※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

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エロシーンはありません。
エロ関係の話はありますがw
あ! TS注意です!


二藍と奈月の話 3

「いや、だってさあ。自分でしてもおさまんないしさー。かと言って、他の男とってのも嫌だし」

 

 頭をかきながら二藍が呻くように言う。

 

「ごめんなさい。せっかく友達になれたのに、二藍さんが……」

 

 そう言ってから奈月は自分が二藍がラスティに振られたことを前提に話していることに気付き、慌てた。二藍はそんな奈月を不思議そうに見る。だがすぐに言いたいことに気付いたのだろう。ああ、と苦笑して二藍は手を軽く叩いた。

 

「ヘーキヘーキ。ほら、ラスティ様とどうしてもって時って滅多にないしさ」

 

 からからと笑って二藍が頭をかく。

 

「あの、本当は今も切ないんじゃないですか? いつもぎりぎりまで、我慢して、それでもラスティさんが来るのを待って」

 

 二藍の置かれた立場を想像しながら奈月は神妙な面持ちで告げた。すると二藍が軽く笑って首を傾げる。

 

「いつもはちゃんと自分でするよー。そこまでアタシ、我慢強くないからね。ただ、どうしてもって時はやっぱり何度かこれまでにあったかなー」

 

 のんびりと言いながら二藍が大きく伸びをする。それから二藍は腰を下ろしていたベッドにそのままぱたん、と身を倒した。

 

「二藍さん?」

 

 急に倒れた二藍を心配しながら奈月は慌てて腰を上げて振り返った。だが二藍はただ単にベッドに寝転んだだけらしい。手を広げて天井を仰ぎ、ぼそりと言う。

 

「うわー。なんかすっごくやりたくなってきた」

 

 突然、二藍が告げた言葉に奈月は目を白黒させた。

 

「あ、あの! 席を外しましょうか?」

「あ、だいじょぶ。いいよ、気にしなくて」

 

 二藍が苦笑して身体を起こす。掛け声をかけて上体を起こした二藍がそこで息を飲む。奈月は不思議に思って二藍の視線を追って振り返った。

 

「二藍! 俺の女になれ!」

 

 いつの間に現れていたのか、部屋の真ん中にラスティが立っている。その背後には常磐の姿もある。ラスティが声高に告げた途端、常磐がべしん、とラスティの頭を叩く。

 

「ものには言いようがあるだろう!」

「じゃあ、俺の愛人になれ!」

 

 殴られた頭を撫でさすりながらラスティが再度声を張り上げる。奈月は慌ててラスティと二藍とを見比べた。二藍は唖然と目を見張ってラスティを凝視している。

 

「変形するまで殴っても直りそうもないな。お前は」

 

 やれやれと常磐がため息をつく。うるせえ、と言ったラスティの姿をしばしじっと見つめてから奈月は微かな笑みを浮かべた。どうやらラスティの歪みは無事に常磐が浄化してくれたらしい。

 

「ラスティ様!」

 

 呪縛から解かれたように二藍が声をあげてラスティの胸に飛び込んでいく。両手を広げてそれを受け止めたラスティはよしよし、と二藍の頭をなでた。

 

「二藍と言ったな。こいつはお前の事を、お気に入りの玩具程度にしか思っていない。お前と交わした誓約の意味さえ判らないガキだ」

「そのガキを嫁にしたのはどこのどいつだ」

 

 常磐の言葉にラスティがぼそりと言葉を挟む。それを聞いた奈月は目を見張った。余計な茶々を入れるな、とラスティの頭を常磐が平手で叩く。

 

「今はお前は男だろう? 俺は男を嫁にする趣味は無い。嫁だと主張するなら女に戻ってからにしろ」

「言いやがったな、この野郎。てめえが勝手に変えたんだろうがっ」

 

 ラスティがむきになって声を荒らげる。奈月はしばし考えてからなるほど、と頷いた。どうやらラスティと常磐は婚姻関係にあったらしい。更に常磐は伴侶であるラスティを男性に変質させてしまったようだ。

 

「え……男? ラスティ様が?」

 

 それまでラスティの胸に顔を埋めていた二藍ががば、と頭を上げる。二藍は遠慮の欠片もなくラスティの身体を手でぺたぺたと触り始めた。肩を触り、胸を触り、最後に股間を手で触る。そこでラスティはうわ、と声をあげて二藍を引き剥がした。

 

「ほんとだ……」

 

 感触を確かめるように二藍が空中で手を何度か開いたり閉じたりする。

 

「こいつが昨夜、お前に告げた言葉は事実だ。成長する女の体の様子とセックスの反応を観察するためだけにこいつはお前を抱いた」

 

 あくまでも淡々と常磐が語る。ラスティがそんな常磐を恨めしそうに睨む。二人の前に立った二藍がふむふむと言いながら手をわきわきと握る。もしかしたら二藍はラスティがどういうつもりで自分を抱いていたのかを知っていたのではないだろうか。特に驚いた風はない。

 

「そのへんのガキが捕まえた昆虫をいたぶるような気安さで、お前を弄んだのだ」

「そういえばそうだよねー。ラスティ様、アタシを縛ったりとかしてたもんね」

 

 けろりとした顔で二藍が告げる。奈月は三人の邪魔にならないよう、こっそりと椅子を引いて腰を下ろした。すっかり冷め切った茶を音がしないように気をつけて啜る。そうしながら奈月はちらりと目を上げた。常磐は依然として平然としているが、その頬がごく僅かに引きつっている。

 

「二藍、こんなガキで本当にいいんだな? 今もお前に恋愛感情を抱いている訳ではないぞ。美味い食事を作ってくれてるついでに、性欲の処理に用いる道具程度にしか考えていない」

「今はね」

 

 二藍がにっこり笑って即答する。奈月は微かに笑って二藍を見つめた。さっきまでの消沈した様子は二藍にはない。

 

「この先、どーなるかなんて誰にも判んないっしょ?」

 

 あっさりと言って二藍はラスティに抱きついた。困惑した面持ちでラスティが常磐と二藍とを見比べる。常磐の頬が本格的に引きつったのを奈月は黙って見て取った。

 

「このバカガキにとっての一番はこの俺だ。未来永劫それは変わりない」

 

 目指すにしても二番までだぞ。常磐が語る声はあくまでも静かだ。だが口にしている言葉はどうなのだろう。奈月はしばし思案してからラスティを見た。ラスティは真っ赤になって口をぱくぱくと開け閉めしている。その胸にしっかりと抱きつきながら二藍がククク、と笑う。

 

「そんなこと、判んないじゃん」

 

 ぴきっ、と常磐の頬が強張る。奈月は静かに茶を啜って三人を順繰りに見た。常磐は顔を強張らせたままでじっと二藍を見ている。もしかしたらあれは睨んでいるのかも知れない。




二藍も常磐に負けてませんw
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