※この作品はR-18です。

【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話   作:月見ハク

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幼馴染をバイト先に迎えに行った(十四日目 木・夕方)

 夕方にもなると、お化け屋敷はだいぶ完成してきた。

 お化け役や仕掛け役のリハーサルも済んだ。

 

 教室内に張り詰めていた緊張感も、和らいできた。

 後は細部を直したりして、明日を迎えるだけだ。

 チラホラと、帰りだす生徒もいる。

 

「ふぅ」

 

 俺も、一息ついて床に座った。

 

 教室を見回して、アヤを探す。

 彼女は、廊下で電話をしていた。

 「それは大変だ」とか「うんいいよ」とか相槌を打っている。

 

 アヤは電話を終えると教室に戻り、いそいそと帰り支度を始めた。

 

 しばらくすると、俺のスマホも震え出す。

 ポケットから取り出すと、画面に『リョウジさん』と表示されていた。

 

 リョウジさんは、アヤのお父さんの弟――つまりアヤの叔父さんだ。俺の本名「リュウジ」と似ているので、昔から妙な親近感があった。

 料理人で、オシャレな中華レストランを営んでいる。

 俺も昔から何度も足を運んでいて、リョウジさんとは顔なじみだ。

 特製餃子が絶品で、何皿食べても飽きない。

 

 廊下に出て、通話ボタンを押す。

 

「リョウジさん、どうしたの?」

 

 すると、『ぼーやん悪いんだけどさー!』という軽快な声が響いた。

 リョウジさんは、アヤのお父さんとは正反対に陽気な人だ。

 

『今日バイトが来れなくなっちゃって、急遽アヤちゃんに助っ人頼んだんだよ~! 文化祭準備で忙しいのは分かってるんだけど、今日予約のお客さん結構入っちゃって――』

 

「ああ、アヤの迎えですね」

 

『ほんとゴメン! メシご馳走するからさ!』

 

「お安い御用ですよ。夕飯……お願いします」

 

 アヤは月に何度か、リョウジさんのお店を手伝っている。

 終わるのは二十二時を過ぎるので、アヤのお父さんが仕事で遅い日なんかは、たいてい俺が迎えにいく。

 

 リョウジさんは大声で『ぼーやんありがとな!』と叫び、電話を切った。

 大音量に耳が痛くなり、思わず目をつぶる。

 

 瞼を開けると、教室から出てきたアヤと目が合った。

 今からリョウジさんのお店に向かうのだろう。

 しばし、アヤと見つめ合う。

 

 まだ鼓膜が痺れている俺の様子に、アヤは「ふふっ」と微笑んだ。

 俺がリョウジさんと電話していたのを、アヤも知っているのだろう。

 

 一緒に行こうか――。

 

 そう言いかけたとき、横から声を掛けられた。

 

 

「ぼーやん、髪にゴミついてる」

 

 

「え?」

 

 見ると、すぐそばにユカリが立っていた。

 俺の頭に向かって手を伸ばしてくる。

 

(かが)んで」

 

 意識がアヤに向いていたせいか、ついユカリの言うままに屈んでしまった。

 

 ――屈むな。

 

 は?

 

 直感が謎の警告を発する。

 しかしすでに、俺は膝を曲げていた。

 

「はい、取れたよ」

 

 ユカリが小さな木くずを見せてくる。

 準備の最中に付いたのだろう。

 

 急いでアヤのほうを見ると、ふいっと顔を背けるところだった。

 そのまま足早に廊下の向こうへ去っていく。

 

 アヤの背中に声をかけようとしたとき、ユカリが話しかけてきた。

 

「ぼーやん、このあと時間ある?」

 

「ないかな」

 

 適当に返事をして、再度声をかけようとする。

 

「アヤのことで、大事な話があるの」

 

「……アヤの?」

 

 思わずユカリのほうを向く。

 

「うん、ちょっとでいいから」

 

「……分かった。ちょっとなら」

 

 俺は教室に戻り、急いでカバンを取る。

 すでに帰り支度を済ましていたユカリと合流し、校舎の出口へ向かった。

 

 

***

 

 

 学校の一番近くにある喫茶店で、俺とユカリはテーブルを挟んで座っていた。

 

「で、アヤの話って何?」

 

 早速、最重要テーマについて聞く。

 

 ユカリはため息をついて、ガクッとうなだれた。

 セミロングの黒髪がふわりと揺れる。

 

「ホントにぼーやんって、アヤにしか興味ないよね」

 

「うん」

 

「私が二組にいるって、知ってた?」

 

「まあ、それくらいは」

 

 お化け屋敷の準備をしながら、アヤとユカリが話しているのを何度か見かけたことがある。

 

 ユカリは「はぁ」と息を吐きながら、上目遣いに俺を見た。

 

 

「ぼーやん、神様から不思議な力もらったでしょ」

 

 

 ユカリの言葉に、固まる。

 

 しかしその意味を考える前に、俺はなぜだか理解した。

 ユカリも、同じような力を授かっている。

 それが、伝わってくる。

 

 俺が理解したことも伝わったのだろう。ユカリは平然と話を続けた。

 

「修学旅行の帰りにさ、新幹線でぼーやん寝てたじゃない? あの時、私が起こしてあげたんだよ」

 

「そうなんだ」

 

 確かにあの時、誰かにトントンと肩を叩かれた気がして目を覚ました。

 なんとなくアヤかと思っていたけど、ユカリだったのか。

 

「それでさ、そのときに願ったんだ」

 

「なんて?」

 

「…………ぼーやんを、私にくださいって。そしたら『叶えました』って声が聞こえて、なぜだかぼーやんも同じ力を授かってるって分かった」

 

「そっか」

 

 俺だけじゃなかったのか。

 神様はずいぶん大盤振る舞いをしているらしい。

 

「ぼーやん……じゃない、リュウジくん」

 

「なに?」

 

「私ぼーやんとエッチしたい。しよ?」

 

 ユカリは、まっすぐ俺を見てきた。

 

 俺は、少し考える。

 神様の直感が、ユカリに言わせているんだとしたら。

 こういうストレートに伝えてくる感じが、本来の俺のタイプなのだろうか。

 多分、リュウジという本名で呼ばれるのにも弱いのだろう。

 

 しかし今の俺には、少しも響かない。

 

「ごめん、無理」

 

 なんで? とか どういうこと? とかは聞かない。

 ただ、事実をそのまま伝える。

 

「じゃあ、デートして欲しい」

 

「無理」

 

「じゃあ、手とか……つないでみたい」

 

 ユカリがテーブルの上に両手を差し出し、握手を求めてきた。

 

「無理」

 

 「うっ」と言葉に詰まったユカリの目に、涙が浮かぶ。

 それも、直感の指示なのだろうか。

 いずれにせよ、俺の心が揺らぐことはない。

 

 

「……神様の力のこと、アヤに言ってもいい?」

 

 もうヤケクソだ、という感じを醸し出して、ユカリは食い下がってきた。

 

「言ってもいいけど……だから何? って話になると思うよ」

 

「…………だよねぇ」

 

 そう。

 この力は、言ってしまえば直感と運が良くなるだけだ。

 超能力では? なんて思われるような要素はどこにもない。 

 アヤに言ったところで、「ユカリどうした?」と心配されて終わりだろう。

 

 ユカリもそれを分かっているのか、再びうなだれてしまった。

 セミロングの黒髪も、くたびれて見える。

 

 と思ったら、また顔を上げて見つめてきた。

 今度は怯えたような顔を作り、ヒソヒソ声で話し出す。

 

「ねぇ、この神様って何者なんだろうね……ちょっとコワくない?」

 

「いや、特に」

 

 今のところ、この力には感謝しかない。

 

「私はコワいよ。もしかしたら悪魔的な何かかもって。アヤにも、悪い影響があるかも……。ねぇ、私たちで解明してみない? 私とぼーやんって、一種の共犯者みたいなもんだしさ」

 

 なんとなくだが、作戦を変更してきたのかな、と思う。

 正直、アヤ以外には鈍感なぼーやんのままなので、ユカリの真意は分からないが。

 

 ただ俺は、神様の正体なんてどうでもいい。

 たとえそれが仏様でも八百万の神でも、ユカリの言うような悪魔でも、女神や魔王だったとしても……かまわない。

 アヤを手に入れることができるなら。

 

 

 だから俺は、端的に答える。

 

「あんまり興味ないかな」

 

「はあぁぁぁ~、もーなんなの~……」

 

 ゴンという音がして、ユカリがテーブルに突っ伏した。

 まるで降参のポーズだ。

 ユカリの頼んだアイスティーが揺れ、俺のお冷の氷がカランと鳴る。 

 

「もういい?」

 

 俺はまだ冷たい水をぐいっと飲み干した。

 

「あ、待って! じゃあ文化祭、一緒に回って? 一日目、ちょっとの時間でいい……そしたらもう、ちょっかい、出さないから」

 

 最後のほうは、涙声だった。

 

「ごめん、む――」

 

 無理、と言おうとしたところで、直感が囁いた。

 

 ――受け入れろ。

 

 ユカリのお願いをきく。

 それがアヤを手に入れることにつながる。

 なら、淡々とそうするだけだ。

 

 

「……午前ならいいよ」

 

「え、いいの!?」

 

 ユカリが信じられないという顔をした。

 

 アヤは一日目の午前は、お化け屋敷の足首つかみ係で忙しい。

 その間くらいなら、少し時間を割いてもいいだろう。

 

 ユカリの狙いは分からない。

 でも、アヤを文化祭で手に入れられるという確信は、少しも揺らがない。

 嫌な予感も一切しない。

 つまり、ユカリがどう行動しようが、俺とアヤのゴールには何の影響もないということだ。

 

 多分、想いの強さが、俺とユカリじゃ全然違うんだろうなと思う。

 

 

「じゃあ行くね」

 

 用件が済んだので、立ち上がる。

 

「どこ行くの?」

 

「アヤのバイト先」

 

「あぁそう……」

 

 ユカリが、諦めたようにつぶやいた。

 

 

***

 

 

 リョウジさんのお店は、アヤの家から自転車で三十分のところにある。

 電車やバスを使うと一時間以上かかるので、自転車のほうが早い。

 

 アヤはお父さんが迎えに来れない日は、いつもいったん家に帰ってから、自転車に乗って店に向かう。

 

 俺が店の前に着いたとき、時間は十九時を回っていた。

 ぼーっとその外観を眺める。

 オシャレな照明が、店の看板を照らしている。

 店先の駐車場に、見慣れたアヤの自転車が置いてあった。

 

 入り口のドアを開けると、ふわっと餃子の匂いが漂う。

 この匂いを嗅ぐと、俺はすぐにお腹が減るようにできている。

 

 見渡すと、カウンターを合わせて二十席くらいの店内は満席だった。

 家族連れやカップルが、美味そうな料理に舌鼓をうっている。

 

 カウンターキッチンから、喜んだ猫のような声が響いた。

 

「おーいらっしゃい!」

 

 アヤがニコニコしながら、俺を見ている。

 

 その瞬間、モノクロだった視界が一気に色づいた。

 さっきまでぼんやり眺めていた世界が、嘘みたいにクリアになっていく。

 

「カウンターでいい?」

 

 アヤが料理を運びながら、聞いてきた。

 俺がコクリと頷くと、アヤは口角を上げ、アイコンタクトでカウンターのほうを指し示した。

 そのまま俺の横を通り抜け、家族連れのテーブルに料理を持っていく。

 かなり忙しそうだ。

 「チャーシュー麺です!」とアヤが笑いかけると、小さい子どもからも笑みがこぼれた。

 

 俺は一番端のカウンター席に座ると、「予約席」と書かれた紙を剥がす。

 アヤの字だ。

 所々丸っこくて丁寧な筆跡に、なんだか温かい気持ちになる。

 

 店内が見渡せる、いつもの席。

 馴れ親しんだイスの硬さに、嗅ぎ慣れた匂い。

 俺とアヤの、たくさんの思い出が詰まった店。

 

 

 この店とは、小学校からの付き合いだ。

 六年生になると、週末にアヤと一緒に自転車で来て、ランチを食べて帰るのがブームだった。

 

 そこそこの遠出をして、子どもだけでレストランで食事をする。

 俺たちには、ちょっとした冒険だった。

 お客さんが少なくなると、リョウジさんが特製デザートをご馳走してくれて、三人で取りとめのない話をする。

 

 「二人は、結婚式いつよ?」。

 リョウジさんがそう言ってからかい、俺とアヤは気まずい苦笑いを浮かべ合った。

 すぐに会話のテーマは変わり、帰る頃にはそんな一瞬の気まずさなんて忘れてしまう。

 少なくとも、アヤは。

 

 俺は、いつも忘れたフリをしていた。

 

 

 

 物思いにふけっていると、目の前に美味しそうなお冷が置かれる。

 

「ご注文は?」

 

 アヤが慣れた口調で聞いてきた。

 

 思わず、その姿に見惚れてしまう。

 

 アヤは厨房も手伝うので、長袖の白いコックコートを着て、下には黒いズボンを穿いている。

 コックコートは大きいサイズのようで、アヤは腕の袖の部分を何重にも折っていた。

 それなのに胸元は布地をこんもりと押し上げていて、アヤのバストを強調している。

 

 視線を上げると、いつもとは違う髪型が目に入る。

 ショートカットをかき上げて、後ろをゴムで結んでいて、整った目鼻立ちを際立たせていた。

 アヤの貴重なオールバック姿を見れるのは、この店だけだ。

 

 きっと俺はこれまでもこの店で、アヤに見惚れていたのだろう。

 子どもの頃から、ずっと。

 

「特製餃子二皿と、担々麺で」

 

 俺はメニューを見ることなく告げた。

 

「はいよー。オーダー、カウンター一番さんいつものー!」

 

 アヤが元気に声を上げる。

 キッチンで、リョウジさんが「あいよー!」と返事をした。

 

 

 料理を待つ間、さり気なくアヤの働く姿を眺める。

 キッチンの手伝いに接客にお会計に、大忙しだ。

 

 今も、金髪が特徴的な男のお客さんと、レジで何やら話し込んでいる。

 アヤの困ったような笑顔を見るに、多分軽いナンパだ。

 キッチンからリョウジさんが、「ありがとうございましたー!」と声を張り上げ、会話を強制終了させる。慣れたものだ。

 金髪の男は、中途半端な笑顔を貼り付けて店を出ていった。

 

 キッチンに戻ったアヤに、リョウジさんが小声で話しかける。

 

「どうした?」

「次いつ入るのって」

「そうか」

 

 その短いやり取りの後、リョウジさんが「四番さん豚チャーハンね!」と、アヤの目の前に料理を置く。

 「はーい!」と返事をしたアヤが、また忙しなく接客に戻っていく。

 別のお客さんが、「すみませーん」と声を上げ、アヤが「はーい!」と返事をする。

 

 話しかけるのはしばらくやめておこう。

 

 

***

 

 

 二十一時を過ぎると、客足も落ち着いてくる。

 アヤもときどき俺のほうに寄ってきて、二言三言会話をするくらいには余裕が出てきた。  

 

 特製餃子二皿と担々麺はとっくに平らげ、デザートの杏仁豆腐も食べ終わり、今は食後のアイスコーヒーを飲んでぼーっとしていた。

 あと一時間もすれば、アヤの帰宅時間だ。

 

 ふと、キッチンからリョウジさんに声を掛けられた。

 

「ぼーやん、ちょっと手伝ってくれるか?」

 

「あ、はい」

 

 

 俺はリョウジさんの後について、キッチンからお店の裏手に出た。

 たまにこうしてビール瓶や料理の材料を運ぶのを手伝う。

 

 しかし今回は、違う用事のようだ。

 リョウジさんはお店を回り込むように、店の入り口のほうへ向かっている。

 店先の駐車場が見えてきたあたりで、立ち止まった。

 

「ぼーやん、あいつ、アヤの知ってるヤツか?」

 

 リョウジさんの視線の先。

 駐車場近くの塀に寄り掛かる人影があった。

 

 さっきレジでアヤに話しかけていた、金髪の男。

 顔は若く、二十歳くらいだろうか。

 少なくとも俺は見たことない顔だ。

 

「俺は知らないですし、多分、アヤも」

 

「そうか」

 

 リョウジさんが、低い声で唸った。

 

 金髪の男はスマホを見るフリをしながら、チラチラと店の中を見ている。

 直感に頼らなくても、ピンときた。

 

「アヤの、ストーカーですか」

 

「まだ分かんねぇけどな。この前アヤちゃんがバイトに入った日から、毎日来るんだよアイツ」

 

「常連さん?」

 

「だと思ってたんだけどな。さっきアヤちゃんに、次いつ入んのかって聞いてたんだ。……クソ、せっかくアヤちゃん接客に慣れてきたってのに」

 

「そうですね」

 

 金髪の男はアヤに次のシフトを聞いて、その後、駐車場に(たたず)んでいるだけだ。

 でも俺もリョウジさんも、ストーカーだと確信していた。

 

 前にも一度、アヤはストーカーに遭ったことがある。

 中学三年生の時だ。

 近くに住む大学生が、一人で店に来ていたアヤに一目惚れをしたらしく、名前や学校について聞いてくるようになったらしい。

 しばらくすると、店の近くでアヤが来るのを待ち伏せするようになったという。

 

 学校では時田との名物カップルぶりは有名なので、変な輩が寄ってくることはない。

 しかし学校外では、たまにナンパされたり、こうして変なヤツに狙われたりすることがある。

 

 その大学生のストーカーは、リョウジさんが人知れず追い払ったらしい。

 だから、アヤはストーカーに狙われたことも、リョウジさんが対処したことも知らない。

 この頃、リョウジさんが俺によくアヤの迎えを頼むようになったので、理由を聞いたら教えてくれた。

 「騒ぎになったらアヤちゃんがビビっちまうからな」。

 そう言って笑うリョウジさんは頼もしくて格好よくて、なんでかちょっと悔しかった。

 

 

 ――話をしに行け。

 

 神様の直感が、そう告げてくる。

 

「リョウジさん、俺があの男と話してきますよ」

 

「いや、だめだめ。ぼーやんは店でアヤちゃんと待っててくれ。そのために今こうして呼んだんだ。俺が話してくる」

 

「リョウジさんが店先で話し始めたら、それこそ目立ってアヤが不安がります」

 

「確かにそうだけどさ」

 

 リョウジさんは、ストーカーの存在をアヤに知られたくない。

 実は人一倍臆病なアヤを、恐がらせたくないのだ。

 その気持ちは、俺も分かる。

 

「大丈夫なんで、任せてもらえますか? もしダメだったらリョウジさん呼ぶんで」

 

 リョウジさんの目を見据え、自信を持って伝える。

 リョウジさんが目を見開いて、俺を見た。

 直感のおかげで、妙な自信をみなぎらせる俺の態度に驚いているのだろう。

 

 普段だったら、俺なんかに任せないのだろうが――。

 

「……分かった、ぼーやん頼んでいいか? コイツは話通じねぇと思ったら、刺激しないように会話をしつつ、こっそり俺の携帯鳴らしてくれ」

 

 リョウジさんは、俺を頼った。

 ひそかに憧れ尊敬してきたリョウジさんに、男として認められた気がして嬉しくなる。

 これも、神様のちょっとした計らいなのだろうか。

 

「分かりました。アヤには、俺は外で待つことにしたって言っておいてもらえますか?」

「おお、くれぐれも気をつけてな。絶対に刺激すんなよ? すぐに警察呼ぶとか、ぶっ飛ばすぞとか言って脅すのもダメだ。逆上しかねないからな。できるだけ穏便に引き下がってもらうんだ、いいな?」

 

「はい、そうします」

 

 リョウジさんは、深く頷いた。

 

「まあ、ぼーやんの図体なら、襲ってくるとかはないだろうけどな」

 

 若干物騒なことを言い残し、リョウジさんはひとまず店の中に戻っていく。

 

 俺は、ゆっくり金髪の男に向かって歩き始める。

 

 ――刺激しろ。

 ――脅せ。

 ――逆上させろ。

 

 神様の直感が、物騒なことを囁いていた。

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