【書籍化】クラスで2番目に可愛いボーイッシュ幼馴染を、二泊三日の修学旅行で寝取って種付けセックス漬けにする話 作:月見ハク
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教室の窓から、ぼーっと外を眺める。
すっかり秋めいてきた校庭の風景が、少し色あせて見えた。
「あー出欠の前に、南鳥のことなんだが」
黒板のほうに視線を移すと、担任の先生が神妙な顔を作っていた。
「南鳥のお祖父さんが倒れた件でな、来週まで休むそうだ。今朝、親御さんから連絡があった」
「え、長くない!?」
クラスの誰かが声を上げる。
「南鳥の田舎は遠いからな、まーそういうわけだ。みんな色々とサポートしてやれな」
「わかってるよ~」
アヤの親友のカナッペが、クセのない黒髪のロングヘアーをかき上げながら返事をする。
「そうかー、じゃあ出席なー」
気怠げな先生の声が響き、俺はまた校庭のほうを眺めた。
今日は水曜日。アヤは週明けからもう三日間、学校を休んでいる。
月曜の朝、彼女からメールがあったときは驚いた。お祖父さんが倒れたことよりも、その余裕のなさそうな文面に。
『田舎のおじいちゃん倒れた。家族でしばらく帰省するね』
アヤはお祖父ちゃん子だ。小学生のときからよく、田舎でお祖父ちゃんに遊んでもらった話を聞いていた。昔はよく川遊びに連れて行ってもらっていたらしい。
彼女が川で溺れて以来、誘われなくなったようだが。
俺は先生のやる気のない出欠確認を聞き流しながら、こっそりスマホを覗き見る。
『おじいちゃん治った。お医者さんに止められてるのにこっそりあんこ餅食べて、それで体調崩してたみたい』
今朝、アヤから届いたメールだ。
昨日までは『おじいちゃん死んじゃったらどうしよう』と切羽詰まったメールを送ってきていたので、大事に至らなくて俺も安心した。
とはいえ退院まではもう少し掛かるため、今週いっぱいはこっちに帰って来ずに、家族総出で身の回りの世話をしたり、田舎の家の整理をしたりするらしい。
「――やん、おい、ぼーやん!」
不意に後ろの席の男子に肩を叩かれた。
「え?」
「六十五ページ読めってさ、てかぼーやん教科書すら開いてねーじゃん」
クラス中がどっと笑う。「ぼーっとしてんなよ~」と、いつの間にか黒板の前に立っていた現代文の先生に注意される。
「あ、すいません」
俺は慌てて教科書を取り出した。
つい今まで担任が出欠を取っていたと思ったんだが……さすがにぼーっとし過ぎたようだ。
どうも、アヤがいないと毎日に張り合いがない。こんなにアヤの気配を感じない日々は始めてかもしれない。
毎日メールはしているが、やはり物理的に遠い場所にいるというのは、必要以上に距離を感じさせる。
彼女の声を聞きたいが、俺たちはいつも、示し合わせたように電話をしない。
電話をすると、すぐに会いたくなってしまうから。
教科書を読み終えた俺は、一人苦笑した。
「……まったく、どんだけだよ」
アヤがいないだけで世界がこんなにも色あせて見えるなんて。
我ながら重症だなと、俺はもう一度苦笑した。
***
昼休みになっても、俺は窓の外をぼーっと眺めていた。
大会が近いからか、短い時間を利用してサッカー部が練習をしている。その中に、エースのはずの時田の姿はない。
「――おい、おいぼーやん!」
いつの間にか隣の席に座っていた時田が、俺の肩を小突いた。
「……時田か、どうした?」
「さっきから呼んでんだろ」
「ごめん、気づかなかった。なに?」
時田は大きなため息をつくと、神妙な表情になって顔を近づけてきた。回りに聞かれたくない話題なのだろうか。
「俺さ、一年の子と付き合ってるから」
「バスケ部のマネージャーの子だっけ」
「もう知ってんのかよ」
俺も特に興味はなかったが、先々週に部活終わりのアヤを迎えに行ったとき、体育館で一年の男子たちが噂しているのを聞いた。
「そんでまあ、俺らそういう関係になったから」
何かを誇示するような、威嚇するような口調だ。なんとなくだが……エッチをしたということだろうか。
「そうか」
「そんだけかよっ!」
他にどんな反応をすればいいのか、いまいち分からない。
「あー……おめでとう?」
時田は諦めたように再びため息をついた。
「ったく、お前ってほんとぼーやんだよなぁ……マジで気抜けるわ。でもまあ、そういうことだから」
時田はもう一度俺の肩を小突くと、教室から走り去っていった。サッカー部の練習に合流するのだろう。
いったい、何の報告だったのだろう。時田なりのケジメというやつなのだろうか。正直、今の俺ではそれを推察することはできないし、正直そこまで興味もない。
「お、ぼーやん空いた、お~い」
教室の出入り口付近からカナッペが声を掛けてきた。今日はやけに色んな人に話しかけられる日だ。
カナッペに「なに?」という顔を向けると、彼女の親指がクイクイと教室の外を差した。
「お昼、一緒に食べん?」
カナッペに連れて来られたのは美術室だった。テーブルには、他にもアヤの女友だちが二人座っている。
名前は……フユミと、もう一人の名前が分からない。後でアヤに聞いておこう。
「――でさ、アヤのことなんだけど」
対面に座ったカナッペが、コンビニのパンを頬張りながら身を乗り出してくる。彼女も、あまり人に聞かれたくない話をしたいようだ。
「アヤが、どうしたの?」
「最近、めっちゃ可愛くなったじゃん?」
「ん? ……まあ、そうだね」
曖昧に答える。
正直アヤは最初からクラスで一番可愛いと思うが、そんなことを言うと「ちゃんと見てんのか」と怒られそうなのでやめておく。
「ぼーやん今、前からだけどって思っただろぉ~」
カナッペの隣に座るフユミがニヤニヤしながら見つめてくる。俺をからかうような空気が流れるが、カナッペは真面目な顔を崩さなかった。
「アヤをさ、守ってやってね」
その声のトーンに、俺の中の直感がざわつく。
「……詳しく聞かせてくれない?」
すると俺の隣に座る……名前は忘れたが金髪ポニーテールの子がスマホを差し出してきた。
「これ見て」
画面を覗くと、今流行ってるらしいショート動画の投稿サイトが表示されていた。
『可愛い女の子にモノマネ頼んでみた』
そうテロップが貼られた動画には、何人かの女子に「モノマネしてください」と頼む様子が映っていた。その最後に出てきた茶髪の美少女に、俺の心臓がドクンと跳ねる。
「先輩、モノマネおなしゃーす!」といきなり呼び止められたアヤが、戸惑いがちに愛想笑いをしていた。
画面の中のアヤは、口元で握った両手をぱあっと開き「プシャアアァァ」と奇声を発する。「それなんすか?」という男子の声に、「エイリアンだよ~」とノリ良く応じていた。
『パイセンまじウケるww天使www』
そんなテロップが一瞬表示され、動画は終わった。
コメント欄を見ると『確かに天使』『めっちゃかわいい』『おっぱい最高』など見たくもない言葉が数え切れないほど並んでいた。
心がすっと冷たくなる。この感覚には覚えがある……怒りだ。
動画は最初からアヤの胸が映り込むような……覗き込むような画角だった。白い長袖ブラウスを肘まで折り曲げた格好をしているから、撮影されたのは肌寒くなった最近だろう。
「これさ、絶対最初っからアヤ狙いだよ」
カナッペがドスの利いた低い声でつぶやいた。
「最初から?」
「うん、多分一年の奴らだと思うんだけどさ、最近多いんだよ」
「多いって、アヤに声を掛ける男子がってこと?」
「そうそう、時田が他の子と付き合い出したじゃん? だから後釜狙ったり、こうやってあの子にヘンなことする奴が増えてきてんだ、多分」
「そっか」
「制服とかで学校特定されっからさ、あの子が危ない目に遭わないかって私ら心配してんだわ」
すると対角線上に座るフユミが、テーブルの上で拳を握った。
「あの子……いっつも明るく振る舞ってるけど、案外弱いところあるからさ」
「それにけっこう隙だらけだしな」
隣に座る金髪の子が付け加えてくる。
分かっている。アヤはずっと時田と有名カップルだったお陰で、今まで他の男子にアプローチされるなんてことはほぼ無かった。
そのせいか、誰からも親しまれやすい雰囲気も相まって変な奴に漬け込まれやすい。
俺はカナッペやフユミ、金髪の子に顔を向けた。
「教えてくれてありがとう。後は俺がケリをつけるよ」
そう言って立ち上がる。「ケリ?」と不思議顔を浮かべているフユミの隣で、カナッペは泣きそうな顔で俺を見つめていた。
「ぼーやん、アヤをよろしくね」
「うん」
カナッペに微笑み、俺は美術室を後にした。
廊下を歩きながら、俺はカナッペたちの顔を思い出す。アヤのことが好きで、心から心配している様子だった。
アヤは、いい友だちに囲まれているようだ。
直感に導かれるまま向かったのは部室棟だった。
両側に並んだドアの中に、男子バドミントン部の文字を見つける。中からは数人の男子の声が聞こえる。
俺は迷いなくドアを開けた。
「あ、誰っすか?」
「先輩?」
「あれ、ぼーやん先輩じゃね?」
「こんちっす~」
四人の男子がダラダラとテーブルを囲んで、昼ごはんを食べていた。
俺はその四人の中に、目的の声の主を見つける。
そこそこガタイが良く、耳にピアスの穴が空いている少し不良っぽい雰囲気の男子だ。バドミントン部には見かけない顔なので、他の部活なのだろう。それなのに足をテーブルに乗っけているあたり、彼らのリーダー的なポジションなのかもしれない。
まあ、どんな奴だろうが関係ない。
俺は無言でテーブルを回り込むと、静かに彼の対面に腰掛けた。
「え、なんか用っすか?」
「アヤを撮った動画、消してくれる? 君が撮ったのは分かってるんだけど」
単刀直入に言う。
「はっ? アヤ先輩の動画っすか? なんで?」
その声色はまさに、動画の中でアヤに馴れ馴れしく話し掛けていたのと同じだった。
「無断で撮影して投稿したら、下手すれば犯罪だよ」
俺は努めて優しげなトーンで言う。
「ぼーやん先輩……だっけ? 関係なくね?」
俺たちの緊迫した雰囲気に、他の男子たちが黙り込む。たかが動画を撮ったくらいでと思っているのかもしれない。
でも俺には分かった。この不良っぽい男子は、アヤに変な気を持っている。恋か執着か、もしくは性欲か、そのどれかだろう。
直感が囁く。
彼をほうっておくと、いつかアヤに嫌なことが起きると。
俺はふっと息を吐き、目の前の男子を見つめた。
「俺、アヤと付き合っているんだ。だから彼女に無断で撮影した動画は消してくれないかな」
「ああ……そういうことっすか。ってかマジなん?」
不良っぽい男子はテーブルから足を下ろすと、訝しむような視線をよこしてきた。俺の発言を疑っているのだろうか。
俺はそのやり取りには乗っからず、子どもを諭すように話す。
「これ、学校に告発したら問題になると思うよ。君の親にも話すことになるだろうし、消さないなら警察に相談しようと思ってる」
「はあっ? 大げさじゃね? ってかさ、俺らが撮ったって証拠でもあんの?」
ここまで感情的に突っかかってくるのは、もしかしたら本気でアヤに気があるのかもしれない。思いきりガンを飛ばしてくるが、いつか相対したストーカー男の薄気味悪さに比べればどうってことない。
「話が通じないなら、学校に報告してくるよ」
「ちょっと待ってくださいよ、ぼーやん先輩。じゃあさ、俺と腕相撲して勝ったらってのはどうっすか?」
不良っぽい男子がテーブルに肘を乗っける。
腕相撲で勝負することと、動画を消すことと何の関係があるのだろうか。
俺はテーブルを回り込んで不良っぽい男子の側まで行くと、その場にしゃがんで彼と目線を合わせた。
「……なんだよ」
俺はなるべく不穏な感じにならないように、温和な感じで微笑みながら彼の胸ポケットからスマホを引っこ抜く。
「あ、おいっ」
彼が俺の手から奪い返そうと両手でスマホをつかむ。ピシッとスマホから変な音が鳴る。
「このまま壊れてもいいんだけどさ」
つい本音をつぶやいてしまう。不良っぽい男子は目を見開いたが、他の男子はポカンとしているようだ。
良かった。どうやら聞こえたのは彼だけらしい。アヤの彼氏として、あまり暴力的な人間だとは思われたくないし、暴力沙汰は絶対に起こしたくない。
しばらく両手でスマホを引っ張っていた彼だが、やがて根負けしたのか疲れたのか、ゆっくり手を離した。
「……消すんで、返してもらっていいっすか?」
「ありがとね」
目の前でスマホの画面をいじってもらい、投稿サイトから動画を削除し、スマホの中からも消してもらった。
ついでに他の男子たちのスマホも見せてもらい、共有されていた動画も削除させる。
――問題ない。
他に動画データも隠し撮り写真も存在しないと、直感が教えてくれた。
四人に軽く挨拶をしてから、俺は部室を出る。
「ほんと、くだらないな」
アヤのいない世界は、本当にくだらないことが多い。
以前の俺なら、あの修学旅行で大仏様に祈るまでは、こんなふうに思うことなんてなかった。アヤとの、あの明るくまぶしい世界を知ってしまったから……。
ブブ――とポケットの中でスマホが震える。
取り出すと、ちょうどアヤからのショートメールが届いたところだった。
『やほ、ぼーやん元気?』
俺は素早く返信を打つ。
『元気だよ。そっちは?』
『お休み気分だよ』
良かった。お祖父さんが回復したことで、アヤはすっかり元気になったようだ。
『学校復帰したら、多分いっぱい課題が出るよ』
『うげ』
『事前に先生に言って、メールで送ろうか?』
『助かる』
きっと今、アヤはスマホの前でころころと表情を変えているのだろう。
俺はふふっと笑いながら、部室棟の廊下の壁に寄りかかった。もう少しやり取りをしたくて、取り留めのない質問を打つ。
『そっちは楽しい?』
少し間があってから、ピコンと返信が表示される。
『明日、プールに行く』
『プール? この季節にやってるの?』
『屋内遊園地みたいなとこがある。車でちょっと行ったとこ』
『家族で行くの?』
『ヒロトとイトコと』
弟のヒロト君と、イトコ……従兄?
『従兄?』
『うん、ハルくん』
ハルくん……は、確かアヤの四つか五つ上の大学生で、アヤが高校を受験するときにわざわざ家庭教師に来てくれていた人、だったはずだ。話には何度か聞いたことはあるが、俺は会ったことはない。
『ハルくんは、免許持ってるの?』
『うん、ハルくんの車で行く』
『アヤ、泳げるの?』
少し間があく。「泳げるし」とでも打とうとしているのだろうか。
ややあって、返信メールが来る。
『泳げないかも』
かもではなく、アヤはまだ泳げない。だからこの前、今度の夏は俺がつきっきりで練習に付き合うと約束したばかりだ。
俺は素早く返信を打つ。
『じゃあ教えに行くよ』
『どういうこと』
『今からそっちに行っていい?』
『いや週明けには帰るし』
『会いたいから行くよ』
アヤからの返信がピタリと止む。
直感に頼らなくても分かる。彼女はきっと、俺以外の――ハルくんとプールに行くことになったから、メールを送ってきたんだ。
それだけじゃない。きっと、アヤも俺と同じで。
どうしようもなく会いたくなった。
一分くらいして、スマホが光る。
『だめだよ学校』
その返信に、なぜか俺はクスリと笑ってしまう。なんだかスマホの前でアヤが葛藤しているような気がして。
俺が『それでも行くよ』と打っていると、またアヤからメールが届いた。
『ちがった』
もう一度、メールが届く。
『うれしい』
俺はアヤに住所を送るよう返信をすると、姉貴に電話をした。
「リュウジどうした?」
「今からアヤの田舎に行くよ」
「はっ? アンタ学校は」
「ごめん、どうしても行きたいんだ。悪いんだけど姉貴からも学校に連絡してほしい」
「リュウジ……マジ?」
「うん、本気」
「いつ帰ってくる?」
「とりあえず週末には」
「じゃあこっちのバイトには間に合うな」
「いいの?」
「だめだっつっても行くんでしょ?」
「そのつもり」
「じゃあ止めてもムダだ、ムダムダ」
「一度家に帰って荷物まとめるよ」
「ああじゃあ、台所に貰いもんの菓子があるから土産に持っていきな」
「うん、悪い」
「アヤちゃんによろしくね」
俺は電話を切ると、職員室に直行して先生に早退する旨を伝えた。そのまま急いで家に帰り、簡単に荷物をまとめ、家を出る。
俺が新幹線に乗り込んだのは、まだ六時限目が始まったころだった。