※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

64 / 175
エロシーンはありません。
ですけども、悶々としまくってます。


ムラムラしても解消出来ない 2

 

 

「緑色だね」

 

 そう言って立城は顔を上げた。

 

「ありがとうございます」

 

 そう言って梨恵が頭を下げる。それから梨恵は部屋の隅まで逃げていた白銀に視線を向けた。

 

「白銀様、あたしのような人形の股間を覗き込むのはお目汚しだと思います。ですけど、お願いですから通信を受けてください」

 

 梨恵の声は泣き声になっている。白銀はだがそれでも嫌がって首を横に振っている。一体、何をそんなに気にしているのだろう。やれやれと内心で息を吐いて立城は白銀に手招きをした。

 

「あなたも男でしょう。この子がここまで言っているのだから、自分でスイッチを押すのが筋というものです」

「だ、だって俺は……」

 

 戸惑ったように白銀が視線を泳がせる。立城はしばし思案し、ドレッサーに近付いてドライヤーのコードを引っこ抜いた。白銀の前に立ち、コードでその手をすくい上げる。驚きに目を見張る白銀の手首に巻きつけたコードを持ち、立城は歩き出した。引っ張られた白銀が梨恵の前まで歩く。そこで立城はコードを握っていた手を離した。

 

「ほら。さっさとしてください」

「でも」

 

 白銀が真っ赤な顔で梨恵と立城とを見比べる。苛立ちがピークに達した立城は白銀を蹴りたい衝動を堪え、腕組みをして低い声で告げた。

 

「いいかげんにしないと怒りますよ」

 

 白銀を睨みつけて立城は顎をしゃくった。すると白銀が不承不承の態で梨恵の前に膝をついて腰を屈める。梨恵の股間を見た直後、白銀はぶん、と頭を振って泣きそうな顔で立城を見上げた。どうも白銀は女性に対して何らかの夢を持っているらしい。この梨恵の一目で機械と判る女性器に拒否反応を示しているようだ。

 

「……白銀さん。女に恥をかかせる男は最低です」

 

 低い声で立城が告げると白銀が息を飲んで硬直する。その後、白銀は諦めたようにため息をついて梨恵の股間に手を伸ばした。目をかたく閉じてえいっ、と言いながら指でクリトリスを押し込む。

 

「通信回線、開きます」

 

 本格的に泣きながら梨恵が小声で言う。立城はよしよしと梨恵の頭を撫ぜながらぎらりと白銀を睨みつけた。白銀はだが俯いてしまっている。どうやら白銀には通信が聞こえているらしい。時折、慌てたように顔を上げてはまた俯く。やれやれと肩を竦めて立城は床に落ちたドライヤーをつかみ、ドレッサーの前に戻った。苛々しながら髪を乾かす。

 

 仕方ないから自慰に耽るかな。ぼんやりと考えながら立城は指で丁寧に髪を梳いた。次第に濡れた髪が乾いていく。鏡の中では梨恵が泣きじゃくっている。さすがにあんな反応をされれば誰でも傷つくだろう。あーあ、とため息をつきながら立城は髪を乾かし終えた。

 

 丁寧に髪に櫛を入れる。鏡に映る白銀は呆然とどこかを見つめている。どうやら優一郎に釘を刺されたらしい。しばらくすると白銀はふらりと立ち上がり、がっくりとうなだれた。

 

「通信は終わりましたか?」

 

 髪を梳きながら立城はのんびりと白銀に声をかけた。白銀が顔を上げ、鏡越しに立城を見つめる。その顔が泣きそうに歪んでいるのを見つけ、立城は櫛を持つ手を止めた。梨恵はまだ泣きじゃくっている。

 

「あの、すいません、あたし、ストレスが、限界で……あっ!」

 

 泣きながら梨恵がその場に崩れる。その腿が不自然に擦れているのを見つけ、立城は深々とため息をついた。梨恵はヒューマノイドだ。ストレスは性的な快楽がなければ解消されないように出来ている。その場で自慰を始めた梨恵を見た白銀がぎょっとしたように目を見張り、慌てて傍から離れていく。それがまた梨恵のストレスの原因になってしまったのだろう。梨恵は泣きながら股間を手で弄り始めた。

 

 がたん、とスツールを蹴倒して立城は立ち上がった。振り返って静かにドアを指差す。

 

「お二人とも出て行ってください。不愉快です」

 

 きっぱりと言い切って立城は二人を交互に睨みつけた。でも、と白銀が呟く。梨恵が泣きながら這うようにしてドアに向かう。

 

「でもも何もありません! いいから早く、出て行ってください!」

 

 怒りに目を吊り上げて立城は大股で白銀に近寄った。どうして判らないのだろう。近くにいるだけでどうしようもない情欲に駆られているのを、必死で我慢しているのに。そう思いながら立城は無意識に白銀の背をドアに向かって押した。

 

 不意に背をぞくりとしたものが這い上がる。立城は小さく呻いて唇を噛んだ。驚いたように白銀が振り返る。だが立城は構わず白銀の背を押す腕に力をこめ、強引にドアの向こうに追い出した。二人が廊下に出たところでドアを叩きつけるように閉める。それから立城は力なくその場にへたり込んだ。慌てたように白銀が何度もドアを叩く。立城は歯軋りしてドアに手を伸ばし、内側からしっかりと鍵をかけた。

 

「おねがい……します。このままじゃ、あたし、壊れちゃう! ああっ!」

 

 ドア越しに梨恵の悲鳴が聞こえてくる。白銀がドアを叩きながら立城を大声で呼ぶ。ドアの向こうの騒ぎを耳にしながら立城はよろよろと立ち上がった。だがすぐに膝が砕けてしまう。うなだれながら立城は鋭い目で床を睨みつけた。

 

「煩い!」

 

 立城は腹の底から声を放った。するとぴたりと廊下の騒ぎが止む。立城は深く息を吸って震える声で告げた。

 

「……白銀さん。梨恵さんを優一郎くんのところに連れていってあげて下さい」

 

 立城が告げると白銀が困惑したような声を漏らす。立城はじゅうたんを指で握りしめ、身体を怒りに震わせながら感情を殺した。

 

「お願いします」

 

 しばしの間の後、白銀が低い声で判った、と告げた。泣きじゃくる梨恵の声と足音が遠ざかっていく。それを聞きながら立城は何とか立ち上がろうとした。だが腰が抜けたように動けなくなっている。どうやら意識より先に器が白銀の力にあてられてしまったらしい。

 

「んあっ! 立城さま! 一時間後に、優一郎様の部屋へ訪れるように……ああっ!」

 

 遠くから梨恵の声が響く。それを耳にした立城は疲れた息を吐いてはいはい、と呟いた。無事に立てたらね。そう呟きで付け足す。




自慰をオナニーで置換していた気がするのですが……。
まあ、大丈夫かな、と思って置換するのを止めた気がします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。