※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

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エロ……といえばエロです。
オナシーンといえばいいでしょうか。


Lavender's blue 4

 切羽詰っていた凪はだが、ある日、とうとう我慢が出来なくなった。毎日、家に帰れば水輝と莢花とはどうしても顔を合わせることになる。その短い時間の中でも水輝は着々と男になっていっていたのだ。そして二次性徴に伴い、凪の身体はそれまでに感じたことのないものを感じるようになってきていた。

 

 少しならいいわよね。凪はこみ上げてくるものを我慢しきれずベッドに横たわり、恐る恐る下着に触れてみた。水輝のことを考えるとたまに下着がどうしようもなく濡れてくる。その時の凪のショーツも漏れてきた愛液で湿り気を帯びていた。

 

 凪は勉強に打ち込む傍らで自慰に耽るようになった。水輝の部屋とを隔てている壁に背中を預け、声を殺して陰部を弄る。最初はためらいがちだった凪の手つきも次第に大胆になっていった。触れるだけで満足できていたのに段々と物足りなくなる。ショーツの上から指先で少し擦るだけで良かったのに、やがて凪はショーツの中に手を入れて直に陰部を弄るようになった。

 

 初めて絶頂に至った時、凪は震える唇で微かに水輝を呼んだ。この壁の向こうに水輝がいる。もし、水輝がこんな風に触ってくれたら。日に日に凪の妄想はエスカレートしていった。

 

 そんなある日、凪は勉強に疲れた身体をベッドに預けてぼんやりとしていた。近頃は水輝が抱いてくれるところまで妄想してしまう。例え自分の頭の中だけの世界とは言っても、そんな想像をしながら自慰に耽るのはいけないのではないか。だがそう考えるうちに我慢が出来なくなる。凪はいつものように壁に背中を預け、濡れたショーツを下ろして陰部に触れた。胸の膨らみを服越しに揉みながら膨れたクリトリスを焦らすように指先でつつく。十分に焦らしたところで凪は指を滑らせ、陰唇を分けてそっと膣口を指先で弄った。

 

 その瞬間、凪の耳にありえない声が届いた。微かな、ごくごく小さな水輝の声が聞こえたのだ。凪は目を見張って全身を緊張させた。自然と股間を弄る手が止まる。凪は息を潜めて耳を澄ました。心臓の鼓動が煩いくらいに体の内側から鼓膜を打つ。凪はごくりと唾を飲み下し、聞こえてくる音に集中した。

 

 なぎ……っ。

 

 掠れた声で水輝が凪を呼ぶ。凪は驚きに目を見開いて俯いた。聞こえてきた水輝の声にはこれまで凪が耳にしたことのない、甘い響きがこもっていた。凪は身体を震わせて恐る恐る振り返った。恐らく水輝は凪と同じように壁に身をもたせかけているのだ。

 

 震える手で壁に触れる。凪は水輝の名を囁きながら壁に唇を寄せた。好きよ、水輝。壁に向かってそう囁く。その瞬間、壁が小さくこつんと鳴った。水輝が向こうから壁を指先で弾いたのだ。

 

 凪は壁に額を押し付けて泣いた。きっと自分がこんな浅ましい妄想に耽っているから、水輝が困っているのだ。

 

 その日を境に凪は自慰に耽るのはやめた。朝になって顔を合わせた凪と水輝は何食わぬ素振りで挨拶を交わし、学校に向かった。そう。何もなかったのだ。昨日のことはきっと夢。凪はそう自分に言い聞かせたのだ。

 

 やがて凪は中学三年生になった。受験ムードの漂う中、凪はこれまでのように勉強に打ち込むことが出来ずにいた。このまま行けばある程度のレベルの学校には合格するだろう。望んでいた寮にも恐らく入ることが出来る。両親は心配するかも知れないが、家を出ることが出来るのだ。

 

 だが本当にそれでいいのだろうか。家を出て、あの二人から目を背けて、それで一人でこれから生きる。そんな道に凪は疑問を覚え始めたのだ。

 

 そんな頃だっただろうか。水輝がある日、ふらりと凪の部屋を訪れた。憔悴した顔をしている水輝に凪は出来るだけ優しく声をかけた。どうしたの? 何があったの? だが水輝は答えない。じっと部屋の入り口のところで俯いている。

 

 その頃にはもう、凪は水輝が普通の人間ではないことに薄々気付いていた。水輝は人の心が読めるのだ。それは間違いない。考えてみれば水輝は莢花の言いたいことを先回りして、不自由がないように心を配っていた。莢花が何度もそんな水輝を不思議そうに見ていたことを覚えている。そして水輝はまた、莢花が疑問に思わないよう、細心の注意を払って邪魔者を蹴散らしていたのだ。

 

 そして水輝は恐らく自分の心も読んでいる。そのことを知りながらも凪は平然を装っていた。例え水輝が何者であったとしても、想いに変わりはない。

 

 何度か凪が促したところで水輝はようやく口を開いた。手にしていた紫色の丸い宝石のようなものを凪の手に押し付ける。水輝は苦しそうに顔を歪め、呟くように言った。

 

 頼む。おれがもしも狂うようなことになったら、殺してでも止めてくれ。

 

 もう、耐えられないかも知れない。そう告げる水輝を凪は呆然と見つめた。どうしてそんなことが私に出来ると思うの。そう言い返したかった。だが凪は凍りついたように動けなくなった。水輝は凪に頼みながら泣いていたのだ。




この頃の水輝はまだ可愛かった(ぉぃ
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