※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

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エロシーンはないのですが、体勢はエロっぽいですかね。


Lavender's blue 7

「これで、宜しいですか?」

 

 静かな声で凪は告げた。

 

「あなたの決意はわかりました。それでは、心理ブロックを働かせているなら、それを取り払ってください」

 

 凪は少しだけ目を見張った。だがすぐに感情に蓋をする。

 

「このままではお気に召しませんか?」

 

 凪は微かに笑って優一郎を見つめた。晒した股間が妙に涼しい。漏れた愛液が外気に触れて冷えているのだ。

 

「いえ、誓約の確認が必要なんです。水輝さんへの想いの有無や量は関係有りません。僕に対するあなたの感情が問題になるんです」

 

 真っ直ぐに凪を見つめながら優一郎が告げる。凪は軽く肩を竦めてため息を吐いた。

 

「消去法です。私は水輝の使い魔になるつもりはない。かと言って地の王に使われることも望んでいない。結果的にあなたしか残らなかった。そういうことです」

 

 凪は素直にそう告げた。優一郎が難しい顔をして腕組みをする。

 

「これで、射止めた、ことになるのかなあ」

 

 呻きながら優一郎がそう告げる。凪は黙ってそんな優一郎をしばし見ていた。優一郎がゆっくりと歩き出す。その場を意味もなくうろつきながら優一郎が口の中で何かを呟く。だがその声は小さすぎて凪の耳には届かなかった。どうやら優一郎は部屋の中を歩きながら考えをまとめようとしているらしい。凪は軽くため息を吐いて優一郎に声をかけた。

 

「いつまでこの格好をしていればいいのですか?」

 

 はっとしたように優一郎が凪を見る。凪は優一郎に言われた通りに忠実に指定された格好を保っていた。

 

「えっと、もうかまい……」

 

 そこまで言って優一郎が口を噤む。しばし黙り込んだ後、優一郎は告げた。

 

「あなたは僕の使い魔となるつもりなのですよね?」

「はい」

 

 凪は股間をさらけ出したまま、静かに返答した。

 

「基本的にヒューマノイドにとってマスターに股間を晒す姿勢は標準的なものです。解除するように指示があるまではそのままの姿勢をとっていてください」

 

 言われたことを凪は頭の中で繰り返した。なるほど、と心の中で呟く。凪は感情のない声でわかりました、と答えた。

 

「あと、栄子さんに誓約の履行確認をとらなければならないから、姿勢を保持してもらっているという理由もあります」

 

 つまり、凪の機体を介して優一郎は栄子と連絡しようとしているのだろう。凪はそうですか、と小声で答えながら重心を少しだけ前に移動した。長時間維持するならこの方が身体は楽だ。

 

「状況を整理しますね。まず水輝さんに対して。あなたは水輝さんを好いてらっしゃるけど、使い魔になる気はない。だから、水輝さんへの意志確認は求めない。それでよろしいですね?」

「……だから水輝を好いてなどいないと言っているでしょう」

 

 凪は眉を寄せてぼそりと呟いた。優一郎が困ったように顔をしかめる。凪はため息を吐いてそっぽを向いた。

 

「そして、栄子さんから直接に話を受けた僕と立城さんを比べた結果、僕のほうを選んだと、そういう理解でよろしいですね?」

 

 諦めたようなため息をついて優一郎が告げる。凪はそっぽを向いたまま無言で頷いた。どうも久しく忘れていたからか、感情に上手く蓋が被せきれない。ついつい負けず嫌いの性格が覗いてしまう。

 

「わかりました。それでは」

 

 優一郎は凪に近付き、その場に身を屈めようとした。が、何を思ったのか屈めかけていた身体を伸ばす。訝りに眉を寄せて凪はそんな優一郎を見上げた。

 

「いったん標準M字開脚ポーズを解いて立ち上がってください」

「判りました」

 

 静かに答えて凪は腿から手を離した。震える足に何とか力をこめ、その場に立ち上がる。凪が立ち上がるのに合わせてめくれていたスカートの裾が降りる。

 

「よく考えたら、もう、床に拘る理由はありませんよね? こちらに来て下さい」

 

 そう言いながら優一郎が歩き出す。部屋の奥に向かって歩き始めた優一郎の後を凪はゆっくりとついて歩いた。途中、何度も足がもつれそうになる。だがその度に凪は唇を噛んで何とか踏ん張った。

 

 大きな執務机がある。衝立を隔てた部屋の奥に案内された凪は不思議な気分で机の周りを見た。何台かの端末が机には乗せられている。その様子はまるで総一郎の机のようだった。そして机の後ろにはヒューマノイドのメンテナンスに使用される台が設えられている。椅子に座ったまま後ろを向けば、すぐにヒューマノイドの状態を目視確認できるようにされているのだろうか。凪はその場に立ったまま、しばし周辺を観察した。

 

「そちらがヒューマノイド用のメンテナンス台になっています。その上に登って標準開脚ポーズをとってください」

 

 言われるままに凪は台に上った。指定された位置に左右の踵を乗せる。足を大きく開いた格好で凪は身体から力を抜いた。斜めに後ろに傾いた台に背を預ける。優一郎は椅子に腰を下ろし、凪と向き合ってスカートをめくり上げた。

 

「凪さん、考え直すなら今のうちですよ。正直、僕は異常ですから」

「弟に欲情していた私よりましだわ」

 

 凪は天井を見つめ、下腹を両手でそっと押さえた。今でも水輝のことを思うとたまらなくなる。だが凪は懸命にその情欲を意志の力で抑え込んでいた。

 

「凪さん、それを言ったら僕なんか実母も義理の母も犯しています」

 

 そう言って優一郎が自嘲気味に笑う。凪はそう、と呟いて優一郎を見つめた。

 

「お互い苦労するわね」

 

 それだけ言って凪はまた天井を仰いだ。

 

 空の主よ。天命の時は来たれり。澄んだ息吹、天を行く閃光、白夜の雪……。

 

 声にならない声で凪は歌うように告げた。凪の股間を覗き込もうとしていた優一郎がぴくりと眉を上げる。

 

 永久の誓約よ。暁の光によりて蘇れ。

 

「暁ですか? 宵ではなく?」

 

 静かな声に問われて凪ははっと目を見張った。いつの間にか優一郎が凪をじっと見つめている。凪は困ったように笑って首を傾げた。

 

「気にしないで。おまじないのようなものだから」

 

 嫌な音がする。身体の内側で鳴る不気味な音を耳で捉えながらも凪はにっこりと優一郎に笑いかけた。

 

「それでは、凪さん。風の貴婦人との誓約の確認のために、通信回線を開きます。よろしいですか?」

「どうぞ」

 

 そう言って凪は目を閉じた。優一郎がクリトリスをつまんで回す。凪は僅かに眉を寄せて息を殺した。なにかを引き裂くような音が鼓膜の向こうから聞こえてくる。凪の股間に向かって話し掛けようとしていた優一郎が息を飲んで顔を上げる。内側から崩壊し始めた凪の陰部から大量の愛液が漏れ、それに続いて赤い液体が漏れる。凪はそれでもじっと目を閉じて身動き一つしなかった。

 

「風の貴婦人よ! 誓約に従いこの娘はいただきます! 汀!」

 

 力ある声が響く。凪は薄く目を開けて天井を見た。涙が頬を伝い落ちる。間近に現れた気配に腕を伸ばし、凪は掠れた声で名を呼んだ。だが優一郎の目にその気配は映らないのだろう。陰部から噴出した液体を手の中に集めている。

 

 唇から赤い液体が伝う。凪は微笑を浮かべたまま、静かに目を閉じた。




凪の自爆。
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