由梨佳は機械なのですが、ちゃんと書けてない……ですね……。
多輝は顔をめいっぱいしかめて大きなため息をついた。振り返ってバスルームのドアを開ける。脱衣室にはまだ由梨佳が立っていた。
「多輝様。デザートなどお召し上がりますか? それとも他に何か指示はありますか?」
笑みを浮かべて由梨佳が告げる。だがその頬はうっすらと染まっている。よく見るとどことなく笑みもぎこちない。多輝はしばらく由梨佳を睨むように見てからぼそりと告げた。
「試しにおれを誘惑しろ。やりたくて我慢出来ないようにしてみろ」
そう告げた多輝を由梨佳は目を見張って凝視した。だがすぐに顔から驚きの表情が消える。
「誘惑ですか? 誘惑の方法は私が自分で考案すればよろしいでしょうか?」
「任せる」
そう答えて多輝はシャワーのある場所に戻った。開け放したバスルームのドアから湯気が脱衣室に流れていく。
「多輝様、私、多輝様を心からお慕いしております。私のことを哀れと思われるなら、抱いてくださいませ」
多輝は身体を洗いながら振り返った。由梨佳は切なげな表情を浮かべている。多輝はため息をついた。
「駄目。つまんねえ」
そう言って多輝は再び前を向いた。泡立てたスポンジで丁寧に身体を洗う。さほど汗はかいていなかったがそれでも少しは気分がすっきりする。多輝は身体を洗い流しながら由梨佳に向き直った。
「申し訳……ありません」
涙を目に浮かべて由梨佳が震える声で詫びる。多輝はため息をついてシャワーを止めると脱衣室に入った。まだ湯気の出ているバスルームのドアを閉める。多輝がタオルの積まれた棚に手を伸ばす前に由梨佳がバスタオルを一枚、差し出す。
「ついでだ。拭いてくれ」
低い声で命じると由梨佳が素直に返事して多輝の身体を拭き始める。多輝はじっと由梨佳を見つめて告げた。
「他に誘惑の仕方、思いつけないのか」
多輝が不機嫌な声で言うと由梨佳が困惑した顔になった。どうやらプログラム上、融通が利かないらしい。由梨佳の表情を見て取って多輝はそう判断した。
「申し訳ありません。私にご不満を抱いてらっしゃるのですね?」
消え入りそうな声で由梨佳が告げる。多輝は目を細めて別に、と答えた。どのみち、優一郎に頼むか由梨佳自身に命じてプログラムの変更をしない限り、由梨佳の態度は変わらないだろう。
おれは一体、なにをしてるんだろう。どうすれば由梨佳を抱けるかと考えていた多輝は自分の考えに呆れてため息をついた。多輝の身体を拭き終えた由梨佳がバスタオルを握りしめて俯いている。
「あの……。もし私がお邪魔でしたら、処分してください」
殆ど声にならない声で由梨佳が告げる。多輝は目を見張って絶句した。しばらく由梨佳を凝視してから多輝は歯を食いしばった。
「……誰もそんなこと言ってねえだろ」
呻くように告げて多輝は脱衣室を裸のままで出た。大股で廊下を過ぎ、部屋を横切る。窓辺にあるベッドに投げるようにして身体を横たえ、多輝は毛布にくるまった。おずおずとした様子で由梨佳が部屋に顔をのぞかせる。
「多輝様……自慰動作を行ってよろしいですか?」
静かに部屋に入った由梨佳が小声で告げる。多輝はぶっきらぼうに好きにしろ、と答えた。由梨佳が小声で返事してその場に腰を下ろす。
「それでは失礼いたします。自慰動作を開始します」
「あ、待った」
多輝はふと思いついて由梨佳を制止した。ワンピースのファスナーを下ろそうとしていた由梨佳が手を止める。多輝はベッドを降りて由梨佳を引き起こした。ベッドの前まで手を引いて歩く。そこで多輝は由梨佳の手を放し、自分はベッドに腰掛けた。
「どうせならおれの目の前でしろ。もしかしたらおれもやりたくなるかも知れないし」
そう言って多輝は枕元の煙草に手を伸ばした。火を点けて由梨佳にかからないよう、横を向いて煙を吐き出す。
「はい」
嬉しそうに微笑んで由梨佳が頷く。それを見た多輝はふうん、と呟いた。由梨佳が白いフリルのついた頭の飾りを取る。黒いワンピースの背に手を伸ばし、由梨佳は長いファスナーを下げた。そのままワンピースを取ろうとする。だが多輝はそれを制した。
「どうせなら着たまましろよ。この服、おれはけっこう気に入ってんだ」
咥え煙草で指示しながら多輝は由梨佳のワンピースを半端にずらした。その手を滑らせて由梨佳のブラジャーのホックを外す。由梨佳は多輝の言葉に頷いてスカートを残したまま、ショーツだけをずらして足から抜き取った。床に座ってスカートをたくし上げ、膝を立てて腿を開く。露にされた由梨佳の股間を見つめながら多輝は黙って煙草をくゆらせた。
「それでは自慰動作を開始します。ご存分にご覧になってください」
そう告げて由梨佳が緩んだブラジャーをめくる。現れた淡い紅色の乳首は尖っている。
「言われなくても見る」
不機嫌に告げて多輝は灰皿を引き寄せた。由梨佳が乳首を左手の指に挟み、右手をクリトリスに触れさせる。由梨佳の陰部はすっかり潤んでいる。漏れた愛液に濡れて光るその部分を多輝はじっと見つめた。勃起していたペニスがぴくりと震える。
ゆっくりとした手つきでクリトリスと乳首を弄りながら由梨佳はうっとりとした目で多輝を見つめた。じわじわと快感を味わいながら自慰を続ける由梨佳を多輝も無言で見つめていた。時折、多輝の感じるのにあわせてペニスがぴくりと脈打つ。その様子も由梨佳の目に入っているのだろう。ペニスが震えると由梨佳の目に悦びが浮かぶ。
「くぅん! 多輝……さま……」
赤く熟れたクリトリスを優しく撫でながら由梨佳が切なそうに声を漏らす。多輝は目を細めて短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
「……おれのこと、多輝って呼び捨てにしてみろ」
熱のこもった目で由梨佳を見つめながら多輝は呟くように告げた。だが由梨佳は力なく首を何度も横に振る。
「でき……ません。プログラムを書き……あっ、多輝さま!」
多輝は手を伸ばして由梨佳の頭をつかみ寄せた。自慰に耽っていた由梨佳が戸惑いの声を上げる。多輝は我慢出来ずに由梨佳の唇を奪った。目の前で自慰をしながら切ない声で鳴く由梨佳の姿を思いながら深く口づける。
「うっ……んうっ!」
小さく呻いて由梨佳が身体を震わせる。多輝は口を開けて夢中で由梨佳の舌を吸った。しばらく口の中を舌で弄ってから顔を上げる。
当時はメカエロがきちんと書けるように修行中でした。