イシュメルガ=リィンでやりたい放題 作:それって
いつもの自室―――。
ベッドにぴったり隣り合って座った俺たちは、お互いの秘所を触りあっている。
俺は中指をシャロンの経験済み膣に挿入し、同時に指の腹でクリトリスを刺激。シャロン側は、この前のように彼女自身の脱ぎたてほかほかパンツを俺の一物に被せてのパンツコキだ。
本日のシャロンのパンティーは、アリサが履いているようなシンプルタイプ(紫)だ。どうしたのか聞くと、申し訳なさそうに逆にパンコキするときはこれでいいかと聞かれた。いつもの黒いセクシーな下着は俺のスペルマがべっとりこべり付くと目立つし、レースなので洗濯が大変らしい。
イシュメルガは「我が眷属が身に着けるモノは黒であるべきだ」と己がパーソナルカラーを主張するが、俺的には
「んっ……ふぁ」
最初はおずおずとだった行為も今では慣れたものだ。
俺の手の動きに合わせてシャロンも手を動かす。
「あんっ、あぅ……♥」
膣内をまさぐる度、か細く喘ぐメイド。気持ちよくなっているとは言ってくれているのだが、シャロンはおそらく
通常、経験が浅い女性をイかせるのは非常に難しいらしい。無論、おちんぽを突っ込めば即ハート乱舞で「おほぉ♥」となってくれるような童貞幻想を持っていたわけではないが、独り善がりではこちらも面白くないし、
とはいえ、他の女を抱かなければ
そういうわけで、俺はここのところシャロンの性感開発に励んでいた。
具体的には、彼女のクリトリスを重点的に責め、クリイキさせるのが第一目標だ。条件はクリアされつつある……。
「あっ、だめです。そこばっかり……♥」
「でも好きだろ?」
そう言って指先で軽く押し込むように
「ひゃう!?」
すると面白いくらいに反応してくれる。
「ほら、こうして弄られるの好きなんだろう? 正直に言ってくれ」
「……好きです……恥ずかしいですわ……♥」
普段はからかい上手な、悪戯好きの彼女が耳まで真っ赤にして羞恥に耐える姿を見ているのはとても愉悦感がある。もっと苛めたくなるな。
しかしシャロンの場合、あまりやりすぎると後での逆襲が怖くもある。彼女は本来責めの女――Sなのである。だから飴も与えるとしよう。
「よし、ちゃんと言えて偉いぞ。ご褒美をあげよう、ちゅ」
「んむっ♥」
唇を重ねて、甘いキスをしながら愛撫を再開する。
なので、続けながら今度は先程よりも強く激しく攻め立てる。花開きつつある彼女の淫らな雌しべからクチュクチュ♥という水音が部屋の中に響き渡る。
「~~ッ!!」
そして、とうとうその瞬間が訪れた。
ビクンと身体を大きく震わせ、声にならない悲鳴を上げる。
おまんこがきゅっきゅっ♥と締まった。シャロンは俺がイクとき、意識して締めているようだが、これは
「あ、イったか?」
「は、はい……♥ ご主人様のお指と口づけで、達してしまったようです」
はぁはぁと荒く息をつく彼女。
顔には汗が流れ、頬は紅潮している。
なるほど――――よし、掴んだ!
俺は彼女のご主人様として、気づきを与えてくれた彼女に感謝する意味でも、絶頂を迎えたばかりの彼女にもう一度深くキスをする。
「んんっ……♥」
シャロンも今度は自分から積極的に舌を動かしてくる。
俺もそれに応えるようにして、舌を絡め合わせ馴染ませていく。
やがてシャロンの方から顔を引き、そのままの状態で見つめ合う。
「ご主人様……」
もっと欲しいです。そんな潤んだ瞳でこちらを見上げてくるシャロン。
「今度は一緒にイこうな」
「はい……♥」
再び手を動かし出す俺たち。自らの高まりにあわせて激しくシゴいてくるシャロン。
俺の技術が向上しているように、彼女もまた、俺の一物という教材で手コキの巧みさを増している。さするような愛撫から、締め上げるような裏筋とカリ首へのマッサージに変え、射精欲を刺激してくれる。しばらくして限界が訪れる。
「―――イクぞ!」
「シャロンめもお供します……んんっ♥」
次の瞬間、頭が真っ白になり、同時に熱い液体が吹き出した。
シャロンの黒パンを余裕で侵食可能な俺の濃い白濁液を予備パンツのクロッチが受け止めきれず、その細い指先をも汚していく。
「はぁ…はぁ……いっぱい出ましたわね……♥」
一緒にイった達成感からか、嬉しそうに言うシャロン。
どうやら同時にイク行為は彼女にとってかなりよかったようだ。
「敏感なウチにこちらもいじってあげないとな」
そう言うと俺は空いている方の手を彼女の胸へと伸ばし、優しく揉みしだいていく。
「あん、うふふっ♥」
「む。じゃあこれはどうだ?」
余裕を見せるシャロン。今度は乳首を摘んで引っ張る。
「んっ―――痛っ」
「ああ悪い。強く引っ張りすぎたかな?」
そう言いながらも容赦なく続ける。同時攻撃のボーナス効果を狙うのだ。リーシャを乱暴に扱っている影響か、俺も結構Sっ気がでて来ているのかもしれない。
「ちょっ、待ってくださ……いたっ、痛いですわっ」
「嘘つけ、こんなにビンビンじゃないか」
「いえそれは、ご主人様が虐めるからで――」
「素直になれよ。本当は気持ちいいんだろ?」
《観の眼》を使い、痛いだけではないというのは見切っている。
あえて俺様な勘違い男風に、意地悪に言うとシャロンは目を逸らす。
「……はい、きもちいいです……♥」
「そうだろう? ほら、もうすぐイけるぞ。我慢せずにそのまま身を預けろ」
オラつき御主人様の囁きに、彼女の身体がビクッと震えた。
「うぅ……はい、わかりましたわ……♥」
よし、仕上げに入るとするか。
俺は左の乳房に吸い付くと空いた片方の手で秘所への愛撫を再開した。
シャロンの弱点は、すでに掴んでいる。
同時にクリトリスを擦りながら一定のリズムで刺激を続ける。
「あああっ、ダメですっ♥ イクっ! イッちゃいますぅっ♥」
数分後、一際甲高い声を上げた直後、彼女はぐったりと脱力した。そして封技を喰らって痺れたかのように小刻みに痙攣している。
「大丈夫か?」
「……………フフフ……リ・ィ・ン・様?」
う。艶然と微笑むシャロン。流石に調子に乗りすぎたか。
「今度は、わたくしがご主人様を気持ちよくする番ですわね?」
一片の慈悲もなく、たっぷり絞られることになった。
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7月中旬。はっきりと夏の気候となってきたトリスタ。
今日の俺はエリゼをトリスタ駅まで迎えにいき、放課後のトールズ士官学院内を案内している。
生徒の大半が半袖の夏服に切り替えている中、エリゼは《聖アストライア女学院》の制服――シスター服のようなデザインの長袖だ――で来たので少し暑そうだ。まあ、俺もエリゼも山育ちなので気温の変化には強い方ではあるが。
黒髪ロングをストレートに靡かせ、
俺は元々、エリゼはツンの配分が多すぎる感じがして好きではなかったのだが、(――は?)リィンの
「ここが兄様の通われている《Ⅶ組》の教室ですか……」
「はは……アストライアとあまり変わらないだろう?」
「はい。ですが、士官学校だけあってより実践的な授業が多いようですね」
「そうだな。座学もあるが実技の方が比率は高いかな」
「―――あら、その子がリィンの妹さん?」
ふいに何でも知っていそうな声をかけられ、振り向くとそこには金髪の美少女がいた。
「はじめまして。エリゼ・シュバルツァーといいます。兄がお世話になっています」
「私はアリサ・ラインフォルト。リィンのクラスメイトよ。よろしくね」
スカートの端を摘まみ、上品に挨拶をするエリゼ。
「はい。こちらこそ宜しくお願いします。……ラインフォルトというと、あの?」
「あはは……まあね。―――可愛い子じゃない♪
これはリィンも昨日からソワソワするわけよね」
「待て、言わない約束だっただろ?」
「ふふ……兄様ったら」
この頃、アリサはようやく《アリサ・R》とかいう帝国解放戦線風の自称を辞めて家名を名乗るようになった。だがまだ複雑な心境らしく、苦笑気味に応じて、むふふっという感じで俺に切り返してきた。
アリサも相当なルックスのせいか、エリゼがこちらを睨むように伺う。
別になにもない……ラッキースケベ後に和解をしてからは、アリサとはフラットな関係を保っている。先月のノルド高原では、星を見ながら語り合う素敵なイベントがあったのだが、イリーナとの交渉を怪しまれたのもあり、特に進展していない。
というか、アリサとは進展する気は無い。
彼女の悩みである、ラインフォルト家の家庭崩壊。壊れる原因となったのはフランツの死。直接殺めたのは《
つまり俺達が原因だった。混ざる前のイシュメルガの業を背負うつもりはないが、その力を利用し、
その上、マッチポンプでイリーナを強請り、今では“アリサのお姉さんのような存在”になったシャロンを言いなりにさせ、性奉仕を強要していると知られれば、完全に悪役だ。……許してもらえるとは思えない。
だが、リィンとしてはアリサへの思い入れは強い。なにせ『恋人でもないのに生徒やシャロンの前で抱き合う程度の仲』だったからな(…………)。
イシュメルガ=リィンの辿った世界線の未来では、最終的に、ミリアム以外の
閃の軌跡Ⅲ以降、
そもそも、いくら鈍感でも生真面目なリィンの性格で多数の女子の気持ちを“ほどほど”でキープする状態を続けるなんていうことは、通常ならありえないことだ。これが“呪い”……。意図せず世界の真実に触れ、愕然とするリィンだった。
そうして教室で雑談していると他の面々もやってきて自己紹介タイムとなり……そのまま無難に案内を終えて、エリゼを帝都まで送った。
「もう兄様……一人で帰れますから!」
「いいから。夕飯はどこかで一緒に食べよう」
シャロンには既に伝えてある。
―――どの道、帝都には用事があった。エリゼが来なければ
そんなことは露も知らないエリゼは兄の過保護をくすぐったそうにご満悦だ。前回のリィンは男兄弟が鬱陶しがられていると勘違いして、密かに傷つき、遠ざかっていたのであるが、女の気持ちとは面倒臭いものなのだ。その
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俺が帝都に行っている間、旧校舎の《試しの扉》が(恐らくセリーヌの誘導で)解かれたらしく、ユーシスと、たまたま居合わせたマキアス、
(……成長したなユーシス)
今でこそ帰寮部の俺だが、6月にシャロンが寮に来るまでのあいだは、ユーシスになかば無理矢理、八葉一刀流の技を取り入れた《宮廷剣術》を教えていた。
半年がかりで行うことになる『旧校舎の探索』。当初は前回通り俺が中心となってやっていたのだが、よく考えてみると
―――ユーシス・アルバレア。
帝国の各領邦を治める大貴族《四大名門》が一角、アルバレア公爵家の次男。しかし、妾の子であるため、完璧貴公子の兄ルーファス・アルバレアの“スペア”として蔑まれて育った。乙女ゲーでいう第二王子系の不遜なツンデレ男だ。
それぞれが帝国有数の才を持ちつつも、まだまだ雛鳥である《Ⅶ組》の中で、この男だけは、ルーファスという強すぎる『壁』を乗り越えないとならない。……強さで言えばアルゼイド子爵や、クレイグ中将などもそうだが、彼らは子供の成長を見守る親父サイド。一方のルーファスは誰も信じず、全てを裏切り、道具として用いるだけの孤高の天才だ。
まずは武力で対等となり、
『今の俺を形作るものは全て兄が教えてくれた』『
俺は、ユーシスには運命に諍うための武器が必要だと思った。兄に手ほどきして貰った剣術だけで兄に敵う道理はないのだから。ルーファスよろしく、自由行動日があまりにも忙しくて、探索が面倒だから
その考えに100%賛同してくれた仲間想いのリィン“教官”。未来においては剣聖として弟子を取ることも許されていたし、他流派のクルトに教えた経験もあるので、ノウハウは十分。あえて実戦スタイルのスパルタでいかせてもらったが、見事に成長し、芽吹いてきているようだ。
「思えば無茶苦茶なシゴキだったが……あの時間がなければ、今日の敵は倒せなかった。
…………礼は言わせて貰うぞ」
「はは……ユーシスにそう言ってもらえるなんてな。俺も教官冥利に尽きるというか」
互いの立ち位置が少し変わっても、ユーシスの尊大さは変わらない。リィンとして、なんだかそこに苦笑めいた感情が湧き上がりつつも、安堵する。これからも切磋琢磨するとしよう。そう言って拳を突き合わせた。
―――翌日の夕食後。
「……なんか、最近シャロンが綺麗になった気がするのよね」
「うん、雰囲気が華やかに感じる。恋でもされているのだろうか」
寮の食卓でアリサが世間話のように切り出し、ラウラがそれに乗る。
「確かに最近のシャロンさんはエロいな」
「ああ、正直目に毒だよ」
「フン、お前たち。最近鍛錬していないから溜まっているんじゃないか?」
俺の感想に唯一同調してくれるマキアス。そこにすかさず皮肉りにくるユーシス。他の男子――エリオットにガイウスは、女性に囲まれて育っているのでそうでもないらしかった。
「エロ……溜まってる……サイテー……! 男子ってこれだから!」
「いや。確かにエロい」
「……はしたないぞ」
「あはは……まあまあ。……エリゼさんに伝えてしまおうかしら?」
「ごめん、それはやめてくれ……」
はっきり言った方が逆に怪しまれないと思って言ったのだが、フィー以外の女子的にはデリカシーに欠けていた発言だったらしい。童貞を卒業して気分が浮ついていたか。
相変わらず俺とシャロンの関係は、悟られる様子はない。
しかし、シャロンの雰囲気の変化までは誤魔化せなかったらしい。
「そいえばリィンも最近、また変わったっていうか」
「はは、僕も思ってた! 落ち着きが出てきたよね」
精子、抜けてるからね。
地獄のオナ禁時代は、まじめに余裕がなく、妊娠適齢期の美少女しかいないⅦ組女子の何気ない所作にどぎまぎしてしまっていた。はっきり言って、サラ以外全員脳内で10回以上は孕ませたと思う。我ながらよくレイプしなかったものだと褒めてやりたい。
サラは「年上のお姉さん」ということで実はミスティさんとともに俺の筆おろし候補リストに挙がっていたのだが、こじらせ処女っぽいのとガチのアル中であることを目のあたりにし、そういう対象から外れ気味だった。
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はじめてシャロンを絶頂させることができ、女性の身体にも慣れてきた。今日はシャロンの身体を使って、さらに、よりしっかりと女を学ばせてもらうつもりだ。
「――あんっ♥ そうです、そこがGスポットです」
潮を噴かせてみたい。そんな俺の飽くなきおねだりにシャロンは若干笑顔を引きつらせながらもうなずいてくれた。
シャロンに膝立ちでスカートをたくし上げさせ、手マンをしている状態だ。秘所は既に止めどなく蜜を溢れさせている。
「えっと、ここから上部をトントンと刺激するんだったな」
ケインズ書房で買った『よく分かる女体の秘密』を“本物”認定した俺は、そこで得た知識をシャロンに試すのが楽しくなってきていた。
―――俺はまだ上手くなれる! 脳内で、
とんとん♥と軽く指で叩いていると、だんだん膨張してくるのが分かる。
くりゅ、ぴちゃ、くちゃ……♥
「~~~っ、もう許してくださいませ♥ 出てしまいます♥」
「股は閉じちゃだめだぞ」
太ももをもじもじさせるシャロンだったが、俺の制止を従順に聞き入れて開脚してくれる。
俺は《観の眼》で、膣壁の膨張が限界に達したのを察知すると指を引き抜いた。
「あああっ―――もう、駄目です♥ お許しを♥ ああっ!」
まもなくして、ぴゅーっぴゅっ♥とシャロンのおまんこから透明の液体が飛び出きた。
同時にシャロンも腰をカクカクさせて達していた。
おおっ、これが潮吹きかぁ。
手で受け止めたその液体を口元に持っていき舐めてみる。ほぼ無味無臭だった。
「どうやら、成功したみたいだな」
「もう、そんなに匂いを嗅がないでくださいませ。恥ずかしいです……♥」
そして、その後はご褒美ちゅっちゅをしながらお互いの身体をまさぐり合い、大丈夫な日(?)だそうなので、ラブラブキスハメに移行した。
「んんんっ♥ ちゅる……れろっ……んんっ♥」
正常位では未だに四苦八苦することもあるが、騎乗位ではシャロンが挿れやすいところに導いてくれるので、にゅるん♥とスムーズに挿入される。
「せ、セックスの時は愛を囁くのも効果的ですわ♥」
あ、好きって言われたいのかな。
「ああ。大好きだ、シャロン。愛してる」
「あ…………♥ ~~~~っ!」
耳元で囁く。それだけできゅんきゅん♥と膣を締めて、達してしまうシャロン。
えっ弱! キッチンでの手コキでも思っていたが、シャロンの性癖が、『愛の言葉攻め』であることは、間違いなさそうだ。
「―――わたくしも、お慕いしております♥」
軽イキしながらも息を切るように愛を綴るシャロンの健気さに感じ入り、支えるように抱きしめて絶頂に専念させてやる。
「―――シャロン! いくぞ!」
「は、はいぃ……お供させていただきます、ご主人様♥」
互いに抱きしめあいながら、俺たちは深く繋がり、同時に絶頂した。
びゅる、びゅるるるっ!
シャロンの膣内に濃い精子が出ているのを実感する。
「改めて、お慕いしていますわ、ご主人様……ぢゅう、ちゅぱ♥」
「ううっ……ああ、“こちらこそだ”。シャロン」
―――イキながらシャロンの耳舐め奉仕を受け、俺もそんなシャロンを心の底から愛しく思ったのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
――――そうして、特別実習日がやってきた。
7月24日、早朝。
早起きして装備や物品を整えた俺たちは、駅の待合室で、思い思いに列車を待つ。
●命中1
●妨害2 -時-
●行動力2
●練気 -火-
●クロノドライブR -時-
現在の俺の
トリスタ駅は第三学生寮の真隣にあるので、徒歩0分なのだが……。実習日、トリスタ駅前のショップ店員は学院の要請で、わずか10人程度のⅦ組のために
俺たちA班のメンツはラウラとフィー、マキアスにエリオットの五人。前回同様、ラウラがフィーを
しかし――。
「―――フィー。改めて、今回はよろしくな」
「ん? …………ラジャ」
眠そうなフィーの、洗いざらしな銀髪を撫でる。
彼女が、今回のキーだ。
『高名な猟兵団に
戦力的にはアルゼイド流の剣士として既に高い水準にあるラウラとほとんど同格。だが、
エレボニア帝国の首都、《緋の帝都》ヘイムダル――。
トリスタの隣町……というよりトリスタがヘイムダル近郊にある。
大陸横断鉄道、クロイツェン本線で30分程度。大体、東京の端から都心にいく程度の距離なので、クロスベルと違って放課後にもいける範囲だ。帝都から通学している生徒もいる。
「あっという間だったね」
「ああ。今回はろくに
「えっと、構内に案内の人がいるんだっけ?……」
周囲は人混みの波。
帝都は人口80万人とも言われる帝国最大の都市。その中心部、皇宮に程近いヘイムダル中央駅に着いても、妹エリゼの通う聖アストライア女学院などは視認すらできない。
広大すぎるのだ。そのため、駅からさらに《導力トラム》と呼ばれる路面バスを使って移動するのが帝都での主要な交通手段となる。
実習初日と2日目は、マキアスの父――カール・レーグニッツ帝都知事が手配してくれた、ほどよい難易度のクエストに明け暮れた。現在の帝国では、遊撃士協会支部の大半が閉鎖されているため、本来遊撃士がやるような仕事も、帝国軍属の軍警である《憲兵隊》や、各地方の《領邦軍》兵士が請け負っている。とはいえ、市民の相談事というのは警察だけで捌き切れるようなものではない。実習クエストの多くは、そこからあぶれたような失せ物探しや、魔獣退治などである。
最終日の3日目。初日に知事との面会場所を貸してくれた、《
そして、《帝都夏至祭》の幕は開き……
午後、帝都北東の外れに位置するマーテル公園。そこに併設されたガラス張りの温室植物園――《クリスタルガーデン》では、帝都庁主催の園遊会が行われていた。今回、招かれているのは皇女と一定以上の貴賓のみ。近衛兵により公園一帯に厳戒態勢が敷かれ、警備は万全かに見えた。
だが、テロリストは公園に複数の魔獣を放ち、警備を撹乱。さらに
「――ラウラは敵の前面に出て注意を逸らしてくれ。マキアスとエリオットはラウラの援護を」
「心得た!」「わかった」「了解!」
慌ただしく怒号が飛び交う公園の隅で、作戦説明。
『HP1』クオーツを付けた、最もタフな前衛であるラウラに陽動してもらい、俺が背後から奇襲する。ラウラは女子ではあるが、俺以外の男子二人は後衛なのだ。いつになく真剣な俺の声色に全員が緊張感を持って動いてくれる。続いて、一際小さい少女に向き直る。
「フィーは俺に追従してくれ。俺たちは人質を取っているテロリストの腕を狙って銃を落とす。フィーは手前の奴を頼む」
「……
Jaは『了解』の意で、猟兵が好む表現だ。フィーは一目周囲を見た。近衛兵はテロリストの放った魔獣に応戦しているが、彼らは帝都憲兵隊と指揮系統が異なり、憲兵側も連携が取れずパニックになっている。故意の独断専行となるのを気にしたか? しかしこの場は拙速が勝る。
(はぁぁ……)
俺は、帝都の武器屋で新調したばかりの太刀『紅雪刀』を構えた。
少し恥ずかしいのだが、腹を括る。
「トールズ士官学院Ⅶ組A班、これより作戦を開始する!
―――総員、人質の救出を最優先とし、尽力せよ!!」
「「おおっ!」」
号令と同時。ラウラが先陣を切り、クリスタルガーデンの正面玄関に入っていく。
俺とフィーは一足遅れて、姿勢を下げ、背後の木林地帯に回り込む。
「ARCUS駆動――クロノドライブを掛ける」
――――
完全に手段を選ばないのであれば『ホロウスフィア』を使い、ステルス状態で背後に回るのだが……なぜエニグマを持っているのか説明が出来ないので、実習では置いてきている。
真正面から突っ込んでいったラウラたちの口上を尻目に、俺たちは息を殺し、テロリストたちを一息に狙える距離に到達した。よし、全く気づかれていない。
「行くぞ――――そこだ!」
八葉一刀流・四の型。脇構えからの『紅葉切り』。
昏紅の刀身が煌めく。俺は、≪G≫――ギデオンの背後にいるテロリスト二人を矢継ぎ早に斬りつけ、持っていた導力ライフルを弾き飛ばした。
……フィー、必要なかったな()。
「―――なにっ!?」
背後を取られ、驚愕するギデオン。
……対応が遅すぎる。所詮は元大学教員の民間人か。“教授”だからといって誰もが強者というわけではないらしい。
「リィン……私の仕事」
「悪い。――お怪我はありませんか? 殿下」
「は、はい……!」
ジト目で睨みつつも器用に双銃剣を振ってエリゼの縄を解いてくれるフィー。同じように俺も、金髪の姫君の拘束を解く。
「なんてお礼を言ったらいいか……」
「礼には及びません、殿下。どうか俺の後ろに」
感に堪えないという声をしたアルフィンには悪いが、本音を言えばエリゼを優先したかった。しかし、皇族を下に扱うことは許されない。それは家名にも泥を塗る行いだし、今回に限っては、両方助けて最高の結果を出せばいいだけのことだ。今の俺には、それが叶う。
震えるアルフィンを後ろ手に庇い、俺はギデオンを見やった。同じくヤツを睨み据え、大剣を構え直すラウラ。挟み撃ちだ。
「――――ここまでのようだな?」
「ク、クソ! ―――お前たち、ここにいる全員を喰らい殺せ!」
一転して窮地に陥ったギデオンは、トカゲとワニの中間のような大型魔獣《グレートワッシャー》を嗾けると、突如として銀色の笛を奏でた。
『『ヴォォォオオオ!』』
途端、それまで大人しくしていた二匹が威嚇的な咆哮を上げる。この魔獣は
「追う?」
「いや……この場の安全が最優先だ。まずは魔獣を撃破しよう」
「ん」
フィーに短く確認されるが、流石に周囲の人間を庇いながら三人で戦わせるのは荷が重い。
一旦ラウラチームに一匹を任せ、もう一体を受け持つ。フィーとの戦術リンクによるラッシュでつつがなく各個撃破に成功した。
そして―――。
「兄様……!」
「エリゼ! 本当に良かった」
駆け寄ってくるエリゼを、恋人のように深く抱き留める。
「あはは……なんか兄妹以上に見えるって言うか」
「らぶらぶだね」
エリオットに同調するフィー。
A班全員から例の汗エフェクトが幻視されたような気がした。
いや、前回はテロリストどもに攫われる中、
人質二人の前で斬り殺すとトラウマになりそうだと思ったので、テロリストどもは生かして拘束しているが……できれば俺の手で斬刑に処してやりたいところだ。
「ク……
「あ、ああ。……もちろんだ、任せたまえ!」
「……エリオット。一応、
「え? うん、わかった」
「おい!」
パトリックは、貴族クラスの嫌味なお坊ちゃまだ。《四大名門》の家柄のため、園遊会に参加していた。エリゼと皇女をこの男の下に残すのは躊躇われたが……、今は、
その場をエリオットに任せ、残りのメンバーで追跡する。
―――帝都地下水道。
クロスベルにジオフロントがあるように、帝都には古代から地下水道が張り巡らされており、魔獣が多数生息している。俺とラウラが先頭に立ち、最短ルートの魔獣だけを片付けていく。ラウラが「ここで鍛錬できる帝都民が羨ましいな」とズレた感想を言った。
人質が居ない分、ギデオンは思ったより遠くに逃げていた。
「ここまでか――。と、言うとでも思ったか?」
進んできた通路に比べると、比較的広めの
「骨の……魔獣?」
「竜の屍……!」
「こ、これはいくらなんでも!」
ヤツの奥の手――《暗黒竜の抜け殻》ゾロ・アグルーガ。
その巨体はこちらの背丈の二倍以上ある。豊富な魔獣討伐経験を持つ強者女子二人は静かに警戒を強めるが、都会っ子のマキアスは動揺の声を上げる。
「―――行くがいい、暗黒時代の魔物よ!
愚かな若者どもに無慈悲な鉄槌を下せッ!」
ギデオンは
(だけど……そうか……)
未来において、リィンはこの機会とは別に、蘇りつつある“真の暗黒竜”と相対している。
それはエマの見立てで、《
ならば、そんなもので俺たちを阻むことはできない――。
刀を構えた、その時。
俺の前に、ギデオンとは別の、黒づくめの仮面の男が立ちふさがった。
「《C》、なぜ――?」
『リィン・シュバルツァー。やはりお前は“別格”のようだ。私が相手になろう』
地下に変声器独特の合成音が響いた。
シャロンとの絆が深まった!
好感度(絆ポイント)ランクアップ!
★★☆☆☆