※この作品はR-18です。

【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話   作:月見ハク

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屋上で思いを告げた(十九日目 火・午後)

 朝、めずらしく自然に目が覚めた。

 むっくりと起き上がり、机の上のアナログ時計に手を伸ばす。

 目覚ましをオフにすると、ベッドから降りた。

 

 疲れが溜まっていたからだろう。

 昨日は一日中、爆睡していた。多分、アヤもだ。

 今日起きられるかも不安だったが、目覚ましよりも一時間くらい早く覚醒できた。

 

 窓を開けてみる。

 涼しい朝の風が、起きぬけの体に心地いい。

 

 

 神様の直感は、もう聞こえない。

 文化祭最終日の教室で、俺が決断したあの時から。

 もしかしたら、神様なんて最初からいないのかもしれない。そんな気さえしてしまう。

 ……今となっては分からない。

 

 顔を上げて、体を伸ばす。

 空は澄み渡っていた。今日は快晴だろう。

 

 不思議と、アヤとの未来に不安はなかった。

 確信が、体中に満ちている。

 

 

「リュウジ~、起きてんなら洗濯干すの手伝え~」

 

 俺が地平を見つめていると、窓の下から姉貴の声がした。

 庭先で早朝から洗濯物を干している。主に、姉貴の洗濯物を。

 

 俺はゆっくり階下へ降りていった。

 

 

***

 

 

 俺は、アヤの家の前にいた。

 あと三十分くらいで家を出ないと、遅刻する。

 

 俺はスマホを取り出し、メールを打つ。

 

『アヤ起きてる? 今日は登校日だよ』

 

 三分ほどして、アヤから返信が来た。

 

『おきてる』

 

 二階のアヤの部屋から、ドタドタと物音がした。

 飛び起きて、急いで支度をしているのだろう。

 また普段着で出てこないといいが。

 

 二十分ほどして、ガチャッとドアが勢いよく開いた。

 ついでに制服姿のアヤも飛び出してくる。

 俺の姿を見つけると、その頬が真っ赤に染まっていく。

 

「おは、よ……ぼーやん」

 

「おはよう、アヤ」

 

 いつものようにアヤに笑いかける……はずが、なぜだかぎこちない笑顔になってしまった。

 アヤの顔に、一昨晩のメールの文字が重なって見えるせいだ。

 

 

 いつもの幼馴染の距離で、いつもの通学路を歩く。

 アヤはソワソワした様子で、落ち着きがない。

 俺も、なんだか心臓の鼓動が激しい。

 お互い、無言で歩き続ける。

 

 いつもは会話がなくても気にならないはずが、今はなぜか気まずい。妙に意識してしまっているせいだろう。

 

 

 不意に、アヤが立ち止まった。

 

「……ごめん、コンビニ寄っていい?」

 

「いいけど、どうした?」

 

 きっと、朝ごはんを食べずに出てきてしまったのだろう。

 

「……朝ごはん食べるの忘れた」

 

 

 

 

 コンビニの外で待ちながら、店内のアヤを眺める。アンパンとジュースを買ったようだ。

 

「ぼーやんお待たせ!」

 

 コンビニを出てくるころには、いつものアヤが戻っていた。

 いつもの笑顔で、人懐っこそうに近づいてくる。

 ……俺たちの初々しい気恥ずかしさは、わずか十分足らずで終わったようだ。

 

 俺も、いつもの笑顔を返す。

 

「ここで食べてく?」

 

 するとアヤは、ちょっとだけ緊張した顔で言った。

 

「……ううん、駅前の広場で食べるよ。座れるし」

 

「そっか」

 

 

 

 

 広場のベンチに並んで座る。

 駅に吸い込まれていく人々の中には、うちの学校の生徒も混ざっている。

 そのうちの何人かが俺たちに気づいて、近づこうとして、ためらう。

 俺とアヤの屋上キスが、そこそこ広まっているのだろう。アヤが後夜祭に出なかったことで、噂に拍車をかけたはずだ。

 今日の通学路は、誰にも声を掛けられない気がする。

 

 ふぅっと、軽く息をつく。

 

 隣を見れば、アヤが美味しそうにアンパンを頬張っていた。

 アヤの数多ある魅力の一つだ。

 どうしていつも、こんなに楽しそうに食べるのだろう。

 

 俺の脳裏に、小学校時代の記憶が蘇る。

 アヤと知り合ってすぐの、給食の時間。

 給食は近くの机をくっつけて班を作るので、この頃アヤは俺と向かい合わせで食べていた。アヤは相変わらずニコニコしながら給食に舌鼓(したつづみ)をうっていたっけ。

 ふと、隣の班で男子たちがふざけ合っていた。ミニトマトを相手の皿に放って、押し付け合っている。

 なんとなく、イヤだなと思った。

 向かいに座るアヤも、そんな男子たちに視線を向けていて……ボソッとつぶやいたんだ。

 「トマト、かわいそう」と。

 本当に、心の底から残念がるように。

 俺は、なぜだかその横顔から目が離せなくて――。

 

 そうか。

 あのとき俺は、アヤに――。

 

 

「アヤ、好きだ。俺と付き合って欲しい」

 

 つい、口からこぼれていた。

 

 アヤが七口目を食べようと口を開けたまま、ピタッと固まる。

 俺のほうを向いて、目を見開く。

 なんで今? と思っているのだろう。

 俺にも分からない。できれば屋上とか、ロマンチックな場所でと思っていたのだが。

 気づいたら告白していた。

 

 アヤの顔が下を向く。

 その横顔が、真っ赤に染まっていく。

 口を閉じかけて、辛うじてアンパンを唇で挟む。

 

「……うん、よろひむ」

 

 アヤが、小さく返事をした。

 

 

***

 

 

 学校に着くと、いよいよ俺たちへの視線の数は多くなった。

 物珍しげな視線を向ける者、友達同士でヒソヒソ噂をする者、なんとも言えない複雑な表情を浮かべる者、さまざまだ。

 

 アヤは緊張しながらも、一生懸命前を見ていた。

 俺も、平然と振る舞う。

 

 二組の教室に着くと、すでに何人もの生徒が忙しなく片付けをしていた。

 

「ぼーやんっ、ちょっと机並べんの手伝って!」

「あーアヤだ! 一緒に飾り外そうよ」

 

 俺たちを取り巻く雰囲気は、いつも通りだった。

 

 教室内を軽く見渡してみる。

 時田の姿はない。

 生徒たちが話しているのによると、どうやら実行委員のほうで作業があるらしい。

 

 お化け屋敷の撤収作業に追われ、午前中は怒涛のごとく過ぎ去った。

 

 

 午後になると担任の先生が来て、大声を上げる。

 

「おーい今日は授業なしなー! 片付け終わったところから帰っていいぞー」

 

 聞けば、まだ片付けが終わっていないクラスや部活があるらしい。

 特に後夜祭の準備や本番に駆り出された生徒が多く、そのせいで撤収作業が遅れているのだとか。そんなわけで、学校全体で自習日にすることにしたという。

 

 

 俺は片付けが一段落すると、アヤにメールを送った。

 

『もし用事なかったら、一緒に帰ろうか』

 

 すぐに返信が来る。

 

『帰る! けどちょっと用事あるから正門で待ってて』

 

『俺も用事あるから、もしかしたらアヤに待っててもらうことになるかも』

 

『うん、待ってるよ』

 

 俺はスマホの画面を暗くすると、そこに映る冴えない顔の俺につぶやく。

 

「さて、ケジメつけないとな」

 

 

***

 

 

 俺は、校舎の中を彷徨っていた。

 実行委員がいつもミーティングをしていた一階の会議室をのぞき、各教室を回り、屋上にも上がってみる。

 もしかしたらと思い、図書室に向かった。

 

 図書室の扉を開けると、目当ての後ろ姿を見つける。

 時田が、窓側の自習机に座って勉強をしていた。

 

 他にも勉強熱心な生徒がチラホラ、テーブルや自習机に座っている。

 俺はその中を、一直線に時田のもとへ歩く。

 

 自習机の横に立つと、時田がハッと顔を上げる。

 

「……おぉ、ぼーやんか……何の用だよ」

 

 机の上の参考書は、一冊も開かれていなかった。

 

 俺はその場でしゃがみ、座っている時田と目線を合わせる。

 時田がふいっと目を逸らす。

 

「時田に伝えたいことがあって」

 

「なんだよ」

 

 時田をまっすぐ見て、言う。

 

「俺、アヤと付き合うことになった」

 

「…………あーはいはいっ、分かったよ……分かったからちょっと静かにしろ、ここ図書室なんだぞ」

 

 時田が焦ったようにささやく。

 落ち着きなく、目をキョロキョロさせている。

 まるで追い詰められた小動物のように見えた。

 

「ああ、すまん」

 

「…………そんだけか?」

 

「ああ、それだけ言いにきた」

 

「あっそ……はいはいっ、分かったよ」

 

「じゃあ、行くよ」

 

「あー……」

 

 時田が口を開いて、言葉を探している。

 チラチラと図書室内の様子をうかがうと、大声を発した。

 

「よろしく頼むわ!」

 

 けっこうな声量に、テーブル席に座る何人かがこっちを見たのが分かった。

 まるでポーズを決めるように、明後日の方向を見ている。

 

 俺は、時田にだけ聞こえるような声で言う。

 

「ああ、幸せにする」

 

 すると、時田も音量を下げた。

 

「くそっ、重いんだよお前は……」

 

 これで、この会話は終わりだ。

 俺はゆっくり立ち上がると、出口に向かって歩き出す。

 

 背後で、時田が机に突っ伏したのが分かった。

 

 

 図書室を出て、廊下を歩く。

 

 正直、時田にぶん殴られるくらいの覚悟はしていた。

 誰も見ていない所でなら、一発くらい受けても騒ぎにはならないと思ったから。

 でも時田は思いのほか穏やかな感じだった。

 多分、諦めたのだろう……完全に。

 

 ぼーっと歩きながら、考える。

 

 別に、時田の心を軽くするために会ったわけじゃない。

 対峙して、はっきり宣言して、決別させる。

 わずかでもアヤのストーカーになる可能性を潰すために。

 

 

 さっきの時田の表情を思い出す。

 

 ……俺だったら、諦めただろうか。

 俺が時田だったら……。

 アヤの気持ちが離れたとして。

 アヤを奪うと言われて。

 実際にアヤを奪われたら。

 もし仮に、アヤと時田の情事を見せつけられたとしたら。

 

 多分、それでも俺は諦めきれないだろう。

 

 

***

 

 

 下駄箱に向かうと、アヤと女友達たちが話しているのが見えた。

 俺は咄嗟に下駄箱の裏に身を隠す。

 

 彼女たちの雰囲気は和やかで、責められているような気配は感じない。

 ホッと胸をなでおろす。

 

「アヤ、気にすることないぞ。アタシらが守ってやっから」

「そうだぞ~、マブダチじゃん?」

「さんざん話し合ったべ?」

「そうそう、アヤはマジなんでしょ?」

 

「……うん、マジだよ」

 

 アヤのマジな声に、女友達たちから「きゃー」と小さい歓声が上がる。

 

「男前になったなーっ」

「ほんならアタシらは応援するのみよ」

「二組のヤツとか一年の陰口なんて気にすんなー、ひがみっつーか、やっかみだから」

「そうそう、私らはアヤの味方だし」

 

 なるほど、アヤに心無い言葉を掛ける生徒もいるのか。

 

「うん、ありがとう。私も……覚悟決めてるから」

 

「それ何回も聞いたわ」

「お、男前やな……」

「すごいよなぼーやん、アヤをこんな風にしちゃって」

「今思うと、むっちゃベストカップルじゃね!?」

「ねえねえ、そんなにぼーやん、いいの?」

 

「うん……いい」

 

 「ひゅ~」「あつ~い」と囃し立てるような声が上がる。

 

「え、いやっ、違くてっ……」

 

 あまり、俺が聞いてちゃいけない会話のようだ。

 

 俺は廊下を引き返しながら、アヤにメールを打つ。

 

『アヤ、屋上来れる? ゆっくりでいいよ』

 

 すると、すぐに返信が来た。

 

『おっけけ』

 

 あたふたしながらメールを打ったのだろう。

 その様子を想像して、俺はふっと笑ってしまった。

 

 

***

 

 

 屋上で待っていると、ギィっと重い扉が開く音がして、アヤがやってきた。

 

「ごめんぼーやん、お待たせ」

 

 走ってきたのだろう。少しだけ息が切れていた。

 

「ううん、大丈夫」

 

 アヤが上機嫌そうな笑顔を浮かべて、俺の元までやってくる。

 いつもの表情なのに、その瞳がいつもより優しく見えた。

 

「うわー……気持ちいいねぼーやん! むっちゃ晴れてるし」

 

「そうだね」

 

 涼しい風が吹き抜けて、自然と上がってしまう体温を調整してくれる。

 しばらく、近所の家々の屋根を二人で眺めた。

 

 アヤが遠くの風景に目を輝かせながら、口を開く。

 

「でも、よく屋上開いてるって知ってたね?」

 

「さっき校舎回ったときに見つけたんだ。片付けの後、閉め忘れたんだと思う」

 

「校舎回ってたの?」

 

「ああ……時田、探してて」

 

「……そう、なんだ」

 

 どうして時田を探していたのか、アヤはいちいち聞かない。

 俺が何をしに行ったのか、何を伝えたのか、察してくれたのだろう。

 

 胸の中に、愛おしさが湧き上がる。

 

 ――愛してる。

 ――結婚したい。 

 ――ずっと一緒にいて欲しい。

 

 そんな言葉が、次々に浮かぶ。

 

 今なら、伝えてもいいだろうか。

 今が、ベストなタイミングだろうか。

 なんて、伝えたらアヤの心に刺さるのだろう。

 付き合ったばかりで、呆れられないだろうか。

 変なプレッシャーを与えてしまわないだろうか。

 そういえば修学旅行でアヤの初めてを奪ったとき、俺はプロポーズして、「むりだから」と言われたっけ。

 また、拒否されたら。

 機嫌を損ねてしまったら。

 

 そんな思いが、とめどなく湧いてくる。

 

 俺は、そんな自分に苦笑する。

 

 ああ、直感のサポートがないと、こんなに不安なのか。

 

 俺は、アヤの横顔を見つめた。

 

 アヤは、いつもこんな不安の中で、決断してきたんだ。

 不安に押し潰されそうになりながら。

 それを頑張って飛び越えて。

 この、屋上で――。

 

 

 俺は、ゆっくり深呼吸をした。

 

 本当は、不安なんてどこにも存在しないんだ。

 

 体がスッと軽くなる。

 

 

「アヤ」

 

「うん?」

 

「俺、実はブロッコリーが嫌いなんだ」

 

「へ……?」

 

 アヤが俺のほうを向いて、目を丸くする。

 

「俺、けっこう嫉妬深いと思う」

 

 アヤの目を、じっと見つめる。

 俺の真剣な眼差しに、アヤも何かを感じ取ったのだろう。「うん」と頷き、最後まで話を聞くと態度で示してくれる。

 

「独占欲も……性欲も強いほうだ。毎日二回はアヤを抱きたい」

 

「う、うん……」

 

 アヤが気まずそうに、瞳だけを泳がせる。

 

「あと、本当は朝が苦手なんだ」

 

 そうなの!? と言わんばかりにアヤの目が見開く。

 毎朝、俺がどれだけ努力しているかは、今度話そう。

 

 ふぅっと息を吐く。

 

 俺の、面倒なところは全部明かした。

 多分、これから話し合っていくことになるだろう。

 だから――。

 

 

「俺と、結婚して欲しい」

 

 

 こちらを向くアヤのショートカットが、風にふわりと浮いた。

 

 普通だったら、高校生のプロポーズなんて、恋愛に浮かれた戯言に聞こえるのだろう。

 高校生が付き合い初めにこんな言葉を言ったら、引いてしまうのだろう。

 さっき時田に言われた通り、重いと。

 でも、アヤに限ってはそうじゃないんだ。

 

 

「えっと……今、すぐ……?」

 

 アヤが確かめるように言う。その目は、真剣だった。

 

「ううん、近い将来。一生幸せにする」

 

 

 付け足せ。

 

 

 頭の中に、直感の声が響いた気がした。

 違う、これは俺の声だ。

 

 そうだった。

 一生幸せにする、だけじゃ何の約束にもならないよな。

 

 俺は、確信に満ちた声で伝える。

 

「……そのための準備も進めてるから」

 

 この二週間、寝る間を惜しんでアヤの家族の説得方法や、家庭を養っていく方法を考え、準備をしてきた。

 

 

 アヤは揺れる瞳で、じっと俺を見つめている。

 戸惑っているようにも、泣きそうにも見えた。

 その表情から、思いは読み取れない。

 

 やがて、その小さい唇が薄く開いた。

 

「……私も、嫉妬深い……と思う。他の子に、髪とか触らせないで欲しい……」

 

「うん」

 

 俺は、優しく続きを促す。

 

「私の初恋は……リョウジ叔父さん」

 

 それは……知らなかった。

 後ほど詳しく聞こうと思う。

 

「本当は、笑いたくないときも、ある。笑ってても、笑えてないとき……ある。それを、全部分かって欲しいって、思っちゃう……」

 

「うん」

 

「わっ…………」

 

 ……わ?

 

 

「私も……ぼーやん幸せにする」

 

 

 アヤは、挑むように俺を見つめた。

 相変わらず、頬は真っ赤だ。

 多分、俺も。

 

「うん、ありがとう」

 

 俺は、アヤを優しく抱きしめた。

 アヤも、俺の腰に手を回してくる。

 体温が上昇していく。

 

 俺は、ハアァーっと肺からすべての息を吐いた。

 

「……ぼーやん?」

 

 俺は小さくて柔らかい体を、さらに強く抱きしめる。

 アヤの可愛さに、理性がもちそうにない。

 

 

「アヤ」

 

「う、うん?」

 

「襲っていい?」

 

「なっ、へ!? えと……今、すぐ?」

 

 アヤが、「まさかね」という口調で聞いてきた。

 だが、そのまさかだ。

 今度は近い将来じゃない。

 

「うん、今すぐアヤを抱きたい」

 

「……む、むり、だから……!」

 

「どうして?」

 

「ここ、屋上だしっ……! あっ、ちょっ……」

 

 俺はアヤのお尻に手を這わす。二日ぶりの弾力に、股間が剛直していく。

 

「……ごめん、アヤが可愛くて、我慢できないんだ」

 

「え、えと、それは嬉しい、んだけど……ここ、屋上だからね……」

 

 アヤが子どもをあやすような口調で言う。

 それすら、俺には艶めいて聞こえた。

 

「大丈夫、こっち来て」

 

「あっ、まって……」

 

 俺はアヤの手を引いて、屋上の建物裏に連れ込んだ。

 

 






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