※この作品はR-18です。

イシュメルガ=リィンでやりたい放題   作:それって

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据え膳エリゼ

 

 8月5日。学院の許可を得て、俺は帝国北部にある地元ユミルに帰郷しようとしていた。

 伝統あるトールズ士官学院の『貴族特権制度』。貴族生徒に限り、将来の領地運営の勉強の名目で一ヶ月近い帰省――実質上の《夏休み》が認められるのである。

 

 

「―――道中、気を付けるのだぞ」

「ユミルは、北の寒冷地だったか。この時期には羨ましいな……」

「ふふっ、楽しんできて下さいね」

「ズルい」「いいなあ」「むぅ、暑さから逃げたわね……」

「はは……お土産買ってくるから許してくれ」

「フッ、せいぜい期待しておこう」

「それなら私には地酒、よろしく頼んだわよ♪」

「またな、リィン。風と女神の加護を!」

 

 トリスタは猛暑。Ⅶ組面々の、一部恨めしそう(フィー、エリオット、アリサ)な視線に見送られて、俺は出発した。ユーシスとラウラも貴族出自で家の爵位も上なのだが、どちらも申請しなかったため、休暇は俺だけだ。……サラのリクエストは兎も角、お土産は奮発しないとならなそうだな。

 

 

 ユミルは、田舎である。まず、ヘイムダル中央駅でエリゼを拾い、6月にも利用したノルティア本線で州都ルーレへ。ルーレ駅からは鈍行列車に乗り換え、ユミル山の麓までいき、そこからさらに山岳鋼索鉄道(ケーブルカー)で1時間弱。合計8時間の長旅だ。

 

 ユミルの転位門(精霊信仰の碑石)は街から近い方だ。なので《精霊の道》を使えば一瞬だが、監視の目を考えると面倒でも通常の交通手段を使わざるを得ない。《C》の被疑者が近くにいるため、鉄道憲兵隊(クレア)が鉄路や空路の利用記録に目を光らせているのだ。

 

「ふふっ、久しぶりに家族水入らずで過ごせますね」

「ああ、楽しみだ」

 

 だが、道中はエリゼとたっぷりお喋りできるので苦ではない。エリゼは夏至祭以降、気持ちの裏返し的な情緒不安定ぶりが幾分和らいで、無自覚っぽい、ストレートな兄様好きアピールをしてくれるようになり、ますます愛おしくなった。

 

「そういえば。兄様はミルディーヌをご存じなのですか?」

「…………ああ、エリゼの後輩だろう。何か言われたか?」

「言われたというか……兄様のことを沢山聞かれました。好きな物とか」

「そうか。あいつ、友達居ないっぽいから仲良くしてあげるんだぞ」

「はい、もちろんです。ただ……普段はどことなく壁があって……」

 

 ルーレ方面にいく列車の中。シャロンが二人分のお弁当を作ってくれたので、食べながら話していると噴き出しそうになった。デートのことは秘密にしてくれたようだ。―――信じていたぞ、ミュゼ。情報戦を制する気だろうが、これは想定の範囲内。

 せっかく秘密の思い出(・・・・・・)を作ったのに、大好きな兄様(俺)の話ばかりしているらしいエリゼに秘密を喋ってしまうようであれば、脈がないと判断せざるをえなかった。

 俺はミュゼとの出会いを下心部分はカットで話していく。

 

「―――あのときでしたか。あれ? どうして、声を掛けて下さらなかったのですか?」

「だって、アルフィン殿下と一緒にいたし。前は不機嫌になってただろう……」

「あれはその……申し訳ありませんでした……。――ですが! 兄の訪問を喜ばない妹などおりません! 今後は、どんなときでも構わずお声がけいただきたいです」

 

 普通に居ると思うけどな。

 エリゼは、放課後、アポ無しでいくとわりと忙しそうな日も多い。また、アルフィンと一緒にいる時に声を掛けると愉快な性格をしている彼女にからかわれるので、不機嫌で手が付けられなくなっていた。その辺はまだまだ子供というか、普通の家族と同じ感覚だな。

 日陰公女とのひと時(ミュゼタイム)は基本、そういうスキマ時間を活用してきたのだが、今後はどうするべきか……。

 

 ノルティア本線・支線は、他の領邦の路線と異なり、停車駅が少ない。ルーレを過ぎると街らしい街は皆無になるので、お昼はルーレ駅の改札を出て、ゆっくりすることにした。エリゼと恋人繋ぎで近代的な街を見て回り、その後少し買(・)い(・)物(・)もしたため、ケーブルカーに揺られてユミルに到着した頃にはもう夕方に差し掛かる頃だった。

 

 久々のユミル―――。

 集落のような小さな街だ。なので、駅に到着するなり、広場にいた人間全員から言葉を掛けられ、挨拶祭りになった。俺(・)としては初めてくるわけだが、未(・)来(・)側(・)のリィンに引っ張られて熱い懐郷の念が生じる。だが、この時間軸のリィンとしては、半年ぶりぐらいか。なんか混乱するな。

 

 ユミル駅から足湯広場を挟んですぐ目の前にある、二階立ての屋敷がシュバルツァー邸。俺たちの実家である。

 

 

「あら、おかえりなさい―――」

「遅かったな、ようやく帰ってきたか」

 

 

 テオ父さんもルシア母さんも子供達の帰郷に張り切ったのか、夕飯は豪勢で美味しかった。食卓では土産話に花が咲く。Ⅶ組の気の良い仲間たちのこと。エリゼの女学院での生活、俺が帝都のガルニエ地区に遊びに連れて行ったこと。そして、夏至祭のこと……。

 話題は尽きなかった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 帰郷の翌日、シュバルツァー邸の執務室。

 ユミルの領主である、父テオ・シュバルツァーと俺は向かい合っていた。

 

 名目上とはいえ、学院に提出する領地運営の実績は作らないとならない。そして俺はそれを❝名目❞で終わらせるつもりはなかった(・・・・・・・・・・・・・・)。

 

 トールズの端末室で作ってきた事業計画書の束をテオに見せる。

 

「これなんですが……」

「『RF(ラインフォルト)グループ共同・導力ネットの導入計画』?

 ……RFは、ルーレの重工メーカーだったな」

「はい。同級生に現会長の娘さんがいて、(都合の)いい関係を築くことができました」

「導力ネットとはなんだ?」

 

 

 そこからかー……。

 IT音痴の家族にネットのことを話すのはなんだか気恥ずかしい。案の定と言うべきか、反応は良くない。ユミルは過酷な山岳地のはざまにある温泉郷――観光地だ。

 

 シュバルツァー家の家訓も「民に寄り添うべし」。

 この家は代々、貴族らしからぬ貴族のようで、テオも暇があれば山にいって狩猟をする狩人のような生活をしている。自然と寄り添って生きるナチュラリスト傾向が強いんだよな。

 テオは、良い意味でも悪い意味でも頑固者なのだ。ハイテク産業に良い印象を持つわけもない。

 

 ただ、俺としては「そ(・)ん(・)な(・)だ(・)か(・)ら(・)猟兵に襲撃されて重傷を負うのだ」とも思ってしまう。

 レグラムには道場があったが、ユミルには非武装の民間人しかいない。

 領主(テオ)一人しか戦闘できるものがいない現状は論外だ。武装組織に狙われたら一溜まりもない。

 

―――11月の内戦の初動。帝都は貴族派に占領される。

 そこで、アルフィン皇女とエリゼは、皇子(オリビエ)の依頼を受けた遊撃士(トヴァル)に帝都から救い出され、中立派でありエリゼの父でもあるテオ・シュバルツァー男爵の庇護を受けるべくユミルに向かう。

 

 その結果、功を焦ったアルバレア公爵は、猟兵を用いてユミルを襲撃させる。リィンたちは猟兵を撃退するも、すでにテオは重傷を負った後……。そして、アルフィンとエリゼは謎の少女(黒兎)に連れ去られてしまう。それが前回の歴史だ。

 

 これはリィンやトヴァルの力不足が招いた結果だろうか?

 俺はそうは思わない。

 根本的には、ユミルに国力――武(・)力(・)がなかったせいだ。

 

 《結社》が関わると、どんなに武力を持っていても捲られる(拉致される)可能性はある。だが、少なくともテオが傷つくことは、武力で阻止できたことだ。《黄昏》の時も、帝国軍を邪魔する《灰色の騎士》の故郷(急所)として、ユミルは襲撃の対象になりかけている。その未来を知っていて、なにも手を打たないのは愚かだろう。

 

 だから異界者しぐさ(オリ主テンプレ)である「内(・)政(・)チ(・)ー(・)ト(・)」で自領地(ユミル)を強化しようと思ったわけだ。

 

 

 テオの机に置かれた計画の大意を簡単に言えば、『富国強兵』。

 導力ネットで通信インフラを整えた後は企業誘致や、麓の森を切り開いて空港を作る事で経済を強化すると同時、私兵と遊撃士の役割を兼ねる『黒の騎士団』を結成する。

 

 当然のことだが、経済力がない領地で、武力は維持できない。

 四大名門でも格付けがある。鉄鋼という資源があり、RFの大株主でもあるログナー侯・ノルティア領邦軍、海上交易で巨万の富を築いているカイエン公(ラマール)の領邦軍は練度が高い。一方で、戦時には価値が低下する高級嗜好品と税収頼みのアルバレア公(クロイツェン)の領邦軍は、ユーシスには悪いが、素行も含めて質が悪いと感じられた。

 

 兎にも角にも、強い軍隊にはそれを支える資金力がある。

 俺はそれをと(・)あ(・)る(・)二(・)社(・)との取引で充足しようとしていた。

 

 一社はもちろんRFグループ。ユミルはルーレの隣町であり、ノルティア州にある。計画はその一員として、RF本社のあるルーレから導力ネットを引っ張りつつ、設備投資をさせるのが前提となっている。

 

―――なぜ導力ネットなのか?

 

 RFグループは独立採算制であり、イ(・)リ(・)ー(・)ナ(・)は(・)会(・)長(・)で(・)は(・)あ(・)っ(・)て(・)も(・)支(・)配(・)力(・)は(・)弱(・)い(・)。現状イリーナが独断で動かせるのが直轄の《第四開発部(導力ネットとARCUS)》しかないからだ。他の分野では他の取締役や株主を説得するための理屈が必要であり、通常なら田舎(ユミル)の開発など馬鹿げたことと一蹴されてしまうだろう。

 

 そこで、もう一社。俺は導力ネットを繋げるのを条件に、《エルフェンテック(レミフェリア資本)》の帝国拠点として、ユミルへの資本投入を確約してもらっていた。

 こちらは代表権を持つリーヴが支配株主でもあるため、リーヴの決定が全てだ。エ(・)ル(・)フ(・)ェ(・)ン(・)テ(・)ッ(・)ク(・)は(・)悪(・)徳(・)企(・)業(・)で(・)は(・)あ(・)る(・)が、それゆえに(・・・・・)、リーヴに対して俺は何本もの伝家の宝刀を有している。投資が損でしかなくてもそれ以上のメリットを彼女個人に示せればいいわけだ。

 ユミルを強くするには現状、最善に近い手だと俺は自信を持っていた。

 

 しかし――――、

 

「だが、リィン。やはりお前の計画には賛成できない」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 ユミルには、皇帝家が建てさせた《鳳翼館(おうよくかん)》というロイヤルな宿泊施設がある。といっても、働いている者はみな地元民なのでリィンの知り合いだし、かなり気安い雰囲気だ。リィンはここの露天風呂が好きで、よく利用させてもらっているのだ。

 

 ゼムリア世界では、風呂に『湯着』を着て入るのが主流だ。日本においてはタオルを湯船に浸けるのはホコリや垢で湯を汚すのでバッドマナーなことが多いが……と違和感を持つと、同時にリィンとしては「気にしたこともなかったな、プールや海は水着で入るわけだろ?」という言い分で、逆に成る程……となり何も言い返せなかった……。

 

 そんなクソどうでもいい脳内会議をしながら露天風呂の温泉を満喫していると、エリゼが入ってきた。――この世界ではわりと普通のことだ。湯着を着ているので、近しい者同士なら異性でも混浴する風習がある。

 

 しかし、このタイミング……テオとの話を立ち聞きしていたのだろうな。

 

「エリゼ……」

「兄様。……お背中、お流しします」

「そうか、ありがとな」

 

 エリゼはピンク色の湯着の上から身体に湯をかけ、温泉に入ってくる。

 そして俺に近寄り、ぴったり背中合わせに隣り合った。

 

 

「……改めて、夏至祭ではありがとうございました」

「はは……殿下にも言われすぎて流石にもう耳タコだぞ。それに妹を守るのは俺(兄)に取って当然の務めだ。お前は恩に着る必要すらないよ」

 

 昨日の夕食でもエリゼは両親に俺の武勇伝をニコニコ顔で語っており、少しくすぐったかった。自分の欲を追求した結果なのに―――今回、テロリストからエリゼを完全に守り通すことが出来て、自分でも驚くほど安らかな気持ちになっている。俺は向き直り、エリゼの髪を優しく撫でた。

 

 思えばリィンが覚醒するのはいつもエリゼのことだった。幼少期に魔獣から救った時も、❝前回の❞第一の試しの時も、あの内戦を戦い抜けたのも……。エリゼのことだから頑張れるのだ。

 

 この少女(妹)をずっと守っていく。そんなリィンの気持ちに俺もシンクロしてしまう。

 

 前回の❝宿題❞。一人の女性のために、エリゼを捨てられるのか?

 

―――断じて、否である。

 

 

 俺(リィン)の未来にエリゼがいないなんてありえない。

 だからこそ今、伝えよう。本当の気持ちを。

 

 

「―――――エリゼ。俺は……お前の気持ちに気づいていた」

「兄様……?」

「だが、俺はシュバルツァー家に拾われた《浮浪児(・・・)》。お前の気持ちに応えられるわけもないだろう。拾ってもらえただけでも大恩あるのに……あまりに図々しすぎるじゃないか。―――そんな思いで、気づかないふりをしていたのかもしれない」

「そんな、こと……」

 

 テオにも告げた、過去と未来を交差した今(・)ま(・)で(・)のリィンとしての本心。出自の知れぬリィンを養子として迎えたばかりに、テオ父さんは貴族社会で誹謗を受けるようになった。その引け目からトールズ卒業後、家を出ることを考えた。エリゼの将来に迷惑をかけないためにも。

 エリゼが悲しげに顔を伏せる。

 

「だけど―――俺は―――この前の帝都で気が変わってしまった」

「え?」

「テロリストに捕まっているお前を見た時、

 エリゼを絶対に他の男に触れさせたくない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)と思ったんだ。

 それもこの先、一生。誰にも。当然、お前の婿になる相手にもだ」

「………あ…………え?」

 

 

 婿? 話が見えず、混乱するエリゼ。こう言うべきだろう。

 

 

「好きだ、エリゼ。

 

―――妹としてだけではなく、一人の女の子として」

 

 

 顔を上げたエリゼが、嘘――――という感じで、口元を覆った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――――この件については、もう一人の俺(リィン)と何度も激論を繰り広げてきた。エリゼを幸せにできるのはリィンしか居ない、ゆえに「自分のモノ(女)」にすべきだという俺と、あくまで「大切な妹」であって不可侵であるべきとする兄リィンとの無限相克―――。

 

 

 それが、帝都で俺に傾いた。

 

 

――――テロリストに銃を突きつけられ、怯えるエリゼの表情。

 そして、エリゼに一目惚れしたパトリックの卑しい視線(※リィンの感想)。

 

 

 パトリック、テロリストの下っ端、それに近い未来(11月)、またもやアルフィンとエリゼを誘拐しようとする猟兵や、それを影で糸引く黒幕であるルーファス。あるいはもっと先の未来、銀行の頭取の息子とかいう、万死に値する三馬鹿。

 

 こいつらはエロ同人の竿役(・・・・・・・)になりえる。

 

 

 俺は否応なく、彼(・)ら(・)竿(・)役(・)に(・)無(・)理(・)矢(・)理(・)犯(・)さ(・)れ(・)る(・)エ(・)リ(・)ゼ(・)を連想した。妄想してしまった。

 

 たとえば―――――俺がリーシャにしているようにパトリックに催眠を掛けられて肉便器にされていたり、猟兵や件の三馬鹿にグノーシス漬けにされて輪姦されたり、ルーファス27歳のオトナでねちっこい超絶性技に快楽堕ちさせられた後、NTRビデオレターを送ってくるのだ。勝ち誇ったような悪の笑みを浮かべるルーファスの腕に抱かれる蕩けきったエリゼ。

 おのれルーファス許せねぇ……。

 

「やめてくれぇえええ!!」

 

 リィンが、閃の軌跡Ⅰの最後(オルディーネに敗走した時)みたいな迫真さで絶叫した。

 

 それで割れたガラスのように崩れ去る妄想ヴィジョン。

 

――――だが、もし、それが現実になってしまったら? 

 

 まあ、実際ルーファス(アルバレア兄弟)はもっと小(・)さ(・)い(・)子(・)が好きなはずなので、エリゼは微妙に対象外と思われるが……、年頃の乙女が拉致されるという時点で、可能性が生じてしまう。エリゼのファーストキスや処女がこいつらに無惨に散らされる可能性はゼロではないのだ。

 ならばこそ成立するエロパロ(IF妄想)。

 

 NTRで脳が破壊されてしまう。

 俺とてそれは絶対に嫌だ。俺は《独占厨》だ。

――――独占厨とはなにか? 寝(・)取(・)る(・)の(・)は(・)良(・)く(・)て(・)も(・)寝(・)取(・)ら(・)れ(・)は(・)ダ(・)メ(・)。自分は好き勝手に色々な女に目移りするのに、自分の女が他人に触れられるのは許容できないという、自己中な束縛性癖である。そしてそれはハーレム厨(全て吾のモノ)のイシュメルガとは概ね(・・)相性がいい。

 

 2対1。リィンが義妹属性のない俺をエリゼ好きに変えたように、俺たちもまたリィンの性癖を少しずつ浸食してしまったのだろう―――。

 

―――それが嫌なら(だったら)、先に俺(リィン)だけのモノ(エリゼ)にすればいいだけのことだ。それも前も後ろも全ての処女を奪い、俺専用の雌犬義妹妻(・・・・・・・・・)に完全に調教しきるべきだ。(ん?)それでエリゼを盗られることは無くなる。その囁きにリィンは、ついに屈した。

 

「ああ、その通りだ――――」

 

 奇しくも、それはいつかのクロウの、すべてを振り切る覚悟の言葉であり、最終相克における、自身の同意の言葉だった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 瞑目から瞼を開く。

 

「エリゼ。俺の、俺だけのものになってくれ」

 

 エリゼの華奢な肩を掴み、しっかりと見据えて、俺は言った。

 

「――はい、もちろんです!」

 

 歓喜の涙をぬぐうこともなく、エリゼは微笑んで、即答(・・)した。

――――ん? もうちょっと葛藤とかないのか?

 

 

「あの……兄様、キス……して下さい。夢なら醒める前にお願いします」

「あ、ああ。夢じゃないぞ」

 

 俺から言おうと思ったのに、エリゼから祈るようにおねだりされてしまった。

 

 だが、こちらも既に腹は括っている。

 

 エリゼのファーストキス(取り返しの付かないもの)を頂く。

 もちろん最初から舌を入れるみたいな童貞ムーブはしない。

 頬を伝う雫を指でぬぐってやり、俺の中で最強の❝女の子が憧れる王子様キス❞をイメージする。

 

 俺は『壁ドン』(女を壁際に押え込む)に続く二の型、『顎クイ』(女のアゴを指で掴み、クイッと引く)を使い、エリゼの顔をこちらに向けさせた。

 

「……ぁ…………」

 

 頬に赤を差し、目を閉じるエリゼ。

 

―――月明かりが照らす、温泉の中で口付けを交す二人。

 

 

 エリゼ(義妹)の唇の感触に意識を集中し、ファーストキスを味わう。

 それは、バニラのように甘く心地良かった。

 

 一度唇を離し、もう一度(セカンドキス)。続けて、サードキスも、数えきれる範囲のエリゼのキスはすべて奪っていく。キスの無仭剣。

 

 さらに――それはエリゼの方から破られた。

 

「っ……んむ」

 

 エリゼの方から舌を入れてきたのには驚いたが、それだけ恋い焦がれ、求められているということだろうか。だったら―――こちらも遠慮はしないぞ?

 

―――エリゼのキス顔は……目を「><」にしてがむしゃらだ。……かわいいが、これではエロより保護欲が先に来てしまうな。

 かなり無理をさせている。一旦離そう。

 

「エリゼ、落ち着いて」

「………」

「ゆっくりで良いんだ。俺はもうお前から眼を背けない。居なくなったりしないから」

「あ………」

 

 そういって、エリゼを少し落ち着かせる―――

 

「今度は目を開けて(・・・・・)キスしよう。いいか?」

「ぁ……ぇ? はい、兄様」

 

―――わけはなかった。

 

 至近距離で、互いの瞳を見つめ合いながら(・・・・・・・・・・・・・)キスを再開する。

 触覚だけではなく、お互いの目線や舌使いを確認することで、視覚でも聴覚でも自分たちの意思でキスしている(・・・・・・・・・・・・・・)ことを意識させるのだ。

 エリゼの、透き通った翠色の瞳が切なく揺れている。

 

「ちゅ、ちゅ、ちゅう………ぷちゅ……れろぉ……♥」

 

 啄むライトキスに戻り、昂ぶりを高め、また巧みにベロチューに誘導する。彼女(・・)たちの薫陶が活きていた。情欲が音を立てて加速していく。

 

「ふぅ……」

 

 長く、ドスケベな接吻を終え、唇を離すと、名残惜しそうに糸を引く唾液が切れた。エリゼの顔は真っ赤に染まっていたが、それは湯あたりによるものではないことは明らかであった。

 

「う……あの兄様……その、私のお腹に……」

 

 俺の《巨(おお)イナル一物(いちもつ)》が湯着の上から70°にそそり起ち、エリゼのお腹を叩いていた。

 

 

 瞬間。俺の中で「ここからセックスまでいけるかどうか」――後始末のリスクから、推奨体位まで、超高速で思考が展開される。ミュゼの異能に匹敵する3コア並列思考だ。

 

 時間帯的に別の人間が入ってくる可能性は低いが……一応因果律操作で入ってこれないようにするべきか? すべきだな。《鳳翼館》の人たちには悪いが……一生で一度のエリゼの処女エッチなんだ、許して欲しい。水場なので後始末も簡単だ。いや、俺の精液の量では排水溝が詰まる恐れがある……それも後で掃除を買って出れば良いか――。両親のこと。ルシア母さんに露見する可能性は……120%バレるな。イシュメルガの影響でこれでもかと用意周到になっている俺はともかく、エリゼに腹芸は無理だ。だが、母さんは俺たちが結婚すればいいと思っている。何も問題はないのでは? 祝福してくれるだろう。俺の女事情がバレさえしなければ、だが。テオ父さんは、まあ反対するだろうが、最終的には認めてくれると考えられる。貴族にありがちな政略婚姻的構想を全く持っていないし、エリゼの婿として俺以上の相手は見つけられまい。ゆえにエリゼが完全にその気なら認めることしかできない。男親はそんなものだ。最大の問題は露天風呂の硬い床でエリゼを寝かせられないと言うこと。ある体位が思い浮かぶ。駅弁――。男が立ったまま、女に抱きつかせ、女の尻を持って腰を振る体位だ。男側の筋力が要求されるが、俺は鍛えている、全く問題が無い。だが、初体験であまりにアクロバティックすぎないか? 深く挿入されるので恐らくエリゼも痛いだろう。湯の中での対面座位は?―――却下。湯の中では潤滑油の愛液が飛散して挿入が辛くなる。リーシャで体験済みだが、あれはもう爛れた蜜壺肉便器なので、処女相手に通るかどうか。そうなると―――

 

 

 やはり駅弁だな。

 椅子に座らせ、俺が屈んで愛撫してから、対面座位でゆっくり挿入破瓜からの対面立位(駅弁)。これでいく。

 

 

 決断した俺は立ち上がると、エリゼを浴槽の横にある檜造りの椅子に座らせた。

 足をM字開脚のように広げさせる。

 エリゼの秘所に毛はなく、未成熟な少女のまんすじをしている。

 そこで俺は、エリゼに指先で自分の穴を広げるように命じた。

 

「えっ?……兄様?」

「エリゼの全てが見たいんだ。聞き分けてくれ」

 

 静かに兄っぽく言うと、一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに意味を理解したようだ。妹と言っても義理であり、つまりはただの男と女(・・・・・・)だ。なのに兄妹プレイ(・・・・・)をしているのが俺たち。それともプレイではなく真の兄妹のまま男女の一線を越えようとしているのか。どう考えても倒錯的で、頭が茹だって変なテンションになってくる。

 

 顔をさらに赤くしながらも、エリゼは「もう兄様は……」という感じで従順に、言われた通りにおまんこを広げてくれた。可愛すぎる。

 

 エリゼの処女膜は、綺麗な桃色で芸術的なまでに整っている。そして十分すぎるほど潤っていた。――思えば、エリゼのARCUS(オーブメント)の属性はメインが水属性でサブが時属性(・・・)である。水属性は濡れやすいという仮説が生まれ、時属性変態説が補強される。

 

 しかし、これはまだ準備段階。エリゼのおまんこにクンニを開始する。

 エリゼも覚悟を決めたようで、目をつむってされるがままになった。

 

 まずは、クリトリスからだ。

 オナニーは……、俺を思って結構クリオナしていたのだろうな、少し主張が大きい。ペロリと舐め上げると、エリゼはビクッと身体を震わせた。そのままチロチロと舐め続けると、エリゼの反応が大きくなる。

 

「ええっ!?――……ん……あっ……兄様ぁ!」

 

 まさかそこを舐められるとは思わなかったのか、一度驚嘆の声を上げ、気持ちよさそうによがる義妹を見て、愛しさがこみ上げてくる。

 次は膣の方だ。処女膜を舌で丁寧になぞる。少し尿臭くしょっぱい。

 

「ひゃん!?」

 

 エリゼは敏感に反応してくれる。

 男の理性を融かす少女の声を聞きながら、俺は余すことなく、まだ誰の侵入も許していない、そして今から俺に破られることになるエリゼの処女をなめ回した。

 

 十分に濡らした後、いよいよ挿入を開始する。

 

 

――――待て。このままエリゼの処女を奪って本当にいいのか?

 

 

 処女の内にしかできない(・・・・・・・・・・・)、処女のうちにやっておくべきプレイが残っているのでは?

 連想的に、脳内でぴろりん♪『このイベントを進めると、未起動の絆イベント、サブクエストは全て消滅します』という例の緑文字親切アナウンスが表示される。

 

 

(キスは沢山した。この後もキスするのでフェラチオはさせる気は無い。

 やっていないサブクエスト……まだあるか?)

 

 

 あ。そういえば、背中をまだ流して貰っていない。

 俺はエリゼに段取りを耳打ちするとまず、普通に(・・・)背中を洗って貰った。

 

「ありがとう。―――それじゃあ、言ったやつ、よろしく頼む」

「あっ、はい……こうですか?」

 

 湯着を完全に脱ぎ捨て、ボ(・)デ(・)ィ(・)ソ(・)ー(・)プ(・)を(・)肢(・)体(・)に(・)馴(・)染(・)ま(・)せ(・)、俺に身体全体をくっつけてくるエリゼ。そうして、へこへこ♥ と後ろからふとももやおっぱいを押しつけた。次は横からももう一度。

 

「ううっ、ん……しょ……ふぅ……んっ」

 

 これこそ、未消化サブクエスト、『処女のエリゼに、疑似ソーププレイをさせる』だった。

 

『エリゼの身体を使って俺を洗ってくれないか?』

 

 清楚な義妹であるエリゼは、それが淫売がやるようなことだとも知らず、自分の肢体で兄の身体を洗えることを喜んで承諾してくれた。……ド変態過ぎる。属性過多すぎて俺の頭が崩れ(・・)そうだ。

 

「兄様……あんっ、だめ♥」

 

 丁度、俺の手がエリゼの股に挟まれたので恥核を刺激してやる。

 そうすると甘い声を上げて切なげに身体を震わせる。……アルフィンがイジりたくなる気持ちが分かるな。エリゼは悪戯されても、兄の身体を洗ってあげるため、身を委ねるしかないのだ。15歳の育ちかけの感触を楽しみながら、俺は義妹の真っ赤な耳元に囁いた。

 

「ふふ、可愛いぞ……エリゼ」

「も、もう、意地悪しないで下さい」

 

 そのままにゅるにゅると泡だった俺の魔の手は、エリゼのふとももや下腹部を気が向くまま、いやらしく撫で回した。エリゼはそれに震えながら耐えるしかない。

 

「次は正面だな。足を開いて跨ぐんだ」

「うう……恥ずかしいです兄様……」

 

 やってみて初めて、どれだけ変態なプレイを求められたのか自覚したのだろう。だがそれでも俺の言葉に、従順に股を大きく開き、ガニ股開脚して、塔がそびえ立つ、俺の膝の上に乗っかってくれるエリゼ。そして、俺の首に手を回し、未挿入の対面座位の形になって、抱き合う。

 

「んっ……ちゅぷっ……れろぉ♥」

 

 舌を絡ませる覚え立ての愛のキスをしながら、胸板に当たる乳首を上下に擦りつけるように動かしてくる。同時に芸術的な曲線を描く下腹部が俺の巨(おお)いなる塔に密着する。

 

「んぅ……ふぁあっ……んっ」

「可愛いぞ、エリゼ。愛してる」

「私も好き……大好きです、兄様ぁ♥」

 

 ぎゅっと強く抱きしめると、エリゼも負けじと足を絡めてきた。

 蕩けるような密着素股状態。ぬちゃぬちゃと濡れた秘所同士が擦れる音を立てている。至福過ぎる兄妹の禁断の戯れだった。

 

 

――――俺たちのオーバーライズはすでに限界まで溜まっていた。

 

 

「もう、我慢できない……入れていいか?」

「はい……私の処女(はじめて)、もらってください」

「ああ、そうさせてもらう!」

 

 いよいよ、その刻が来た。

 ぴろりん♪と再び表示される緑文字を即決定し、エリゼの腰を掴み、ゆっくりと貫いていく。

 

「……~~~っ!!」

 

 きつい。エリゼが目を丸く見開き、背中を大きく反らせる。結合部からは血が流れ出ている。―――よかった(・・・・)。血が出ないパターンがあることは知っているが、やはり視覚的に確認できることで、はっきり❝俺がエリゼを女にしたのだ(・・・・・・・・・・・・)❞という自覚が強く持てる。

 

 俺がそんな汚らわしい独占心を満たす一方で、痛みに耐えているのだろう、不公平にもエリゼは歯を食いしばり必死の形相になっている。

 

 ……思えば、俺が抱いてきた二人は処女ではあったが、どちらも尋常ではない身体能力をしている。痛みにも強い方だろう。エリゼは剣の稽古に付き合うこともあったとはいえ、やはり普通の女の子だ。同じ感覚で貫くべきではなかったか……?

 

「大丈夫か?」

「はい……っ。痛いけど、本懐ですので……」

 

 エリゼは半泣きで健気に答えてくれた。

 そして、構わず動いて下さいと言う。

 その義妹のいじらしさにまた、俺はエリゼの頭を撫で撫でした。我慢できて偉いぞと。少しでも痛みが和らぐようにと。

 

「兄様……ちゅっ、ちゅる♥ 好きです……ちゅ……れぉ」

「俺もエリゼが大好きだ……んむ」

 

 動かない代わりに甘いキスを再開する。永遠と錯覚できるほどその状態で居たが、やがて俺は再度お尻を掴み、滑らないよう細心の注意を払って持ち上げた。終点、駅弁だ。

 

「じゃあ、しっかり掴まっていてくれ」

「……はいっ」

 

 ぎゅっと抱き返してくる腕の力強さとエリゼの未成熟な胸の膨らみを感じながら、ゆっくり抽挿を開始した。腰を打ち付ける度に水音が響く。やはりエリゼは膣内も水っ気が多いようだ。狭いが抽送はにゅるにゅると行える。妹の中すらも 兄様♥ 兄様♥ と絡みついてきて気持ちがいい。

 「天稟の名器」という言葉が頭をよぎった。

 

 

「あ……んっ!やっ!あぁ!」

 

 腰を打ち付ける度に、エリゼからか細い悲鳴が上がる。

 それに自分の身が切り裂かれる思いをしながらも、俺の一刀は興奮に猛り、だんだんとペースを上げていく。やがて限界が訪れた。

 

 

「―――エリゼッ、出すぞ!」

「はい、兄、様! 私の膣内(なか)に、出して下さいっ!」

 

 

 壮絶な気迫でそういうと、エリゼはがっちりと足を組んで俺の腰をロックし、逃さないようにしてきた。―――流石に初手大好きホールドは予想外だが、今はエリゼへの初射精に全集中だ。

 無垢なエリゼの子宮を、俺の精子で汚し尽す。

 宣言と同時に、エリゼの中奥に思い切りぶちまけた。

 

 どぴゅ、るるるるるるるるるるるるる(膣内射精)!!

 モノクロの世界。

 ドクン、ドクンと脈打ちながら大量の精液を放出しているのがわかる。

 生物として、男として、リィン・シュバルツァーとして。

 圧倒的で確かな歓喜があった。

 

「あ……。これが、兄様の、達した証なのですね」

「あぁ……ありがとう、エリゼ。俺に初めてを捧げてくれて……こんな、いや、俺を好きになってくれて」

「……私こそ、兄様に貰って頂くことを、ずっと夢見てきたのです」

 

 エリゼは何の後悔もない聖女の微笑みでそう言った。

 

 こうして俺達は結ばれた。あとはもうハッピーエンドしか許されない。

 なぜなら、エリゼを幸せにできる男にしかエリゼは渡さない、俺(リィン)はそう決めたのだから。そのためにも――――。

 

 俺の渾身の一撃(射精)が完全に終わっても、エリゼはそのまましばらく、コアラのように抱きつき、離れなかった。時間的な無理が来るまで俺たちは愛し合ったのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――――――エリゼの処女を奪った。

 

 

 そして、そうした以上は(・・・・・・・)――――

 

 

 これより先、リィン・シュバルツァーに敗北はありえない。

 

 

 




エリゼとの絆が深まった!
好感度(絆ポイント)ランクアップ!
★★★★★

エリゼの好感度が最大になった!

❝黒のイシュメルガ❞がエリゼの波形を登録しました。
霊脈を利用した位置座標の走査が可能になります。

リィンの常時発動クラフト『真刀・不滅』が解放されました。
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