※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

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股間丸出しなので、エロといえばエロです。
機械ですけどもw
あ、でも本番シーンとかはないです。


ジョーカーの免責 1

 規則正しい小さな音が聞こえる。汀はその音をしばしじっと聞いていた。音は時計のように規則正しく続いている。

 

 ゆっくりと目を開ける。汀は薄く目を開いたところで息を飲んだ。慌てて周囲を見回す。見覚えのある天井や壁の様子に汀は愕然と目を見張った。置かれている家具にも見覚えがある。

 

 何で。汀はそう呟いて身体を起こそうとした。その途端に酷い痛みが腹部に走る。汀は小さく呻いて再び身を倒した。

 

「汀さん。無理をしないで。これから調整が必要ですから」

 

 静かな声が聞こえる。汀は少し首を曲げて椅子に腰掛けている優一郎を睨みつけた。

 

「何故、助けたの!」

 

 汀はそう叫んでから自分の名前が変わっていることに気付いた。目を見張って息を飲む。魂に刻まれた新しい名前は汀。そのことが聞かなくても理解できる。間違いない。汀は優一郎の使い魔として迎え入れられたのだ。

 

「誓約を果たさないまま滅されたら困りますから」

「誓約……?」

 

 そう呟いてから汀はふん、と鼻で笑った。

 

「私が何を誓約したというの? あなたの使い魔になるということ?」

 

 そう言いながら汀はそっぽを向いた。

 

「あなたにはジョーカーの属性を付けました。限界はありますが、この領域の中で言違いをしても、免責されます」

「それはどうも」

 

 とげとげしい声で汀はそう返した。水輝を守るためだけに神に背こうとしたのに、結局はこのざまだ。情けなさ過ぎて笑うことすら出来ない。汀はそっとため息をついた。

 

「とりあえず、水輝さんへの想いを核にしたあなたの感情は欠けなく残っているはずです」

 

 大切に箱にしまわれてましたよね。優一郎がにっこりと笑いながら言う。汀は勢いよく余所を向けていた顔を戻して優一郎を睨みつけた。

 

 これでチャンスはなくなった。汀は怒りに身体を震わせながら唇を引き結んで優一郎を睨み続けた。あの一瞬、天の時がきたあの瞬間だけが唯一のチャンスだった。あの時、潰えることが出来ていたら、水輝の苦しみを全て吸い上げて散ることが出来たのだ。そのことを思いながら汀はぎり、と唇を噛んだ。力をこめて噛んだために唇が歯に傷つけられる。

 

「主として命じます。自ら身体を傷つけることは止めてください」

 

 優一郎に言われた瞬間、汀の顎から僅かに力が抜けた。噛みしめていた唇から赤い液体が伝う。顔をしかめてそれを手の甲で乱暴に拭いながら汀は呻いた。

 

 汀は優一郎の部屋のメンテナンス台に横たえられていた。台の前には大きな執務机と端末がある。その間に据えられた椅子に優一郎は腰掛けていた。足を開いて台に乗る汀の股間で何かをしている。が、汀の下半身の感覚はない。どうやら感覚を切られているようだ。

 

「……ずるいわ。死ぬことは許してくれないのね」

 

 苦しさに顔を歪めながら汀は呟いた。

 

「あなたを貰い受ける約束でしたから。それから、どうやら作業に興味があるようですからディスプレイを用意しますね」

 

 そう言いながら優一郎が自分の手元に目を落として指を動かす。すると凪の真上の位置の天井の一角が静かに動いた。何もなかった天井に大きなディスプレイが現れる。それを見た汀は顔をしかめた。

 

「別に必要ないわよ。そんなもの」

 

 憎々しさをこめて言う。すると優一郎は困ったように笑ってみせた。

 

「それなら命令にしましょう。汀に命ず、自らの中枢部分の修理状況を逐次確認すること」

 

 すらすらと優一郎が告げる。途端に汀はディスプレイから目が離せなくなった。卑怯者、と口の中で呟く。だが優一郎は汀の悪態に構わず告げた。

 

「これが、あなたの中枢です」

 

 ディスプレイの中で優一郎の指先がそれをさし示す。汀は赤味を帯びたぬめるものの中に埋もれたものを見た。画面に映し出された優一郎の指の先に小さな青い輝きがある。それは美しいサファイアだった。

 

「あなたの魂。感情と水輝さんへの想いはこのサファイアに収められています」

 

 水輝さんの意志もね。にっこりと笑って優一郎がそう続ける。汀は言われた途端に頬を赤く染めた。顔をしかめ、胸の詰まる思いを堪えて卑怯者、と再度呟く。

 

「……私をどうするつもり? 使い魔としてこき使うつもりなら、さっさとしてくれない? そして手早く使い捨ててちょうだい」

 

 もう、水輝を守るチャンスはどこにもない。それなら遠慮は要らないとばかりに汀はすらすらと毒舌を吐いた。

 

「まず修理をしないと使えません。中枢である女性器ユニットも直ってないのに、こき使うも何もないでしょう?」

「あら、ごめんなさい。でも別に修理して頂かなくてもけっこうよ。このままごみ捨て場にでも放り捨ててちょうだい」

 

 淡々と告げた優一郎に汀は憤りに任せて言い返した。そもそも優一郎が汀を使い魔として拾わなければこんなことにはならなかった。今ごろきっと水輝は大変な思いをしているに違いない。なのに自分には何も出来ないのだ。

 

「水輝さんの居場所を探知できるのは僕の下にはあなたしかいません。急いで修理して、水輝さんのところへ同行したいのですが……」

 

 それを聞いた汀はぴくりと眉を上げた。それまでより更に低く冷たい声で告げる。




なぎが自暴自棄になっていたのを、優一郎が助けた、という形になりました。
が、ヒューマノイドだったから、というのもあったりなかったりあったり。
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