エロ……ではない、のかな?
あ、中身が違う奈月です。
不意になにかがはぜる音がする。莢花はびくりと首を竦めて恐る恐る音のした方をみた。どうやら暖炉で薪がはぜたらしい。そう気付いて莢花は胸をなで下ろした。
「暖炉に火が入ってるってことは、人が居るのね」
そう言いながら莢花は暖炉に近付いた。赤々とした火が温もりを伝えてくる。莢花はしばしぼんやりと赤い火を見つめていた。
やがて暖炉の薪が燃えつきかける。その時、唐突に莢花の真横に何かが現れた。驚きに飛びのいた莢花の目の前に現れたのは一本の薪だった。空中に現れたそれがゆっくりと滑るように動いて暖炉の中に納まる。そして小さくなりかけていた火は今度は新しい薪に燃え移り、再び勢いを取り戻した。
「な、な、な、な何! さすが夢! 不条理だわ!」
驚きの声を吐き出しながら莢花は全身で息をした。あまりに驚いたために、息をするのを忘れていたのだ。
とりあえず着替えよう。莢花は自分にそう言い聞かせてドレッサーのある方に向かった。豪奢なドレッサーの横にはこれまた高そうなたんすが置かれている。恐る恐る金の取っ手をつかみ、莢花はたんすの引出しを開けた。
色とりどりのたくさんの服が納まっている。歓声を上げながら莢花は次々にたんすの引出しを開けた。最後の段にはきっちりと下着類も納まっている。
「この下着、もしかして全部絹の手縫いなんじゃ……」
畳んで並べられていた下着を一枚取り上げ、莢花は呆然と呟いた。真っ白なショーツの縁にはレースがつけられている。よくよく見れば金の糸で縫い取りまでしてある。いいのかな、と呟きながら莢花は恐る恐るショーツを身につけた。柔らかな生地に包まれると着心地がとても良いことが判る。
ってあたし、ノーパンで寝てたんだ。下着の着心地の良さにうっとりしていた莢花ははっと気付いた。誰も部屋にはいないのに急に恥ずかしくなる。莢花は慌ただしくたんすの引出しを探った。
「次はブラよ! ブラ!」
出来るだけ無難に、と思いながら莢花は丁寧に揃えられた下着の中から白いブラジャーを取り上げた。畳まれたブラジャーを広げたところでうっ、と息を飲む。カップの大きさが自分が着けていたものより一回り以上大きい。
焦りながらネグリジェを脱いでブラジャーを着ける。そこでまた莢花は呻きを上げた。
「って、このウェストの細さはいったい!」
どう見てもこのウエストはただごとではない。一体、どんなダイエットをすればこんなウエストになれるのだろう。その癖、ブラジャーのカップは莢花のものより大きいのだ。
「世の中不公平だわ!」
まあお兄ちゃん見ていつも思ってたけど……。そう続けて莢花はぼんやりと水輝のことを思い出した。水輝はとにかくやたらと女子生徒に人気があった。要するにもてまくっていたのだ。そのとばっちりを莢花もいつも食らっていた。水輝に気のある女の子が莢花に手紙を渡してくれだの、プレゼントを渡してくれだのと言ってくるのだ。そのことを思い出して莢花はひくりと頬を引きつらせた。
「お兄ちゃん、いないのかな?」
夢の世界でももてまくりなのかな? そう考えながら莢花は何気なく振り返った。ちょうど宙に薪が浮かんでいるのが目に留まる。どうやらまた、暖炉に薪がくべられるらしい。だがその薪は急に床に落下した。あれ、と呟いて莢花は下着のみの格好のままで暖炉に近付いた。落ちた薪を拾い上げてだんろにくべる。
「今度の薪は根性が足らなかったのかなあ」
そう言いながら莢花はたんすの前に戻った。とにかく服を見繕わなくてはならない。そう思いながら莢花は再度、たんすの引出しの中を探ろうとした。服の間に入れていた莢花の手に何か硬いものが触れる。莢花は訝りに眉を寄せて指に触れた硬い物を取り出した。
それは羅紗の張られた小さなケースだった。不思議に思いながら莢花は首を傾げた。これは一体なんだろう。そう思いながら何気なく蓋を開ける。ケースに収まっていたのは一対の青いピアスだった。それを見つめながら莢花は眉間に深い皺を刻んだ。見覚えがあるピアスだ。
「このピアス、つけていいのかな?」
それは水輝がかつてつけていたピアスだ。莢花は呟きながら自分の耳朶に触れてみた。指先の感覚でピアスホールがちゃんと空いていることを確認する。頷いて莢花はドレッサーの前に腰を下ろした。ケースから大事にピアスを一つ取り上げる。莢花は慎重に左の耳にまずピアスを着けてみた。長く柔らかな髪を耳にかけてピアスを着けた姿を鏡に映してみる。
「似合う似合う」
鏡に映った姿に微笑んでから莢花は右の耳にもピアスを着けた。どうかな、と鏡に映してみる。さすがに美少女だけあって、青いピアスも少女にはとてもよく似合っていた。
次は、と呟きながら莢花はたんすの前に戻ろうとした。
不意に何かに後ろから抱きすくめられる。莢花は驚愕に息を飲んで振り返ろうとした。怒鳴りつけようとしたところで莢花はびくんと身を竦めた。気持ちの悪い匂いがする。莢花は恐る恐る自分の身体を拘束している誰かの腕に目を落とした。
血に塗れた手と服の袖が見える。
「きゃあああああ! スプラッタできたわね!」
莢花は全身を硬直させて大音声で叫んだ。すると唐突に拘束が解ける。次の瞬間、背後に現れていた気配は音もなく消え失せた。慌てて振り返った莢花はその場に点々と落ちる血溜まりを見ながらその場に腰を抜かした。莢花の白い身体にもあちこちに血がついている。
「ああああ、絹の下着が……」
泣きそうな顔で莢花は呟いた。仕方なく白い下着を剥ぎにかかる。最初はブラジャーを外し、続いてショーツを何とか足から抜き取る。驚きすぎてまだ身体は震えている。
奈月の身体(機体)で莢花がアレコレしてます。