機械なのでどう感じられるかは人それぞれかと思います。
最後のチェックを終えて保美はため息をついた。目の前に立っていた少女の股間から目を離し、膝に乗せていた端末のキーを弾く。出来るだけ早く作ったつもりだが、若干、予定に狂いが生じてしまった。暮れと正月というこの国にとって一番のイベントのため、機材を注文していた業者が休んでいたからだ。
「いいわ。それでは各自、膣内にスティックを挿入し、台に横になってください」
保美が告げると部屋の壁に沿って一列に並んでいた少女たちが返事して実験台に上がる。少女達の手にはそれぞれに一本のスティックが握られている。台に上る少女達は全て裸だ。保美は少女達の動きを目でチェックした。大丈夫だ。特に不具合を生じている機体はない。
十二名の少女たちが台に横になる。保美は部屋の隅にいた果穂に頷いた。机の前に座った果穂が合図を受けて端末を操作する。遠隔操作により少女たちの膣内でスティックが蠢き始める。特有の低いモーター音を聞きながら保美は少女たちの反応を目で確かめた。
静かだった研究室内が徐々に少女たちの甘い吐息に満たされていく。保美は冷静に少女たち一体一体を見て回った。十二体のうち、六体はメイドとして使われる量産タイプのヒューマノイドだ。機体のモデルは優一郎の母である由梨佳に以前使われていたものだ。コスト削減を目的に作られた由梨佳の機体はこの量産型の作製にとても参考になった。メイドタイプの量産型の一体を見ながら保美は手元の携帯端末を操作した。少し他より動きが鈍い。後でプログラムを少々弄った方がいいだろう。だが乳首やクリトリスの勃起具合は悪くない。ばね仕掛けで飛び出る仕組みになっている乳首とクリトリスの具合を確かめ、保美は頷いた。
あとの六体は諜報活動を主に行う目的で作られた。保美は並んだ実験台の間をゆっくりと歩きながら少女の機体一体ずつを眺めた。諜報活動を行うタイプの機体のモデルになったのはカレンの機体だ。だがカレンは本来は戦闘用に作られている。諜報活動を行う場合、ある程度の戦闘能力は必要だがカレンほどには要らない。それゆえ、戦闘機能は必要最低限のものを残し、それ以外には諜報活動に必要なスパイ機能を搭載してある。本来であれば諜報活動の一環として性交渉の特殊機能を搭載したかったところだが、仕方がない。何しろ時間も人手もまるで足りないのだ。その上、優一郎には予算を言い渡されている。それらの事柄を考慮すると全ての条件を完全に揃えるのは不可能だったのだ。
それでも間に合わせには十分に事足りる。保美は足を止めて実験台の上で喘ぐ少女に冷ややかな眼差しを落とした。
「自慰はご遠慮ください」
そう告げて保美は少女の手を専用の器具で実験台に拘束した。それまでうっとりした面持ちで自らの乳房を揉んでいた少女が切ない声で鳴く。だがそれを無視して保美はまた歩き出した。
不意に軽やかなメロディが響く。保美は果穂に目で合図を送り、状態維持を命じた。果穂が無言で頷きキーボードを叩く。その間に保美は自分のスカートの中に手を入れた。クリトリスを指で回して電話を受ける。
「はい。仁科です」
『保美さん、突然の連絡すいません。量産型のロールアウトは今日ですよね?』
耳の中に優一郎の声が響く。保美は微笑みを浮かべてはい、と答えた。
「遅れて申し訳ありません。本日十八時には全てのテストが終了する予定です」
答えながら保美は手元の端末を操作した。表示されたテスト結果をざっと読む。特に問題のある機体はない。先ほどの一体もプログラムの変更はすぐに出来る。
『完成してもう次の話で恐縮ですけど、見学がてらミーティングを行ってかまいませんか? 予算の都合がつきそうなので早めに動きたいんです』
「はい。承知致しました。それではお待ち申し上げております」
そう答えて保美はにっこりと笑った。研究室の天井の四隅にはカメラが設えられている。保美はそのカメラに向かって一礼した。優一郎からの電話が切れる。保美は再び果穂に命じてテストを続行した。
数分後、研究室のドアが開く。現れた優一郎に保美は深々と一礼した。部屋の隅で慌てたように果穂が立ち上がる。だが優一郎は果穂に手を軽く振って椅子に戻るように示した。
「みなさん、こんにちは。ご存知の方も居るかと思いますが、僕はロボット研究会の部長を務めております吉良総一郎です」
にこやかな笑顔で優一郎が挨拶する。すると台に乗っていた少女たちが慌てたように優一郎に頭を下げた。少女たちの様子を眺めながら保美は微かに口許に笑みを刻んだ。少女たちは台に座ってはいるが、まだ膣内ではスティックが蠢いているのだ。そして少女たちは一様に何も身に纏ってはいない。そんなところに突然、男性である優一郎が現れたのだ。例え先に話を聞いていても驚くだろうし、恥ずかしさも覚えるだろう。保美は手元の端末にちらりと目をやって声に出さずに笑った。少女たちの性的欲求は深くなっている。
「みなさんはさまざまな理由で、ヒューマノイドになられたと思います。改造される前に充分な説明を受け、書類にサインしていると言ってもこうして僕に実際にあられもない姿を見られてとまどっている方もいると思います」
そう説明しながら優一郎が少女たちの顔を順繰りに見つめる。そうしている間に小さな警告音が鳴る。部屋の隅で慌て始めた果穂を横目に保美は深い微笑を浮かべた。少女たちの中に優一郎に見つめられただけで達してしまった者があるのだ。先の警告音はそれを報せる音だ。
実際、保美の目から見てもここ数ヶ月で優一郎は劇的に変化している。出会った時から優一郎の容姿はそれなりに整ってはいた。だがそれでも人より見目いいという程度だった。もちろん以前から優一郎が頭の切れる人物であることは判っていた。それらの優一郎の持つ性質とも呼べるものが、ここ数ヶ月で一気に磨かれているのだ。
メカエロと通常のエロは質が違うというか……。
難しいですね。