その日は朝から騒がしかった。主に恋と音々音が騒がしかったのだが、とにかく騒がしいのだ。
「セキト、どこ?」
「どこですかセキト! 出てくるのです!」
彼女達の言葉から察するにセキトが居なくなったようだ。城の中、街の隅々まで探しても見つからなく、早朝から探したというのに昼過ぎになってしまった。
このまま探しても時間の無駄という音々音の意見で、一先ず昼食を取って休む事となった。
「セキト…………」
「大丈夫なのです。きっときっと見つかるのです」
「でも、こんなの初めて……」
「おっちゃん、焼き飯くれ。って恋に音々音? 暗い顔してどうした?」
「龍見? ……………………龍見! 手を貸して!」
「お、おぉ? どうしたんだよ恋。お前らしくもない」
「龍見は探し物をする術持ってたはず。あれを使ってほしい」
「もしかして帰還の術か? 使うのは良いが、まずは話を聞かせてくれるよな」
たまたま昼食を取りに来た龍見だったが、普段ではまず見ない興奮した恋にかなり驚かされた。尋常ではないその様子に、龍見は昼食よりも恋達を優先する事にした。
恋と音々音は朝からセキトが居なくなり、いくら探しても見つからなかった事を説明した。
「それで帰還の術で探したいと。いいぞ。ならセキトの体の一部とかはあるか? 体毛なんかが現実的だな」
「恋殿は沢山の動物と暮らしていますので、特定の動物の体毛だけを集めるのは難しいのです」
「なら物だな。セキトは常にスカーフ、首巻きあるだろ。あれの替えとかないか?」
「それなら」
「OK、ならそれでいこう。まあまずは腹ごしらえだ」
「恋は先に布取ってくる」
ーーーーーーーーーーーー
昼食を食べ、恋が持ってきた布に龍見は帰還の術を施した。布は弱々しくだが、どこかに向かって飛び始めた。それを見た龍見の顔は険しかった。
「不味いかもしれん」
「何がなのです?」
「帰還の術で分かる事は二つだ。一つは物の持ち主の場所。もう一つは持ち主の健康状態だ」
「えっ」
「元気ならば持ち物も元気に飛ぶ。だが何か問題があればああやって弱々しいし、もし死んでいる場合はピクリとも動かない」
「龍見! 急がせて!」
「ああ! 全力を注ぐ!!」
龍見が力を注いだ分だけ、布も素早く飛び始めた。そして布はある家屋の壁に衝突した。
「ここは?」
ーーガラガラッ
「恋殿! 勝手に入って…………何ですかこれは」
「剥製だ。しかもこの数…………」
「これ、何進の猫」
「! 本当なのです! 何進が逃げられたと言っていた飼い猫なのです!」
「もしかしたらここは有名人の飼い動物を剥製にして売っている店かもしれん。セキトが危ないな」
「っ!」
ーードガァッ
「うおっ!? だ、誰だ!? ってり、り、呂布!? それに陳宮に御使いまで!?」
「セキト!」
「クゥーン」
恋が無理矢理蹴破った扉の先には明らかに私腹を肥やした男と、机の上に寝かせられた弱ったセキトの姿があった。
「恋殿のセキトに手を出すとは、この不届き者め! ちんきゅーきーっく!!」
「ぐえっ!?」
「お前は許さない」
「ひっ、お、お助け」
「この状況で助けを求められるてめぇの胆力がすげぇよ。一先ず恋は退け。新しい術の実験台にしてやる。惨たらしい死に方するから期待してろ」
「こ、この犬は返しますからお許しを!!」
「そういう問題じゃねぇから。ま、身から出た錆だ。受け取れ」
「ぐふっ!?」
龍見は男を蹴飛ばすと、セキトを抱えて後ろに下がった。
「どうやら薬か何かで麻痺させられてるみたいだ。ヒール」
「ウゥ、ワゥ」
「あの男はどうなるのです?」
「体の内側から爆発して死ぬ」
「な、なんだって!? もうこんな事はしないから助けてくれ!!」
「一度発動したら解除は不可能だ。残り三秒」
「い、嫌だ! 死にたくない!」
「残り二秒」
「全部謝る! 金も渡す!」
「一秒」
「うわぁぁあああああああああああぁぁああぁああああああああああぁぁぁっ!!!!!!」
「ボンッ」
カウントダウンが終わると男は泡を吹いて気絶したが、爆発する気配はない。
「失敗?」
「いいや成功だ。元々人を爆発させる術なんてない。それにこいつには余罪を全部吐き出してもらわないとな。それまで生かすさ」
「むぅ」
「恋殿は不満でしょうが、ここは抑えて下さい。これは法によって裁かれるべきなのです」
こうして有名人のペットを剥製にして売り出していた男は捕まり、その半生を牢屋で過ごすはめになった。
ーーーーーーーーーーーー
その日の晩。龍見はゆったりと風呂に入っていた。温泉なのでかなりのんびりとしていられる。使えるのは週に二、三回だが、それでも疲れを癒すには十分だ。
「あ゛~~~、サイコー」
ーーヒタヒタ
「やっぱ温泉は良いね。帰ったら温泉巡りしよっと」
「龍見」
「ぬおわぁっ!? れ、恋? 今は男の時間だぞ?」
「知ってる。けどお礼がしたくて。セキトを助けてくれてありがとう。お礼に背中流す」
「あ、有り難いが、そんな事しなくても」
普段もそれなりに露出の高い服を着ている恋だが、タオル一枚の姿は露出度は変わらずとも、違った艶かしさがある。
「やらせて」
「結構だ」
「やらせてくれないとお風呂出さない」
「のぼせさせる気かよ! くっ、分かったよ」
龍見は温泉から上がると、木製の風呂椅子に座って恋に背中を向けた。さっさと終わらせてしまおうという考えだったが、なかなか恋が背中を洗ってくれない。
「どうしたんだ?」
「準備中…………よし」
ーームニュ
「…………」
背中に柔らかいものが当たり、龍見は体が固まる。
「んしょ、んしょ」
ーームニッ、フニュフニュ、ムニィッ
何が当たっているかは考えるまでもない。恋のふくよかな胸だ。一生懸命になる恋だが、どう考えてもこれはいけない。誰かに見つかれば即アウトである。
「れ、恋さん? こんなの、どこで?」
「霞が、こうすれば、よいしょ、男の人は喜ぶって」
(あの似非関西人めぇ! ナイス! じゃなくて何て事を!!)
「も、もう十分だ。終わろう」
「なら次は前」
「はっ?」
想定外の恋の発言に龍見は完全に思考が停止した。そして龍見の返答を待たずして前に回った恋は、自身の胸によってタオルの上からもはっきりと分かるほどに膨張した龍見の逸物を直視した。
「あ、いや恋。これは…………」
「大丈夫。対処はどんな動物も同じ。射精すれば収まる」
恋は龍見の腰のタオルを剥ぎ取ると、完全に勃起した逸物に手を添えた。普段巨大な戟を振り回しているとは思えないほどに細く、しなやかな指が龍見の逸物に絡まる。
様々な動物で見慣れ、対処してきたのだろう。恋は非常に落ち着いた様子で逸物を扱き始めた。
「うっ、くっ…………!」
「我慢しなくていい」
そう言われても龍見にも男のプライドがある。早漏と思われないように耐えている。
恋にはそれが不思議なようで、キョトンとした顔で龍見を見上げる。その可愛らしい姿が更に龍見の腰の性欲を刺激する。
「ハァハァ! れ、恋。そのまま」
「うん」
ーーシュッシュッ
「うぁっ! すげ、一人でやるのと、全然」
「気持ちいい?」
「最……高……!」
「そう」
感想を聞いて機嫌が良くなったのか分からないが、恋の手淫はどんどんと激しくなっていく。龍見の腰も浮いてきて、限界は近かった。
「も、駄目だ…………射精(で)る!!」
ーードピュッ ビュルルルッ ピュッピュッ ピュッ…………
勢いよく放たれた精液は、恋の手だけでなく顔にまでかかった。白濁した精液が恋の褐色の肌をより際立たせ、龍見の逸物は再び硬度を取り戻そうとしたが、今回は理性をもって押さえ込んだ。
「ん、少し顔にかかった」
「す、すまん。こっちに来てから抜く機会がなくて。洗おう、なっ」
「うん」
何事もなかったかのように恋は手や顔に付いた精液を洗い流していた。まるで自分だけ興奮していたように感じてしまった龍見は湯船に浸かり、自己嫌悪に陥りながら空を見上げた。恋の顔が僅かに紅潮している事に気付かずに…………
新しく登場した術は無し