※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

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色々な説明がざばっと入ります。
エロシーンはありません。


優一郎から斎姫への告白 1

 食後のコーヒーを飲みながら優一郎は隣に座る斎姫に呼びかけた。

 

「長い間、放置しておいてごめん。君と話し合わなければとずっと思っていたんだけど。いろんな理由をつけて引き伸ばしてきた」

 

 怖かったのかな。そう続けて優一郎は微かに笑った。斎姫が驚いたように息を飲んでから慌てて首を横に振る。優一郎は少しだけ目を細めてからちらりと肩越しにドアを振り返った。だが近付いて来ていた気配は静かに遠ざかって行った。どうやら遠慮してくれるらしい。

 

「インプットしたデータは一通り理解できた? 疑問点は無い?」

 

 優一郎は斎姫に微笑みかけた。斎姫と要には優一郎が知り得た情報を入れてある。本来は多輝にも写した方がいいのかも知れないが、多輝の場合は水輝のつけた枷の関係で安易に記憶等を弄れない。

 

 それに、打たれ弱いしね。情報は少しずつ、注意しながら流さないと。優一郎はそう胸中で呟いた。

 

「僕は立城さんを母に、立城さんの双子の弟を父に作られた。人工的に作られた龍神だ」

 

 静かな声音で優一郎はそう語った。斎姫が目を見張って絶句する。そんな斎姫の様子をちらりと横目で見つめ、優一郎は続けた。

 

「君も僕と同様に作られた。親となるペアは異なるけどね。水龍神の長、水輝さんと、火龍神の長、火藍さんを両親に持つ。そして僕の戸籍上の姉と事実上の双子とも言える存在となるはずだった」

 

 そう続けて優一郎は小さく息をついた。立城と真也の場合とは異なり、水輝と火藍の力は半強制的に混ぜられた。彼らの力を少しずつ集めたのは立城だ。立城は龍神の力をとある形にして保存する術を知っていたのだ。

 

 そして斎姫と絵美佳は出来上がった。が、絵美佳の魂には別のものが混入された。それ故に絵美佳は魂が出来た直後、傍にあった強い輝きを食ってしまったのだ。それが斎姫だ。斎姫は結局、脳のみしか形成できなかった。

 

「宿体を完全に構成するだけの力を持たなかった君を生かすために、機械の身体で補助をするという手段が用いられた」

 

 幸い、当時の由梨佳は既にヒューマノイドになっていた。ヒューマノイド化の技術は総一郎がほぼ確立した後だったのだ。それ故に斎姫は機械の身体を持つ者として生きることが可能になった。

 

 水輝と火藍の力を用いた人工的な龍神が何故二体作られたか。それは最初の実験だったからだ。片方はスペアとして作られたのだ。

 

「二体のうち一体成功すればいい。もとからそういう発想で行われた実験だったんだ。実際、立城さんは最初は失敗作である君を破棄するつもりだったらしい」

 

 斎姫は黙っている。だがその横顔に驚愕の色が浮かんだのを優一郎は見て取った。驚くのも無理はない。斎姫は優一郎のものとなる以前は立城にずっと守られていたと思っていたのだ。

 

 だが真相は少し異なる。斎姫を破棄するという案に反対したのは由梨佳だ。そして由梨佳が斎姫に機械の身体を与えるという提案をしたのだ。結果、立城はその提案を承諾した。

 

「君を救ったのは宇田川由梨佳さんという女性だ。世界初のヒューマノイドであり、当時は立城さんの研究のパートナーだった。彼女はまず、自らのスペアボディを改良したものを君に与え、君をこの世に留めることに成功した」

 

 淡々と語りながら優一郎は斎姫から目を逸らした。コーヒーカップを取り上げて温くなりかけたコーヒーを啜る。由梨佳の名前に聞き覚えがあるからだろう。斎姫が戸惑いの声を漏らす。

 

「宇田川さんは一時期、僕の義理の母だったこともある。いや、戸籍上は一応今でも実母なのか」

 

 そう言って優一郎は苦笑した。立城のことだ。人の戸籍など好きなように書き換えられるだろう。そして優一郎は絵美佳と共に吉良家の子供として育てられた。

 

 今ならどうして絵美佳があれほど由梨佳を毛嫌いしていたか判る。絵美佳の魂にねじ込まれたのは真也の魂だ。絵美佳は無意識に真也の魂で由梨佳から漂う立城の気配を察知していたのだ。

 

「立城さんは、定めに抗おうとしていた。定めに抗うための手段として僕たちを産みだした」

 

 だがそんな真似を翠が赦す筈がない。それは立城も最初から判っていただろう。だがそれでも、と一縷の望みを賭けて立城は実験に踏み切ったのだ。

 

 天空の翠には未だ謎が多く残されている。からくりは半分も明かされてはいない。が、翠は立城とは異なりやり方には一片の容赦もない。現に翠はあれだけの覚悟を決めて散ろうとした真也の魂を冥界への道からさらってしまった。そしてまんまと立城の策を逆手に取って一石二鳥、火藍の断罪も兼ねてしまったのだ。

 

「立城さんの計画の中で、重要な役割を担っていたのは多輝と僕だ。多輝が天に立ち、僕がそれを守護する。そうすることで、定め自体を変えることが出来るのではないか? そう考えていたんだ」

 

 それ故に多輝には天の宮の名前が与えられた。吉良瀬という苗字を立城があえて多輝に与えなかったのにはそういう経緯がある。が、それは逆に多輝の道を立城の意図とは違うところに定めてしまった。

 

 天の城は宮ではあり得ない。天空の居城は主龍神の住処とされているが、それとは別のところに天の宮は存在する。城はあらゆる災厄から住人を守るもの。宮はそれとは別の意味を持っているのだ。

 

「特に多輝は他に替えの効かない存在だった。実は守護者は僕でなくても、ねえさ……吉良絵美佳として育てられていた一人目の成功作でも良かったんだ」

 

 そう続けて優一郎は静かな笑みを浮かべた。まるで決められているかのように絵美佳と多輝は出会い、そして互いに惹かれあった。が、そこには二人とは別の力が介入している。




この話もですが、基本的に設定は詰めずに書くので……(汗)
設定は後から出来るモノ!!!
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