「呼ばないと、続きさせてやんねえぞ」
低い声で告げてから多輝は由梨佳を解放した。中途半端に快楽を感じたところで放り出された由梨佳が床にへたり込んで震える。
「多輝様、もうしわけあり……ません。性感を感じている最中に、気をつけて呼称を変更することは、できません」
途切れ途切れに由梨佳が告げる。多輝は震える由梨佳の肢体を眺めながら唇を歪めた。由梨佳を抱きたいという欲望に晒された多輝のペニスがぴくん、と脈打つ。
「今だけでいい」
「多輝」
震える声で由梨佳が多輝を呼ぶ。多輝はそれを耳にして満足感をこめて微笑んだ。由梨佳の声には緊張がこもっていて、とても前と同じとは思えないが、それでもいい。多輝は由梨佳を抱き寄せて再び唇を寄せた。
「やっぱり続きはさせてやらないことにする」
意地悪く笑って多輝は腕の中の由梨佳に告げた。
「多輝様、申し訳……ありません」
泣きそうな顔で由梨佳が詫びる。多輝は笑って由梨佳を抱き上げた。ベッドの端に乗っていた灰皿を枕元に戻して由梨佳を膝の上に座らせる。
「多輝……様?」
顔を真っ赤にして由梨佳が呟くように呼ぶ。多輝は下着と服の間に見え隠れてしていた由梨佳の乳房を手に軽くつかんだ。親指の腹で優しく乳首を撫でる。
「かわりにおれがしてやるよ。ほら、どこを触って欲しいか言え」
小さく笑って多輝は乳首に触れた親指を左右に振った。
「多輝……さまになら、どこをいじっていただいても、感じ……ああっ!」
高い声を上げて由梨佳が仰け反る。その背を片手で支えながら多輝は胸に這わせていた手を退けた。
「ちゃんと言わなきゃしないぞ」
「女性器ユニットを……弄って……ください」
恥ずかしそうに俯いて由梨佳が告げる。多輝は判った、と頷いてスカートの中に手を入れた。滑らかな腿に手を這わせ、じわじわと指を滑らせる。軽く開いた由梨佳の腿の間に指を触れさせる。すると由梨佳はびくんと身体を震わせた。
「ここか?」
「はいっ! 多輝……さま!」
うっとりとした面持ちで由梨佳が告げる。多輝は苦笑して手探りで由梨佳のクリトリスをつついた。指先に感じた小さな突起を何度もつつく。
「んっ。あっ、ああんっ!」
「相変わらず凄い感度だな。ちょっと触ってるだけなのに」
くすくすと笑いながら多輝はさりげなく由梨佳の腰に腕を回した。傾きかけた由梨佳の身体をしっかりと片腕に支え、右手の指先だけでクリトリスをつつく。
「あっ! 多輝……さま」
陶然とした面持ちで由梨佳が多輝を見つめる。多輝は熱のこもった目で由梨佳を見つめ、軽く指に力をこめた。それまで先端だけをつついていたクリトリスを指の腹で軽く押しつぶす。その瞬間、由梨佳が声を上げて腰をびくりと震わせた。
「いいっ! とても、いいですっ!」
甘い声で鳴いて由梨佳が腰を何度もひくつかせる。多輝は薄く笑って再びクリトリスをつつくだけの愛撫に切り替えた。すると激しく喘いでいた由梨佳がえ、と小さな声を漏らす。
「んっ、多輝……さま?」
「どした? 触って欲しいところがあったら言えよ」
くすりと笑って多輝は指の先で間隔を空けてクリトリスの先端をつついた。
「人工膣を……弄ってください」
消え入りそうな声で由梨佳が告げる。了解、と笑って多輝は人差し指をずらした。クリトリスから尿道口をゆっくりと指先で撫でていく。多輝が指先を滑らせるのに合わせ、由梨佳が小さな悲鳴を上げて身体を震わせる。その様をゆっくりと堪能しながら多輝は潤みを漏らす薄い皮膚の間に指をあてがった。由梨佳の感じる快楽のままに膣口は緩み始めている。多輝は指先で膣口を弄った。
「あんっ、ああんっ!」
高い声で喘ぐ由梨佳に笑みを向け、多輝は静かに膣口をなぞった。
「これだけでいいのか?」
多輝は由梨佳の耳元にそう囁いて指の動きを遅くした。
「もっと、奥まで……お願いしま……ああんっ!」
それを聞いて多輝は判ったと答えた。静かに膣口に指を挿入する。だが途中まで挿れたところで多輝は目を細めた。やはり狭い。由梨佳はこの機体になってからまだ細いスティックしか膣に挿入したことがないのだ。多輝は慎重に指を進めた。
「すげえ狭いな。処女みたいだ」
そう呟く多輝の声には無意識に熱がこもっていた。まるで由梨佳が本当の処女のようにも思えてくる。
「ああっ、んっ! あん、あああんっ!」
多輝の指を膣内に飲み込みながら由梨佳が切ない声を上げる。多輝は狭い膣壁に出来るだけ負担をかけないよう、指先だけを動かした。爪を立てないよう注意しながら膣壁を優しく撫でる。
「多輝さま……、多輝さま!」
懸命に由梨佳が多輝を呼ぶ。多輝は由梨佳を片腕に強く抱きしめ、耳元に囁いた。
「ほら、奥まで入ったぞ。由梨佳」
人差し指を根元まで膣内に埋めて多輝は薄く笑った。ペニスは痛いくらいに勃起している。早く挿れたい、という気持ちを堪えて多輝はじっくりと由梨佳を愛撫した。
「私……もう、必要、無いのかと……」
甘い息をつきながら由梨佳が小声で呟く。多輝は苦笑して由梨佳の耳朶を唇で挟んだ。
「誰がそんなこと言ったよ?」
「だって、あっ! 抱いて、くださらなかった……から」
多輝は眉を寄せて口を噤んだ。抱きたくなかった訳ではない。だがどうしても抱けなかったのだ。そう思いながら多輝はふん、と鼻で笑った。人差し指の動きをわざと止める。
「もういいのか? 他にして欲しいことがあったら言えよ」
「多輝さまの……をください」
由梨佳が小声で言って恥ずかしそうに俯く。多輝はわざと顔をしかめて告げた。
「聞こえない」
「んくぅ! 多輝様の、ペニスを……ああっ」
多輝は由梨佳が言おうとするのをわざと邪魔するタイミングで膣内に挿れた指を動かした。由梨佳がスカートを強く握りしめる。漏れた愛液で由梨佳の陰部と内腿はぐっしょりと濡れている。多輝が手を動かすとスカートの中からは卑猥な水音が響いた。
「んぅ! あっ! ああんっ! 私の、人工、膣に、挿れてくだ、ああんっ!」
懸命に言葉を紡ぎながら由梨佳が腰を震わせる。多輝はしばし由梨佳を指で翻弄してから笑って手を止めた。
「ほら。もっかいちゃんと言えよ」
多輝が促すと由梨佳が乱れきっていた息を何とか整える。そんな由梨佳を見ているともっと困らせたいという欲求がわき起こる。だが多輝はそれを我慢した。
「多輝様の、ペニスを……私の、人工膣に……入れてください」
恥ずかしそうに顔を赤くして由梨佳が小声で言う。多輝は満足をこめて微笑み、由梨佳をベッドに押し倒した。
多輝は対等に接したい。
由梨佳はそもそも機械なので対等ではないと思っている。
というすれ違いです。