「幻術を覚えたい?」
「はい、お願いします」
朝にランニングをしている龍見を捕まえた稟は幻術を習得したいと頼み込んだ。意図は分からないが、自分を頼ってくれる彼女の願いを龍見は喜んで受け入れた。
「オレが教えられる範囲ならいくらでも教えてやるよ。今からでも良いか?」
「ありがとうございます。私の部屋でも良いでしょうか?」
「ああ、それがいいならそうしよう」
稟は早速自室に龍見を招き入れた。整理が行き届き、余分なものも殆どない部屋だ。稟がお茶を淹れてくると龍見は早々に幻術について指南を始めた。
「まずは基本の復習だ。幻術とは脳の支配。思い込みの延長線上ってのは教えたな?」
「はい。思い込みを術によって操作するのが暗示や催眠。その上位が幻術でしたね」
「そう。つまりは暗示や催眠を覚えないと幻術を使うなんてのは夢のまた夢だ。とはいえ稟は心配なさそうだがな」
「? 何故でしょう」
「鼻血噴き出すくらいの妄想が出来るからだ。想像力は幻術において必須になる。それが十二分に補えている稟なら幻術なんてすぐだ」
「なんだか褒められている気になりません」
ムスッとする稟の不満を龍見は笑って流す。普段鼻血を治療する龍見のちょっとした皮肉だ。
「論より証拠って言うし、やってみな」
「いきなりですか」
「基本は普段の指南で終わっている。華琳さんのせいで劣りがちに見えるが、お前らも才能は十分だ」
「分かりました」
「っと、注意があった。幻術は有り得るものを基本的に見せるんだ。自分でも想像出来ないもの、常識的に有り得ないもの、相手が信じられないものは今のお前じゃ幻術には出来ん」
「では龍見殿なら可能なのですか?」
「自分が想像出来ないもの以外はな」
「成る程。ではやってみます」
稟は龍見に幻術を掛けようと集中する。龍見の言ったように基本は勉強済みだ。それに今は龍見は稟の現状を見ようとしているだけ。緊張する必要はない。
龍見に言われたような条件を稟は想像する。自分が想像しやすく、現実的なもの。稟にとってそれは華琳だった。華琳と龍見。それが稟の想像内で合わさると…………
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華琳の部屋で龍見は華琳に押し倒されていた。龍見の上半身は既に裸であり、華琳はそんな龍見の上で下着を脱ぎ捨てる。そして自身の陰部を龍見の顔に近付けて言った。
「舐めなさい」
「お断りだ」
命令に対して即答で断る龍見に華琳は加虐心を擽られたのか実に嬉しそうな顔をした。彼女の周りには基本的に彼女に従う者ばかり。こうやって反抗するものはそうはいない。ましてやこの状況。殆どの男なら少しでも興奮するような状況下でも龍見の心はピクリとも動かない。
「離れろよ。オレにこんな事をさせて楽しいか?」
「愉しいわ。貴方のような男を屈服させるのを考えるとぞくぞくする」
「…………馬鹿だなぁお前は」
「? 何を、きゃっ!?」
押し倒されていたはずの龍見がいつの間にか華琳を押し倒していた。龍見は優しげに華琳の頬を撫でるとそっと呟いた。
「オレはもうお前に屈服してるよ。チュッ」
「んっ…………ふぅ。ふふふ、本当ね。馬鹿は私だったみたい。でも主導権は、アンッ!」
「こんなに敏感で何が主導権だ? 少し触っただけでもう濡れたぞ」
「わざわざ見せるなんてイヤらしいのね」
「お誉めに預かり光栄です」
手に付いた愛液を見せびらかし、最後は舐めとる龍見。なんだかんだ言いながらも嬉しそうな華琳。そんな二人の行為もすぐに佳境に入る。龍見は逸物を取り出し、華琳の陰部へと……………………
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「ブハーーーーーーーッ!!!」
「何故鼻血を噴いたーー!? てめぇまた妄想しやがったな!! その想像力は大切だが幻術と妄想はちげぇから!! ほれヒーリング!!」
「ず、ずびばぜん」
「これならお題とかを出した方がいいか…………犬を幻術で出してみろ」
「びぬ、でずが」
犬、確かに犬は身近な動物だ。飼っている人もいれば野良犬もよく見る。魏に来るまでは旅をしていた稟は野生の犬も見た。
稟は想像した。龍見の隣に犬がいる様子を。そういえば最近龍見に付いて回る凪の姿はどことなく飼い主になつく犬のようだ……………………
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龍見は人通りの殆どない路地裏で凪に首輪を付けていた。
「よく似合っているぞ」
「龍見殿、これは…………?」
「もしオレの犬になるなら何だってしてやる。どうだ?」
「えっ、あ…………はい♪」
一瞬戸惑いながらも、顔を赤らめた凪は龍見の提案を受け入れた。それを聞いて龍見は凪を抱き締めた。
「あっ、龍見殿、ちょっと苦し」
「犬が人の言葉を喋ったら駄目だろ? さあ、ワンって言ってみな」
「わ、ワンッ」
「よしよし、良く出来ました。さて何がしたい」
「…………」
言葉で伝えようと思ったが、今は言葉を話す事を許されていない。故に態度で示すしかなかった。
「チュッ、ペロッ」
「んー、口付けしたいのか? そのくらいいくらでもしてやるぞ。あ、そうだ。犬が服を着ているとおかしいよな」
「ワン?」
「ここで脱ごうか」
「!? それは」
「言葉」
「んっ! ワゥ…………」
「凪は物覚えの悪い子じゃないだろ。脱ごうか?」
龍見は丁寧に少しずつ凪の服を脱がしていく。抵抗する事もなく凪は首輪を付けたまま全裸にさせられた。更に龍見は四つん這いになるように命じ、凪もそれに従った。
「じゃあさっき言葉を喋った罰だ。お散歩だぞ」
「っ! クゥン」
「嫌がっても駄目」
首輪に付いた紐を無理矢理引っ張り、龍見は全裸の凪を連れて人通りの多い通りへ……………………
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「ブッパーーーーーーッ!!!」
「何故また噴いたし!!? 犬でどうやったら噴けるんだ!? 獣姦か!? オレでやろうとしたのか!? ヒーリングヒーリング!!」
「うぁ、ずびばぜん」
「ただオレに犬の幻術を見せるだけでどうしてそうなんだよ。そうだ、一刀君なら」
「ブフーーーーーーッ!!!!」
「はえぇよっ!!? もしかして普段からそういう妄想してんのか!? やめろよマジで!! はいヒーリングヒーリングゥッ!!」
結局妄想による鼻血が止まらないため、稟は一日ヒーリングの指南を受ける事となった。
その晩、落ち込む稟の部屋に風が訪ねてきた。
「稟ちゃーん、どうでしたか? って聞くまでもなさそうですね」
「風ぅ…………」
「折角黒のお兄さんを誘えたのにそれじゃあ駄目ですよ」
「でもあの人の前だと緊張して」
「好きな人の前ですからねぇ。それでも稟ちゃんはちゃんと誘えたじゃないですか。あと一歩ですよ」
いつからだったか、稟は龍見に惚れてしまっていた。男ならば一刀もいた。だが龍見には稟の興味を引くだけの豊富な知識があり、何だかんだ言いながらも鼻血を出した時には治療を欠かさずしてくれた。
「誰かを好きになったならちゃんと想いを伝えないと、華琳様みたいに察してくれるとは限りませんよ」
「それは分かっているわ」
「そんなんじゃ凪ちゃんに取られちゃいますよ。ただでさえ黒のお兄さんは奥さんがいるからって他の人に手を出さないのに」
稟を風が応援しているその時、その会話を偶然聞いてしまった者が部屋の外にいた。
「稟殿が、龍見殿を…………?」
たまたま通りがかった凪だ。まさか龍見を好きな人が他にもいるだなんて考えていなかった彼女にとっては衝撃的な事実だった。それが彼女を思いきった行動に走らせる。
急いでその場を離れた凪は龍見の部屋へと向かった。そしてノックする事もなく部屋へと入り込んだ。中では龍見が窓から外を眺めていたようだが、凪の来訪に驚いている。
「突然入ってきてどうした? 何かあったのか?」
「龍見殿、無理を承知でお願いします。私を抱いて下さい」
「! 凪…………」
「龍見殿には奥様がいますし、龍見殿が奥様以外の女性を抱きたくないのは知っています。ですが、今晩だけでも、一回だけでも…………好きになった人に抱いてもらいたいんです」
「例えお前がいくらオレを好きになってもオレの一番は変わらないぞ」
「私にとっての一番も変わりません」
「本気なんだな?」
「本気でなければこんな事は言いません」
「そうか…………」
ここまできて凪は後悔を感じ始めた。龍見はきっと受け入れてはくれるだろうが行為は断る。もしかしたらこれが原因でこれまでの関係が維持できなくなるかもしれない。そう思うと恐怖で体が震える。
「じゃあやろうか」
だが龍見はあっさりとそう言った。
おかしいな。本来稟ポジションは桂花で、華琳が乱入して命令された龍見が幻術で桂花を触手攻めする予定だったのに、なんで稟がヒロインポジションを狙ってるんだ?
おかしいな。凪とのイチャイチャチュッチュッはもうちょっと先の予定だったのになんで次回なんだ?
おかしいな。龍見がどうしてこうもあっさりOKしてんだ? 病気か? 風邪でもひいたのかこいつ?
プロットや下書きをしないとこうなるという例。でも面倒なんでこれからもやるつもりはないです。
待て次回