【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
震えるような寒さで、目が覚めた。
瞼を開けると、教室の天井と蛍光灯。
左腕に痺れを感じる。
顔を向けると、アヤの寝顔が間近にあった。
鼻先がアヤの鼻先に当たって心臓が高鳴る。
アヤは俺の左腕を枕にして、すうすう寝息を立てていた。
小さな吐息が、温かくて心地いい。
ぼうっとする頭で、昨夜のことを思い出す。
アヤを、敷いたマントの上に寝かせて。
正常位で繋がって。
時々キスをして、見つめ合って。
二言三言、言葉を交わして。
時間を掛けて、ゆっくり腰を動かして。
アヤは何度かイって、俺も何度か果てて。
吐き出す精は空っぽだったけど、そのせいか射精感が終わらなくて、ずっと気持ちよかった気がする。
その後もずっと、俺たちは繋がりを解くことなく、抱きしめ合って。
また口づけをして、頬にも、肩にも、指にもキスをして、他にもあちこち――。
「ん……」
隣のアヤが小さくうめいた。
頭を動かして、俺の肩のあたりに寄ってくる。
アヤの裸体を包んでいるマントがするすると落ちて、滑らかな肩が露出した。
俺はその肩にマントを掛け直す。
そうだ、昨日は体中にキスをし合っているうちにお互い眠くなってきて。
アヤがうとうとしていたから、マントを掛けて。
俺も、その隣で意識を手放したんだ。
「へっくしっ」
思わずくしゃみが出て、ブルリと震える。
自分の体に目を向ければ、マントが辛うじて腰に掛かっているだけだった。
「さむっ……」
俺はアヤを起こさないようにゆっくり腕を抜くと、体を起こした。
「いつつっ」
ずっと床に寝ていたからか、背中や体の節々が痛い。
腕枕をしていた左腕など、肘から下が痺れて感覚がない。
俺は左肩を揉みほぐしながら、マントに包まれたアヤを眺める。
絵画のように美しくて、可愛い寝姿だ。
数多あるアヤの魅力が、また一つ増えた。
俺はゆっくり立ち上がると、床に散らばった服を回収した。
下着とズボンを穿き、アンダーシャツを着ると寒さがだいぶ和らいだ。
スマホを見ると朝の四時半を過ぎたところだった。
どうやら教室に戻ってくる生徒はいなかったらしい。
これも、神様の計らいだろうか。
そんなことを思いながら、教室の窓に近寄る。
空が濃く青みがかっていて、校庭の向こうの家々がうっすら見えた。
日の出が近いのだろう、遠くの地平が朝焼けでほんのり赤らんでいる。
「……んぅ、ぼーやん?」
呼ばれて振り向くと、アヤが顔だけをこちらに向けていた。
朝日もさしていないのに、まぶしそうに俺を眺めている。
「アヤ、おはよう」
「お゛はよぉ……まだ寝る……?」
「いや、そろそろ起きようか」
「んぅ……」
「アヤ、体は大丈夫?」
「んぅ……」
どうやら、大丈夫らしい。
アヤはその後十五分くらいかけて、マントから這い出てきた。
***
「ぼーやんごめん、濡れティッシュある?」
アヤに言われて、昨日ゾンビメイクを落とした濡れティッシュの箱を見つける。
床に座ったままマントで身をくるんだアヤに手渡すと、「あっち向いてて」と言われた。
背後でモゾモゾと音がする。
汗や愛液や、俺の唾液にまみれた体を拭いているのだろう。
やがてスルスルと衣擦れの音がし始めた。
「いいよ」
振り向くと、服を着たアヤがいた。
黒いTシャツと紺の制服スカートには所々シワが寄り、髪の毛も寝癖が立っている。
その姿がなんだか色っぽくて、俺は顔が熱くなるのを感じた。
俺はごまかすように、教室の扉のほうを向く。
「トイレ行ってくるよ」
「あ、私も行く」
トイレから出てきたアヤは、寝癖がほんの少し直っていた。
「お待たせ~」
言いながら歩いてくるアヤは、まだ少し眠そうだ。
俺はスマホを手に取り聞いてみた。
「アヤ、朝帰りのこと家になんて言おうか。うちは多分大丈夫だけど」
アヤがトイレに行っている間、家にはメールをしておいた。文化祭の打ち上げが盛り上がり、友達の家で徹夜をしてしまったと。
「あー……協力を要請してみる……」
「協力って、友達に?」
「うん……」
言いながらアヤはスマホをいじり始めた。心なしか緊張しているようだ。
次第に、眉が困ったようにハの字になったり目を泳がせたりし始めた。昨日、女友達から届いたメッセージを読んでいるのだろう。
やがて意を決したように指を滑らせる。
すぐにピコンと音がした。
「あ、返事来た」
アヤが急いでスマホを見つめる。
「…………みんな、昨日は泊まってたみたい。私も……一緒にいたってことにしてくれるって……」
どうやらアヤの女友達たちも、誰かの家で一夜を明かしていたらしい。
「よかったね」
「うん……!」
アヤは、笑顔で頷いた。その顔は本当に嬉しそうだ。
ニコニコしていたアヤだったが「あっ」と何かに気づいたように俺を見た。
「ん?」
「ぼーやんごめん……あのさ、ぼーやんも一緒にいたってことにしてくれないかな……?」
「いいけど、なんで?」
むしろ余計な誤解を生んでしまうと思うのだが。
「ぼーやんも一緒だったって言えば、うちの家族も少しは安心するだろうから……」
「なんだそれ……まあ、いいけど」
相変わらず、アヤの家の俺への信頼感はどうなっているのか。
「ありがと、助かる……!」
アヤが、またスマホをいじりはじめる。今度は家族向けにメールを打っているようだ。
一段落したあたりで俺は声を掛けた。
「アヤ、ちょっと文化祭回ってから帰ろうか」
「いいねっ!」
アヤが目を輝かせて微笑んだ。
俺たちは、特にあてもなく校内を歩いた。
誰もいない廊下に朝陽が差し込んでくる。
それだけで空気が暖かくなっていく。
眠気覚ましに適当な展示を見て回る。美術室に入ると、所狭しと色々な展示物が並んでいた。
「うわ、見てぼーやん、あれカッコよくない?」
アヤが並んだ絵画の一つ――男の人がガッツポーズをしている謎の肖像画に近づいていく。
まじまじと絵を見つめるアヤに、俺は言ってみる。
「アヤも、絵を描いてみたら?」
「……うん、そうしようかな」
「俺、アヤの絵好きだし」
「あ、りがと……じゃあ今度ぼーやん描いてあげるよ!」
それは、本当に嬉しい。
俺たちはその後も、どの絵が一番好きかを言い合ったりして美術展示を楽しんだ。
一通り校舎を回った後、階段近くのベンチに座る。
アヤは自販機の前に立って、飲み物を吟味していた。
「ふぅ……」
俺は凝り固まった肩を回して、ついでに伸びをする。
いつもの校舎の匂いに混じって、早朝の澄んだ空気が鼻を通り抜ける。
いつもとは違う角度からさす太陽が、廊下を白く照らしていた。
そんな光景をぼーっと見つめていると、目の前に茶髪のショートヘアがずいっと現れた。
「ほい、ぼーやんの」
そう言ってアヤがミネラルウォーターを手渡してくる。
黒いTシャツから伸びる白い二の腕がまぶしい。
「ああ、サンキュー」
「いいってことよ」
アヤは炭酸水を美味しそうに飲んでいた。
俺もミネラルウォーターのキャップを開ける。
ちょうど水が飲みたいと思っていたんだ。
ゴクリと一口飲むと、体が思った以上に水分を欲していたことに気づく。喉を鳴らし一気に飲み干した。
今まで飲んだ水で一番美味しく感じる。
多分、アヤが選んでくれたからだ。
***
アヤの家の前に着く頃には、朝の七時を回っていた。
「じゃあねぼーやん、また連絡する」
「うん。お家の人に怒られたら俺に言って。一緒に謝りに行くから」
「ああうん……怒られるとは思うけど、多分大丈夫だよ」
「そっか」
「うん……」
しばし、アヤと見つめ合う。
おそらく考えていることは一緒だ。
俺から口火を切る。
「……今日、時田と会うって話、どうなったの?」
「……結局、会おうって……メール来てた。話がある……話し合おうってさ」
「そっか」
「うん」
「俺も行こうか?」
「いやっ、大丈夫……だから。ちゃんと、伝えてくるよ」
「そっか。なら、待ってるよ」
「うん、待ってて」
「何かあったら、俺に連絡して」
「うん、連絡する」
「じゃあね、アヤ」
「おやす……じゃなかった、またね、ぼーやん……二度寝すんなよっ」
「アヤもな。ベッドで一休み、とか思っちゃダメだぞ。百パーセント寝るから」
「……寝ないし」
どうやら一休みはするつもりだったらしい。
俺は手を振る幼馴染に手を振り返し、家路についた。
***
お昼が過ぎた頃。
俺はあてもなく電車に乗り、あてもなくターミナル駅に来ていた。
なんとなく水族館の前で立ち止まる。
中学のとき「アヤが水族館デートではしゃいでいた」と、時田が自慢げに話していたのを思い出す。
なんとなく、時田は今日ここにアヤを連れて来る気がしたのだ。
入場口のほうを見ると、ちょうど落ち合っているアヤと時田が見えた。アヤは制服姿だ。
ランチを避け、現地で会うことにしたらしい。
お互い表情は暗い。
時田は何事かを話しかけてアヤが小さく頷いた。二人で水族館の中へ入っていく。
俺も急いでチケットを買い二人の後を尾ける。
問題ない。
そう直感で確信している。
大丈夫だ。
このデートでアヤは時田に別れを告げる。それ以外は何も起こらない。
確信しては、いるのだが。
気づけば勝手に足が動いていたのだ。
案の定、アヤと時田の雰囲気は最悪だった。
微妙に距離を置き、水槽を眺めて回っている。
途中で二言三言、時田が何かを言う以外は、二人の顔が向き合うことはなかった。
四十分ほどで水族館を出た二人は、繁華街のほうへ歩き出した。
時田がスタスタと前を行き、アヤがその二歩後ろを歩く。
奥まった路地に入ったところで、時田がアヤを振り返った。やけに真剣な顔をしている。
俺はアヤの後方の曲がり角から覗いているからアヤの表情は見えない。
見えないが、アヤの目が見開いているのは分かった。
そこがラブホテルの前だったからだ。
問題ない。
そういう確信がある。
確信は、あるのだが……。
俺はいざという時に投げられるよう、満タンにしたミネラルウォーターのペットボトルを握りしめる。
やがて、時田の口が何かを告げた。
アヤは、首を横に振る。
すると時田が、半歩アヤに近づこうとする。
アヤは、素早く後ずさった。
時田は戸惑ったような表情を浮かべると、ゆっくり息を吸って、吐いた。
ごまかすように笑い、また二言三言アヤに告げる。その口が「ごめん」を形作るのが辛うじて分かった。
少しして、時田が背中を見せて通りの向こうへ歩き出す。
アヤも時田の後ろ姿を見送ることなく、こっちに振り返る。
俺は急いで身を隠し、その場を後にした。
***
アヤからメールが来たのは夜の九時を回った頃だった。
スマホを見ると、短いメッセージが光っている。
『時田と、別れたよ』
『そっか』
返事を打ち込み送信ボタンを押す。
素っ気ないかもしれないが他にかける言葉はない。
そしてこの話題も、これで終わりだ。
しばらくすると画面が光り、アヤからのメッセージが表示される。
『ぼーやん、家で怒られなかった?』
スマホを返信画面にして、指を滑らせる。
『俺ん家はまあ大丈夫だった。アヤは?』
『うちも、まあ大丈夫だったよ』
『登校日って、明後日だっけ?』
『確か、そう』
『じゃあ、明日はゆっくり休んで』
『ぼーやんもね』
『明後日、寝坊しないように』
『ぼーやんもね!』
なんでもないやり取りを続ける。
俺とアヤは、明日会ったりしない。
多分、電話もメールもしないだろう。
インターバル期間にしては短いかもしれないが、俺たちなりのケジメだ。
しばらく他愛のないメールを続けていると、部屋の外から姉貴が「リュウジ風呂入れ~」と声を掛けてきた。
『風呂入ってくるよ。姉貴がうるさいから』
『じゃあ私もお風呂入って寝るね』
『うん、おやすみアヤ』
『おやすみ、ぼーやん』
俺はスマホを机に置いた。イスに深くもたれかかり、ふぅと小さいため息をつく。
机の上のアナログ時計がカチカチと小さい音を刻んでいる。
俺はイスから上体を起こし、スマホに手を伸ばした。
――『アヤ、好きだよ』
無性に伝えたくなり指を滑らせる。
送信ボタンを押そうとして、止めた。
今日別れたばかりのアヤに、さすがにゲンキンすぎるかと自重する。
スマホを置いて、立ち上がる。
風呂に入るべくドアに向かうと視界の端でスマホが光った。
近寄って表示されたメッセージを見る。
『ぼーやん、大好きだよ』
一瞬、時が止まる。
アヤが、初めて気持ちを伝えてくれた。
スマホを持つ手が震える。
頭がカーっと熱くなる。
胸がドキドキして、痛い。
俺は、そのままベッドに倒れ込んだ。