クレアは今回の件、RF側ではなくログナー侯爵家側の画策と読み切っている様子で、就任時に、貴族派・革新派双方の力を借りているため、両者の調整に苦心しているイリーナ会長には同情的な見解だ。それは、甘い読みでもある。
「なんというか。はは……正直、俺としては、この前のデートの続きのつもりだったんですが」
「その気持ちもあったのですが……ごめんなさい、どうしても伝えておきたくて」
「いえ。お気遣いに感謝します」
(……呼び出された時の通話では、『アリサさんには伏せた方が良いかと』と言われたが、これはむしろ今思えば、アリサにこそ、知らせるべきことだったのかもしれない……)
リィンとして、そんな感傷がよぎった。
この時代のアリサは、社長令嬢としての自身の立場を
今は、関係ない話か。余計な思考を打ち切り、少しぬるくなった紅茶を口に含み、飲み干す。
「……さっき言っていた、渡したいものですが。これを」
俺は手のひら程度の、しかし、厳重に包装された小さな包みを鞄から取り出した。
「……ここで開けても?」
「構いませんよ」
クレアが白い指で幾重にも包まれた紙や緩衝材を取り除くと、そこには、
「あら。……ハーモニカ、ですか?」
「……」
こちらの沈黙から察するより早く、すぐに
「……これ、は……あぁ……そんな」
リーヴェルト社製。蒼を基調とした銀のハーモニカ。
裏には持ち主の刻印も入っている。
これは、彼女の弟が大切にしていた―――遺品である。
―――――――――――――――――――――――――――――
クレア・リーヴェルトは、帝国軍の中でも精鋭揃いと呼ばれる《鉄道憲兵隊》切ってのエリート女性将校であるが、その出自は有名な楽器メーカー《リーヴェルト社》の元社長令嬢だ。
彼女たち一家は9年前、導力車同士の衝突事故に遭った。父が死に、母が死に、弟が死に、――――クレアだけが生き残った。
その事故には、当然裏がある。
事故
この世界では、叔父の悪役率が半端ないことになっており、それゆえに軌跡シリーズは叔父ゲーとも言われていた。
それはともかく。その叔父は貴族と手をくみ、詐欺同然のやり口で偽ブランドの楽器を高額で売りさばいており、それを社長であるクレアの父に勘付かれていた。発覚を恐れた叔父は、こともあろうに社長一家をまとめて亡き者にしようとしたのだ。
事故で負った怪我の回復後、遺品整理中に❝真相❞に気づいてしまったクレアは、叔父を問い詰めるが、叔父には悪びれる様子もなく逆に居直られ、彼女は絶望に染まった。
そんな折に出会ったのが、父と学友だったというギリアス・オズボーン。
叔父の一族とも家族同然に過ごしてきたクレアは葛藤したが、それでも。
――――何よりも大切だった、弟の笑顔が忘れられなくて。
教官時代、ラマール州演習地のあの夜。
薄氷のクレアはそうリィンに語り、そして―――。
「……これを、どこで?」
しばらくして、クレアから出てきたのは、そんなもっともな疑問。
「先月、俺がルーレで活動していた事情は知っていますか?」
「……はい。気分を悪くされるかもしれませんが、おおよそは把握しているつもりです」
形だけ質問形で、ほぼ断定している俺にバツの悪そうな顔をするクレア。
軽く笑って、気にしていないアピールした。
イリーナに《
探りを入れてこないということは、
「話を戻すと、俺の目的はユミルの改革のため――RFに格安でインフラを請け負ってもらうことだったんですが……紆余曲折あって、クロスベル自治州にも行くことになったんです。あの街の裏通りには怪しげなお店もあって。……これは、そこにあったものです」
半分は嘘。今回、このハーモニカを見つけたのは
逆に言えば、今は帝国内のどこかにあるということだった。候補はいくつかあったが、複数都市への中継地点、盗品も行き交うラクウェルの市場にある可能性が最も高いと予想していた。
アイリに会ったあの夜、ついでに見つけていたのだった。
「その時は、お土産として購入しただけだったんですが。クレアさんの弟のものだと知ったのは―――以前、
「っ……そうですか、兄さんが」
「大尉とクレアさんの事情は、深くは聞いていません……だけど、直接お返ししたいと思って」
そしてモノは手に入っても、今度は
「…………私と、従兄弟のミハイル兄さん。その妹のイサラちゃん」
窓の外よりも遠くを見るように、ぽつりと。
「当時は、親戚同士とても仲がよくって。
このハーモニカは、三人で、弟のエミルに贈ったものでした――」
クレアは自らの❝罪❞を語った。あの夜と同じように。
「……クレアさん……」
「本当にありがとうございます、リィンさん。
いくら家族の遺品を整理してもこれだけは見つからなかったんです」
大事な宝物のように、それを両手で握りしめるクレア。
その様子に、
『見守ってくれていて、ありがとうございます』
『お母さんが……』
先日の―――エマの姿が重なった。
……。
ミュゼとしたような思い出作りデートは、学生だから許されることだ。
それでも、
(今日のところは、もう、よくないか……?)
と、思えてしまう自分がいた。
その姿があまりにも、冒してはならないものにみえたから。
でも――――それはきっと、
リィン・シュバルツァーが彼女に対して、
―――――――――――――――――――――――――――――――
未来のリィンは、恩義あるオズボーン宰相への忠義を尽くすことが、今の彼女の幸せなのだろうと考えていた。
《
クレアは、❝アルティナを
その結果として、可愛がっていたミリアムが身代わりに犠牲となった。
それらの
だったら、その想いに割り込むのはきっと女神にもできはしない。
そんな鉄血の絆に殉じることこそ、彼女が選んだ一つの在り方だと。
……だが、俺の考えは違った。
俺の見立てでは―――クレアは「
ダメンズとは? 読んで字の如く、駄目な男。だが、弱者男性ではない。
そういった女を食い物にする暴力的なクズ男に尽くしてしまうという、哀れな貢ぎ性癖である。
だから俺には、ギリアスにしても、教官時代のリィンにしても、クレアの取り扱いを誤っているように思えてならなかった。
ギリアスは、クレアの心を救った。
しかし、それは偽の救済だ。それはそもそも
《統合的共感覚》という異能者の素質がなければ。ギリアスの駒になる因果さえ生じなければ。
つまりクレアは実のところ、
それはちょうど、ジェローム伯爵を慕っていたリーヴにも似ている。
あのエセ紳士と違って、きっかけ自体には、ギリアスの関与はない。だが、ギリアスも、
毒を喰らわば皿まで。
ならば、本来は―――、ギリアスはクレアの
親父特有の強引さと熟練の性技で虜にし、ドロドロに快楽闇堕ちさせなければならなかった。
それが女の人生を狂わせた、悪役の責任だ。せめてもおチンポで支配して、悪い男を愛してしまったから仕方なかったと思わせてやるのが、悪役の義務だろう。
なのに、ギリアスには変なところで筋が通っており、下半身のクズさが足りなかった。
ゆえにクレアは、必然、リィンに寄る辺を見出すしかない。
けれど、そのリィンも。
あの決戦前夜の密会で、❝もしも❞リィンが強く抱きしめていれば――。
クレアは苦しみながらも、リィンという❝新たな拠り所❞を得て、寝返ったに違いない。
でも、リィンはそうしなかった。
思念体のミリアムとともにクレアを励まし、《鉄血の騎士》であることに胸を張らせた。
しかし、結局。彼女はその後、自害に失敗、ヒロインからも外れ、宙ぶらりんになってしまう。
ヒロイン枠を途中で落ちたお姉さんの末路は、悲惨だ。適当な竿役といつのまにかくっつけられているか、軌道修正が間に合わずに、生涯独身女性になるしかないのだから。
ならば、誠実に振るよりも、不実でも抱いてあげた方が幸せだったのではないか――。
それが俺の考えだった。
なので、逆に言えば―――。
クレアは、
クレアは、俺の筆おろし適格者候補には入っていなかった。
お願いすることはできたと思うが、俺がダメンズとして成長しないかぎり、クレアが病んで俺の
童貞には荷が重かった。
時を経て、こっちもそれなりに成長した。
今の俺なら、クレアをぐちゃぐちゃに沼らせても乗りこなす自信が―――正直そこまではない。
しかし、こんなにも寂しげな彼女を、弱みにつけ込み放題の女を、暗示などのチート頼みでしか堕とせないようでは、この先、他のどんなヒロインも、真の意味でモノにできはしないだろう。
だから―――。
――――――――――――――――――――――――――――
だから、俺はクレアを強く抱きしめた。
―――あ……。別に、それだけが理由で気に掛けていたわけじゃ……なんて……言えませんよね。
内戦終結の折、ちょっとしたすれ違いからクレアはリィンを意識し始めることになる。
しかし、今の俺は、たかが
クレアが過去を語ったことで、今、か細く繋がった絆。
それを確固たる結びつきに変えるために、抱きしめ――共感を示す。
「今まで、ずっと一人で苦しんできたんですね……」
一筋の雫が頬を伝う。リィンとしての本心から、俺はクレアの境遇に、自然と涙できた。
我が傷を痛むような、理解者面のその裏で、依存性の毒を染み込ませていく。
「……ぁ………」
家族を亡くし、戻る場所も失くしている彼女は、それを、跳ね除けることができない。
微かに発した声は、文字で表すなら、やはりそんな「本質を突かれた」という
普段のクレアであれば、よこしまな気配に気づかれたかもしれない。
だが、今の彼女は、心の最も弱い面を吐き出した後。
落とすには、今が千載一遇の好機だった。
「クレアさん。俺は――」
微かな香水の香りが鼻を突いた。互いの匂いと鼓動に慣れるまで、そうしたままで。
そうして、姿勢が苦しくなってきた頃。少しだけ離れて、見つめあう。
「俺は、貴女が好きです。
仇を討ったのに、罪悪感に深く傷ついたままの、そんな優しい貴女が」
「リィン、さん……」
続く『多分、ミハイル大尉だって』という、リィンがナチュラルに思った健全ルート行きの台詞は、飲み込む。
紫の瞳が揺れている。そこに映る自分が、徐々に大きくなっていく。
「ん……」
クレアが目を瞑った。
それを合図に、俺はその薄くリップの塗られた、瑞々しい唇を奪った。
これは慰めの体。だから、まずは触れるだけに留める。
ところで、この部屋にL字のソファーを置いたのには、意味がある。
通常、ヤれるかヤれないかという微妙な関係値の女性と、部屋でそういう雰囲気になり、押し倒した場合、本格的に作戦開始する前に、「ベッドに移動する」という工程が挟まることになる。
その僅かな間で雰囲気が盛り下がって失敗してしまうこともあるらしく、ヤリ部屋にはそもそもベッドしか置かないか、そのままベッドにもできるような凹凸のないソファーやマットレスを置くのが強く推奨されている。俺は後者を採用したというわけだ。
よって、俺はごく自然にそのままクレアを押し倒すことができた。
優しい愛撫を心がけつつも、さり気なく脱がしていく。
が。完全に予想外の出来事があり、手が止まった。
引っ掛けたりすると破れてしまいそうな薄いドレスを丁寧に脱がし、顕になったクレアの下着は、上下ともに彼女の髪色とおなじ水色。
それも下は――
大事な場所はぎりぎり隠されているが、おいしそうな恥骨部が露出していてとてもエッチだ。
「これって……いわゆる……勝負下着ですか?」
「え。あ、いえ……これは、違います!」
クレアが弁明するのには、タイトなドレスだと下着のラインが見えてしまうのでこういう下着を履くのが一般的だという。
(うーん……そういうものなのか?)
……。
流石に女性の下着事情など、満場一致でわからない。
だが、さっきも思ったが、クレアは一般的な感覚から少しズレたところがあると考えられる。
他のお姉さん組の感覚では……?
シャロンは手コキする時以外は基本エッチな下着を履いてくれているが、彼女は時属性。
サラのパンツ事情はあまり詳しくないが……遊撃士に戻ってからは、男の性癖を歪めるようなスリットを好み、故意にドスケベなTバックを履いていた節もあった。
……どう考えても、基準にしてはいけない女たちだな。
結論、保留。
「よくわかりませんが……セクシーで、かなり似合っていると思いますよ?」
「で、ですから……! って……ふふっ」
「はは……」
途中で、弁解する自分がおかしいことに気づいたのか、笑いだすクレアに、俺も釣られて笑う。
「あの……私、こういうことは、初めてで」
それはそうだろう。異名が《氷の乙女》で非処女だったら、詐欺もいいところだ。
なので俺は最初からクレアを処女と確信していた。
「大丈夫です、俺に任せてください……」
「あ……」
男爵家長男として、女性をリードする術は心得ています。そう言って、再び唇を重ねる。
「―――キスも、初めて?」
「……はい」
「嬉しいです」
しばらくはちゅっちゅと子供みたいなキスを続け、満を持して舌を入れた。
「……ちゅ……ん……ぁ………」
べろぉーと侵入してくる俺の舌に臆病にヒクつく初心なクレア。
並行して、魅惑的な女体を触っていく。
クレアの裸体は、意外なほど綺麗な肌をしている。
彼女は現役の軍人……それも危険な戦地に自ら出向くタイプだが……例の異能も合わせた
そこに戦慄に近いものを感じるが、俺がこれから行うのは……彼女の計算外のこと。
「あっ、んっ! そ、そこはっ……」
水色のブラを疾風で外し(トップレスなので容易だった)、胸の頂を指で摘まんだ。
乳首の感触は、ふにゃふにゃ。しかし、
俺の方も黒い上着を脱ぎ捨て、年上のお姉さんに母性を求める思春期の甘えん坊のように、そのまま乳首に吸い付いていく。膨張したペニスをパンツ越しに押し付けながら……。
「あ…………っ……」
押し倒された女が、押し殺すような嬌声を上げる。
クレアのおっぱいはシャロンと同格の大きさで、やや乳輪が大きい美乳だ。
俺は片手で乳輪をなぞりつつも、さらにコリコリになった乳首をいじめ続けた。
「く……ふ……ぅっ…………」
クレアはソファーのカバーをギュッと握って快感に堪えている。
それに欲情を高めた俺は、残った布面積の低いパンティに手を這わせる。
その中心は……湿っているように見え、触れると、確かにぬるっとした湿り気を帯びていた。
脱がさなくても、少しずらしてやるだけで大事な部分が見えてしまう卑猥な下着だ。
濡れたぎっているそこをずらし、指を滑り込ませれば。
あれ?……むむ? おまんこがある位置が……。
(……これは……《
考えてみれば当たり前のことで、目鼻立ちと言った顔のパーツも人それぞれなのだ。男根にも形状に様々な差異があるように……女性器の場合も同じで、その場所も上の方だったり、アナルに近かったりするわけだ。
下付きの女は、向かい合って股を閉じられているとおまんこを確認するのが、難しい感じだ。
その分、バックはしやすそうだが。
指を伸ばして、奥の方に隠れた秘所を探り当てると、ぐちゅり♥と、淫靡な音がした。
「ああっ」
「すごい、濡れてますね?」
「だ、だめですっ、そこはっ……!」
クレアの顔を見ると、流石に恥ずかしそうに目を背けていた。
普段のクールなお澄まし顔からは考えられない反応。
「こんなに濡らしておいてダメはないでしょう」
くちゅくちゅ♥ 最初から準備万端で、漏らしているのではないかという濡れっぷりだ。
エリゼやラウラも相当濡れやすいと感じたが、クレアはそれを凌駕している。
二人と共通することがある。
それは、
やはり、時属性変態説と同じように
流石に三人目ともなると、確信に変わらざるを得ない。
つまり、ミュゼやトワ、ヴィータも濡れやすいのだろう。
「……あっ」
そんなおそらくこの世界で俺しか気づいていないはずの、世紀の大発見に感動しつつ、おまんこを隠している部分をずらしたことで、ヒモのように細く縮まっているパンティーに両手の指をひっかけ、一気に脱がせた。
―――おまんこアナライズの時間だ。
陰毛は、髪と同じ、水色の毛がTバックのラインに合わせて
陰毛についてはわかったが、この体勢だとヴァギナ部分はよく見えない。クレアの表情を伺うと、目があって恥ずかしそうに身をよじらせるが、俺は構わず内見を続ける。
「あの、こんなのはっ……」
「ちゃんと見極める必要があるので」
クレアの両足を持ち上げると、強制的にまんぐり返しの姿勢となり、ようやくクレアおまんこが開帳される。濃いめの陰毛に包まれて、型崩れのない、見事な処女膜を確認。そこからトロッとした透明の樹液で濡れている……。
「ふう。本当に濡れやすいんですね」
「お願いですから、見ないでください……」
耳を真っ赤にしたクレアに最後の夜、一騎打ちを拒否されたときのように懇願されるが、そんな呻きは俺のドSモードを強化するだけだ。
「可愛いですよ、クレアさん」
俺はイケボで笑うと、ゆっくりと秘処に顔を近づける。
スンスン、匂いは、あまり臭くない。柑橘系だ。
「い……いやっ! そんなところ嗅がないで……ひゃっ!?」
そうして、おまんこに舌を入れると、クレアは悲鳴に近い声を上げた。
だが構わずにクンニを続ける。
でも味は……なんか、苦い。鉄っぽいのか?
膣口に舌を何度も出し入れする。雌しべ全体がもぞもぞ蠢いた。そしてそれに応じるように、加速度的に愛液の量が増えてくる。それをじゅぶじゅぶ、ぢゅぞぞ~♥といやらしい音をわざと立てるように舐め回していく。クレアのおまんこの淫らな匂いが顔いっぱいに広がった。
「ひっ♥ っ……はぁっ……」
甲高い声を出したクレアは口元を抑え、何とか声を漏らさないようにしている。
「そろそろいいかな……」
俺は身体を起こして、スラックスの前をくつろげた。
すでにギンギンになっている巨いなる物を、クレアの開かれた股の前に取り出す。
「っ……!」
俺の一物を見たクレアの顔が引きつった。
そこに浮かぶ感情は、こんな巨きなものが入るのですか?という畏れ。
その様子に自尊心を満たし、おまんこに照準を合わせ――ようと思ったが、やはり下付きなので、正常位では少し挿入しにくい感じだ。
まあ俺のチンポの長さなら別に届くが……、動かしにくいとリズムに支障が出る。クッションをクレアのお尻の下に差し入れて体勢を調節し、改めて位置を合わせた。ついでにシミにならないよう、バスタオルを一枚敷かせてもらう。
「……戻れなく、なりますよ? 男女の関係ってそういうものでしょう」
いよいよ挿入されそうな雰囲気を感じ取り、お澄まし口調で最終警告を発するクレア。
他にも私は六歳も年上のお姉さんなんですよ? などと今更グダらせてくる。
クレアはシャロンよりも少し年上。年上処女特有の、面倒くささだった。
「俺は、クレアさんとの繋がりが欲しい。今夜限りにするつもりはありません」
「……っ………」
年下男子の部屋にきて、土壇場でそんなつもりじゃ……は通らない。
片手でクレアの手を握り、もう片手で
ついでにチンポでもクレアのお腹をトントンする。
「ダメ、ですか?」
男らしくリードしつつも、姉に甘えるような、不安げな弟しぐさも見せる。
……なんかもう、普通にやるより難易度が高いな。
「………………」
長考の後、クレアが言ったのは、
「えっと…………避妊具は、もっていますか?」
「あ、はい。一応」
そんな条件つきの受容であった。
エリゼ以外とゴムセックスすることはないのだが、いつエリゼと遭遇して、そういう雰囲気になってもいいように最近は持ち歩いている。
「じゃあ……リィンさんの、そこに装着、してもらえますか? それなら……」
「え?」
「え?」
「えっと……最初はまず前戯、というか。
お互い高め合って、
「そ、そうなんですね……確かにそんな話も聞いたことが……でも」
困惑するクレア。もちろん、普通は《挿入前》に付けないとダメだ。
低確率ではあるが、カウパーだけでも妊娠の可能性はある。
ただ、今、この状況下において……
保健体育はトールズでも教えるので、クレアは正しい性知識を持っている。
しかし、実践はない今ならまだ細かい機微はごまかせるはず。
後で正確な情報を収集して怒られるにしても、今、生でできればそれでいい。
片手で、濡れそぼったおまんこを開く。
あとは挿入するだけ。
「…………」
「…………」
俺はクレアの視線をまっすぐ受けて立ち、ぜんぶほんとうですと安心させるよう、見つめ合う。
そして、覚悟したのか頷かれたので、腰を押し込んで―――挿入、した。
くちゅ……。
俺のチンポがクレアの膣に埋まっていく様子を二人で観察する。
潤滑は十分すぎる。プツっという感触のあとはにゅるると入っていく。
「ぁ……ッ―――!」
目元を歪めるクレア。
流石に軍人。痛いだろうが、弱音は吐かない。
容姿に優れ、身分も持たない女性がこの年まで処女というのは、通常あまりないことだ。
押しに弱ければ、そこらのクソ貴族に見初められたり、オラオラ系のヤリチンに言い寄られて、流され、あっという間に食い散らかされてしまうのがこの世の常。
そういう輩をクレアさんは十年以上、毅然と拒絶してきたということ。
そこにはギリアスやミハイルの知られざる睨みもあったのかもしれない。だとしても、彼女自身にも男につけ入らせない強い意志、そして警戒心がなければできないことだ。
この瞬間。
クレアはそれを俺に食い散らかされるために、大事に守ってきてくれたということになった。
大勝利。クレアに恋した多数の男子が夢見た行為を、俺は今実現している。
(とはいえ……初めての反応はみんな、大体同じだよな――)
引き継ぎの2周目で、早く操作したいのに飛ばせない、決まりきったチュートリアルを見るように、虚無的に❝破瓜の痛みに苦しむ女❞を眺めた。ヤリチンが処女に執着しなくなっていく理由を実感しつつも、独占厨として《俺が初めて与えている痛み》だと認識することで彼女への独占欲を高めていく。
「んっ……ちゅっ、んちゅ……」
再び、キスを始めながら、俺の胸の中で痛みに耐えるクレアの全身を肌で楽しむ。
最初の頃には意識せずやっていたが、キスには実際、鎮痛作用があるらしいので、破瓜の痛みを和らげるには合理的なアプローチだ。加えて、彼女の力が抜けるようにお腹の子宮の位置あたりを撫でたり圧迫したりしてみる。
「そろそろ、動いて平気ですか?」
「は、いっ……大丈夫です」
指先を絡ませ合い。
そして、腰を動かし始める。最初は緩やかに、徐々に速度を上げて、
「う……くぅ……!」
ところが、まだ全部入っていないにもかかわらず、サイドポニーを揺らして、はっきりと痛みに顔を歪ませるクレア。額には脂汗も浮かんでいる。
認識を改める……これは、もっとゆっくり進めた方がいいタイプか。
考えてみると、今までの処女貫通は協力的な時属性ヒロイン(なぜか黒塗りの目線入りで思い浮かぶ)か、変態な催眠が掛かっているかで、普通に抱くのは珍しい気もする。
痛みを感じさせないよう配慮すると当然、侵入スピードは鈍化する。
クレアの未開拓な❝おまんこMAP❞をめりめりと歩行モードに切り替えて探索していく感覚。己の快楽は二の次。半ば事務的に、クレアの堅牢氷壁を溶かし削り取る地道な掘削を、俺は続けた。
「あっ、はぁ……ぁっ……あああっ」
そうして時間をかけて奥まで入れたかいあってか、クレアの反応は変わり、背中を丸めて、びくりと震えた。処女穴は当然狭いが、水属性おまんこの滑り気は過剰とも言えるもので、そこからはほとんど抵抗なく俺はぬぽっ♥と奥まで届かせてもらう。
……しかし、こんなことは多数の経験を積んで、余裕があるからできることで、童貞でいきなりやれと言われたらもっと痛がらせていたと思う。なんだか不条理な真理ではあるが、誠実だが不慣れな童貞より、不実なヤリチンの方がモテるのは、こういう事情を鑑みると当然か。
「んっ……ああっ、はぁ……」
ここまでくると入れているだけで気持ちいい。
《
「ん……ちゅっ……はむ」
すでに俺の唾液に濡れた唇をまた吸う。軽くついばんでいると、クレアも不慣れながら同じように唇を動かしてくれる。互いに愛を求め合うように口づけは深く、どんどん濃厚になっていった。
いつもだったらそろそろ一発目を出しているタイミングだが、《おまんこ鍛錬》の成果か、まだ幾ばくかの余裕があった。動かし方を変えて、感度のいいポイントを探していく。
「――あっ! はあっ……んっ♥」
たまらず口を離したクレアの声が高くなる。入口付近か。
なら、カリ首でそこを刺激するような浅いピストンに変える。
勃起したままの乳首もカリカリといじってやり、❝誤認効果❞も合わせて性感を開発する。
「ああっ、凄いです……それっ」
「ここが、気持ちいいんですか?」
「よく、わかりません、がっ」
クレアの膣は、彼女が感じるほどにきゅんきゅん♥と締め付けを増していく。
膣圧が上がり、こちらにもすぐにでも達してしまいそうな強い快感が生じる。
浅い挿入でイくのは消化不良感があるので、俺は再度、深めの挿入に変更した。
「はぁぁ……すごく気持ちいいですよ、クレアさんのおまんこ」
「はぁ……あんっ、ああっ! ああっ―――♥」
耳元でささやくとクレアが一段と高い声を上げる。
入口しか感じないという場合だとやりにくいと思ったが、一度火のついた快感は手順を踏めばコンロのように膣内にも広がってくれるようだ。安堵とともにピストンを早め、腰を動かす。
ぬるま湯になった水浸しの膣内をぬぽぬぽ探索するのは、心地が良かった。
そして、終着点、MAP制覇率99%でクレアの腰を鷲掴みに、限界を迎える……!
「く、出ます!」
「あ……では、避妊を……!」
「クレアさんの膣内に、出したいッ」
低く、囁かれたその
俺はそれを合意と見なし、そのまま快感に身を任せた。
「え?
どぴゅ、どぴゅ♥ ぴゅるるぅ♥
無情にも、最奥の赤ちゃん部屋で垂れ流される俺の精液。これで100%だ。
言葉に反してクレアは目を閉じて、その感触を噛みしめている。
俺も射精の気持ちよさに集中する。だめ♥ だめ♥と言われながらの膣内射精は、それが最高の合図だと遺伝子にも刻み込まれているに違いない。最も原始的で、至高の射精感。
どぴゅ、ぴゅりゅ♥ ぴゅりゅりゅりゅ~……♥
男女が一体化した、空白の時間。
「………ん♥」
チンポを引き抜かれる際にも感じているクレア。
敷いていたタオルは、びっしょびしょだ。
彼女が今まで乙女だった証が、愛液とともに染み込んでいた。
「……まさか、こんなことになるなんて」
俺の胸元で、心臓の傷跡に手を当てて複雑そうなクレア。
傷については、遠慮しているのか特に聞いては来ない。
「……私、軍人なんですよ? 子供が出来てしまったら……困ります」
「ごめんなさい。どうしてもクレアさんを直に感じたかったんです。
……気持ちよく、なかったですか?」
「……」
弁解の余地はないので素直に謝る。
しゅんとした弟ムーブを取ると、クレアは答えない。
俺はそんな彼女に上からキスをせがむ。
「んっ……もう……ちゅっ」
クレアは顔を上げ、なんだかんだそれに応じてくれた。
甘々なお姉ちゃん年上彼女状態だった。
しばらく深いキスを続けながら余韻に浸る。やがて唇を離すと唾液の糸が垂れた。
「もう一回、したいです」
「…………最初から避妊具を付けてくれるなら、いいですよ」
この夜。もちろん、手持ちのゴムを使い切るまでセックスした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
昨日よりも、早朝の目覚め。
ちゅんちゅんという小鳥の囀りは、こんな近未来的な街であっても聴こえるようだ。
「おはようございます……」
静かに部屋を抜け出て、シャワーを浴びてくると、クレアも目覚めていた。
しかし、腰が抜けている様子だった。流石に、初めてなのに無理をさせすぎたか……。
昨日買った食材で、俺は二人分の軽い朝食を作った。
「さて――すいません。今日も特別実習があるので、俺は先に出ますね。
鍵、置いておくので。また会った時にでも返してもらえれば」
男が食事を平らげようと思えば、それは一瞬で終わる。自分の方の片付けを手早く済ませ、まだ半分も食べ終えていないクレアに声を掛ける。
「い、いえ。私も戻らないと」
「まあまあ。その様子だと怪しまれてしまうと思いますし……。なんなら滞在中、この部屋は自由に使ってもらって構わないので」
「あ……」
「それでは、また」
前回の意趣返しではないが、おそらく食事を終えてから部下とARCUSで連絡を取ろうとしていたところ、どっちつかずになったクレアを残し、一足先に部屋を出た。ヴィータがエマによくやっている、沼らせテク『相手のペースに合わせず主導権を取る』だ。先人に学ばせてもらおう。
ルーレは工場だらけの街ではあるが、その活動のための燃料・動力源は、ゼムリア世界特有の、半永久機関エネルギー❝導力❞で行われている。したがって工場の煙や排気ガスによる環境汚染は、この世界においてほとんどない。山岳地帯であることもあって、早朝の空気は澄んでいた。
朝なので、RF本社ビルの正面ゲートは当然、閉まっている。
関係者専用の小さな出入り口の物理キーを開けて入り、1Fのエレベーターに乗ると、そこには先客が待ち構えていた。すぐに24Fのボタンを押し、扉が閉じられる。
それは《Ⅶ組》の赤い制服を着た、黒髪の青年。
だが、
―――この俺、リィン・シュバルツァーとそっくりな男だった。
「おかえり、俺。
傍目には全く見分けのつかないだろう、見事なドッペルゲンガーは、友人に話しかけるかのように気安く話しかけてきた。
「まあね。ご苦労だった、
「…………」
俺がそう言うと、その姿は、幻影のように消え去り、目元だけを隠す仮面の男の姿に変わった。
「お前には、後でもうひと仕事してもらいたい」
「……
男は貴族のように恭しく礼をした。
同日。ルーレ市内の軍需工場にて火災。
ザクセン鉄鉱山でテロリストが鉱員を人質に立て篭もる事件が立て続けに発生した。
鉄道憲兵隊とノルティア領邦軍は対応を巡って対立。
その膠着状態の最中、Ⅶ組A班は侯爵家息女アンゼリカとともに地下ルートから鉱山に潜入し、鉱員たちを救出した。人質を失ったテロリストたちは飛行艇で逃走を図るも、謎の大爆発を起こし、墜落。遅れて駆けつけたオリヴァルト皇子の監督の下、鉄道憲兵隊による迅速な現場検証が行われ、飛行艇の残骸からは、主犯格と見られる三人の遺体が発見された。
この日、《帝国解放戦線》は、壊滅した。
クレアとの絆が深まった!
好感度(絆ポイント)ランクアップ!
★★☆☆☆
――――――――――――――――
次回、「VS」
7話のアンケのとき、うっかり予告してしまったので「書くまでエタれんな」と思ってたクレア回をようやく書けました(解釈違いじゃないことを祈って)。
鉄血と魔女関連は設定が強すぎて、脳内シミュレータの負荷がきつくて、超難産でした。
次話からはちょっと楽になると思うんですが、この2話でエネルギー使いすぎたのと、この投稿間隔で1話だけ出されても……って感じもありそうなので、少し休んで書き溜めするかもしれません。