エロシーンはありません。……たぶん。
今の優一郎と以前の優一郎では身に纏う雰囲気がまるで違っている。少女の中には初めて優一郎を目にしてただ見とれている者もある。
「そこのきみ。大丈夫かい?」
ふと、優一郎が一人の少女に呼びかける。保美は端末を見て口許に笑みを浮かべた。優一郎が声をかけたのは先ほど絶頂に達してしまった少女だ。
「あ……は、い」
惚けたような顔で少女が頷く。メイドタイプのその少女の乳首は最高レベルで勃起したままだ。
「君はメイドタイプだね。名前を聞いていいかな?」
そう言いながら優一郎はゆっくりと少女に歩み寄った。うっとりとした面持ちで少女が名乗る。
「梨恵……石井、梨恵、です」
甘い響きの混じった声に保美は苦笑した。敏感になっているからだろう。梨恵は優一郎と些細な話をしながら軽レベルの絶頂に達してしまっている。端末の画面に次々に流れる数値を読んでから保美は目を上げた。
「それでは梨恵さん。標準開脚ポーズを取って女性器ユニットを僕に晒してくれるかい?」
どうやら優一郎は梨恵に多少不具合が出ていることを読んでいたようだ。小声で返事した梨恵が股間を晒す。優一郎は梨恵の股間を覗きこんでしばし黙っていた。
「梨恵さん、恥ずかしい?」
そう言って優一郎が梨恵ににっこりと笑いかける。
「あっ……あの、その」
梨恵が困惑した面持ちで視線を彷徨わせる。一人、優一郎に笑みかけられた梨恵は他の少女たちの嫉妬の視線を一身で受けていた。保美はそんな少女たちに声をかけた。
「それでは横になってください。これから配るスティックを台のスイッチボックス内のプラグに接続した後、膣内に挿入してください」
そう言いながら保美は空いた実験台に乗ったトレイを抱えて台の間を歩き始めた。梨恵に嫉妬の視線を注いでいた少女たちが慌てたように台に横になっていく。それにつられるようにして梨恵が台に向かって身体を傾けようとする。だがその寸前に保美は素早く手を伸ばして梨恵を制止した。
「あなたはいいわ。部長に見ていただきなさい」
そう言葉をかけてから保美は再び歩き出した。優一郎の脇を過ぎる際に会釈をする。全ての少女に黄色いスティックを配り終えてから保美は優一郎の傍に戻った。
「この娘は、梨恵さんはちょっとメカトラブルを抱えているようだね」
少し大き目の声で優一郎が告げる。静かだった少女たちの間に動揺が走る。保美はしれっとした顔で優一郎に頷いてみせた。
「はい。他の機体より若干動きにぎこちなさが残っています」
保美はそう答えて果穂に目配せした。果穂が焦ったように頷いてキーボードを叩く。すると保美の持つ端末に梨恵の機体のデータが一気に流れてきた。それをこっそりと見やって保美は優一郎に目を戻した。
「梨恵さん、ごめんね」
そう告げて優一郎が梨恵のへそに指を押し込む。え、という戸惑いの声を残して梨恵はがっくりと脱力した。保美は傾いた梨恵の身体を腕に軽々と抱え上げ、横たわる少女たちに声を投げた。
「それでは膣圧限界テストを行います。各自、身体の力を出来るだけ抜いてください。不自然に力をこめると膣壁がスティックを圧壊し、機体内が破損しますので注意してください」
そう言い置いて保美は果穂を見た。果穂が頷いてキーボードを操作する。それを機に静かだった室内には再び少女たちの喘ぎが響き始めた。
「梨恵さんは別メニューで調整することにしよう。第三整備室に運んでおいてもらえるかな?」
「畏まりました」
優一郎に頷いて保美は梨恵を抱えたまま歩き出した。いまのテストはデータ収集のために行われている。それなら果穂が居れば十分だ。保美は静かに研究室を出た。優一郎も保美に続いて廊下に出る。
「この機体は運がいいですわ。部長にお目に留めて頂けたのですもの」
そう言って微笑んで保美は第三整備室に向かった。保美の横を並んで歩きながら優一郎が穏やかに微笑む。その笑みを見とめた保美の背にぞくりとしたものが走った。
「メイドタイプ良い出来だね。保美さん、もしかして僕の好みにあわせた?」
「お気に召していただけましたか?」
保美はそう答えてにっこりと笑ってみせた。優一郎が両手の塞がった保美の代わりに第三整備室のドアを開ける。恐れ入ります、と頭を下げて保美は先に入室した。後から入室した優一郎がドアを静かに閉じる。
「興奮状態で停止させたから、乳首もクリトリスも勃起したままだね。尖り具合も、スプリングの感触も良く調整できてる」
保美が台に横たえた梨恵に触れながら優一郎が告げる。恐れ入ります、と保美は丁寧に礼をした。
先の研究室とは異なり、この整備室は必要十分な広さしかない。入っている実験台も三台きりだ。だが研究室とは違い、ここには各種整備器具が整えられている。
「この娘の製作に一千万円かかってないなんてとても信じられない。僕の期待以上の仕事をしてくれてありがとう」
そう言って優一郎が微笑を浮かべる。それを見た保美の背に再びぞくりとしたものが走った。だが保美はそれをきれいに隠して一礼した。
「お褒めの言葉、ありがたくちょうだいいたします」
静かな返答をして保美は顔を上げた。
絶対の強さを持つ者。保美は機体の特殊な性質ではなく、元来生まれ持った本能で優一郎の強さを感じ取っていた。圧倒的な存在感に晒されているとあの時のことを思い出す。保美は梨恵に向き直った優一郎を見つめ、あの日、無残に壊された時のことを思い出した。
赤い炎のような女に身体を千々に引き裂かれた。カレンは胴体を真っ二つにされた。その状況に保美は何よりも深い快楽を覚えたのだ。
ある種の変態とも言えますが。
保美的には標準な感じです。