【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
机に座り、窓からぼーっと校庭を眺める。
サッカー部員たちが朝から活発に練習をしていた。
その中に、エースであるはずの時田の姿はない。
朝から文化祭実行委員の打ち合わせがあるんだと、何度も嘆いていた。
「やっほーぼーやん、また外見てるの?」
「おはようアヤ。うん、外見てた」
「そ、そっか……」
目の前に、茶髪のショートヘアの美少女が立っていた。
白い半袖ブラウスがまぶしい。
「アヤ、もう体調は大丈夫なの?」
「あ、うん……多分、気圧のせい、かな」
昨日の月曜日、アヤは学校を休んだ。
一昨日の遊園地とか、その前日の大会の疲れがドッと出たのだろう。
体力だけは自信があると豪語するアヤだけに、かなり心配した。
「気圧か、俺、感じたことないな」
「まあ、ぼーやんだもん、ね……」
アヤは、窓のほうを向いてぎこちなく笑った。
少し頬が赤らんでいる。
教室で俺と目を合わすのが気まずいようだ。
修学旅行以来、学校では挨拶くらいしかしていない。
教室でこうやって会話するのは、ずいぶん久しぶりだ。
急に、アヤが振り返った。
どうやら女友達たちに呼ばれたらしい。
アヤの横顔が、貼り付けたような明るい笑みに変わる。
「はいはい〜……じゃね、ぼーやん」
アヤは軽やかに俺の視界から去っていった。
教室の入り口近くで、女友達たちに「アヤ大会残念だったねー」とか「ドンマイだよ!」とか声を掛けられている。
そんなアヤを、クラスの男子たちがチラチラ見ていた。
昨日、アヤが休んだ日。
大会でのアヤを撮った写真を、女子の一人がみんなに見せていた。
本人が休みなのと、時田が実行委員でいないのをいいことに。
男子たちも「おお~…」とか「あー結果どうだったん?」とか、さりげない風を装ってスマホを覗き込んでいた。
俺のとこにもその女子がきて、悪気のなさそうな顔で「ぼーやんも見る?」と言うので、素直に頷いた。
部員たちの集合写真と、試合中の様子が数枚。
さすがにアヤだけをアップで撮ったものはなかった。
あれば、削除するよう言っていただろう。
アヤは、ピンクを基調としたTシャツに、黒の短パンという指定のユニフォームを着ていた。
思わず、目を奪われる。
ユニフォーム姿を見たことなかったし、ピンク色に身を包んだアヤを見るのも初めてだった。
だからすごく新鮮で、可愛くて、意外なほど似合っていて、試合中の表情は格好良くて……なんというか、また一目惚れしてしまった。
俺がぼーっと眺めていると、その女子は「ぼーやん眠いの? はい終わりねー」と言って去っていった。
他の男子にも見せようとして、アヤと仲のいい女友達たちに「やめなよねー」とやんわり注意されていた。
なんとなく。
その空気が少し不穏な感じがして。
ああこれが、アヤがむやみに刺激したくない人間関係なんだなと思った。
そんな女友達たちにアヤは今、頭を撫でられたり、逆に撫で返したりしている。
楽しそうに笑うアヤを横目で眺めていると、教室に時田が入ってきた。
「おいみんなー、ちょっと聞いてー!」
サッカー部で培った通る声で、クラス中に号令を掛ける。
時田は教卓まで行くと、アヤをチラリと見てから、真面目な顔になった。
「えーっと、文化祭の準備の話です。うちのクラスは二組とお化け屋敷だけど、今日から本格的な準備が始まります。みんな一人ずつに仕事を依頼してくから、お願いします。今日入れて、あと三日しかないから」
時田が話しているうちに、クラスはスッと静かになる。
席に着き始める生徒もいた。
さすがのリーダーシップだ。
多分、こういうところに、アヤも惹かれていたんだろう。
「江藤が……あー、文化祭準備を引っ張ってくれてた江藤先生が急に辞めちゃって、わりと実行委員もバタバタしてるんで、ここは一つ、みんなよろしくお願いします!」
パチパチと、まばらな拍手が上がる。
他の生徒も口々に「おっけー」とか「了解ー」とか返事をしていた。
江藤先生――修学旅行でアヤと俺の情事を隠し録りし、それをネタにアヤを襲おうとしていた男は、修学旅行が終わってすぐに、自ら学校を去った。
親の介護でという説明だったが、噂では他の女子生徒に手を出していたのがバレたらしい。
俺が江藤先生のデジカメを没収したのも、辞めた理由の一つだろう。
デジカメは、今も俺が厳重に保管している。
多分、もう江藤先生がアヤに手を出すことはないだろう。
でももし、アヤに近づいてきたら。
その時は――。
「――じゃあ午後から準備始めるから、みんなよろしくなー!」
時田はもう一度拍手を催促していた。
クラスは、今日も平和だ。
***
午前の授業が終わり、いよいよ文化祭の準備が始まった。
時田のテキパキとした指示のもと、みんなで一丸となって動く。
修学旅行のときにも感じた、独特の非日常感が漂い始める。
俺は、お化け屋敷の看板の色塗り係を任命された。
「やべっ、絵の具切れそう……ぼーやん美術準備室から取ってきてくんない?」
一緒に色塗り係をしていた男子に頼まれ、俺は立ち上がる。
教室にアヤの姿はない。
どうやら二組のほうで仕事をしているらしい。
俺は廊下に出て、美術準備室に向かった。
美術室の引き戸を開けると、中には誰もいない。
でもなんとなく、アヤがいるような気がした。
絵画やキャンバスの並ぶ美術室を通り抜け、奥にある美術準備室の扉を開ける。
「おおぅっ! って、ぼーやんか……びっくりした~」
アヤが絵の具の箱を十箱ほど抱えて、立っていた。
目を見開いて、俺を見上げている。
「あれ、アヤも絵の具取りに来たの?」
「あ、うん、私たちは壁塗り係だからね」
アヤは、なぜか誇らしげな口調で言った。
俺の横を通り抜けて、美術室のテーブルに絵の具の箱を置いていく。
「俺も手伝おうか?」
「ううん大丈夫。もうすぐ援軍が来るから」
「そっか」
「ぼーやんも絵の具?」
「ああ、俺は看板の色塗り係だからね」
俺も、少し誇らしげな感じで言ってみる。
「うんうん、ぼーやん絵とか上手だもんね」
アヤは、なぜか得意気に頷いている。
まるで、若い才能を発掘したパトロンのような顔だ。
「アヤの絵も、独特な世界観あるよな」
「うーバカにすんなよ~っ」
アヤはなかなかユニークな絵を描く。
小学校の頃、俺の似顔絵を描いたと言って見せてくれたのは、ひょうたんに三本の毛が生えた不思議な生き物の絵だった。
俺はそれを、大事に保管している。
アヤが描いてくれた、最初で最後の似顔絵だったから。
中学に上がっても、アヤの絵は独特なままだった。
ある日、時田に「この絵はヤバいだろ~!」とからかわれたのをきっかけに、アヤの絵を見る機会はなくなった。
バカにされ、かなり気にしていたのを覚えている。
そういえば、俺もあの時はかなり時田にムカついた。
あんなに可愛い絵はアヤにしか描けないのに、と。
「……俺はアヤの描く絵、好きだよ」
低い声で、平然と伝える。
「あ……りがと……」
アヤはうつむきながら、絵の具の箱を意味もなく並び替えていた。
――連れ込め。
神様の直感が、俺に囁く。
俺も、元からそのつもりだ。
「ごめんアヤ、ちょっと手伝ってくれない?」
言いながら、美術準備室に入る。
「あ、うんいいよ」
アヤも美術準備室に入ってきた。
室内はカーテンが閉まっていて、薄暗い。
絵の具独特の匂いが充満していた。
とりあえず、文化祭用にたくさん用意されているという絵の具の箱を探す。
アヤが俺の隣に来て、戸棚のほうを指さした。
「ぼーやんそこ、戸棚の下のダンボールにいっぱい入ってるよ」
俺は、戸棚の前でしゃがみ、ダンボールから十箱ほど絵の具の箱を取り出す。
「アヤごめん、これ置いてきてくれない?」
「はいよー」
アヤが絵の具の箱を抱えながら、扉へ向かう。
俺は、手ぶらでその後ろを付いていく。
アヤが美術準備室から出ていこうとする瞬間。
俺は手を伸ばして扉を閉め、アヤの進路を塞いだ。
アヤが、ピタッと立ち止まる。
後ろから伸びてきた手に、目の前で扉を閉められたのだ。
戸惑うか驚くかすると思ったが、アヤは無言だった。
「ハァ……」
アヤから、小さなため息が漏れる。
困ったなという感じだ。
どうやら、俺の悪だくみは想定の範囲内だったらしい。
アヤが絵の具の箱を抱えながら、ゆっくりこちらを振り向いた。
少しムッとしている。
「私にだけ持たせたんか」
「ぜんぶ持つよ」
言いながら、体が触れる距離まで近づく。
「ぼーやん、ここ、学校だからね……?」
さとすような、説得するような口調だ。
まるで、聞き分けのない子どもに言い聞かせるような声色。
アヤがお母さんになったら、こういう感じで子どもをたしなめるのだろうか。
「そうだね」
俺は、アヤの頭を優しく撫でた。
「はぁ……」
アヤがまた、ため息を漏らす。
今度は、呆れたという感じだ。
そんな態度とは裏腹に、アヤの頬はさっきから桃色に染まっている。
ゆっくり手を伸ばし、触れてみる。
俺の手よりも、ほんのり温かい。
薄暗い部屋の中で、しばし見つめ合う。
手のひらを通して、アヤの心が伝わってきた。
――キス、なら。
いいのかな。
キス、だけなら。
ぼーやん、したそう。
私、も。
だけど。
……むり。
むりむり。
むりだ。
学校、だから。
もし見られたら。
時田に。
友達に。
見られたら。
知られたら。
いろいろ壊れる。
壊したくない。
こわい。
アヤは、唇をギュッと引き結んだ。
修学旅行でもアヤの家でも、かなり大胆なことをしたはずなのに。
学校だと、俺とキスをするのにも抵抗があるらしい。
学校は、アヤにとって一番気を遣う場所だ。
一番、怯えている場所と言ってもいい。
もし俺とのことが知られて、友達との関係や、いろんな人間関係が壊れてしまうのが恐いのだろう。
アヤの不安な心が、痛いほど伝わってくる。
立っている場所が、ガラガラと崩れ落ちてしまうような恐怖だ。
「ぼーやん、出よ……?」
アヤが、俺を見上げて言った。
その表情は引きつっていて、今にも泣きそうだ。
以前の俺だったら、アヤにこんな顔をされたらアタフタしていただろう。
ごめん、と謝って扉を開けたはずだ。
――出るな。
神様の直感が、俺に警告する。
「アヤ、もう少しここにいて」
「どうして?」
俺はその問いには答えずに、ゆっくり顔を近づけた。
両手を絵の具の箱で塞がれたアヤに、俺の接近を妨げるすべはない。
アヤの瞳は不安げに揺れているが、顔をそらしたりはしなかった。
互いの唇が重なる、その瞬間。
美術室のほうからガララッと引き戸の開く音がした。
数人の足音が入ってくる。
俺とアヤは、鼻先が触れ合う距離でかたまった。
『――あれ、アヤはー?』
『おや、いないね~』
『アヤ、いるー?』
アヤの女友達たちの声が、扉ごしに聞こえてくる。
そういえばさっきアヤは、もうすぐ援軍が来ると言っていた。
絵の具運搬を手伝いに来たのだろう。
アヤを見ると、俺の胸のあたりに視線を泳がせて、硬直していた。
顔から血の気が引いていっている。
アヤがパニックになったり、頭が真っ白になったりしたときに、アヤはこういう感じになる。
何食わぬ顔で出ていって、「ぼーやん手伝ってた」とでも言えば、何も怪しまれないだろうに。
後ろめたい気持ちが、正常な思考を奪っているのだろうか。
――出すな。
神様の直感が、ここに潜んで様子をうかがえと言っている。
俺は、美術準備室の扉をそっと押さえた。