エロ……はないですね。
「とりあえず、男性に戻っていただきます。お手伝いは必用ですか?」
「子供の姿でよければ一人で出来るよ」
立城は笑顔のまま即答した。ここで優一郎に触れられたらたまったものではない。そう思いながら立城は自分の力をチェックした。時間はかかるかも知れないがこれなら男の姿に戻ることは何とか可能だろう。
「せっかくですから、血と愛液はいただきますね」
にっこりと笑って優一郎が白衣のポケットから二本の試験管を取り出す。優一郎が試験管を宙に掲げた途端、立城は力ない声を上げてその場に崩れ落ちた。腿を伝っていた温いものが消え、同時に膣内に溜まっていた温みが吸い上げられていく。立城は震えながら目を上げた。優一郎の握る試験管の中に透明な液体と赤い血がそれぞれに溜まっていく。
「容赦、ないね」
苦笑して立城は肩から力を抜いた。指に絡んでいた血すらもう消えている。立城の流していた体液を回収した優一郎が試験管にそれぞれ蓋をする。
「ええ。昨晩はありがとうございました。まだまだ、僕は甘かったみたいです」
優一郎の言葉に澱みはない。いやあれは、と反射的に言い返して立城は口ごもった。もしかして勘違いされているのではないだろうか。そんな不安が胸を過ぎる。だがちょうどいいのかも知れない。いつまでもここで優一郎に甘えてばかりもいられない。早く回復して戻らなければ。そう自分に言い聞かせて立城はにっこりと笑ってみせた。
「ええと、男に戻ればいいのかな?」
そう訊ねながら立城は右手をゆらりと持ち上げた。左の胸にあてがったところで目を上げる。
「はい。ゆっくりでかまいませんから」
優一郎に言われた立城は苦笑した。すっかりお見通しか。そう呟いて右手に力をこめる。左腕で身体を支え、立城は右手を自分の胸に突き入れた。その瞬間、激しい痛みに全身を打たれる。立城は痛みに息を殺してゆっくりと手を進めた。無意識のうちに身体が震えてくる。
やがて指が宝珠に辿り着く。目的のそれに触れたところで立城は深く息を吸い込んだ。そのまま息を殺して指を進める。微かな抵抗の後に指が宝珠に潜り込む。立城の指の動きに合わせ、身体が徐々に紫色の光を帯び始めた。輪郭が揺らぎ、形が変わる。立城は自分の器が男のそれに変じたところで右手を胸から抜いた。全身で荒い息を吐きながら優一郎に詫びる。
「ご、めん。服、までは、ちょっと」
幼い少年の姿に戻った立城は裸になっていた。器の形を変えるのが精一杯で、服を構成することが出来なかったのだ。
「いえ、外に出るわけではありませんし、服は必要有りませんから」
にっこりと優一郎が笑う。それを聞いた立城は訝りに眉を寄せた。一体、どういう意味だろう。立城は不思議に思いながら何気なく視線を落とした。股間ではペニスが張りつめている。やはり男の姿になっても情欲は消えてはいない。立城は疲れたため息をついて顔を上げた。
「それで? 僕はどうすればいいのかな」
「ベッドで斎姫が待機しています。女性器ユニットにペニスを挿入して精液を注入してください」
そう言って優一郎が歩き出す。立城は苦笑して何とか立ち上がった。気楽にいうね、と呟きながらベッドに近づく。
ベッドには斎姫が横たわっていた。だがその目には意志は感じられない。腿を大きく左右に開いて女性器を晒している。立城はしばし黙って斎姫の股間を眺めた。斎姫は以前と機械的に見えるという意味では変わってはいない。だが明らかに斎姫の股間に設えられた女性器は以前とは全く形が異なっていた。
辛うじて小陰唇らしきものはある。恐らくクリトリスらしいものも残ってはいる。が、斎姫の女性器はそこだけ見るとそれとは判らないのではないだろうか。点滅している玉状のランプがクリトリスなのだろう。そのクリトリスを囲む形で金属製のパネルがはめ込まれている。小さなスイッチがつけられているから、恐らくそのパネルで斎姫の機体の何かを操作するように設定されているのだ。その下にあるのが花びらを思わせる桜色の小陰唇だ。が、それも辛うじて形が残っているだけで、特にペニスを刺激できるような構造にはなっていない。
そして膣口はホースの断面のような丸い口になっている。覗き込むと口の内側に薄い膜のようなものが見える。どうやらペニスが挿入出来る状態にするには、その膜を何らかの方法で外さなければならないようだ。もしかしたら貞操帯のようなものだろうか。
しばし斎姫を見つめてから立城は顔を上げた。
「……申し訳ないけれど、僕のはほら」
そう言いながら立城は自分の股間を手で示してみせた。勃起はしているのだが、まだ幼いために亀頭の半分ほども外には出ていないのだ。
「直径計らせてもらいますね」
言いながら優一郎が白衣のポケットからノギスを取り出す。立城はそれを目にして焦った。
「待って。君は僕に触らないで」
手のひらを優一郎に向けて制止の声をかけてから立城は深々とため息をついた。下手に触られると射精してしまう恐れがある。立城は額を覆って呻くように告げた。
「もう少し自覚してくれないかな……。君の気配には嫌でも情欲をそそられるんだよ」
「すいません」
消沈した面持ちで呟くように優一郎が答える。立城は大きくため息をついて片手を優一郎に差し出した。貸して、と言って優一郎の手にしていたノギスを取る。要するにペニスのサイズを測ればいいらしい。そのことを理解して立城はノギスのジョウを開いて自分のペニスにあてがった。
立城は出来るだけ刺激しないよう、勃起したペニスの直径を測った。
「1.5かな」
そう言いながら立城はノギスを優一郎に差し出した。
「1.5センチですね。膣圧は少し高めに設定しますから、痛かったら右乳首を押し込んでください。今回のリハビリの緊急停止スイッチとして機能します」
ノギスをポケットに戻して優一郎がベッドに横たわる斎姫に手を伸ばす。クリトリス周辺のパネルにしばし触れてから優一郎が顔を上げる。どうぞ、と促されて立城はベッドに上がった。
容赦なく計る!w