あ、エロシーンはありません。
「それにあなた! 水輝を助けたいのはエゴだと言ったじゃない! 水輝を好きだからなんでしょう!?」
完全に凪の思惟の静けさは消えている。
「あっあれは紫さんを治療するためです! それに紫さんのほうも女性でかつ機械体をとっていました!」
焦ったようにまくし立てながら優一郎が汀と水輝とを見比べる。水輝はほほー、と低い声で言って手にしていたカップをテーブルに乗せた。その手をぽん、と優一郎の頭に乗せる。
「そうかー。立城とそんな楽しいことしてるのかー」
言いながら水輝はにこやかな笑みを浮かべた。ぽんぽんと優一郎の頭を軽く叩く。そんな水輝の傍で汀がうんうんと無言で頷く。
「それで、水輝さん、汀さんは引き取っていただけますよね?」
優一郎が小声で言う。そうだなあ、と水輝は口の中で呟いてから指を鳴らした。優一郎の頭を撫でながら顔を寄せる。
「あのさー。お前、あの時、おれに代価くれるって言ったよな?」
にこやかな笑みを浮かべて水輝は優一郎に向き直った。左手でしっかりと優一郎の肩をつかみ、右手でよしよしと頭を撫でる。優一郎の手の中で紅茶のカップが小刻みに揺れた。
「あっ、はい」
「おれの女になるってのはどうだ?」
にこにこと笑いながら水輝は言った。途端に優一郎が眉を強く寄せる。
「申し訳有りませんが、別のことにしていただけませんか?」
「そっ、そうよ!」
困惑したように返した優一郎の言葉に続けて汀が慌てたように言う。水輝は汀と優一郎の顔とを見比べた。さっきまで赤かった汀の顔は青くなっている。優一郎はしかめ面とまではいかないが、相当に不服そうな顔をしている。水輝は肩を竦めて優一郎から手を離した。
「何だ。意外と度胸ねえなあ」
そう言って水輝は椅子に座り直した。テーブルに乗せた灰皿に短くなった煙草を押し付け、新しいものを咥える。
「生理的嫌悪感を感じるものは仕方ないでしょう! 僕は人形フェチかもしれませんが、性的嗜好はノーマルなんです!」
必死の面持ちで優一郎が喚く。水輝はのんびりと煙草をふかしてから横目に優一郎を見た。
「男に抱かれるのは嫌なのか。お前ね、そんなこと言いながら立城におれを抱かせようとしたろ。しかも男のまま」
そう言って水輝は煙草の先で優一郎を指してみせた。すると優一郎がぴくりと頬を引きつらせる。汀は青い顔ではらはらと水輝と優一郎とを見比べている。さっきまでの鉄壁の防御はどこへやら、今の汀の思惟は揺れっぱなしだ。
「じゃあ、僕が女性になって、水輝さんのお相手をしたら、汀さんを引き取っていただけますか!?」
「あー? なに言ってやがる。この女はもうおれのだろ」
水輝は顔をしかめて傍に立つ汀を指差した。唖然とする汀と優一郎を余所に水輝はのんびりと煙草を咥えた。深く息を吸って煙を細長く吐き出す。
「そうですね。了解しました」
そう言って優一郎がにっこりと笑う。水輝はそこで優一郎を横目に睨んだ。
「おれだって断然ノーマルだ! てめえ、妙なこと立城に仕込むなっつったろが!」
低い声で言ってから水輝は残っていた紅茶を飲み干した。
「そのことについては謝罪します。申し訳ありませんでした」
大人しく優一郎が詫びてみせる。水輝は途端に嫌な顔をした。不気味だ。何故、こうもあっさりと非を認めるのだろう。もしかして何か裏が。いつもの癖で水輝はそう勘ぐった。
「ちょ、ちょっと待って。よく判らないけど私、どうなったの?」
汀が困惑の声を挟む。水輝は口許に嗤いを浮かべて隣に立つ汀を見た。
「おれの女になったっつったんだ。渚」
そう水輝が言った途端、渚の髪と瞳の色が染まり変わる。空の色に藍を足したブルーに渚の髪と瞳の色が瞬く間に変わった。
「それでも、あくまで、使い魔にはしないんですね。渚さん、水輝さんに向けて標準開脚ポーズをとってください。これは命です」
「おれは使い魔は持たない主義だ。裏切られるんでな」
そう言いながら水輝は立ち上がり、呆然と佇む渚を軽々と抱えてベッドに向かった。ベッドに下ろされた渚が膝を曲げて腿を開く。
「ちょ! ちょっと待って! 何で私が!」
渚は自分の意志に反して動いているらしい。動揺した気配が遠慮なく放たれている。水輝はどうよ、この女と優一郎を振り返った。
「今は機械式の女性器ユニットですけど、これでよろしいですか? ご不満なら、改造いたしますけど。渚、オナニーデモンストレーションの三番を実行するんだ」
「いやあああああ!」
悲鳴を上げて渚が腕を震わせる。懸命に命に逆らおうとしているらしい。だが無駄だ。使い魔とは主人の命には絶対服従だ。水輝はにやにやと笑いながらベッドに腰を下ろして渚の様子を見物した。
「そうだなあ。まあ、デザインはそっちに一任ってことでどうだ? おれ、機械の身体の女も好きだしさ」
渚が歯を食いしばりながら股間に運んだ手を動かす。もう片方の手がじりじりと胸に伸びる。渚は全力で嫌がりながら自分の股間と乳房とを弄り始めた。
「そんなこと言われたら趣味に走って暴走するかもしれませんよ」
そう言いながら優一郎が笑う。水輝は笑い声を返しながら優一郎に手招きをした。少し離れていた優一郎がベッドの脇に歩み寄る。
なぎが言いように遊ばれてる感じです。