事の発端は本当に些細な事であった。
「おとうさ、あっ、おにいちゃん!」
「ははは、璃々ちゃん、お父さんでもいいんだぞ」
殆どの人が一度は経験した事があるだろう、身近な大人を父や母と呼んでしまう事。その時も偶然璃々が龍見をお父さん呼ばわりしてしまい、龍見はそれに悪乗りしたのだ。
「ほんと? おとうさんってよんでもいいの?」
「へっ?」
悪乗り故にこの反応には驚いた。とはいえ一度は言った事。大人として嘘をつくのは頂けない。
「あ、ああ勿論だよ璃々ちゃん。いや、璃々」
そう龍見が言うと、璃々の顔がパァッと明るくなり、璃々は龍見に抱き付いた。
「璃々にもおとうさんができた! えへへ、おとーさん」
「ん、璃々は甘えん坊さんだな」
それ以来璃々は龍見に付いて歩くようになった。これまでは母である紫苑と一緒に過ごす事が多くなったが、これまでの時間の半分を龍見と過ごすようになっていた。
そんな日々が続くと当然妙な噂も立つものだ。
「龍見!!」
「うおっ!? どうしたんだ焔耶。今は璃々が寝ているから静かにしてくれ」
「お前は自分に立っている噂を知っているのか?」
「? 噂って何だ?」
「お前と紫苑が婚約しているというものだ!」
「いやいや、オレはもう大切な人がいるから」
「そんな事は知っている。だが今の自分の様子を考えてみろ!」
そう言われてたつみは、色々と思い返してみた。璃々に父と呼ばれてから璃々の世話をし、その関係で紫苑とはよく話すようになり、たまに璃々を甘やかしすぎて紫苑に怒られる事もある。三人で出掛ける事も増え、璃々の将来についても紫苑に相談されたりする。
「家族だこれ」
「はぁ、気付いていなかったのか」
「こりゃ確かに勘違いされても仕方ねぇや。でも璃々にやめてくれって頼むのも無理だぞ。このくらいの歳の子が父親を恋しがるのは当然だ。こっちとしても許可しちまったからには蜀にいる限り父親代わりをやるつもりだ」
「とことんお人好しだな」
やめるつもりのない龍見と呆れる焔耶。そんなところへ紫苑がやってきた。
「龍見さん、璃々はこちらですか?」
「ええ。ここで寝ていますよ」
「やっぱり。さっき少し叱った時に、璃々ったら拗ねて逃げてしまったのですよ」
「道理ですぐにふて寝したわけだ。紫苑さん、ほどほどにしてあげて下さいね」
「もう、龍見さんも少し甘いですよ。このくらいの歳からしっかりしつけないと」
「完全に夫婦ではないか!!」
紫苑がやってきてからすっかり蚊帳の外になっていた焔耶がとうとう突っ込む。
「そんな、夫婦だなんて。焔耶ちゃんったら」
「龍見にも伝えたが、少しは自分の様子を考えてくれ」
「?」
「いや、分かっていないならもういい…………」
呆れを通り越して諦めに入ってしまった焔耶はとぼとぼと部屋を出ていった。紫苑は本当に分かっていないのかキョトンとしている。そんな紫苑に龍見がさっきまでの話を軽くすると、紫苑も顔を赤らめた。
「まさかそんな噂が立っていたなんて知らなかったわ」
「こっちもですよ。婚約だなんて、誰が言い出したのやら」
「でも、龍見さんと一緒だと亡くなったあの人と一緒にいる気分に浸れるんですよ」
「旦那さんですか?」
「ええ。見た目も年齢も違うのに、なんだか雰囲気が似ているんです…………龍見さんとあの人が重なって見えて」
「紫苑さん、泣かないで下さい」
「えっ?」
紫苑が自身の頬を触ると、確かに涙が流れていた。彼女自身すら忘れていた事だが、亡くなった夫を思い出すと勝手に涙が溢れるのだ。最近は忙しさもあり、無意識のうちに思い出さないようにしていただけだった。
「オレの知り合いの話なんですがね、死者のために泣くのはいけないんだそうです。何でもその人を縛り付けてしまうんだとか。それと同時に忘れてもいけない。その人の魂が消えてしまうから。一番いいのは時々でいいので、その人との思い出を笑って話す事だそうです。そうした方が」
ーー僕も嬉しいから
聞こえるはずのない声に紫苑は思わず目を見開く。龍見は何かあったのかと訊ねるが紫苑は聞かずに周りを見渡していた。
「紫苑さん?」
「…………ふふ、うふふふ。あの人ったら意地悪なんだから」
「もしかして、旦那さんが見えましたか?」
「いいえ、声だけ。龍見さん、今晩少し昔話に付き合ってもらってもいいですか?」
「オレでいいなら」
「ありがとうございます。それでは部屋で待っていますわ。璃々は起きるまでお願いします」
「分かりました」
ーーーーーーーーーーーー
約束通り龍見が紫苑の部屋を訪れると、紫苑は大量の酒を用意して待っていた。明日は二人共非番なので問題ないが、龍見から見ればとても二人で飲める量ではなかった。更に部屋には璃々の姿がない。龍見が訊くと、桔梗に預けたと紫苑は答えた。
「それではお話ししましょうか」
紫苑が話し始めたのは自身と夫の話。今朝の彼女なら話さないような事も次々と口から出てくる。中には辛い話もあったが、酒の力を借りたのか、彼女は笑顔で話していた。
「あの人ったらそんなに強くもないのに、自分が私を守るって豪語したんですよ。なのに先に逝っちゃいまして」
「ええ」
「そうそう。戦いはそんなに強くなかったですけど、伽の時は凄かったんですよ」
「えっ?」
「私の方が歳上なのに組伏せられちゃって…………」
「ええー…………」
酒が回り始めたのか紫苑の話がどんどんと妙な方向へと移っていく。流石にこれ以上は止めなければと感じた龍見だが、紫苑の暴走は止まらない。
「まだ言葉も話せないくらいに小さい璃々が隣で寝ているのにあの人は大胆に私を犯してきて、それについ興奮しちゃったんですよ。そしたら意地悪に焦らしてきて」
「飲みすぎですよ。少し休みましょう? ね?」
「なら龍見さん、一緒に寝てください」
「えっ、いやそれは、うわぁっ!?」
「はぁ、龍見さん暖かい」
寝床に引きずり込まれた龍見はそのまま紫苑に抱き締められる。武将である紫苑はその細腕に見合わない力を持っており、なかなか抜け出せない。何より顔を胸に押し付けられているのが男の本能を刺激し、力を出せなかった。
「そんなにもぞもぞしてどうしました? あっ、もしかして…………はい、お乳ですよ」
「!?」
紫苑はその豊満な胸をさらけ出して、一児の母とは思えないような張りのあるピンクの乳首を龍見の口へ押し付けた。
「うふふ、あの人も私の胸が大好きでよく吸っていたんですよ」
昔話はいいから離してくれと言いたいものの、胸を押し付けられているので言えない龍見はただもがいていた。
「こら、お母さんのおっぱい吸わないとおっきくなれませんよ。はい、チュッチュッしましょうね」
「むぐーっ!」
行為を拒絶する龍見と完全に危ないプレイに入った紫苑。実に妙な状況である。そんな中で最初に折れたのは、欲望に忠実な龍見の性欲だった。
「あらあら、おちんちんが先におっきくなっちゃっいましたね。お母さんのおててで気持ちよくさせてあげますね」
「ちょまっ、んんっ!!?」
紫苑を静止しようと口を開いた瞬間に乳を吸わされる龍見。紫苑はマイペースに龍見の態勢を整え、膝枕をしながら乳を吸わせつつ、右手で龍見の逸物を掴んだ。
「あの人より大きい…………じゃあシコシコしますね。気持ちいいですか?」
「ん! んんぅー!!」
「おっぱい出なくてごめんなさいね。でもお母さん、頑張っておちんちん気持ちよくしてあげますからね」
艶かしく動く紫苑の手はこれまでに龍見が経験したものとは段違いの快感を与えてきた。急所を的確に狙い、緩急をつけながらすぐに絶頂しないような調整をしてくる。
勝手に腰が浮くほど龍見も感じており、乳を吸う吸わないなどと言っていられる状態ではない。むしろ一時的にでも快楽から逃れるために必死になって乳を吸った。
「チュゥ、チュパッ」
「あんっ、もう、そんなに吸って。こっちもビクビクして、出してもいいんですよ」
紫苑の攻めがより苛烈になり、既に限界ギリギリだった龍見を一瞬にして絶頂に導いた。噴き出した精液が手に掛かるが、紫苑は笑顔を崩す事はない。
「一杯出ましたね、えらいえらい」
紫苑は子供をあやすかのように龍見の頭を撫でて、手に掛かった精液を舐めていた。
「し、紫苑さん、もうやめに」
「お母さん」
「えっ、あのしお」
「お母さん」
「…………お母さん、やめにしましょう」
龍見にお母さんと言わせて満足げな紫苑だが、当然やめるなどという考えはない。再び龍見の逸物を撫でると、そっと囁きかけた。
「お母さんにこのおっきなおちんちん、入れたくないですか?」
「!? 入れません!」
「でもおちんちんはお母さんの中に入りたいよー、ってビクビクしていますよ」
「そ、それは紫苑さんが触って」
「お母さん、でしょう」
お母さんと呼ばれなかった事にムスッとした紫苑は龍見の逸物を強めに握り締める。しかしそれは苦痛と快感の間という絶妙な強さだ。
「うぅ…………す、すみません、お母さん」
「許しません。お母さんの言う事を聞けない悪い子は…………」
紫苑は器用に体勢を変え、馬乗りになるように龍見の上に座った。そして下着を脱ぎ捨て、握り締めた逸物を自身の陰部に押し当てた。
「お母さんが食べちゃいます。んあっ、あぁ……ふぅ」
「ッッ! すげ、くっ…………!」
ゆっくりと呑み込まれていく龍見の逸物は、柔らかく暖かい紫苑の膣内にこれでもかと攻め立てられる。まるで膣内だけ別の生き物のように形を変え、包み、締め付ける。とても子供を生んだとは思えないほどだ。
紫苑自身は動いてもいないのに膣の動きだけで絶頂してしまいそうになるのを我慢する龍見の頬を、紫苑はいとおしげに撫でた。
「我慢の必要はないですよ。お母さんの中に沢山出して下さいね……んっ」
「そうは、いきません」
ここまでやっておいて今更浮気を気にするのもおかしな話だが、それでも中出しという一線は越えてはいけないと踏みとどまった。
「強情な子なんですから。えいっ」
「んぉっ!?」
ーードクッ
「あんっ♪ ちょっとだけ出ましたね」
不意打ちの上下運動に耐えられなかった龍見は少しだけ射精してしまう。
「次はもっと、出しましょうね」
「ほんと、やめましょう。今なら間に合いますから」
「だ・め♪」
何度も子宮口へと押し付けるように腰を動かす紫苑。その子宮口もまるでフェラでもしているかのように亀頭に刺激を与え続ける。そんな攻めを耐えられるほど龍見も強くはなかった。
「くぁっ! も、無理…………」
「あぁ、あ、あっあっ、私も、イッちゃうぅ!!
溜まりに溜まった精液が紫苑の子宮へとぶちまけられる。これまで体験した事のない大量の射精を受けた紫苑は体をガクガクと震わせ、龍見は諦めの表情をしていた。
「終わった…………やっちまった」
「あぅん、凄いわ。ひっ、まだ、出てる。しかも……まだまだ硬いわぁ♪」
「え"っ、まさか、まだ続けるつもりですか!? 打ち止めですって!!」
これは大嘘だ。ミャシャグジ様と契約している龍見の逸物は一晩二晩ヤり続けたところでびくともしない。ただ龍見の精神が持たないだけである。
「でも、お母さん満足してませんよ。久しぶりだからもっと楽しみたいんです」
「いやいや、だからって自分じゃなくても。そうだ、今日はやめてまた今度にしましょう。ね、紫苑さん…………あっ」
「お母さんって呼びませんでしたね。お仕置きです♪」
「ちょ、いや、らめぇぇええぇぇぇえええっっっ!!!!!」
そのまま時間は過ぎ去り、空は白み、紫苑は精液で白くなり、龍見は真っ白に燃え尽きていた。途中からやけになった龍見は自分から攻めたりしていたので当然と言える。ちなみにこの間、一度も膣から逸物が抜かれる事はなかった。
「はぁ、はぁ…………もう朝ね」
「もう動けない…………お母さん、頑張りすぎ」
「龍見ちゃんのが凄すぎるんだもの。あっ、また出たわね」
「仕方ねぇじゃん。お母さんの中、気持ちいいし。神様のせいで無駄に精力あるし」
行為の間にどれだけ打ち解けたのだろう。会話の内容と今の状況を除けば、普通の恋人と変わらない親しさだ。
「嬉しいわ。龍見ちゃんの奥さんとどっちが良かった?」
「それは比べるものじゃねぇって。もう抜くよ」
「そうね。早く体を洗わないと…………あ、あら?」
「ん? もしかして腰が抜けて動けない? 仕方ねぇなぁ…………待って、抜けないんだけど…………膣痙攣!?」
「ひ、久しぶりに抱き合ったんですもの! しかもこんなに一杯出されたのなんて初めてだし、お腹だってびっくりしちゃうわ!」
「あーうんそうだよな! 分かったから早く抜こう!」
「で、でもこんな事初めてで」
「確かお尻の穴をほぐすといいとか聞いた事あるからやってみるぞ」
「そ、そんなところ触るなんて…………気持ちいいのかしら」
「治療だからね!」
「そうだったわ……くふっ、く、くすぐったいわ」
「笑っちゃ駄目だって。膣内を柔らかくしたいのにお腹に力が入ったら」
「そ、そう言われたって…………ふふっ」
「おかーさーん! おとーさーん! おはよー!!」
その瞬間、時が止まった。何の前触れもなくやってきた璃々はしっかりとその目で二人の行為を目撃した。何をしているかなど分からないだろう。しかし問題は見られてしまった事である。龍見と紫苑の脳内に数々の言い訳が浮かんでは消えていく。
「なにしてるの?」
そんな純粋な疑問。パニック状態に陥った二人が導き出した答えは奇しくも同じで、それも最悪なものだった。
「「き、気持ちいい事だ (よ)」」
「子供に何を言っとるかお主らはぁ!!!」
「き、きき、桔梗!? な、なんでいるの?」
「璃々を連れてきたからに決まっておるじゃろうが!! そこになおれ!! 言いたい事が山程できたわ!!!」
「い、いやこの状態だから直れねぇんだけど」
「言い訳するなぁっ!!!」
「「はいぃぃぃっ!!」」
「璃々、少しだけ他の誰かと遊んでおってくれい。儂は璃々のお母さんとお父さんに話をせねばならん」
「うん、わかった! おかあさん、おとうさん、いっしょにあさごはん食べようね」
まさかの性交状態での説教というとんでも状況に、龍見の逸物は縮み上がり、紫苑の膣は痙攣も忘れ、あっさりと抜けた。そして説教は昼過ぎまで続くのであった。
ロリコンなだけでなくマザコンの可能性すら浮上。
これはやべぇ。みんな! パワーを憲兵に!!
この話を書いている間に何度も『俺何やってんだろ。デッキ調整しなきゃ』と思った俺は立派な決闘者脳?