※この作品はR-18です。

あなたに捧ぐ恋の夢   作:雨期

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書きたいのと違う!!


第四十七話【R-18】

 夜這い。性行をするために夜更けに異性の元を訪れる行為である。龍見にとっては二度目の経験だ。炎蓮のような美女に言い寄られて嫌な顔をする男は普通はいないはずなのだが、この時の龍見は何とも言い難い、呆れたような顔をしていた。

 

「本気で言っていますか? 隣で小蓮ちゃんが寝ているんですよ。出来るわけないでしょう」

 

「安心しなよ。小蓮は一度寝たら朝まで起きないんだ。それと小蓮を逃げ道にするのは良くないよ」

 

「読心術でも使えるんですか?」

 

「経験ってやつさ」

 

 不敵な笑みを浮かべる炎蓮を見て、龍見は肩を落とした。小蓮の名を出せば流石に控えてくれるだろうという考えが甘かった。これは敵いそうにないと諦める事にした。

 

「参りました」

 

「おや、諦めが早いね」

 

「こちらがどんな言葉を口にしても、それを全て返せるように準備くらいしているんでしょう?」

 

「正解。あんたもなかなかやるね」

 

「心理くらい読めないと術師をやっていけませんので」

 

 互いにクスリと笑う。しかし龍見はすぐに真面目な顔になって炎蓮に問い掛けた。

 

「オレは遊びで女性と関係を持つつもりはありません。抱いてしまえば本気で貴女を愛します。炎蓮さんは本気でオレに抱かれてもいいと思っていますか? もしただ優秀な子を作りたいとかいう理由なら」

 

「そこまで」

 

 人指し指で軽く唇を押さえるようにして、炎蓮は龍見の言葉を止めた。先程まで軽い感じのしていた彼女だが、今は真剣な眼差しで龍見を見つめていた。

 

「遊びで体を許すほど私も軽くないよ。馬淵龍見という男に魅了されたからここにいる。あんたに抱かれたい。それにこっちこそ訊きたいけれど、私みたいなおばさんに夜這いを掛けられて迷惑じゃなかったかい?」

 

「………………チュッ」

 

「! ん、チュプ、んんあ………レロ………………んふふ、情熱的な返事だね」

 

「さ、移動しましょう」

 

「何を言っているんだい。今すぐやるよ」

 

「いやいや! 流石に小蓮ちゃんが真横で寝ている状況でやるのは無理ですよ!」

 

「起きたら起きた時だよ」

 

 開いた口が塞がらないとはこの事。炎蓮は本気で娘に行為を見られても問題ないと思っている。どうにかしてこの場から移動してやろうと考え続けた龍見はある結論に到った。

 

「ならなるべく音を出さないように注意しないといけませんね」

 

「どう注意するつもりだい?」

 

「こうします」

 

 龍見は再び口付けをした。今度は先程よりも長く、なかなか終わる気配がみえない。更に龍見は口付けをしたまま炎蓮の体へと手を伸ばす。ここで炎蓮も口付けしながら行為に及ぶのだと理解した。確かに喘ぎ声というものは響きやすい。ずっと口付けをしながらというのも少し息苦しいが、繋がり続けるというのは悪い気はしないなと炎蓮は思い、龍見の口内へと舌を這わせる。

 対して炎蓮の体を愛撫していた龍見はその豊満な肉体に興奮していた。日頃から鍛え上げているのが適度な筋肉が付いた手足から判断できるが、それでありながら腹部や臀部は女性らしく非常に柔らかい。そして何よりも胸。大きいというのは見れば分かるのだが、それだけではない。重量感があるのに垂れておらず張りもある。触れば柔らかく指が沈むのに離すとすぐに戻る。乳首は少し大きく、感度が高いのか撫でると炎蓮がビクンと動く。

 

「………………」

 

 口付けをしている事も忘れて胸を弄る。その様子に炎蓮は非常に満足そうだった。彼女は自身の胸を誇りに思っている。過去どれだけの男をこの胸で骨抜きにしてきたか。

 

「プハッ………龍見、そんな服の上からばっかりでいいのかい? ほら、直接触ってみな」

 

「ゴクリ」

 

 上を脱いだ炎蓮の姿に思わず生唾を飲み込む。褐色の大きな胸。少し色素が沈着した乳首は勃起し、先からは白いものが滴っている。母乳だ。

 

「ふふ、シャオを産んだ後から妊娠していなくても母乳が溢れるようになってきて大変なんだよ。吸ってもいいんだよ」

 

 龍見は炎蓮の胸へと手を伸ばす。直接触れるとその柔らかさがよく分かる。更に絹のような滑らかな肌は手に吸い付くようだ。そっと顔を近付けてきた龍見の姿に炎蓮はほくそ笑んだ。龍見が魅力的で惹かれたのは事実だ。しかしそれよりも龍見を籠絡し、呉へと引き込む事を目的としていた。

 これまで炎蓮は数多の男に抱かれてきた。どの男も少し体を許せば簡単に支配できた。だから炎蓮は自分の体に絶対の自信を持っていたし、男を軽く見ていた。なのに龍見は優しく炎蓮を押し返した。

 

「? どうした?」

 

「口付けしながら、やるのを忘れるところでした。小蓮ちゃんも寝ていますし、今は静かにやりましょう? 激しくやるのは二人きりの時に、ね?」

 

 その言葉に炎蓮の中で様々な感情が渦巻いた。これまで通りに進まない事への驚き。魔性の魅力に耐え抜き自制した龍見への称賛。そしてその龍見が自分よりも優先した隣で寝ている娘への嫉妬。

 男を自在に支配してきた彼女にとっては有り得ない事態であり、それが彼女の目的を一つに絞らせた。国も、娘も関係ない。ただ自分だけを見ていてもらいたい。龍見を自分だけのものにしたい。

 

「炎蓮さん?」

 

「龍見、一つ訊いてもいいかい?」

 

「はい」

 

「もしこれまであんたが抱いた女の世話をこっちでするって言ったら、私だけのものに」

 

「炎蓮さん、怒りますよ」

 

 先程まで自分の体に魅力されかかっていたとは思えないほどに重い声と冷たい視線に炎蓮は息を飲んだ。

 

「オレはオレを愛してくれた人を大切にします。それが炎蓮さんのように打算があろうと関係ありません」

 

「! 気が付いて、いたんだね」

 

「はい。それでも貴女はオレに抱かれてもいいと思った。そこに偽りはなかった。だからオレもそれに応えて貴女を愛そうと思ったんです。でもごめんなさい。オレは誰か一人のものにはもうなれないんです。これまで何人もの女性を抱いた。その全員がそんなオレを愛してくれた。好きだと言ってくれた。それに応えるためにも誰かだけのものにはなれません」

 

「龍見………………」

 

「人でなしと思ってもらっても構いません。無責任だと罵ってもらっても構いません。でもそれが今のオレの生き方なんです。ごめんなさい」

 

 深々と頭を下げる龍見を見て、炎蓮は脱いだ服を改めて纏った。

 

「謝るのはこっちだよ。あんたの生き方を侮辱しちまったみたいだ。ごめんよ、一度頭冷やさせてもらう。また、明日ね」

 

 静かに部屋を出ていった炎蓮は深く溜め息をついた。龍見の気持ちも、彼を愛した人々の気持ちも考えずに龍見を自分のものにしようとした。行為の最中に出てきて頭も体も火照っているのに、妙に冷静になった炎蓮は自己嫌悪に陥りかけていた。

 

「まともに恋愛してこなかったツケかね。これからどう接すりゃいいのか分からないや………………なあ蓮華、あんたはどう思う?」

 

 声を掛けられて、柱の影から蓮華が姿を見せた。

 

「………………いつから私が隠れていると気が付いていたのですか?」

 

「部屋の前に立った時からさ。やっぱり私の娘だね。同じ時に夜這いに来るなんて。それでどう思うんだい?」

 

「私にも分かりません。母様が龍見に言い寄った事に驚いて混乱しているんですから………………」

 

「そりゃそうだろうね。でもね蓮華、これだけは理解しておきな。今から私達は恋敵だ。龍見ならどっちも受け入れてはくれるだろうけど、先にあいつの子を孕むのは私だからね」

 

 そうはっきりと宣言し、炎蓮は立ち去った。その場に残された蓮華は迷ったように部屋の戸に手を掛けた。しかし中から気配を感じ咄嗟に隠れた。少しすると龍見が飛び出していき、蓮華は残念そうに帰っていった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 部屋に残された龍見も深い自己嫌悪に陥っていた。若造の自分が国のトップに対してなんて事を言ってしまったんだと。

 

「はぁ、明日謝らねぇと」

 

「えー、お母さんが悪いし気にしないでいいじゃん」

 

「いやあれは先に怒ったオレが………………………………小蓮ちゃん? 起きていたのか?」

 

「うん、お母さんが来たくらいから」

 

「ずっと見てたの?」

 

「お母さんは気が付いてたよ」

 

「………………………頭冷やしてくる」

 

 あれだけ気遣いをしておきながら既に起きていたのに気が付かなかった自分が情けなくなり、逃げるように出ていこうとした。そんな龍見に小蓮は声を掛けた。

 

「あ、龍見。シャオはね、龍見だったらお父さんって呼んでもいいから。お兄ちゃんでもいいよ」

 

「そ、そうか。あははははは………………」

 

 苦笑いしか出なかった。そのまま龍見は滝のある川まで全力で走って向かい、日が昇るまで滝に打たれ続けた。




龍見がヘタレで辛い。こいつほんとに主人公かよ。

今回から自己満足のために後書きで本編では使われないであろう設定を書きます。主に龍見のいた現代社会に存在している裏組織について毎回一つずつ書いていきます。第一回はこちら。

陰陽連盟
本部は京都。日本にいる陰陽師の大半がここに所属している。表向きにはアベノ製薬という製薬企業であり、全国に展開するドラッグストアも経営している大企業。
トップに立つのは14代目安倍晴明(JK)。陰陽術のみなら龍見以上。先代は表の企業の社長。
過去に何度も龍見の勧誘をしているものの全て失敗している。
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