※この作品はR-18です。

魂の座 三部 暁の姉妹   作:伊駒辰葉

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ここにはエロシーンはないです。
あ、終盤にちょっとだけそれっぽいのがある……かな?


龍宝珠界の片隅で 1

 街は賑わっていた。普段は静かな通りに人々が溢れている。いつもは沈んだ雰囲気しかない街がひとときの賑わいに包まれる中をラスティはゆっくりと歩いていた。道を行く人々の顔はとても明るい。長期に渡って繰り広げられていた大戦が終結したからだ。

 

 だがこの喜びも恐らくつかの間だろう。大戦で命を落とした者は数多い。潰えた者たちは今は翠の許で眠っている。だが街をゆく人々も王宮の者達も、そして神殿に務める者たちも知らない。己が人ではない者であることを知っているのは守護神たちだけだ。

 

 決して外に出ることのない世界で人々は輪廻転生を繰り返す。龍神が死すたびに生まれ、そして龍神が生まれるたびに死んでいく。ずっと繰り返されてきたことを思いながらラスティは街外れに向かった。夕陽の射す大きな路地を抜け、森に続く小道に入る。そこまで行くと人通りは全くなくなった。

 

 タイラードの住人は誰もが知っている。国を囲む迷いの森にラスティはためらいなく入っていった。森に入ると急に周囲が暗くなる。タイラードを囲むこの森には外部からの侵入者を阻むという役割がある。そして同時にタイラードの民が勝手に外に出てしまうことを許さない。この森を最初に作ったタイラード王は内と外とが自由に行き来出来ないよう、魔法士たちに命じて大きな魔法を森に施してしまったのだ。

 

 だがそれも今は見る影もない。大戦が勃発した折、タイラードはラルエミーナの守護するラクタート神聖王国と同盟を結んだ。それに対していたのは火の国ファイダと水の国ウルスマだ。

 

 やがて戦いは全ての国に及んだ。白黒の双子の国はラクタートと同盟を結び、トゥルメニアはウルスマ側と手を組んだ。唯一、生命のソフィアの司るソニルガ国だけが戦いには参加しなかったが、それでも他国の争いに全く巻き込まれなかった訳ではない。国を間に挟んで戦いが繰り広げられた結果、ソニルガの民の多くの命が奪われてしまったのだ。

 

 戦いの末、タイラードの迷いの森は外と内から切り崩された。そして大戦終結の大きなきっかけとなった大地震が森の半分ほどを飲み込んでしまったのだ。

 

 崩れた森を横目に眺めながらラスティはゆっくりと道を進んだ。施されていた術はほぼ無効化されてしまった。常磐をただ安定させるためだけに作った檻も壊されてしまった後だ。日の光を殆ど浴びることのなかったタイラードの民たちの時間も静かに動き始めている。

 

 全てが狂ってしまった。ラスティはため息をつきながら家に向かって進んだ。あの時から覚悟はしていた。あちらの世界で水輝が大きな魔法を放った瞬間から判ってはいたのだ。

 

 守護陣に守られたおかげでラスティの家を中心に広範囲は以前のままの景色を保っている。ラスティは薄暗い森を進んで家に辿り着いた。木で出来たドアを静かに開ける。

 

 家の中には魔法の光が灯っている。壁に灯る光を作ったのは常磐だろう。ラスティはただいま、と小さな声をかけてドアを閉めた。だが入ってすぐ、見える範囲に常磐はいない。ラスティはため息をついて肩にかけていたマントを取って椅子に放ると黙って部屋の奥に進んだ。廊下を出て寝室に向かう。

 

 気の早い月が部屋を照らしている。ラスティは寝室に入ってすぐに足を止めた。背後で扉が静かに閉じる。しばらくその場に佇んでラスティは窓際のベッドを見つめた。横たわっていた常磐が気付いたのか、閉じていた瞼を開ける。ラスティは微かに笑ってベッドに近づいた。

 

「帰ったのか」

 

 掠れた声で言われる。ラスティはああ、と頷いてベッドの縁に腰掛けた。常磐が震える腕を持ち上げる。差し出された手を両手にそっと包んでラスティは笑みかけた。

 

「飯、食えるか?」

「いや。腹は減っていないな」

 

 力ない声で常磐が答える。ラスティはそうか、と答えて常磐の手をそっと戻した。常磐がラスティに力なく笑みかけて再び目を閉じる。ラスティはゆっくりと首を戻して正面を見つめた。

 

 もう、どうにもならない。常磐はもう、どんな魔法も受け入れない。こちら側の力が届かなくなってしまっているのだ。常磐の身体は今、殆ど消えかけている。身体の輪郭がぼやけ、辛うじて質感はあるがたまに身体の向こうの景色が見えてしまうほど透けてしまうのだ。

 

 ラスティは無言で立ち上がり、身につけていた服を脱ぎ始めた。衣擦れの音に気付いたのだろう。常磐が再び目を開ける。ラスティは視線に気づいて肩越しに振り向いて笑った。

 

「……珍しいな。お前が自分から脱ぎ始めるのは」

「そうか?」

 

 笑って答えてラスティはシャツと下履きを取り去った。皮の靴を脱いで下着を取る。一糸纏わぬ姿になってラスティは静かにベッドに上がった。

 

「いつもは嫌がるのに」

 

 苦笑していいながら常磐がゆっくりと手をラスティの胸にのばす。ラスティは自分から常磐に跨って身を屈めた。触れ易いように上体を倒して腕で身体を支える。震える常磐の手がラスティの胸に触れる。ラスティの胸には殆ど膨らみはない。だがそんなラスティの胸を常磐の手が這い回る。ラスティは常磐に何度か唇を寄せてから囁くように訊ねた。




エロの続きは明日です!w
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