香りだけって感じですが。
「えーっと……確か、暇そうだから俺と遊ぶかとか何とか」
そう答えてからラスティは眉を寄せた。どうも記憶が曖昧で二藍とのやり取りがはっきりとは思い出せない。
「二藍はその時処女だったのだろう? その事を、お前に告げなかったか?」
「処女? ああ、したことないってこと?」
ラスティはすらりと言い返した。どうも自分の身体に当て嵌めて考えてしまうために、そのことに特に意味があるとは思えないのだ。
「そうだ。二藍はお前の提案に最初消極的だったのではないか?」
そうだっけ。ラスティは常磐に言われるままに当時のことを思い出そうとした。が、別段、問題があったとは思えない。
「最初、ちょっと抵抗されたかなあ……どうだっけ。あんま、覚えてない」
眉を寄せて唸りながらラスティはそう答えた。すると常磐が深々とため息をつく。
「『アタシ、その……処女だから! 遊びじゃ駄目。遊びじゃ無いって誓ってくれるなら』そう、問われたな? それに対して、お前は返答を帰さず口付けして口を塞いだ」
淡々と常磐が告げる。え、とラスティは目を見張ってそうだっけと呟いた。そういえばごちゃごちゃと何か言われて面倒だと思った覚えがある。口を塞いでその場に押し倒し、服を強引に剥がした記憶も何となくある。
「あー……。そういえば何か言ってたな」
ぼやくように答えてラスティは頭をかいた。あの頃の二藍はまだ十四になったばかりだった。ラスティと体型もあまり変わらず、だから試すにはちょうどいいと思ったのだ。
二藍の身体は、それまでにラスティが試した女たちよりずっと幼かった。胸も膨らみ始めたばかりだったらしく、手の中に隠れてしまうほどしかなかった。ある程度年齢の行った女と言えば豊かな胸がついているものだと思っていたラスティは酷く驚いた。腰のくびれもさほどではなかった気がする。だが肌はそれまでに試したどの女よりも滑らかで、傷一つなかった。
常磐の言葉に触発されたように、ラスティの脳裏には当時のことが思い浮かんだ。小さな乳房に触れるたびに二藍は泣きそうな顔で掠れた声を漏らしていた。こんなに幼い身体なのに、どうしてそんな反応が出来るのだろう。誰に触れられても快楽など覚えないラスティは二藍の反応をとても不思議に思った。
もしかして俺は女として間違っているのか。そうも思った。二藍はそんなラスティの思いをまるで肯定するかのように、指先の些細な動きの一つ一つに敏感な反応を示した。
「思い出したか?」
「思い出したってーか……。それで? 別に問題ないだろ。特に約束した訳でなし」
顔をしかめながらラスティは小声で返した。
「誓いに対する返答の手段は言葉だけとは限らない。とりあえず、彼女の置かれた状況を説明しようか」
ため息混じりに告げて常磐が真っ直ぐにラスティの目を見つめる。ラスティは何となく居心地の悪さを感じて視線を逸らした。吹いてきた涼しい風に目を細める。
「森が消え、池も涸れた。街道が開かれ、宿場町も出来た。彼女の生活にも変化が訪れた。次にお前が彼女を抱いたのは、町が生まれた時だったな。思い出してみろ」
「次……」
言われる通りにラスティは記憶をたどった。そう、あれは確か二藍が十六になった頃だったろうか。ラスティは何気なく町を歩いていて二藍を見つけた。二藍は嬉しそうに笑ってラスティに駆け寄ってきた。その頃にはもう、二藍は親を戦で亡くしていた。大戦に薬師の父親は引っ張り出され、そこで果ててしまったのだ。
父親の跡を継いだのだと二藍は言っていた。ラスティは大して気にせずその話を聞いた。ついでだから、と二藍の泊まっている宿に連れて行かれた。そこでラスティは勧められるままに酒を飲んだ。
その後の記憶がない。ラスティは思い出すうちに青ざめた。
「最初に抱いた時、お前は物理的には彼女の処女を奪わなかった。しかし、二度目に抱いた時に、お前は彼女の処女を奪った。その後、お前はあの街道を通る度に、彼女と交わった。間違いは無いな?」
「い、いや、あれは……」
街道沿いに二藍は自分の店を出していた。ラスティはそれ以来、その街道を通るたびに二藍に声をかけられ、誘われるままに家を訪れた。最初は訳が判らないままにラスティは二藍に言われる通りにした。唇を合わせ、身体を弄る。そうしているうちに二藍が言うのだ。挿れてと。
そんなことを言われても俺、女だし。戸惑ってラスティは二藍に言った。だが二藍はラスティに言ったのだ。この間はしてくれたじゃない。
あの日、二度目に二藍に会った時の記憶をラスティは持っていない。だがどうやらそこで自分が二藍を抱いたらしいことは理解出来た。だがラスティは例え外見が男にしか見えなくても、身体は女性だ。当然、ペニスも持ってはいない。
考え抜いた挙句、ラスティは魔法を用いてペニスに似せた張り型を股間に設えることにした。幸い、魔法とラスティの身体そのものは相性がいい。結果的にラスティは股間に偽のペニスをつけ、それを二藍の膣に突っ込むことにした。
呻きながらラスティは額を押さえた。
「最初に抱いた時、二藍はお前のことを幻か何かだと思っていた。しかし、彼女はお前との誓いを忘れなかった」
淡々と常磐が語る。待て、とラスティは低い声で制止した。
「確かに俺、色んなこと試すのにちょうどいいからって二藍と何回もしたけどさ。それがまずかったのか?」
ラスティが自覚して二藍の膣内に張り型を突っ込んだ時、ふとあることを思いついて試してみた。以前、常磐がどうやっても感じないラスティに業を煮やして使った媚薬を二藍の膣内に注ぎ込んでみたのだ。二藍はその後、自分でも訳が判らなくなるほど乱れまくり、激しい声をあげながら失神するまでラスティにねだり続けた。
何で常磐はそれを知ってるのかって話ですよねw