蜀はバランスいいですよね。蜀のキャラが好きって人も多いと思いますので頑張ります。ちなみに自分は翠押しです。
「じゃあ劉備さんのところに行ってくる」
「早めに帰ってきてね」
「ああ。長い間恋に会えないのは嫌だからな」
「はいはい、のろける暇があるならさっさと行く」
「詠はけっちぃなぁ。貂蝉、オレが居ない間の術の指導は頼んだぜ」
「うふん、任せなさい♪」
色々とあったが、先日他国への術の指南をする事を条件に一時的に和平を結んだ龍見は早速劉備軍へと出向く事になった。
移動での馬の乗り方も慣れたもの。それなりに時間の掛かる旅であるが、馬にヒーリングをしつつの移動でかなり時間を短縮する事が出来た。
「ほほー、この街か」
何気に龍見が他国へとやってくるのは初めてだ。領主である劉備の気質を現すように穏やかな街で、活気にも溢れている。穏やか故に行商人も立ち寄りやすいのだろう。
「一先ず飯だな」
ここに来るまでに保存食ぐらいしか食べていない龍見は温かいご飯を求めて近くの店へ入った。
「らっしゃい! 注文は?」
「担々麺で」
「あいよ!」
この時代に担々麺があったかなど気にしてはいけない。外史には何故か正史にはないものが普通にあったりするのだ。
「おかあさん! ここにする!」
「はいはい。そんなに急がなくても大丈夫よ」
「…………デカイ」
店に一組の母娘がやってきた。その母親を見た龍見がポツリと呟く。龍見が女性を見てそう言う時は大抵胸だ。何よりも胸の確認が最優先なのだ。
そんな龍見の視線に気が付いたのか、それとも単にスーツの龍見が珍しかったのか、女性は龍見の方へ会釈をした。
「こんにちは。黒の御使いさんですか?」
「あー、そうも呼ばれていますね」
「こんなところで会えるとは思いませんでしたわ。ご相席しても?」
「どうぞどうぞ。こんな美人さんと一緒に食事をとれるなんて今日は運がいい」
「あらお上手」
龍見は子持ちとはいえ美人が相席という事でかなり浮わついていた。それこそ女性が自分を観察しているのにも気付かずに。
そんな中、女性の子供が龍見に問い掛けた。
「おにいちゃんって、よーじゅつつかいの人?」
「妖術使い、ってのは適切じゃないんだが、まあそんなところだよ」
「じゃあじゃあ何か見せて!」
「これ璃々! すみません」
「いいですよ気にしなくて。よし、少し面白いものを見せてあげよう。分解、再合成、凝縮っと」
龍見が空中で手を振ると白い靄が手の周りに現れ、それが集まり、コップ一杯ほどの水となった。
「わぁー!! すごーい!!」
「何もないところから水を?」
「何もないというのは違いますね。オレ達の周りには空気がある。空気の中には見えない水分が含まれています。雨の後に空気が湿っているのは空気の中の水分が多くなっているからですよ」
「もっといろいろ見たい!」
「んじゃこの水をちょいっとな」
「鳥さんだ!」
浮かぶ水の形を自在に操り少女を楽しませる龍見。女性もそんな様子を微笑ましく見つめている。
「楽しんでいるところすいやせん。料理をお持ちしやした」
「っと、今回はこのくらいな」
「えー! もっとぉ!」
「璃々、無理を言うものじゃありません。それにこれから暫くは同じ場所で過ごすのだから今しか見れないわけじゃありませんよ
「…………はい? ちょっと何を言っているのかよく分からないんですが」
「申し遅れました。私、劉備軍に所属している黄忠と申します」
「……………………はは、これはこれは。こちらも改めて自己紹介をしないといけませんね。董卓軍の馬淵龍見です。暫くはお世話になります」
龍見はとてつもなく動揺していた。黄忠といえば老兵ながら関羽とまともに渡り合う弓の名手。それがこんな麗しい爆乳の女性となっているとは思ってもみなかったのだ。
「こちらこそ。それにしても連合軍を疫病に追いやった極悪非道の呪術師とは伺っておりましたが、噂と実物は違いますね」
「いやいや、疫病にしたのは事実ですよ」
「ですけれど皆さんお元気ですわ。何故そのような事をしたのか伺っても?」
「黄忠さんは璃々ちゃんが誰かに襲われそうになったらどうします?」
「守ります。母として当然の事ですので」
「オレも同じって事です。ある人がオレの子を身籠ってましてね。その人を危険に晒すわけにいかない。それとうちの大将は優しくてですね。人が傷付くところはあまり見たくないと言うもので」
「成る程、それが理由ですか。フフ、天の御使いも私達と同じ人なのですね」
「はは、そりゃそうですよ」
黄忠も龍見に対する警戒を解いたのか、食事をしながら談笑を始めた。娘の璃々は早くもなついたのか龍見の膝に乗っかったりしてきた。
「そろそろ行きますか」
「なら案内しますよ」
「ありがとうございます。甘えさせてもらうとします」
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黄忠の案内で劉備軍へとやってきた龍見だったが、周りに目は非常に冷たい。一部は殺意にも似た敵意を向けてきていた。まともに歓迎してきたのは領主の劉備くらいなものである。
「劉備さん、人が良すぎだろ」
用意された部屋で寝具に倒れ込む形で龍見は呟いた。本来なら今日から指南をする予定だったが、それをする雰囲気でもなく、劉備に何度も謝罪されながら部屋に通されたのだ。
「まあのんびりしていてもしょうがねぇ。明日はちゃんとやらねぇと。何か準備しておいた方がいいかな」
「…………ませーん……」
「全く、プリンターなんかがあれば楽なんだが、紙すら貴重品だからな。術具でも作るか」
「……すみませーん」
「? 誰ですか?」
「はわ、諸葛亮と鳳統です」
「どうぞ」
入ってきた二人の少女。一人は知っている顔だが、もう一人は初めて見る。帽子を深く被っていて顔もよく見えない。
「久しぶりだね諸葛亮ちゃん。こないだは悪い事をしちゃったな」
「いえ……戦でしたので」
「そうして割りきってもらえると助かるよ。それでどうしたんだい?」
「馬淵さんの術について教えてもらいたくて。それに雛里ちゃんも馬淵さんとお話ししてみたいって」
「し、朱里ちゃん!」
「そう思ってもらえて嬉しいよ。嫌われているだけだと思ったからね」
沈んだ気分を盛り上げてくれた彼女らに感謝し、龍見は簡単な講義を行った。時折術を交えながらの講義に彼女らはよく質問し、龍見もそれに応じているうちに時間を忘れていった。
まだ夕方であったというに気が付くと外は真っ暗になっており、それに気が付いた龍見は流石にやり過ぎたと講義を締める事として。
「こんな話を長い時間聞いてくれてありがとな。もういい時間だ。二人ともゆっくり休んでくれ」
「はい。ありがとうございます」
「また明日もお願いします、先生…………あわっ!? す、すみません」
「先生…………それが呼びやすいならそれでいいさ。明日はみんなの前で二人には術の実践をしてもらおうかな」
「はわっ!?」
「あわわ、無理ですよぉ」
「冗談だよ。ただ二人には十分な才能がある。数日も勉強すれば簡単な術ならすぐに使えるさ。んじゃお休み」
「「お休みなさい」」
二人が出ていった後、龍見は机に向かって術具の製作に取り掛かった。他国にも自分の術を進んで学んでくれるほど興味を持ってくれる人がいる。その事実が龍見にとって堪らなく嬉しかったのだ。教師とはこういった気持ちなのかもしれないと考えながら、龍見は複数の術具を徹夜で作るのだった。
黄忠の好感度が上がった
璃々の好感度がグーンと上がった
諸葛亮の好感度が上がった
鳳統の好感度が上がった
パワプロをやっているとこういうのを思い浮かべてしまう。別に好感度制とかは考えていない。