※この作品はR-18です。

【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話   作:月見ハク

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幼馴染とあの日の夜景の中でキスをした(三十日目・土 夜)

 どれくらい経ったのか、体感では分からない。

 

 長い長い快楽から戻ってきた俺たちは、ゆっくり立ち上がり、とりあえずお互いにシャワーを浴びた。アヤの体を手で洗っていると、また始まってしまいそうな予感がしたので手早く済ます。

 

 個室を出て、タオルが無いことに気づく。

 

「私の使っていいよ」

 

 アヤが水色の汗拭きタオルを差し出してくる。それを受け取り、まず彼女の体を拭い、その後で自分の体を拭く。

 

 ジーパンを穿き、シャツを着終えるころには、もうアヤは元のユニフォーム姿だった。ニコニコしながら俺のジャケットを持ち、広げている。

 

「はい、ぼーやん」

 

 着させてくれるのだろう。新婚の奥さんが夫にスーツを着せるときのような仕草だ。めちゃめちゃ嬉しいが、少し恥ずかしい。

 

 中腰になってジャケットに袖を通すと、アヤが服のシワを伸ばしてきた。

 

「よしっ……うん、いいねっ、やっぱり似合ってるよ」

 

「姉貴には微妙な顔されたけどね」

 

「私は好きだよ、その格好」

 

「俺もアヤのユニフォーム姿好きだよ。ピンクがすごく似合ってる」

 

「えっ、あ……ありがと……」

 

 照れて口元を結ぶアヤが可愛らしい。

 思わず二回戦を始めたくなってしまい、ぐっと堪える。今日はこの後、大切な用事がある。

 

 棚に置かれた和菓子屋の紙袋を見つめると、アヤもその視線を追ってきた。

 

「そういえば、ぼーやんこれなに?」

 

「フルーツ大福。アヤへのお土産」

 

「え、嘘!? ありがとうっ、私すっごくお腹すいちゃって……」

 

 つい食い意地を張ってしまったアヤが、また唇を引き結ぶ。

 そんな幼馴染の頭を撫でながら、俺は大事なことを告げた。

 

「アヤだけじゃなくて、お父さんやお母さん、ヒロト君へのお土産も買ったんだ」

 

「え、そうなの?」

 

「うん。できれば今日、挨拶に行きたい」

 

 アヤの目が見開き、固まる。

 

 

 彼女の心には、いつも不安な気持ちがあった。彼女自身も気づけないほどの、奥底の不安。

 今の俺ならその原因が分かる。

 

 アヤは確かなものがずっと欲しかったんだ。

 

 時田と付き合っているときも、不安定な感覚をずっと抱いていた。いつか足場が崩れてしまうんじゃないか、いつか全てが終わってしまうんじゃないかと怯えて。

 アヤはそんな子だ。

 

 俺に迫られて、トラウマを克服して、しっかり付き合い始めて、彼女の心は満たされたと思う。

 でも好意を向けられたりして、俺たちの関係が不安定な気がして、ほんの少し不安を抱いたんだろう。それは今のアヤなら我慢できるくらいの、些細なストレスだ。

 

 俺はそんなわずかな心の穴すら塗り潰さないと、もう気が済まない。それもとにかく早く。

 

 だからこうして、アヤを激しく求めた。全身で底なしの愛情を伝えた。

 でもこれだけじゃ足りない。

 もう一つ、もっと確かなもの。

 

 

「アヤの家族に、俺たちの結婚を認めてもらおうと思って」

 

「けっ……」

 

「悪いんだけど、家に都合を聞いてみてもらえない?」

 

 まるでいつものことように、気軽な感じで聞く。

 多分、出張前の土曜日だから、お父さんも空いているはずだ。

 

「あ、うん……聞いてみるね」

 

 アヤも気軽な感じで答え、スマホをいじりだす。

 でもその声がわずかに震えていた。眉間には深いシワが刻まれている。

 

 これは、アヤが嬉しいけどそれを表に出せないときにする表情だ。

 

 俺は彼女の正解を引き当てたことに、心の中でほっと胸を撫で下ろした。

 

 

***

 

 

「じゃあぼーやん、また後でね」

 

「うん、また後で」

 

 家に入っていく幼馴染を見送る。

 俺は一旦、アヤと解散することにした。この後、いつものファミレスで合流する手はずだ。

見送りついでに彼女の家の車で一緒に向かっても良かったのだが、これから勝負という時に、なんだか画的にマヌケな感じがしたから。

 それに、南鳥家の車内はアウェーだ。雰囲気に呑まれるワケにはいかない。

 

 

 自分の家に戻ると、自転車に乗ってファミレスに向かう。

 ファミレスまでは車で十分、自転車だと二十分くらいの距離だ。ちょうどいいタイミングで合流できるだろう。

 

 幹線道路沿いの道を走る。

 時刻はもう七時前。今日は例年より冷えるらしく、頬に当たる秋の空気の中にほんのり冬の気配を感じた。なのに、体が妙に興奮して熱い。

 すっかり暗くなった秋空を、スーツ量販店や大型リサイクルセンターのネオンが煌々と照らしている。その並びに、目当てのファミレスの看板が見えてきた。

 

 自転車を降りて、二階にある入口に向かう。

 こういう挨拶はもっとかしこまった店のほうが良かったのかもしれないが、なんとなく、アヤたちにとっても俺にとっても馴染みのここがいいような気がした。

 修学旅行最終日、この階段の上で彼女とキスをしたのを思い出す。

 

 ファミレスの中に入ると、アヤたちは奥の窓際――いつもの場所に座っていた。

 近づくと、ヒロト君の手が上がる。

 

「お、ぼーやんこっちこっち!」

 

 ヒロト君は制服を着ていた。

 お父さんとお母さんも、いつもより少しだけフォーマルな格好をしている。

 

 アヤは、ニット素材でできたブルーのトップスにジーパン姿で、上に白い薄手のカーディガンを羽織っていた。

 茶髪のショートカットは、葉っぱをかたどったエメラルドグリーンの髪留めで前髪が横に流されて、オデコが見えている。

 すごく、女の子っぽい姿だった。

 

 思わず見惚れていると、アヤが恥ずかしそうに髪留めに触れながら席を立った。

 

「奥、いいよ」

 

「うん、ありがとう」

 

 アヤに促されるまま、テーブル奥の席に座る。

 正面には相変わらず強面のトレンディ俳優のような顔をしたお父さんがいた。その隣にはお母さんとヒロト君が座っている。

 俺の隣にアヤが腰を下ろすと、コップを差し出してきた。

 

「炭酸水で良かった?」

 

「うん、ありがとう」

 

 ちょうど飲みたいと思っていたところだ。アヤの目の前のコップにも炭酸水が注がれている。その半分以上が減っているのを見て、少し緊張がほぐれる。俺も同じ気分だ。

 

 ゴクゴクと炭酸水で喉を潤す。

 空になったコップをテーブルに置くと、アヤの家族たちを見た。

 

「これ、お土産です。仕事の帰りに和菓子屋さんがあったので」

 

 そう言って紙袋を渡す。

 

「お、おお……ありがとうぼーやん」

 

 渋い顔でお父さんが受け取る。なぜかその表情が怒っているように見えてしまう。

 いや、お父さんはもともとこういう顔だった。

 

 お父さんが胸に抱えたままの紙袋を、お母さんが覗き込む。

 

「あらっ、みんなの分もちゃんと買ってくれたのね。気が利くじゃない~」

 

 お茶目なトーンでお母さんが笑う。明るい雰囲気を振りまき、俺たちの緊張をほぐそうとしているのが分かる。すごくありがたい。

 アヤのお母さんは意外に甘いのが苦手で、反対にお父さんとヒロト君は甘党だ。好みのものを買ったつもりだが、口に合うだろうか。

 

 お母さんが和やかにしてくれた空気が再び緊張する前に、俺は口を開いた。

 

「今日は、アヤ……さんのことで大事な、お伝えしたいことがあって」

 

「はい」

 

 お母さんが笑顔のままうなずく。

 その予定調和な感じから、俺がこれから伝える内容をもう知っているのだなと察する。多分、事前にアヤが言ってくれたのだろう。

 

「アヤと、先々週から正式にお付き合いさせてもらってます。俺も彼女も真剣で……俺は、将来はアヤと結婚したいと思っています」

 

 直球で伝える。

 全身が熱くて頭がぼーっとするが、なんとか言いたいことを言えた。

 

 お母さんの目が見開いた。笑みが深くなり、目がうるうるしている。アヤが泣き虫なのはお母さんに似たのだなと、どうでもいいことを考える。

 

「結婚、マジか……」

 

 ヒロト君が思わずつぶやく。

 結婚の二文字はさすがにアヤも口に出していなかったようだ。

 

 お母さんが、微動だにしないお父さんのほうをチラッと見る。それに促されるようにお父さんが口を開いた。

 

「ああ、そうか…………うん、ありがとう」

 

 それだけだった。

 抑揚のない口調なので、いまいちその真意が読み取れない。俺はお父さんの目を見つめ、お父さんは俺の胸元あたりを所在無さげに見つめていた。

 するとお母さんがお父さんの二の腕を軽くたたいた。

 

「お父さん、さっきは『ぼーやんなら大歓迎だ』なんて言ってたのよ、ね?」

 

「ああ、いや……面と向かって言われると、ちょっとな」

 

 そういえばお父さんはアヤに似て、見かけによらず繊細で気にしいな性格だった。

 ふっと鼻でため息をつくと、初めて俺の目を見据える。

 

「ぼーやん、よろしくな」

 

 お父さんが口角を上げた。多分、微笑んでくれたのだろう。

 俺は涙が出そうになり、唇を噛んだ。

 「アヤをよろしく」ではなく、同じ家族としてよろしくと言ってくれたから。

 

「よろしく、お願いします」

 

 俺もぎこちない笑顔で返事を絞り出す。

 ずっと、心の底でこの家族の一員になりたいと思っていた。

 いろいろな感情がこみ上げ、テーブルの下で拳を握る。

 

 ふと、拳が温かいものに包まれた。

 アヤの手のぬくもりで、いよいよ俺は泣き出しそうになる。

 

「ぼーやん、煮込みハンバーグ食べるか?」

 

 お父さんがねぎらうように聞いてきた。

 子どもの頃、アヤたちと来たときに一度だけ頼んだことがあるメニューだ。少し高かったので、それ以降は遠慮して安めの料理を頼むようにしていた。

 きっと、あの時の俺はとても美味しそうに食べていたのだろう。

 反則的なお父さんの優しさで、目端の涙がこぼれそうになる。

 

 今日は勝負のつもりで来たのだが。

 やっぱり、アヤの家は俺にとってアウェーらしい。

 

 

 

 

 儀式のようなやり取りが終わると、俺たちはいつもの和やかな食事を始めた。

 

 お父さんが空気を読まずに「デートはしたのか」とか「いつから好きだったんだ」とか聞いてきて、アヤに文句を言われていた。

 それでも、時田の話題を出さないだけ、かなり気を遣ってくれているのだろう。

 お母さんが嬉しそうに相槌を打ち、ヒロト君はなんだか恥ずかしそうにしていた。

 

「てか、ぼーやん今日、キマってるっすね」

 

「ああ、そういう格好は初めて見たな」

 

 やっと場の空気に馴染んできたのか、ヒロト君が俺のジャケット姿をいじってくる。ノンアルコールビールで顔を赤らめたお父さんも、それに乗っかってきた。

 

「ええっ、似合ってるじゃない! ぼーやんはこういう格好のほうが似合うのよ~!」

 

「私もそう思う」

 

 お母さんとアヤが俺をフォローしてくれる。

 女性陣の思わぬ反撃に遭い、気まずそうにする男性陣の様子が微笑ましい。

 

「これ、借り物なんです」

 

「そうか、いや俺もいいと思うぞ。うん、こういう時はそれでいい」

 

 お父さんが取り繕うように小さくうなずいた。

 

「ありがとうございます」

 

 そういえば、さっきから俺はお礼しか言っていない気がする。

 

 本当に、ありがたい。

 いくらすぐではないとはいえ結婚の意思まで伝えたのだから、この先のことを聞かれたり、家庭を持つことの覚悟を問われたりするかと思っていたのだが。

 お父さんもお母さんも、そしてヒロト君も、安心しきっているように見える。やはり俺への謎の信頼感は無限大らしい。もちろんその信頼には応えるつもりだ。

 

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、気づけば十時を回っていた。

 

「そろそろお会計するか」

 

 アヤのお父さんが、いつもように帰るぞ宣言をする。

 

 俺たちは席を立ち、出口へと向かった。

 みんなで出口付近にたむろし、アヤのお母さんが会計を済ますのを待つ。

 アヤは、会計レジの隣にあるスナックコーナーを見ながらニコニコしていた。

 俺はそんな彼女を眺めながら、みんなに声をかけた。

 

「すみません、ちょっとトイレ行ってくるんで。先に車行っててください」

 

「おお、分かった」

 

 お父さんが手を上げて、先にファミレスから出ていく。

 俺はペコっと頭を下げて、トイレに向かった。

 炭酸水を五杯もおかわりしたせいで、膀胱が悲鳴を上げ始めていたのだ。

 

 

 パシャパシャと顔を洗う。

 鏡を見ると、脱力しきった顔と目が合った。

 

 我ながら、だいそれたことをしているなと思う。

 いきなり結婚宣言までして――さすがに何度も中出しセックスをしていますなんて言えなかったが、近いうちに別の形でそれを伝えることにはなるだろうな、とは思っている。

 その時が、もう一勝負だろう。

 でも、何も問題ない。そういう確信がある。

 

 

 俺はハンカチで手と顔を拭いて、トイレを出た。

 

 お会計のところには、アヤたち家族の姿はもうない。

 出口に向かい、ガラスドアを押す。

 出たところに、幼馴染が立っていた。

 

「アヤ、お待たせ」

 

「うん」

 

 クリっとした二重が、柔らかく孤を描く。

 

 二階の階段の上だから、並んで夜景を見渡す。

 暗い秋空をネオンの光が照らしている。

 アヤと手を繋いで見るには、なかなかの景色だと思う。

 

「アヤ、その髪留めすごく可愛いよ。すごく似合ってる」

 

「へへっ……ありがとよ」

 

 照れすぎたのか、アヤの口調が若干おかしい。

 

 俺は、ネオン色に染まる彼女の頬にそっと触れた。

 アヤがふんわりと笑い、目を閉じる。

 

「――っ」

 

 唇が触れ合うだけのキス。

 それだけで十分だった。

 

 もう俺たちの間に言葉はいらない。

 でも、それじゃだめだ。

 何度でも伝えないといけない言葉もある。

 

「アヤ、俺はどこにもいかないから……もう何も不安はない、大丈夫だよ」

 

 修学旅行最後の日、この場所で言えなかった言葉をやっと言えた。

 

 アヤが優しく微笑んで、握った手に力をこめてくる。

 

「そうだね」

 

 そうして俺たちはまた唇を重ねた。

 

 誰かが出口に来るかもしれないし、階段を上がってくるかもしれない。

 ファミレスのお客や店員に見られているかもしれない。

 そうだとして、もう何も問題はない。

 

 俺は、世界で一番可愛い恋人をぎゅっと抱き締めた。

 

 





恋人編、まだ続きます。
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